ホーム⇒DIY日誌⇒⇒古民家再生・DIY奮闘記⇒竹製ベッドを作る

  

竹を有効活用したい

 しばらく放置していた実家の庭は、近くの休耕田に大量に生えてしまった竹が侵食し、ほぼ竹林と化していました。  嫁さんと二人で老体にムチ打って、数日かけナントカこの竹林を成敗したものの、 竹は根っこが深く張っており、終わったときはヘロヘロ。

    ただ、古より竹は籠・農具などの日用品や家具、建築資材などにも使えるリッパな素材であり、昨今の木材高騰の時代、邪魔だからといってただ廃棄するのも勿体ない話。

今回は骨組みだけ残っていた家庭菜園用ビニールハウスの支柱を利用し、新たに家庭菜園とするため耕運機で整地した後、伐採した竹で囲いやドアを作って見ました。

さらに、周りに勝手に生えてくる竹を「上手に有効利用する」第一号として、まず「竹製のベッド」を作ってみます。   竹の伐採時期は一般的に生長の休止時期である晩秋から初冬が適期とされています。(2023.3.31)


  

竹製ベッドの製作

 先人たちは竹の抗菌性を知っていて、竹皮は昔からおにぎりを包んで持ち運んだり、お肉屋さんの包材として使われていました。  また、加工時の屑や削り粉を畑にまくことで、 わざわざ灰にするまでもなく、土壌改良材の効果が得られることが近年わかってきたそうです。

 日本の竹は「真竹(マダケ)」、「孟宗竹(モウソウチク)」など多くの種類がありますが、自宅周辺に生えてくるのは節の輪が2本の「真竹」。

  竹製ベッド 真竹は稈の高さは10~20メートル、直径5~15センチ程度になる竹で、筍は少し苦みがある事から、苦竹(まだけ)と書く事もあるのだとか。

しなりがあり青々とした色合いも美しく、正月飾りや青竹酒器などの青竹細工としてもよく使われています。




竹製ベッド

組み立て完成図。

二階で使うので、「ヘッドボード部」、「フットボード部」、「サイドレール部」部を単体で作り、その後ベランダまでロープで引っ張り上げ、そこで組み立てます。

足元内部には、設計段階ではなかった、補強ユニットを組み込んでいます。
   

竹製ベッド・デザイン1号の製作
竹製ベッド 【周囲には太い真竹は少ない】

「サイドレール」部分のフレーム構造。

すべての組織が軸方向に平行に並んでいる竹材は、繊維方向に強度があり、しなやかで折れにくく弾力性に優れており、建築や竹細工に利用されている。

自宅周囲にはなかなか太い竹は少なく、今回は直径10㎝、8㎝、6㎝、4㎝の竹を、使用箇所に応じて使い分けていく。

竹製ベッド 【真竹と孟宗竹の肉厚】

左が孟宗竹の肉厚。  本来はこれで作れば強度が上がる。

自宅周囲の竹林は、ほぼ真竹しか生育しておらず、孟宗竹が見つかっても太さが足らない。

ということで、今回はほぼすべての部材は真竹で製作することに。

竹製ベッド 【真竹は割れやすい】

案の定、製作中チョッと力を入れてしまうと、真竹は簡単にヒビが入ってしまう。

仕方なく、ヒビ割れ箇所はガムテープをグルグル巻きにし強度低下を図るが、見た目は良くない。



竹製ベッド 【接合部の穴あけ】

「ヘッドボード」部分。  脚は長さ100cmで、径は全て10㎝。 横梁は8㎝径、縦格子材は4㎝径。  接合は差し込む竹の径に応じた穴を開け、そこに差し込む。

穴あけはノミで穴をさらうやり方が一般的だが、電動ドリルと大きな径のドリル歯があれば簡単に開けられる。  差し込む竹がピッタリ嵌まるようナイフで修正する。

また、大きな径を開けるときはジグソーがあれば、ドリルでジグソー歯が入る大きさの穴を開け、ジグソーで周囲を円形にカットしていく方法が楽だし、早く正確に開けられる。
竹製ベッド 【竹に穴を開ける・基準線の引き方】

竹製ベッド作成では、丸い竹に、図のような丸い穴を同列に複数個所開ける、という作業が多くなる。

円筒状の材に対し、同列に穴あけするには、墨壺を使い基準線を予め引いておくことが必要。

今回は「ヘッドボード」支柱のように、別方向から正確に45度の角度で交差させる穴あけ加工を、簡単に行うため穴あけ用治具を用意する。
竹製ベッド 【墨壺で基準線を引く】

