伊勢神宮参道 911テロ
伊勢神宮に参拝する前に、甘い物を食べる。
2ヶ月前に、911テロに関連してできたテロ特措法の延長が決まった。
911テロはイラク戦争の原因となり、みほの父親が亡くなった原因でもある。
写真は「赤岳 (八ヶ岳山系)」Wikipediaより。ヒマラヤの空はもっと濃い青。
伊勢神宮参道
五十鈴川駅。見上げると青空だった。
季節風もここまでは雪を飛ばせない。
ただ、雅夫は季節風の強さを願った。みほの手のぬくもりを感じたかったから。
それだけの事。ただ、それだけの事。
雅夫は数日前、山岳部の冬合宿で八ヶ岳の阿弥陀岳北西稜を登った。
その時の空はヒマラヤで見られるような紺碧の宇宙色だった。
それは、みほには話してない。
「きれいな青い空だ。」
みほも、空を見上げた。
駅のロータリーを出て、信号を右折する。
10分ほど歩くと、歩道には誰もいない。車道では時折、車が通る。
みほの手が汗ばんできた。
「少し、休もうか」
みほの体調は良くない。
「ごめんなさい。私、元々体力ないし、最近貧血気味だから。」
「山では、みほより重い荷物を背負っているから、いつでも、おんぶするよ。」
「その時は、お願いするわ。でも、今は大丈夫よ。」
<天の声>山の事を引き合いに出してはダメですよ。</天の声>
「あと半分、10分ぐらいだ」
伊勢神宮参道の灯ろう
参道には10mぐらいの間隔で灯ろうが設置してあった。
その灯ろうの前で休んでいた。突然、みほの手に力が入った。
「雅夫君、あれ見て。」
みほが見上げている先は灯ろうの上の方だった。
そこには、△と▽を組み合わせたマークがあった。
ダビデの星とか、六芒星と言われるマークである。
「あのマークかい」
雅夫は小さい頃から、何度も見ていた。
普通、星のマークは五角形だから、不思議な図形だとは、思っていた。
しかし、ただ、それだけの事だった。
「あのマーク、私の田舎にもあるの。」
「えっ」今度は雅夫が驚く番だった。
みほの田舎は京都だ。
「あのマーク、みほの田舎にもあるの?」
いつのまにか、「みほさん」ではなく「みほ」になっていた。
「私の田舎の鞍馬寺に同じようなマークがあるの。」
伊勢と京都。離れていても、この二つの土地は無関係ではない。
伊勢神宮は天皇家の祖先を祭る神社であり、天皇は長い期間、京都に住んでいた。
しかし。
「あのマークは京都の鞍馬寺だけにあるの?」
「京都は鞍馬の近くしか知らないから、良くはわからないわ。」
ふたりは、少しの間、沈黙した。
雅夫は伊勢を知っていて、みほは京都鞍馬を知っていた。
その二人が、小学校3年の時に出会ったのは偶然だろう。
しかし、親密になって、二人の持っている情報が融合したのも、偶然なのだろうか。
911テロがなかったら、こういう結果には、ならなかったろう。
911テロと特措法
伊勢神宮に参拝する前に、おかげ横丁で甘い物を食べる。10:15。
みほの希望。雅夫は甘い物に興味はない。
2ヶ月前に、テロ特措法の延長が決まった。(小説上の今は2005年12月)
911テロからは4年も過ぎていたが、となりのカップルが、911テロの事を話していた。
みほには聞かせたくない話題であった。
「911テロと20ドル札の関係、知っている?」「・・・」
「9月+11日=20ドルなんだ。それでね、・・・」
雅夫達より5才以上、年上の感じだったが、全く、馬鹿げた話だ。
みほの顔をそっと見る。みほには聞こえていないらしい。
911テロと11の倍数23へ続く。
2001年9月11日午前8時46分に、アメリカン航空11便は、乗客81名・乗員11名を乗せて、WTCのツインタワー北棟に突入し爆発炎上したんだ。乗客81名。8+1=9月。乗員11名=11日。2001911846÷11÷11÷11=1504066。
911テロに関連するページ
- 911テロの年。21世紀が始まった年。2001年
- 911テロの1年後イージス艦「きりしま」が派遣された。マスコミによるイージス艦のイメージが先行し、派遣反対のデモが起きた。
- アメリカによるイラク戦争が始まった年。911テロの1年半後、2003年
- テロ特措法 延長。2007年
- 911テロ テロ特措法延長
最後まで読んでいただいて、ありがとうございました。