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継ぎ手(つぎて)

 古民家をリフォームして理想の終の棲家にすべく、アレコレ計画を練っているのですが、ここでは「継ぎ手」という技法について。

 リフォームといっても床の張替え等のレベルでは収まらず、間口の変更から床や天井の全面造りなおしを計画していますから、中身はそっくり新築のような工事になりそうです。

工事は在来工法(*1)でやろうと考えており、そこで必要になってくるのが、「木材同士をどういう方法で接合していくか」、という技術的な基礎知識で、 まずその情報収集から始めてみます。

木材同士を接合することを一般に「継ぎ手」と呼び、「継手(つぎて)」、 「仕口(しぐち)」という種類に大きく分けられます。

 ザンネンながら本格的な和風建築でもない限り、現代の一般的な木造住宅には伝統的な継ぎ手による技術・技能は次第に見られなくなりつつあるといいますが、 日本が誇る伝統大工の技術の魅力がこのまま消えていく運命なのでしょうか。

   継ぎ手の種類


 継ぎ手は過去数百年の長い経験から大工さんたちが生み出した技法ですから、シンプルなものから非常に高度な技術を要する精密度の高い伝統的な継手、 また独自に考えた秘伝の仕口や継手など、数え切れないほどの工法・技法が存在します。

 今回のセフルビルドでは、当然ながら高度な継ぎ手技法を駆使するなどということは出来ませんから、シロウトでも作れる簡単な継ぎ手で工事しようと考えています。

 ただしあくまでもリフォームなので、構造上重要な部分までは手をつけません。(建築基準法の決まりにより、増築や移築で且つ10平方メートル以内の建物なら確認申請は必要ないらしい)


ホゾ継ぎのルール......ホゾの厚さは部材の3分の1

ホゾの厚み寸法  材同士をしっかり接合させるためにはホゾとホゾ穴の密着度が大切です。 ホゾの厚み寸法は部材の3分の1が基本。   また長さはホゾ穴の部材3分の2くらい入る長さに。



 ホゾ穴の底はいずれボンドを流し込むので多少凸凹していても問題はなし。

 継ぎ手がキレイに見えるのは部材同士の接合面が一本の線になっているからこそ。   ホゾの胴は平らに加工されていないと接合が不十分となりきれいな線が出ません。  ひげ剃りと同じ要領で削る面に水をつけながら削るとうまく加工できます。

 「木ごろし」というテクニックで、ホゾの角をカナヅチで叩き丸め、ホゾ穴に入りやすくします。


よく使う継ぎ手

 継ぎ手のポイントはなんといっても正確な墨付け。  これが狂っていたらあとの作業をいくら上手にやってもうまくいきません。   最初は手で叩いて組込む程度にきつめに作り、ノミで微調整しながら仕上げていきます。

 正確にホゾを刻むには、墨線の0.5ミリくらい内側から必ず繊維を切る方向でスタートするのが基本。        ゆっくりスコヤなど使い水平や垂直をこまめに確認しながら焦らずいろいろな方向から少しずつ加工していきます。

   相欠き継ぎ  ふたつの部材を互いにクロスさせ接合する【相欠(あいか)き継ぎ】。  それぞれの接合部分を凹状に加工し組み合わせ強度が出る継ぎ手。 

相欠き継ぎ 【相欠継ぎ】をノミだけでやろうとするとケッコウな手間です。  そこで、マルノコを使って簡単、楽に加工するやり方があります。

まず、ノコ刃の切り込み深さを加工寸法の深さに合わせたら、加工幅に合わせ何箇所か切り込みを入れます。


相欠き継ぎ 次にノミを使って、テコの原理のようにして、その切り込みをパキパキ折っていきます。   薄くスライスしておけば手でも簡単に折れます。


相欠き継ぎ 後はノミと金鎚を使って、切り欠き部分をキレイにさらえば、アッという間に【相欠継ぎ】が完成となります。

複数の部材に同じ寸法で切り欠きを入れる場合は、画像のようにクランプなど使ってまとめておけば、いっぺんに、しかも精度良く仕上げられます。


大入れ継ぎ  箱を本格的に作るときのベーシックな組み手の【大入(おおい)れ継ぎ】。   引き出しや棚などの加工に用いられ強度的にはホゾ継ぎより弱くなるが、 簡単にプロらしく仕上げられるので箱物を作るときによく使われる。

