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床組み

 古民家は太い柱や梁を互いに堅固に組み上げた、全体としては家が大きな鳥籠のような構造をしており、部屋と部屋の間に壁はありません。   地震の揺れに対して、 木と木とが多少めりこみあいながら建物全体が一緒に揺れることにより、地震の力を「柔らかく」受け流し建物全体で揺れを吸収する、というのが古民家構造で 「柔構造」ともいえます。

 ここでは、そのうち「床組(ゆかぐみ)」部分のリフォーム工事をやっていきます。  「床組(ゆかぐみ)」とは、木造建築物において、床面を支えるための骨組のことを指し、以下の4種類があります。

▼「床組(ゆかぐみ)」▼

 現行の建築工法は、筋交いや構造用合板を入れた壁を設け、金物で軸組を接合することで、「強固に、ガッチリ」組上げることで地震の揺れに耐える「剛構造」で建てられます。      それに影響され、古民家においても、地震対策だからといって、現代の家に施す耐震補強の「固い」やり方を、そのまま古民家に単純に取り入れてしまうケースが見受けられます。

 しかし、その方法では地震の時にその部分に応力が集中し、結果的に周辺部材を破壊してしまう恐れがあります。   せっかく「柔構造」でバランスを保っていた古民家が、よくない影響を受けてしまうわけです。


古民家の床組み・【束立て床】

 建物の自重や風等の力を基礎に伝達し支える古民家の骨組み・「床組」は、鎹(かすがい)で留めた床束を介して束石に乗っているだけ、という構造となっています。  つまり、 「床組」と地面は留め具などで結合されていないわけです。   それに対し、現代建築では土台はボルトで基礎にガッチリ緊結されています。

    束立て床 古民家の床組み構造は図のように部材が縦横に配置され、1階部分の床を支えています。

大引きの両端は土台が支えていますが、大引きは地面と直接繋がっておらず宙ぶらりの状態で、そこを床束と呼ばれる部材を用いて地面から支えています。

古民家の1階部分の床に掛かる荷重は、「土台・床束・大引・根太」から構成される「束立て床」で受けているわけです。

大引きは土台より若干細い部材で、また1階床でも、束などで基礎と支持されていない、長さ1間(1.8m)以上の大引きは、梁となります。

 


古民家の床組み・基礎部分

        
古民家の床組み・基礎部分
【大昔の床下構造(独立基礎)】

床束(ゆかづか)とは床を支える短い柱のこと。  大引きと接合されている床束は、自然石の束石にただ乗っけているだけ。

これでは「根がらみ貫」を使わないと束石から床束が外れてしまうのは確実。

床組全体の重さを支える地盤はよく締め固めるか、土間コンクリート、ベタ基礎が理想。
【根がらみ貫】

独立基礎で昔の玉石(ぎょくいし)の束石をつかっていた時代は、束石が平らではなく、そこに乗る床束も不安定だった。

そのため、「根がらみ貫(ねがらみぬき)」を使って束同士を連結していた。

「根がらみ貫」は平らなベタ基礎や布基礎では、もう使用されなくなっている。
【今回リォームする古民家の束石】

束石は自然石からコンクリート製に交換されている。

地面にも防湿シートが敷き詰められている。

最近は木製束の代わりに、高さが調整できる鋼製束が主流のようだが、今回は既存の木製束を再利用する。

【古民家の床組み(基礎部分)】

「床組(ゆかぐみ)」とは、木造建築物において、床面を支えるための、大引きや根太などの骨組のことを指す。

古民家の床組みは、束石にそのまま乗せられただけの構造。  束石に固定されていないので、地震時には左右に動く。

そのため、束石の頭部面積はできるだけ広くしておきたい。
【束を設置する】

大引きを910mm間隔で配置したら、90mm角の束石と大引きの間に床束を入れ、ビスで斜め止めする。

床下は湿気があるうえ、ホコリも舞っていて、これが束の木口(きぐち・束石との合わせ目)の周囲に積る。 それが水気を吸って束を腐らせ、   ふやけた結果床が下がる、という現象が起こる。