丸い竹を固定するv字型の作業台を作り、竹を設置して作業すると楽。

墨壺から伸ばした糸が竹の反対端まで真っすぐになったことを確認したら、糸をパチンとはじき一気に線を引く。

竹製ベッド 【穴あけ用治具の使い方】

穴あけ用治具を竹の切り口に合わせる。 見やすいよう浮き上がらせているが、実際はスリット(細いすきま)から切り口を見ることになる。

竹の外周が、四方ともほぼ同じ目盛り位置になるよう微調整して合わせる。  位置が決まったら、スリットを通しエンピツで切り口の隣り合う二か所をマーキングする。  これで正確な45度の角度が決まる。

竹製ベッド 【竹割り治具】

4つ割りの竹割り治具を使っても、正確な十字線は引ける。



竹製ベッド 【穴あけ】

穴あけは、該当部材を切り口に当て、その直径を記しておく。 黒いサインペンで書くと見やすい。

その後穴の外周4か所に、ジグソー歯が入る8mm径のドリルで穴を開け、ジグソーで穴をさらう。

その後はノミを使い出来るだけピッタリ入るよう、挿入する部材を当てては微調整、という加工作業を根気よく行う。
竹製ベッド 【重要な、90度ズラした穴あけ】

丸い竹の90度角度をズラした箇所にも穴あけするが、丸いという構造上、正確に角度をつけるには難易度が高い。

また、竹も真ん丸な直径をしておらず、微妙に楕円なので、嵌め込む位置決めも大事。

そもそもピッタリの穴を開けるのは至難のワザ。  多少ユルユルに加工しておくのが無難。
竹製ベッド 【「ヘッドボード部」完成】

どうにか「ヘッドボード部」を完成させる。

自然素材の竹は同じ寸法は無く、どうしても頭とお尻の径も違うので、接合箇所は一つ一つ厳格に合わせる必要がある。

マスキングテープで、各接合部毎に合わせマークを貼っておき、組み立てていかないと混乱する。
竹製ベッド 【接合箇所は「クサビ」を打ち込み固定】

自然素材の竹は同じものはないので、あけた穴になかなかピッタリ合わない。

しっかり接合させるためには、地道に穴のサイズを微調整する必要がある。

ただ、接合部がピッタリ合うのは至難のワザなので、竹で作った「クサビ(竹くぎ)」を打ち込み、抜けないようにする必要がある。

竹製ベッド 【「クサビ」を打ち込む】

予め、肉厚の孟宗竹を割って、竹くぎの素材として用意しておく。

下穴を開けて置いた箇所に、8mmのドリルで内部の竹にも届くよう穴を開け、丸く削っておいた竹くぎをハンマーで打ち込む。

太すぎる竹くぎはヒビ割れを起こすので注意。  残った竹くぎの頭は切り落とす。
竹製ベッド 【各ユニットも徐々に完成】

ナントカ、「ヘッドボード部」、「フットボード部」、「サイドレール部片側」まで完成させた。

自然素材でかつサイズが全てバラバラの竹加工は、難易度が高いが、周囲に竹藪があるお蔭で、材料はタダ。

乾燥させた竹の方が丈夫そうだが、青竹は加工がやりやすい。
竹製ベッド 【ベッド床板材も竹製スノコ】

下から見た図。 床板のスノコ材は、10㎝径の竹を4等分したものを並べて敷き詰める。 スノコ材は支え材を割った間に差し込んで固定する。

この方法はスノコ材を支える横材の上部分により、床が多少デコボコするが、布団を敷けば問題なし。  デコボコがイヤならフラットにする別工法にする。
竹製ベッド 【サイドレールと床板の構造】

サイドレール上段左右の8㎝径の縦方向フレーム材に、床板(竹スノコ)を支える6㎝径の横枠を45㎝間隔で配置する。

この横枠は二つに割かれており、この隙間に細く割いた竹を差し込んで床板スノコとする。

サイドレール高さは38㎝ほど。  太い竹が少ないため、下端の縦方向フレームは6㎝径。 格子材は4㎝径。
竹製ベッド 【サイドレール製作】

なかなかピッタリ径に合う穴はあけられないので、このままだと少しグラつく。

この段階では、この構造でも十分強度がありそう。

この後は、床材のスノコを敷き詰めていく。
竹製ベッド 【スノコ材の固定方法】

スノコ材を固定させる横枠材の上側は、少しでも床面のデコボコを少なくするため、極力高さが低くなるように割く。

図の横枠材(スノコ支え材)は、すべて二つに割かれているが、これだと縦方向端の横枠材隙間からスノコ端が見えてしまう。

実際製作するときは、両端の横枠材は、スノコが差し込まれる側のみ割いて、外からスノコ端が見えないようにする。
竹製ベッド 【横枠材(スノコ支え材)の片方だけを割る】