 溝の深さは板厚の3分の1、溝の幅はホゾ側板厚の2分の1〜3分の1程度。  ホゾ側のホゾはあまり薄くすると欠けてしまうので注意。


アラレ組み  木がしっかり組み合っているので【大入れ継ぎ】より木が反りづらく、強固なので丈夫な箱や引き出しを作るときに用いられるのがこの【アラレ組】。   組み手(凸部)が多いほど接合面が大きくなるので強度も上がる。   組み手の数で3枚組み継ぎ、5枚組み継ぎなどと呼ばれる。
 高い加工技巧を必要とし、なかなかピッタリ合わないが、凸部を大きめに凹部を小さめに作って現物あわせで丁寧に修正していくのがコツ。  


本ザネ継ぎ  テーブル天板や長い板などの接合強度が必要なときに使う技法が【本ザネ継ぎ】。  片方の木端(こば、こっぱ)は凸型の「実(サネ)」と呼ぶ突起を作り、相手の木端は凹型の溝を作り 継ぎ合わせるので接着面が多く強度が出る。

 サネの幅は板厚の3分の1が基本で高さはサネの形状が正方形になるように加工する。  微調整までいったら溝は手をつけずサネ部をノミで少しずつ修正する。



継ぎ手のルール......女木(めぎ)は元口

 丈夫な構造にしたかったら、なるべく長い材料を探して使えば、継ぎ手の技法を駆使する必要ありませんが、木材の規格もあってなかなかそうもいきません。

どうしても継ぎ手で接合しなければなりませんが、その接合時のポイント..........「女木(めぎ)は元口(もとくち・木の根っこ側)」、という鉄則を守ること。

 「女木」は「元口」のほうを加工すべし、ということで、そのわけは「元口」は木の先端(末口・すえくち)に比較して、繊維の密度が高く頑丈なので、 「男木」が「女木」に接合されたとき開きにくい(破損しにくい)から、とされています。   「女木は元口」、というのは継ぎ手技法のイロハ、お約束事なのだそうです。

 ただ、残念ながら「元口」の見分けはこの道何十年といったベテランの職人さんであっても間違うこともあるそうで、シロウトが簡単に「元口」など判別できません。
※......簡易判断として、材に三角の木目が出ていたら、広いほうが「元口」の可能性が高い。

 鉋(かんな)がけをするときも、「元口」「末口」の区別は大事で、『鉋がけは、"木表は末から元へ"、"木裏は元から末へ"』というのが職人さんの常識だそうです。
板面のなめらかさは、末口から削る場合と元口から削る場合で変わる場合があるから、ということのようです。

プチ情報........床柱は、密度が高い元口を下にして、木が生えているのと同じ状態に立てる。
屋根の垂木(たるき)は軒先に元口がくるように揃える。


継ぎ手のルール......土台ホゾは貫通する長さで

ほぞ継ぎ手  土台と柱を接合するとき、柱となる材の両端には、「ホゾ」と呼ばれる突起物が加工されるのが一般的です。  それに対し、受ける接合相手の土台には、 「ホゾ穴」と呼ばれる「ホゾ」を差し込む穴が掘られます。

 ここでのポイントは土台にきざむ「ホゾ」は土台を貫通する長さで組むということで、土台が120oの太さなら「ホゾ」の長さは120oにするわけです。

 貫通していないと雨漏りなどの場合「ホゾ穴」に水が溜り腐りやすくなり、さらに柱の「ホゾ」が土台を貫通しているということは土台下の基礎にまで柱が達しているわけで、 万が一土台が腐っても柱で支えられる、というの理由だそうです。   でも最近はこのような加工がされていない家造りも多いそうです。

 木は山で伐ってからも生きていて、約200年間は強度が上がり続けるそうです。  法隆寺(創建年607年〜)で使われている檜は、今でも伐った時の強度と同じというのですから驚きです。