そのため、束はヒノキかスギの腐りにくい芯持ち材の赤身を使え、と言われる。 束の端部にはシロアリ予防の防腐剤を塗る。  
【便利な工業製床束】

いまは木製の床束ではなく、ネジをまわすことにより高さ調整が可能な、プラスチック製や鋼製製の床束が主流。

床の高さを微調整でき、下がったりしても、簡単に調整できるのでとても便利。  湿気の多い床下でも腐朽することはない。

高さが決まったら、締めるときは鋼製束の真ん中をしっかり握り、ナットを固定する。



【束立て床(「根太工法」)】の大引き

     

土台と大引きの配置
【大引き】

大引き(おおびき)とは、床と根太を支える横木(横架材)で土台に接合される。 大引き下に3寸(90cm)間隔で床束を入れる。

大引きは一般的に90cmか10.5cm角材を使うのが主流。 谷状態(下側に曲がる)に使い、床束で持ち上げるようにする。

大引きの間隔は1m以上だと強度的な問題が出てくるのであまり開けないこと。  防腐剤としてキシラデコールなどを塗布しておく。  
【標準的な大引きの配置】

一般的に910mm間隔で並べられる。

床下地に1820×910の尺モジュール合板を使う場合、120mm角大引きだと、ピッチを910-120(60+60)=790mmにすれば、大引き上に合板端がキッチリ載る。

【魚の骨のように左右に渡される大引き】

長さ1間(1.8m)以上の大引きは、梁と呼ばれる。  部屋は短手でも3m以上あるので、一本の大引きでは届かないため、中央に長い大引きを渡して中継させている。

廻りの土台と中央の大引きに対し、魚の骨のように左右に大引きを渡す。

【重量分が載る部分の床組み】

ピアノや薪ストーブなど重いものを置く箇所は、大引きと束の間隔を狭くして、頑丈な床組みにしておく。

大引きや根太を張った後では、工事が面倒になるので出来るだけ事前に計画しておくこと。

下の地面を均すのが大変になる。  大引きは相次ぎの加工が必要となる。





【土台に「刻み」加工を施す】

周囲の土台に、大引きが乗る「刻み」を入れる。

床の基礎的な部分である「大引き(90㎜角以上推奨)」は、120㎜×120㎜の角材を組み、水平に並んでいるか確認し束で支える。  大引きの芯々は909mmで配置する。



【土台と大引きの仕口加工】

120mm角材を使った場合、土台は上端から60mmの深さに段付き加工。  段あごは30mmの幅。

大引きは土台の欠き込みに合わせた段付き加工。

木材には背中と腹があり、背中側から腹側に曲がる性質がある。

そこで、大引きの背中側を地面に向け設置し、ジャッキで水平に持ち上げ、束を入れて反りを真っすぐにする、という手順で設置すれば、 それ以上反らない。

【柱と交差する土台の仕口加工】

土台の切り欠き部が柱と交差している箇所は、柱部分も同時に切り欠く必要がある。










根太の役目

  基本的に【束立て床】の床組は、床板を根太が支え、根太を大引が支える仕組みになっています。        

根太の配置
【標準的な「根太工法」】

基本的に「根太工法」では、大引きと直行する形で、釘ではなく引き寄せ効果のあるビス止めで根太が張られる。

根太材は一般的には45mm角だが、45mm×60mmが理想。   最低でも45mm×35mmは必要。

45mm×105mm以上の根太を使えば、 床下地合板を規定に準じて設けると剛床仕様となり、火打ち梁を外す事が可能。
【根太を張るときの注意点】

根太間のピッチは1尺(303mm)で、「背使い」、つまり縦長にして使う。   根太が曲がっていると断熱材のスキマが出てしまうので、曲がりは下へ膨らむように。

根太を敷居や壁に接触させて固定してしまうと、タワンだ時にキシミ音がするので、擦れないよう隙間を開けておく。

根太を一本に繋ぐときも少し隙間を開ける。 根太の間にカットした小根太を入れると多少は床の軋みを失くせる 
【根太と大引きの接合】

これは根太高さを調整材を使って仕上げる場合。

根太は大引にしっかり密着していないと床鳴りの原因になるので、釘ではなく、引き寄せ効果のあるビス止めにする。

根太のひび割れを防ぐため、30mmほど下穴を開けて置き、75mmビスの2本打ちが基本。

根太と大引きの接合は、完璧を期すなら接着剤を併用するのが確実。

【根太の配置間隔は床下地サイズで決まる】

隣り合う根太間の間隔(ピッチ)は303mmが基本。  通常の1820×910の尺モジュール合板だと、1820/303=6.006。 910/303=3.003となり、 303mm間隔で根太を配置していけば、ほぼ等分に収まり、合板端もキッチリ根太の上に載る。