見栄えをよくするため、横枠材(スノコ支え材)の一方側だけを割る。

ディスクグラインダースタンド」に、チップソーを取り付けたディスクグラインダーをセット。

これで丸竹の一方側だけに切れ目を入れていけば、外からの見栄えも完璧。
竹製ベッド 【床板スノコ材の組み立て手順】

スノコ材は横梁材の間に縦に差し込み、床板ユニットとして組み上げ、サイドレールユニットと合体させるが、組み立ては加工精度が要求される。

全てベッドフレームを組み上げた後からスノコ材を差し込むのが簡単だが、その場合、終端横梁材の一方は、2分割した材の上面部はまだ取り付けず外しておき、 すべてのスノコ材を組み込んだ後、押し曲げて穴に差し込んで固定させると楽。
竹製ベッド 【床板用に竹を4分割する】

竹割治具を使い、床板用に竹を4分割していく。

直径12センチの竹割治具では、太い竹では割っていくと膨らむし、節の部分は径が大きくなっているので、ギリギリの太い竹は割れない。

もう一回り大きな竹割治具を買うべきだった。

竹製ベッド 【床板用に割った竹を差し込んでいく】

竹割治具で4分割した竹を横枠材(スノコ支え材)に差し込んでいく。 竹の全長は、床前後の横枠材にキッチリ嵌め込まれる長さにする。

今回はやや短くしてしまい、片方にしっかり差し込むと、もう片方が外れてしまう。  マア、簡単にズレるものではないので、問題なし。
竹製ベッド 【ベッド床の完成】

4等分した竹を並べて敷き詰め、ベッド床を作る。

自然素材の竹は長くなるほど、頭と後ろの幅が違う。  そのため、頭を先頭に敷いたら、隣に敷く竹は逆にして敷く。
竹製ベッド 【床補強ユニットを作る】

ベッド床に静かに横たわる程度では、あえて床竹をピスなどで固定しなくても、問題はなさそう。

ただ、万万が一の床抜けを防止するため、床板の下に補強ユニットを設置する。  ただ、普通に寝ている限り、床が抜ける心配は全くなさそう。
竹製ベッド 【完成したベッド】

なんとか設計図通りのベッドが完成した。

数日間寝てみたが、マットレスと布団を敷けば荷重が分散され、床材が抜ける心配はなさそう。  また、キシミ音もさほど気にならない。

この状態で床の上で跳ね回ったりすれば、床材が抜け落ちてしまうだろうが、それはどんなベッドでも同じ。
竹製ベッド 【各部の寸法】

全長・213㎝、全幅・106㎝、床板高さ・45㎝。

「ヘッドボード」高さ・100㎝、「フットボード」高さ・67㎝。

正味の床板サイズ 長さ・182㎝、幅・103㎝。

 
竹製ベッド 【ベッドの構成パーツ】

10㎝径材・100㎝×2本。 67㎝×2本。

8㎝径材・202㎝×2本。 96㎝×5本。

6㎝径材・202㎝×2本。 96㎝×5本。

4㎝径材・33.5㎝×8本。   35㎝×5本。




 

竹製ベッド・曲線を使ったデザイン

 竹は加工法によってかなりの自由度で折り曲げられるので、直線が主流の木工作品と比べて、曲線を生かしたデザインで製作出来るという利点があります。

 曲げる方法は、煮るか焼くかして竹の細胞に熱を加え、柔らかくしてから任意の形に整える、というのが一般的ですが、太い竹を角度をつけ曲げる、というのはシロウトには至難のワザ。

 それほど太くなく長くない竹ならば、浴槽などにぬるま湯を入れ一晩ほど浸した後、ある程度楽に曲がることを確認したら、合板に希望の形状に釘を打っておき、そこに嵌め込んで数日乾燥させる、 という方法があります。  太さによっては浸す時間を長くする必要があります。