伸びたり縮んだりしているとされる木ですが、長さの方向の伸縮は横方向に比較しそれほど大きくないそうです。  特にホゾは木の芯の部分ですから腐りにも強く圧縮強度もあります。

 長いホゾにすることで木と木が接する面積が多くなり、その分応力も大きくなりますから家の強度や耐久性にも有効です。


大工仕事で使う主な電動工具




電動工具を駆使して継ぎ手加工

 伝統的手法による継ぎ手加工を駆使するには永い修行期間が必要ですが、電動工具を使えばある程度コツは要りますがアマチュアでもプロに近い加工ができる可能性があります。

 ノミとカナヅチでは手先の器用さが要求されますが、たとえ不器用なオトウサンであろうと、トリマやルーターを使い加工寸法を精密に設定できれば、 後はスイッチオンするだけで正確な加工ができるようになります。

 トリマーによるホゾ継ぎ手加工で使うのは「スパイラルビット」がオススメ。  ストレートビットは刃が軸方向に一直線ですが、スパイラルビットは刃がらせん状で材を斜めに切り落とすように当たるため、 よりなめらかに加工できます。

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番付け

梁や桁、それを支える柱、土台など大量の部材を、間違いないように組み合わせて家を建てるとき使うのが、「番付け」という簡易組み立て図です。

「番付け」の仕組みは、玄関側から見た方向から、X軸に「いろは」、Y軸に「123」、と番号を割り振っておき、交点の位置を「いの1」とか「ろの2」等の呼び方でアドレス指定しておきます。

各部材には、玄関から見て読める方向のどこか一箇所にアドレス番号を書いておけば、「番付け」の位置、設置方向と部材が合っているかの確認が出来ます。


在来工法と耐震

 シロウトなんですから、「ナニが何でも本格的在来工法で、しかも強度バツグンの金輪継ぎで......」、などとコダワル気はありません(...というか拘れません)。

 ほどほどに見た目がよく、耐震性もそれなりに確保できれば十分なので、継ぎ手もできるだけ簡単な技法にして、必要に応じて 「建築金物」などもドンドン使い建築強度を稼ぐつもりです。

 本格的な日本家屋を建てる大工さんなら、『木の家なら金物など使わず、本格継ぎ手を駆使して丈夫に........』となるのでしょうが、セルフビルドのいいところは時間・納期を気にせず、 自分のペースで作業していけること。

老後の趣味と実益を兼ねた(ついでに運動も.....)、楽しいリフォーム作業生活が待っています。


家造りから「大工」が消える?

 一昔前まで、家を建てるときは大工がノミやカンナで木材を削り、穴を開け、柱や梁(はり)を組んでいくのが当たり前でした。  しかし、現代では田舎以外そうした建築現場はもうほとんど見かけなりました。   そのかわり昨今の木造建築の95%以上は「プレカット工法」となっています。

 プレカット工法とは、木造住宅に用いる木材を事前に工場で加工し、現場に搬入する工法のこと。  大工が現場で木材を加工していた在来工法に代わり、 コストカットや工期短縮に資するプレカットが急速に普及しています。

 大工の腕の良し悪しは「墨付け」や「刻み」などと呼ばれる技術にあり、家の完成予想図や木材の特性、 部材の役割などを頭に入れ、まっさらな木材に自分で目印をつけ、寸分の狂いもなく加工する技(手刻み)が必要です。

 一方、プレカット工法なら、現場での作業はプラモデルのように部材を組み立てるだけですから、墨付けや刻みといった在来工法の技術を身に付ける必要も機会もなくなってしまいます。     もちろん、自前の工場で予め木材を加工して現場に持ち込む大工さんもいるわけですが、昨今はほぼ外注するのだとか。   今ではほとんどの工務店では出来合いの部材を組み立てる仕事が主流だそうです。

 手仕事と機械とのせめぎ合いは、どの業界でも行われてきましたが、建築の世界でも同様のことが起きていているわけで、在来工法の担い手であった大工の人数はピーク時の4割を切り、 なお減少の一途をたどっているそうです。   このまま本物の“大工”という職業は、いずれ無くなってしまう運命にあるのでしょうか。

