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日本の伝統的な行事としきたり

 世界でもまれな長い歴史を持つ日本には、さまざまな伝統行事しきたりが生まれ、 正月から大晦日まで日々折々にさまざまな年中行事が行われます。

 行事は、「恒例として事を執り行うこと。 また、その事柄。 儀式や催し物。」であり、 しきたりは、「以前からのならわし。 慣例。 先例。」とされます。

 それは生活を営む上での知恵であったり、日本人がもつ豊かでキメ細やかな人生観の表れから生じたものであり、 時代の推移や生活環境の変化によって多くの忘れ去られた伝統な習慣もありますが、すっかり国民生活になじんだ正月行事や季節の習慣などは これからも未来永劫受け継がれていくものでしょう。

 お正月や冠婚葬祭など、四季折々に営まれる伝統行事やしきたりの種類、それがどのような経緯で生まれたか、など見ていきます。(2015.12.3)


年間を通した行事としきたり・1月〜4月

   
時期 主な伝統行事 /  風習
行事 説    明
1月1日 初日の出 「ご来光」 その年の最初に昇ってくる太陽を拝み一年の幸福を祈る。 とくに高い山から拝む太陽を「ご来光」という。
明治以降になってさかんになった風習であり、それ以前は家で年神様を迎えるため外に出ることはなかった。
初詣(はつもうで) 昔は一年のケジメとして一家の長は大晦日の夜から神社に出かけ寝ないで新年を迎えるのが慣わしだった。 年の初めにお参りすると「めでたさ」が倍加するといわれる。
大晦日の除夜の鐘を聞きながら家を出て、元旦にお参りをすませて帰るのを「二年参り」といっていた。
元旦の早朝 若水(わかみず) 年頭に当たって最初に汲む水を「若水」といい年神様に供えたり雑煮を作るのに使った。
一年の邪気を払うといわれできるだけ遠くに若水を汲みに行くほど吉とされ水を汲む途中に他人と出会っても話をするのは厳禁とされた。
正月三が日 お屠蘇(とそ) 「おとそ」はお神酒(みき)と同じで日本酒とおもわれがちだがもともと中国の唐の時代から飲まれるようになった薬種の一種。
屠蘇には「悪鬼を屠り死者を蘇らせる」という意味があり、中国では漢方薬を大晦日に井戸の中につるして、元旦になったら引き上げ酒に浸して作られた。 元旦に家族一同顔をそろえ新年の挨拶をすませてから杯を回して「おとそ」を飲む慣わしがある。
おせち料理 おせちは年神様に供えるための供物料理であるとともに家族の繁栄を願う縁起物の家庭料理とされる。
「おせち」はもともとは季節の変わり目の節句に年神様に供えるための「お節」料理だったが、年に何回かある節句のなかで正月がもっとも重要な節句ということから やがて正月料理に限定していうようになった。
雑煮 もともと「雑煮」は正月用としてではなく室町時代ごろから儀礼的な酒宴で出されたのが始まりとされやがて正月料理になった。
年神様に供えた餅を神棚から下ろしそれに鶏肉や野菜魚介などで煮込んで作ったもので「雑煮餅」ともいわれていた。
正月行事 お年玉 年玉(としだま)は、元々は新年を祝うために贈られる金品のこと。 目上の者が目下の者に贈るのが特徴で、目下の者が目上の者に贈る場合はお年賀(御年賀)。    現在では特に子供に与える金銭をいう。
書き初め 新年になって初めて毛筆で字や絵を書くことで、現代では1月2日に行う習わし。  昔は1月2日は仕事始めとされており、目標やうまくいくことを願うという意味で行われているとも言われる。
初夢 一般的には元日(1月1日)から2日または3日の夜に見る夢とされる。