 一番簡単なのは、曲げたい箇所に複数のV字型の切り込みを入れ、熱を加えるか接着剤を使って、希望の形に仕上げる方法で、今回はこのやり方で作ります。   V字の切り込み深さ最大は、直径の3分の2ほどまで。   曲がりが小さかったら浅くします。  このやり方であれば太い竹でも簡単に成形できます。

 一番難しいのは、V字切り込みなど入れず、無傷のまま大きく曲げること。  竹内部の節を金属棒などを突き刺し壊しておき、そこに細かい砂を詰めたら、熱を加えつつ曲げていきます。   パイプに砂を詰め曲げるというテクはオートバイマフラーの製作などでも行われ、円筒形状のままキレイに曲がります。   ただ、竹の場合、シロウトでは太さ2~3㎝が限界かも。

 曲げるときは、竹の片端を地面や固いところに固定しておき、バーナーであぶりながら円筒形状がつぶれないようにしつつ、時間をかけ希望の角度になるよう曲げていきます。     竹は乾燥すると壊れたり割れたりしやすいので、切りたての竹を使うのがベスト。  作業時は時々濡れた布で拭きながら行うなど、かなり高度なテクニックが要求されます。   ここまでこなせれば複雑な手工芸品を作れる熟練した職人になれるかも。

   

竹製ベッド・曲線を使ったデザイン  タイプ2の製作
竹製ベッド 【「ヘッドボード」部分を曲線にしてみた】

「ヘッドボード」部分に曲線材を使ったデザイン。

全体フォルムはそのままに、デザイン1号の「フットボード」部を「ヘッドボード」回りに利用する。

同じものを二つ使うので、余計な製作工数を削減できる。
竹製ベッド 【曲線材を寝かした角度で取り付ける】

曲線材は、6㎝径を80㎝+96㎝+80㎝を足した長さが必要。  竹は先端に行くにつれ少しずつ細くなっているので、 ある程度長いパーツにするときは、左右別々に作っておき、別パーツの竹を使って連結させる。

支柱は4㎝径の長さ48㎝を新たに作り5本使用。  両サイドの支柱は4㎝径・長さ34㎝のデザイン1号と共通のものを2本使用。

接合部は強度確保のため、必要箇所にくさびを打ち込んでおく。
竹製ベッド 【竹の折り曲げ加工】

太い竹はそのままの形状で大きく曲げようとする場合、通常の方法ではいくら力を加えても、最後は円筒がつぶれ綺麗に曲がってくれない。

シロウト作業で大きな角度でカーブをつけ曲げたいときは、曲げる箇所に複数の切れ込みを入れておく。
竹製ベッド 【完成形】

曲げたい箇所に必要な切り込みを入れたら、バーナーや焚火で、切り込み周囲がやや焦げる程度に熱を加えた後、切り込みが塞がるまで、ゆっくり折り曲げる。

「L字形」に折り曲げたパーツを二つ作り、それぞれを別パーツの竹で連結し、角度45度で寝かして取り付ける。

今回の設計ではひとつの曲げ箇所に4か所ずつ切れ込みを入れ加工。  よりなだらかなカーブにしたかったら、切り込みの数を増やして加工する。
竹製ベッド 【簡単に任意の角度に曲げる方法】

カーブは描かない、単純な曲げ加工の例。

曲げる材に、交差する相手の竹材径に合わせた切り込みを入れておく。

バーナーや焚火で、切り込み周囲がやや焦げる程度に熱を加えたら、相手の材を抱き込み任意の角度まで、ゆっくり折り曲げてやる。

任意の角度まで曲げたら、ロープなどでしばらくその状態をキープし、角度を固定させる。



⇒ページTOP


⇒サイトマップ

関連サイト


ランキング

ランキング


こんなサイトもあります

セルフビルド
・"せっけい倶楽部ソフト"で間取り検討
・網戸の張替え


電動工具あれこれ
・電動丸ノコこぼれ話し
・電動ドライバーこぼれ話し
・電気カンナの話


ホビー
・アコギギターの弦交換


【 全国各地ドライブ旅行記 】

日本の救世主......三笠公園の戦艦三笠の雄姿



ドライブの便利グッズ→
旅の記録に...........ドライブレコーダー
車内で家電品............パワーインバーター
読書でリラックス.......好きな作家、読んだ本




【 災害対策用品・災害備え 】

キャンプ用品にはイザ、というとき役立つものが数々があります。



災害時の備えに→
停電時の暖房......カセット式ガスストーブ
停電時の照明.........クワッドLEDランタン
便利な2口コンロ......LPツーバーナーストーブ






関連サイト・バックナンバー