根太材の巾45mmの場合、303-45(22.5+22.5)=258mmが根太と根太の間隔となる。

断熱材を入れるときは、幅263mmにカットすればギチギチに収まる。
【断熱材を入れる】

板状断熱材は、両端を大引きの上に乗せれば落ちないが、大引きにかかっていないと、床組みの間にはめ込むサイズが合っていなければ少しづつ落下して落ちてしまう。

落下防止の専用の金物を根太に取り付けたり、ワイヤーメッシュを張って支える方法もある。

簡便な方法として、腐りにくいプラバンなど薄い板を根太の底に打ち付けておくやり方もある。 
【根太と断熱材の高さを揃える】

背高さ60mmの根太に45mmの断熱材を使う場合、空気の通り道を床材側でなく、床下側にするため、スペーサーで天端高さを揃える。

特に寒冷地では床下に空気の通り道が出来てしまうと、断熱効果が落ちる。   施工の手間もかかるので、出来れば根太と断熱材の高さを揃えたい。

根太高さ60mmなら、30mm断熱材を二枚重ねする。
【下地合板の張り方】

床下地合板は厚さは12mm以上の構造用合板1類を使い、長手方向を根太と直行させ、千鳥張り。

合板端は床梁に20mm以上乗せて釘打ちとする。

根太間隔500mm以内、根太は床梁に大入れ落とし込みの上、N 75釘2本斜め打ちとするか、根太受け金物を使い床梁に留め付ける。





「根太工法」以外の床組みの方法

 従来の床組では、90㎜から105㎜角の「大引き」を910㎜間隔に配置し、その上に45㎜角の「根太」を303㎜間隔で並べ、その上に、厚さ12㎜の「構造用合板」、さらに12㎜厚の「床材」を張るのが一般的でした。

 「根太レス工法」....最近は「根太」を置かず、大引きの上に24㎜の構造用合板を直接打ち、その上に床材を貼る「根太レス(直貼り工法)」が増えてきました。 施工が容易な根太レス工法は、工期も根太工法より短く、 仕上がりにムラが起きにくいのが特徴で、 また根太や火打ち梁を使っていないので費用を安くでき、さらに床の位置も下げられ、部屋空間を高くできるというメリットがあります。

 ただ、24㎜厚程度の構造用合板では、大引きと大引きのまん中付近が「たわむ」、「踏み心地が柔らかい」という状態になりやすいとされます。  大引き間隔910㎜にする場合、303㎜間隔で根太を配置し、 12㎜の構造用合板で構成される根太工法と同じ床強度にするなら、根太工法より3倍広いので、 構造用合板も3倍の36㎜厚が必要とされます。

 従来の根太工法でも、根太のサイズを45mm×105mm以上とし、 床下地合板を規定に準じて設けると剛床仕様となり、火打ち梁を外す事が可能です。

 「剛床工法」....根太や火打ち梁を使わない剛床工法は、水平保持力が高く地震の横揺れや、歪みに強い工法とされます。  ただ、床構造用合板の接着剤は湿気に弱く、 20年ほどでブヨブヨになるとされますから、湿気対策は丁寧にやっておく必要があります。



       

【「根太レス工法」とは】

最近は「根太」を置かず、大引きの上に直接厚め(24㎜~)の構造用合板を打ち、その上に床材を貼る「根太レス(直貼り工法)」が増えてきた。

根太をなくすことで、木材が減り、施工時間も短縮されるので費用が軽減される。  ただ、強度面は不安。

定尺の下地合板は1820×910mm。 そこで大引きの芯々間隔は910mmにすると、合板の端が大引きの中央に乗る。
【「剛床工法」とは】

「剛床工法」も根太レス工法の1つ。  根太は使わず大引きを縦横に組み合わせる。

床下地合板の厚みは24mm以上。  床板の厚みを増すことで強度が上がり、揺れや重さを床板の“面”全体で吸収・拡散できるので、一か所にかかる負担を軽減できる。
【「剛床工法」の大引き配置】

床の基礎的な部分である「大引き(90㎜角以上推奨)」は、120㎜×120㎜の角材を組み、水平に並んでいるか確認し束で支える。  大引きの芯々は909mmで配置する。