 こういうご時勢を反映して、大工道具にも影響が出ています。   大工が少なくなれば、当然大工が使う道具を供給する側も影響を受けます。   鑿(ノミ)やカンナといった大工道具を作っているところもどんどん減ってきているといいます。

 木材同士を接合する「木組み」を手刻みで加工するには、まず錐で穴をあけ、その四方を「穴屋鑿(ノミ)」と呼ばれる角ノミで削り落とす、という「穴掘り」作業が必要です。    今では穴掘りの工程は「角ノミ」や「込み栓角ノミ機」といった専用の電動工具を使って行うのが一般的になりましたが、昔はあちらこちらの作業場をまわり、 込み栓等の穴を開けてまわる「穴屋大工」という職業もあったほどで、穴掘りは重要かつ手間のかかる作業なわけです。

 時代は下り回転しながら穴を掘る「ギムネ」という工具がイギリスから上陸。 またギムネと鑿の両方の特徴を兼ね備え、木に四角い穴をあけることを可能にする「角ノミ」が開発され、 それを用いる電動工具として「角ノミ」や「込み栓角ノミ」が登場します。   電動で効率よく穴あけのできる機械の普及とともに「穴屋大工」という職種は、消えてなくなりました。

 この手刻み木組みの仕事を効率よく仕上げる大工の強い味方だった電動込み栓角ノミ機が、2008年製造が中止されてしまったことがありました。    すでに「穴屋大工」もいなくなり、込み栓の穴掘り用の手道具の鑿も少なくなったところで製造中止となったため、大工たちは困ってしまいました。

 一軒住宅を建てようとしたら、「木組み」のため柱、梁などに穴を開ける作業は結構な数となります。  それを今更手刻みで5分のキリで開けてから鑿でさらう、 という旧態依然のやり方でやろうとしたら時間がかかりすぎます。      やっぱり大工仕事には「込み栓角ノミ機」がどうしても必要となります。

 当初は手持ちの「込み栓角ノミ」を補修しながら使ったり、中古品を入手したりしてやりくりしていた大工たちは、とうとうネット上で署名活動を展開します。     そして2017年頃に松井鉄工所とリョービが「込み栓角ノミ」製造を復活させた、という出来事もありました。

 しかし、金属加工大手のリョービは2017年9月、ドリルや電動ノコギリ、ドライバーといった電動工具部門のパワーツール事業を京セラに譲渡。  新設会社「京セラインダストリアルツールズ」が設立されました。   これは事業縮小の第一歩で、いずれ「込み栓角ノミ」のような騒動が起こる前兆となるのでしょうか。

 ただ、大工の仕事がこのまま消えて無くなることはないだろうという見通しです。   それは「リフォーム市場」や、まだまだ需要のある伝統建築や和室の工事などの分野が存在しているから。

 仕様が決まっている新築住宅とは異なり、既存住宅の補修・改築を行う「リフォーム」は、工事内容や作業方法は千差万別であり、まだまだ大工の介在する余地は大きくあります。    そのうえ大量生産を得意とするプレカットが苦手とする分野でもあります。

 東証1部上場で中古住宅の再生事業を手掛けるカチタスは、 「プレカットは新築での施工は容易だが、リフォームでは在来工法(大工による施工)とあまり変わらないか、むしろ難しくなる。  大量の木造住宅をリフォームするうえで、 優秀な大工はたいへん有用な存在」、と語っています。   実際、年間の木造住宅取扱い戸数の増加に伴い、大工に外注する工事量も増えているそうです。(2018.4・msn記事抜粋)




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(*1).......在来工法(ざいらいこうほう)

日本で古くから発達してきた伝統工法を簡略化・発展させた構法で、木造軸組構法(もくぞうじくぐみこうほう)とも呼ばれている。
木造枠組壁構法がフレーム状に組まれた木材に構造用合板を打ち付けた壁や床(面材)で支える構造であるのに対し、 木造軸組構法では、主に柱や梁といった軸組(線材)で支える。設計自由度が比較的高めの工法である。(Wikipedia)





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