1月7日 七草がゆ もともと中国で毎年1月7日に官吏昇進を決めることから、その朝薬草である若菜を食べて立身出世を願ったのが期限といわれる。
日本では正月七日の朝に「七草がゆ」を食べるとその年一年病気にならない、といわれ江戸時代から一般に定着した。
1月11日 鏡開き 「鏡開き」は正月に供えた鏡餅を割り雑煮や汁粉などにして食べる行事。
神霊が刃物を嫌うため包丁を使わず手や木槌などで鏡餅を割る。
1月15日 小正月 1月15日を「小正月(こしょうがつ)」といい、この日の朝に小豆がゆを食べる。
「女の正月」とも呼ばれる。
左義長 「左義長(さぎちょう)」は「どんど焼き」「どんど祭り」とも呼ばれ1月15日前後に行われる。 正月に飾った門松やしめ飾りを神社や寺院の境内に持ち寄って燃やす。
いわば正月飾りの後始末の行事だが燃やすときの煙に乗って新年に訪れた年神様が天上に帰っていくとされる。
なぜ「左義長」と呼ばれるかについては、平安時代の宮中の儀式で「三毬杖(さぎちょう)」と呼ばれる青竹を立てて正月の飾り物を燃やしたことに由来する、 という説や鳥追い行事の「鷺鳥」から来ている説などある。
1月16日 薮(やぶ)入り 現代のように定休日というものがなかった江戸時代、商家に住み込みの奉公人(丁稚奉公人)たちは毎年正月16日と7月16日の二日だけ「薮入り」といって休みをもらえた。 関西では「六(ろく)入り」。
2月3日(年によっては4日) 節分 節分に「福は内、鬼は外」と大声で豆をまき、疫病や災いをもたらす鬼などの酔うかい悪霊を自分の家から打ち払う行事。 本来は大晦日の行事だったが旧暦では新年が春から始まるため立春前日の節分の行事に変わっていった。
節分とは、「立春」「立夏」「立秋」「立冬」など季節の改まる前日のことで、しだいに「立春」の前日だけを節分というようになった。
中国では大晦日に邪鬼や疫病などを打ち払うため鬼の面をかぶった人を桃の木で作った弓やで追い払う「追儺(ついな)」というものがあり、これが奈良時代日本に伝わって 平安時代には宮中で大晦日の行事としてさかんに行われるようになった。 
2月8日 針供養 江戸時代から始まった女性のための行事で、日常生活に欠かせない針に感謝をささげるとともに、針仕事の上達と安全を祈った。
  折れたり曲がってしまい使えなくなった針をコンニャク、豆腐、餅などに刺して、川に流したり神社やお寺に持ち寄る。
3月3日 ひな祭り この日は女の子の節句で、ひな人形を飾り白酒、ひし餅、ハマグリの吸い物などで祝う。
古代中国では三月最初の巳の日に川に入りケガレを清める「上巳節(じようしせつ)」という行事があり、それが日本に伝わり室町時代の貴族の女の子たちの人形遊びである 「ひない祭り」と合わさってひな祭りの原型ができたとされる。
3月の春分 お彼岸 3月の春分の日をはさんで前後3日ずつの一週間を「春のお彼岸」という。 春分の日は太陽が真西に沈むため、仏教で西方遥かかなたにあるといわれる極楽浄土にちなんでこの日に仏事をするようになった。
「彼岸」とは仏教用語で向こう岸という意味で、一切の悩みを捨て去って悟りの境地に達することをいう。 生死の苦しみに迷う現代は「此岸(しがん)」。
4月8日 花祭り 「花祭り」はインドで生まれ奈良時代に伝わったとされる釈尊(お釈迦様)の誕生日とされる4月8日を祝う行事。
もともとは「潅仏会(かんぶつえ)」「仏生会(ぶっしようえ)」とも呼ばれていた。 お寺の境内にいろいろな花で飾った花御堂という小さなお堂を作り水盤の上に釈迦の立像を置く。 参詣人はこの釈迦像の頭上に竹杓子で甘茶を注いで拝む習わし。