最近は木製束の代わりに、高さが調整できる鋼製束が主流のようだが、今回は既存の木製束を再利用する。

ピアノや薪ストーブなど重いものを置く箇所は、必要に応じ束の間隔を狭くする。

【「剛床工法」の断熱材】

根太工法では、根太がシナったとき音がする。





【断熱材の受け金具】

サイズが少し甘めの断熱材でも、落下しないよう、断熱材の受け金具を取り付ける。





【「剛床工法」の壁際の収め】

「根太レス工法」であれ[剛床工法]にせよ、床下地材は壁の下にまで貼られてしまう構造となる。

そのため、もしリフォームで床の張り替えということになると、壁の下にある床下地材をどう撤去するには相当な手間と費用が掛かる。  長く住むのなら要検討事項。
【「剛床工法」は断熱性も高い】

床合板を間仕切り壁よりも先に施工し、床合板の上に間仕切り壁をつくれば、床下の冷気の流入を防ぐことができる。

柱芯まで入れると隙間風が直接きにくく、断熱効果が高まる。

合板は出隅・入隅の加工が必要になるが、マルチツールがあると便利。





床下地材と壁の取り合い

       

床下地材と壁の取り合い
【床下地材は壁下にもぐらせない】

床材を壁下に潜り込ませる工法だと、床の張り替え作業を行う場合、壁も同時に手を付ける必要がある。

床の構造物は土台の上まで伸ばさない。

床は、厚さ12㎜の「構造用合板」、さらに12㎜厚の「フローリング材」を張るのが一般的。

【下地合板と柱の取り合い】

柱が内壁面中に隠れる「大壁」工法は、通常は下地合板は柱の面と揃える。

断熱効果を高めるため、下地合板の柱と当たる部分を出隅・入隅加工して、下地合板の端を柱芯まで入れるのが一般的。

ただ、後で床張り替えとなると、壁下も手を加える必要が出てくる。
【「真壁」の下地合板の収めかた】

古民家は、柱が内壁面中に隠れる「大壁」ではなく、柱が見える「真壁」工法。

「真壁」に下地合板をキレイに張るには、柱の出っ張り部分をきちんと測って出隅・入隅加工する必要がある。

下地合板を敷居や壁に接触させて固定してしまうと、タワンだ時にキシミ音がするので、擦れないよう隙間を開けておく。

【巾木の使い方】







【大引のない両端部の根太処理】

大引のない両端部には、あらかじめ「根太掛け」材を土台に打ち付けておいて、その上に根太を乗せ掛ける。

根太張り作業では、大引の上を歩きまわるが、うっかり踏み外さないよう注意。

【根太の高さを変える方法】

根太高さを変えたい場合は、根太掛けとパッキンを使って調整する。





【床造作物は土台の上まで伸ばさない】

壁に手を付けずに床組みをリフォームすることを考えると、床の構造物は壁とは切り離す設計にしておく。










土台と大引きの仕口

       

【土台と大引きの接合】

大引きとは、床部分の重さを受け止める部材で、両端を「腰掛大入れ」で土台にビス止めする。

大引きサイズは標準だと90mm角。   910mm間隔で土台に組まれる。

根太を張る前に、既存の土台・大引き・束柱はよく清掃し、防腐剤を丁寧に塗布しておく。



「大入れ蟻掛け」 【「大入れ蟻掛け」】

」とは、男木(図は大引き)に蟻の頭部形状のような「逆ハの字」加工を施す技法。

「大入れ蟻掛け」とは、横木側面(土台)に「蟻穴」と「大入れ欠き」を設け、直角に取り合う材(大引き)の先端に蟻ほぞを付け、接合する仕口のこと。

女木(図は土台)にはそれが収まる蟻穴を作り合わせる。  逆ハの字であるため、引き抜きに強度を発揮する。

リフォームでは、趣味人でもない限り、まずこんな面倒な加工はやらず、「大入れ掛けが主流」。
大入れ掛け 【シンプルな大引きの仕口...「大入れ掛け」】

以前は、土台と大引きの仕口は「大入れ蟻掛け」が一般的だったが、いまは簡単な「大入れ掛け」が一般的。大引きを斜め留めする釘は、N75を2本打ちすることが決められている。

