鞍馬駅から鞍馬寺本堂まで

鞍馬駅

鞍馬駅は叡山電鉄 鞍馬線の終点である。鞍馬駅周辺の見上げ物屋は、ほとんど店を閉めている。今は4時。辺りに人影は無い。
階段を登って、仁王門を過ぎると、鞍馬寺ケーブルカーの山門駅だ。
鞍馬寺のケーブルカーは日本で唯一、宗教法人が経営するケーブルカー。
ケーブルカーを利用すれば、鞍馬寺本殿金堂まで20分である。
山門駅辺りは薄暗くなり、ケーブルカーを利用する事にする。

鞍馬寺ケーブルカー

山門駅の入り口で見た文章に雅夫は感動した。自然に涙が流れた。

あなたも私も、あの人もこの人も、
たがいに光り合い照らし合う、
明るい未来を信じ希(ねが)いながら、
一日々々を宝石のように大切に生きよう。
「雅夫君は感じるでしょ。私は小さい頃から、この文章を見ているから慣れてきているけど、何度か涙を流したわ。」
「僕が今ここにいる。それは何万もの偶然の積み重ねだ。でも、今の現実は単なる偶然の積み重ねであると同時に必然的な結果だとも思う。みほと出会ったのは偶然ではないと思うよ。」
「私も、そう思うわ。だけど、それは良かったのかしら。最終的な未来は誰にも分からないわ。」

鞍馬寺本堂へ

ケーブルカーを降りると急な階段が続く。
若い女性二人が降りてきた。「こんにちは」二人が言う。
みほも「こんにちは」と言う。
雅夫は振り返って二人を見送った。
「知り合いかい」
「全く、知らない人よ。鞍馬寺では他人でも挨拶する習慣があるのよ。 と言うか、他人は他人ではないのよ。」
「山ではそういう習慣があるけど、神社、お寺で、そういう習慣があるのは初めて知った。」
「たぶん、一期一会という事だと思うわ。出会いを大切にするという事。」
「んー。出会いが無かったら、人生の意味もないか。」
「たぶん、そうだと思うわ。ただし、出会いが悲しい思いを引きこす事もあるわ。でも、それも一つの定めなのかもしれない。」
小雪が降り始めた。
悲しい出会いとは、何を指すのだろうか。

最後まで読んでいただいて、ありがとうございました。
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