年間を通した行事としきたり・5月〜9月

   
時期 主な伝統行事 /  風習
行事 説    明
5月2日ごろ 八十八夜 「八十八夜」とは立春から数えて八十八日目にあたり現在では5月2日ごろでこの日に摘んだ茶葉は上等とされる。
「八十八夜の分かれ霜」といわれるように霜による農作物の被害から解放され田の苗代作りや畑作物の種まきを始める重要な時期とされる。
「八十八」は漢字の米に通じ末広がりの「八」が重なる縁起の良さもあって昔から農事の目安として欠かせない日だった。
5月5日 端午の節句 男の子のいる家では鯉のぼりを立て五月人形を飾りショウブ湯に入る。 中国ではこの日にショウブやヨモギを門に吊るしたりして邪気を払う行事がありこれが日本に伝わり「端午の節句」となった。
この日にチマキや柏餅を食べる習慣があり、チマキは中国の故事より、また柏餅は柏は新しい芽が生えないと古い葉が落ちないことから、 後継ぎが絶えないようにとの願いが込められている。
6月1日 衣替え この日から学校や職場の制服が冬服から夏服へと替わる。
「衣替え」は更衣(こうい)ともいい平安時代の宮中で四月と十月の朔日(さくじつ・一日のこと)に行われており、とくに四月の更衣を綿入りの衣服から綿を抜く「綿貫(わたぬき)」といっていた。
やがて明治時代になって和服から洋服を着るようになったのを機に六月一日を夏の衣替え、十月一日を冬の衣替えの目安とするようになった。
7月7日 七夕 夫婦であった牽牛(けんぎゅう)と織女(しょくじょ)が天帝の機嫌をそこね天の川をはさんで引き離されてしまい一年に一度だけの夜に天の川にかかる橋で会うことを許された、 という中国の伝説が奈良時代日本に伝わり、日本に古くから伝わる棚織津女(たなばたつめ)の物語と合わさり現在の七夕が生まれたとされる。
それぞれの願い事を短冊に書き笹竹に結び付けて七夕飾りをする。
7月28日前後 土用の丑の日 土用とは一般的に立秋前の18日間の土用を指す。
この間の丑の日(7月28日前後)を特に「土用の丑の日」と重視しこの日に薬草を入れたお風呂に入ったり お灸をすえると夏バテや病気回復などに効き目があるとされた。
平賀源内がウナギ屋の宣伝でウナギを食べる習慣を広めたとも。
7月〜8月 お盆 お盆とは7月15日を中心とした祖先供養の時期。現在では旧暦の7月、新暦の8月に行う地域に分かれる。
お盆が始まる13日の夕方に、祖先の霊が迷わず帰ってこられるように精霊迎えの迎え火を燃やす。
仏壇の前や野外に盆棚と呼ばれる棚を設け仏壇から取り出した位牌や果物、野菜、ボタ餅などを供える。
また朝昼晩の3回ご飯と水も供える。キュウリやナスで馬をかたちづくり飾ることもあるが、これは祖先の霊が馬に乗ってこの世に帰ってくる、と考えられていたから。
16日には家の門前で送り火を燃やし、祖先の霊の帰り道を明るく照らして送る。このとき盆棚に供えた野菜や果物などを海に流す「精霊流し」を行う。
9月18日前後
旧暦の8月15日
お月見 ちょうど満月にあたるこの日を「十五夜」と呼び、おダンゴ、野菜、果物などの供え物をしてお月見が催された。
旧暦では七月から九月までが秋で八月を「中秋」と呼んでいたため「中秋の名月」ともいわれる。 唐代の中国で行われた習慣が平安時代に日本に伝わったといわれる。



年間を通した行事としきたり・10月〜12月

   
時期 主な伝統行事 /  風習
行事 説    明
10月の中頃
旧暦の9月13日
十三夜 現在は薄れた風習だがかつては「十五夜」と同じように「十三夜」の月見も重要な行事とされた。 この時期は秋の収穫を祝うという意味もあったので豆や栗などの作物を供えた。
10月下旬〜 七五三 一般的には11月15日の子供の成長をお祝いする節目の行事。 女の子は3歳と7歳、男の子は3歳と5歳にお祝いする。 数え年・満年齢どちらでお祝いをしても良いとされる。
12月22日頃 冬至 一年の間で最も昼が短く夜が長い日。 この日にかぼちゃや小豆粥を食べると寒い冬を健康に過ごせると言われる。 お風呂に柚子を入れる地域もある。
12月31日 大晦日 一年で最後の日。 細く長く生きられるようにと願いを込めて年越しそばを食べる。 また蕎麦が切れやすい事から、悪い事を切り持ち越さないようにという意味もある。