リフォームでは本格的な「大入れ蟻掛け」などまずやらず、それどころか、簡単な「大入れ掛け」加工もせず、簡単なイモすけ(ドン付・継手や仕口加工なし)で終えるケースもある。

イモすけ接合は荷重を受け止めるのはビスや釘だけなので、これが破損したら一巻の終わり。   ただ専用金具を適切に使えば強度的に問題ないとされる。
「いもすけ」 【ホントはやってはいけない仕口・その1  「いもすけ」】

仕口を全く加工せず、切ったままポン付するのが「いもすけ」。

ビスや釘だけで荷重を受けているため、構造的にはアウト。

ただ最近は専用金具もいろいろ登場しており、これと併用すれば強度も保てるようなので、いずれ「いもすけ」が主流になるかも。
【大引き専用の固定金具】

「いもすけ」は仕口加工なしだが、接続金物が優秀になったので併用すれば問題ないケースも多い。

最近のリフォームにおいては、土台と大引きの接合は、イモづけ(ドン付・継手や仕口加工しない)と専用金具で行うのが主流。

そもそも、リフォームで材を差し替える場合、ホゾがあると部材間に入っていかない。
「蟻ホゾ」 【やってはいけない仕口・その2 「蟻ホゾのみ」】

「蟻ホゾのみ」とは、「大入れ(腰掛)」部分がなく細い「蟻ホゾ」だけで支える仕口。   90mm角材だと蟻ホゾの根本幅30mmの細さだけで全体荷重を支える仕口となり脆すぎる。

蟻幅を大きくするプレカットもあるが、通常は「大入れ(腰掛)」を入れ「大入れ蟻掛け」とする。



【「大入れ」の高さ微調整】

プレカットの「大入れ」加工では、噛合いでチョッとした段差が出ることがある。 そのとき無出番となるのがPPバンド紐。

架ける方の大引きが下がるようなら、PPバンド紐を切って架けられる方(女木)の仕口下に数枚挟み、高さを合わせる。

「大入れ」とは、一方の木材の端部全体を、すき間なく他材に差し込む仕口のこと。  「尾入れ」、「追い入れ」とも呼ばれる。

女木の受け口や、長くするため継ぐ場合も、仕口には必ずウレタンボンド(床職人)を併用して固定する。






出隅部の土台と柱の接続

 家には壁や板が出会う箇所、いわゆる「角」がありますが、それを内側から見たのか、それとも外から見たのかを区別する、「入隅(いりすみ)」、「出隅(ですみ)」という言葉があります。

 入隅部とは内部から見た壁や板が出会う箇所で「内側の隅」を表します。   一方、出隅分は外から見た壁や板が出会う箇所で「出っぱった角」を表しています    

【出隅部の土台と柱】

隅柱の大入れ蟻掛けによる仕口。

土台ホゾ穴は幅30×長さ60mm×深さ90mm。  ホゾは中心に開けず、強度アップのため土台長手方向に偏心させている。

土台の横木側面に大入れ欠きと蟻穴を設け、直角に取り合う材の先端に蟻ほぞを付け、はめ込む。

土台の女木に合わせ、男木(隅柱)のホゾも、仕口に近い方は15mm、外側は45mmと偏心させている。

ホゾは120mm角の場合、厚み30mm、長手は60mm。 長さは90mm。

【隅柱の仕口・大入れ蟻掛けの収まり】

隅柱の大入れ蟻掛けによる仕口。

ホゾは中心に開けず、強度アップのため材の内側に偏心させている。

横木側面に大入れ欠きと蟻穴を設け、直角に取り合う材の先端に蟻ほぞを付けはめ込む。

【大入れ蟻掛け・男木の寸法】







【土台・柱・大引きの接合】

大引きサイズは標準だと90mm角。  大引きは910mm間隔で土台の上に設置する。

本格的な施工では柱と大引き接合は、イモづけ(ドン付・継手や仕口加工しない)と専用金具で行う。



【土台・大引きとの接合部】

柱部と大引きの本格的な「大引き蟻掛け」仕口。

以前は、土台と大引きの仕口は「大引き蟻掛け」が一般的だったが、いまは「大入れ掛け」が一般的。

ただし、リフォームでは面倒な仕口加工はほとんどしない。  次項の「大引き蟻掛け」でさえ、よほどの手練れでもない限りまずやらず、 簡単なイモづけ(ドン付・継手や仕口加工なし)で固定している。