結婚式のしきたり

   

時期 主なしきたり /  マナー
しきたり 説    明
指輪 婚約指輪の相場は25万円〜35万円ほど。 結婚指輪だけというカップルも全体の2割ほどいる。   結婚指輪は10〜12万円程度が一般的で購入率は98.1%とか。
両親への挨拶 二人でそれぞれの両親に挨拶する。  1.結納をするか、2.仲人や媒酌人を誰にお願いするか、3.結婚式の体裁どうするか、なども決める。
両家の両親の顔合わせ 通常は、男性側の両親が女性側の両親に声をかける。 「息子が大変お世話になっているそうで、一度ご挨拶に伺いたい....」などとあまり堅苦しく考えず連絡する。   地方による習慣やしきたりの違いについても考慮しながらじっくり話し合い決めていく。
結納 結納は本来は女性のご自宅でするものだが、他に、ホテルや結婚式場の個室などで行なう場合もある。 豪華な関西版、実用重視の関東版など地方によって結納の品揃えが非常に異なる。 両家で良く相談して揃える。
結婚式と披露宴 準備 挙式の日取りや場所、結婚式のスタイルを決める。  席次表、招待状の手配のほか出席者の確認、祝辞や余興の依頼。 必要に応じて二次会の依頼。
新居 準備および荷造り 必要なもののリストを作り、チェックしながら揃える。
御祝儀 披露宴の会費の意味合いもあるので結婚式の当日に受付で渡すのがマナー。  金額に決まりはないが、「割り切れる」を連想させる偶数や、4・6・9などの縁起の悪いされる数字の額は避けるべきと言われる。  兄弟・姉妹であれば5万円〜10万円。 会社の上司や先輩であれば3万円〜5万円が一般的とされる。    自身の結婚式に参列してくれたらその時の金額を贈るのが妥当。



葬儀のしきたり

 葬儀のしきたり、といっても"仏教の教え"などという決まったものはなく、地域や民族風習などが複雑にからみあって、現在の"いわれ"や"しきたり"に繋がっているとされます。

     

時期 主なしきたり /  マナー
しきたり 説    明
納棺(のうかん)するまで 北 枕 納棺するまでの遺体は、北枕といって、頭を北にして座敷に安置する。 掛け布団は上下逆さにして掛け、掛け布団の上には守り刀を置く。(用いない宗派もあり) 枕飾り後、お寺さんに連絡して枕経をあげてもらう。
納棺 湯灌(ゆかん) 遣体を棺に納める前に、遺体を湯水で拭き清めるのが湯灌。 自宅での湯灌は形式となって額と手足を拭くぐらい。 目と口を閉じ男性なら髭を剃り、女性は薄化粧をする。  湯灌に使う水はタライに水を入れ湯をそそぐ(さかさ水)。 使い終った湯は床の下や日陰に流し、これに用いたサラシや手拭は人の見えないところに捨てる。
おきよめ 浄めの塩 葬場より帰った時、地方によってまちまちだが一般的には玄関先に水と塩を用意し、塩を体にふりかけてオケに入った水で手を洗う。
友引に葬式はしない 友引の日 葬儀の日取りが友引なら前後にずらすのが全国共通。 友引の由来は「相打ち共引きとて、勝負なし」といわれ、この日に葬式を出すと「友を死に誘う、死に引く」というように死忌と混同されてしまった。 同様の葬式の忌日(いみび)は、申(さる)の日、寅の日、丑の日などあり、これらは音が忌を持つ内容を連想させるためと考えられている。  どうしてもその日に葬式を行わなければならない時は、棺の中に死者の代わりとなるワラで作られた人形を入れる風習の地域もある。




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