床束

       

【鋼製束による大引き保持】

現代の建築は、コンクリート基礎に「鋼製束」を置き、垂直方向に基礎と大引きをツッパリ補強するのが一般的。

土台から土台に渡す大引は、たゆんだりするので、大引の下に約910mm間隔で束を置き、地面から支える。 大引きに付ける鋼製束の差さえ金具が互い違いになるよう設置していく。

新規の大引きなら、「鋼製束」を取り付けてから組むと楽。 2間の長い場合、折れないよう真ん中だけ伸ばしておく。
【鋼製束にボンド】

鋼製束の設置ポイントにはウレタンボンドをつけておく。

ボンドは鋼製束を土台に密着させたとき穴からはみ出す程度にタップリぬっておくこと。

高さが決まったら、ナットを固定していく。  締めるときは鋼製束の真ん中をしっかり握り固定させておく。

土台から土台に渡す大引は、たゆんだりするので、大引の下に約910mm間隔で束を置き、地面から支える。

【火打ち土台】

床の変形を防止するために設ける斜材。

1階の床に設けるものを火打ち土台、2階などの床や小屋組に設けるものを火打ち梁。



 





縁側部分の床組

     
縁側部分のリフォーム
【】







【廊下部分の床組み】

廊下部分はスパンが短いので、図のように骨材として大引きを1本張るか、大引は用いずに直接根太を張るのが一般的。

いずれにせよ、土台の側面に根太掛けか、床材受けを打ち付けておく。  必要に応じ断熱材を入れ込む。



【廊下部分の根太床組み】

根太を使うときは、45×105ミリを303ミリピッチで配置。




【廊下部分の根太床組み】

土台がないときは、大引きに直接大き目の根太掛けをつける。




【古い廊下部分を全て撤去】

古いサッシと床部分をすべて撤去。

サッシの下部分はこのまま再利用し、一寸五分(45×120mm)の厚みのある間柱を立て、骨組みを作っていく。

【サッシ用の間柱とまぐさの取付】

新しい間柱をサッシ枠の両端に立てる。

サッシの骨組みを構成していく。

サッシ下になる土台は水平が出るようパッキン調整する。  しっかり出ていれば、あとはサッシ寸法と、上のまぐさの寸法を合わせればいい。
【サッシ骨組み】

古い吊束は、まぐさを鴨居の高さに入れた際に利用できるよう、長めに切断して残しておく。

まぐさを吊る古い吊束は、少し吊るように短めに切っておく。



【サッシの骨組みの取付】

サッシ骨組みのまぐさを支える、短い間柱を入れ込む。

これでサッシ骨組みが下がってしまうことはない。

骨組みが出来たらサッシを取り付けていく。

【サッシの取付】

最近のサッシはビスの数がやたら多くなった。

サッシ歪みが生じないよう、内側から先にビス留めして高さを決め、外のビスを留める。

ペアガラスだとかなり重い。 3尺幅以上だと、一人では持ち上げられない。 
【根太掛けの取付】

長手方向に縁甲板を張る。

つまり、根太は短い方向に取り付ける。

根太掛けは土台がないので既存の材に直付け。  下がらなければいいので、多めのビスで固定しておく。
【根太の取付】

根太掛けに割付して、必要本数をカット。  根太間隔は狭い方が丈夫な床に仕上がる。

根太は根太ビスで固定する。 内装ビスでも100mmなら使える。
【根太を支える強化材】

大引きを入れなくても、根太の真ん中に強化材を一本通して固定しておけば、たわみもなくなり床が下がることもない。



【床板の張りつけ】

サッシ側から張っていく。   床板はりゃんこ張り。

間柱分の切り欠きをキッチリ行い、真っ直ぐに通すように張っていく。

一枚目で決まるので、丁寧に張る。
【床板の張り終い】

床板はボンドとビスを併用して固定する。  ボンドはコーキング状のシリコンボンド。

張り終いの床板は、狭すぎても広すぎてもダメ。  一発勝負なのでキッチリ寸法を合わせて入れ込む。

【廊下天井の取付】

天井高さは2400mm。

廻り縁を張り、野縁を300mm間隔で入れていく。

作業は天井板を貼る・下地を参照。

【天井の仕上げ】

断熱材を入れ込み、石膏ボードで天井を塞ぐ。










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