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囲炉裏(いろり)

日本酒のお燗は電子レンジでチン......若かりし頃は何事もスピード重視、効率優先の生活で、タマの休み以外はノンビリ過ごす日々もそれほどありませんでした。
しかし、毎日が日曜日の悠々自適年金生活ならば、手間隙かけ雰囲気を楽しむ非効率なやり方のほうが、逆に生活に潤いをもたらしてくれる場合もあるかもしれません。

寒い冬の夜、パチパチはぜる炭火にかけた鉄瓶で日本酒を燗し、美味いツマミを肴に日本酒をチビチビやりながらマッタリと老夫婦が昔話に花を咲かせる........
ときどき炭火をイジり火加減調整するのも乙なもので、こういうシーンにはやはり囲炉裏がピッタリきます。

また昔風の囲炉裏は、炭や薪が燃焼するとき発生する赤外線で、足元がジンワリ暖まるという暖房効果も得られたようです。

昔からある囲炉裏には、炉縁(ろぶち・囲炉裏の四方を囲む木枠)の高いもの(床との段差が大きい)は存在しないそうですが、あまり炉縁を高くしてしまうと、 せっかくの熱がさえぎられてしまう、という理由で炉縁はほぼ床の高さにしていたようです。

囲炉裏は暖房と調理が同時にでき、火を直接扱えるというイベント性もある和風アイテムです。
老後の終の棲家とすべく、古民家リフォームをあれこれ考えていますが、ここでは囲炉裏の部屋を造るためのDIYアレコレを考えています。


囲炉裏のデザイン

昔の囲炉裏基本スタイルは、和室に四角の炉がきってあり、自在鉤には鍋がかかり、胡座(あぐら)をかいて座るというのが一般的です。(女性はお好みの座り方で.....)

この昔風スタイルもいいのですがもうひとつ考えたのが、掘りごたつ風にしてテーブル型にするというスタイル。

このスタイルだと長時間座っていてもそれほど腰に負担がかからず、また炉縁の幅を広くすれば食器を多く載せられるので、食事テーブルになります。

反面、このハイカラスタイル(?)だと囲炉裏気分が半減してしまうのと、赤外線効果が得られず足元が暖まらないこと。


スタイル メリット・デメリット
昔風の囲炉裏
雰囲気重視なら絶対こちらがいい。  冬の寒いときも足が暖まる。  ただし胡座座りなので長時間だと腰に負担がかかる。
掘りごたつ方式
椅子に腰掛けるようにして使えるので腰が楽。  食事テーブルとおなじように使える。
足元は暖まらない。



囲炉裏展開図

どちらも一長一短があり、なかなか一方に決めかねますが、そこで考えたのがどちらの方式でも使えるハイブリッド(?)囲炉裏。

脚を脱着可能な構造にして、昔風スタイルなら脚ははずして床に直に設置して使い、掘りごたつスタイルにしたかったら脚を取り付けて使う、という変身スタイルにすることに。

これなら雰囲気を楽しむときは昔風囲炉裏、食事をメインにするなら掘りごたつタイプ囲炉裏、という使い分けが出来ます。

夏場など使わないときには、床の開口部にフタをして床とフラットになるようにすれば、囲炉裏も邪魔になりません。


囲炉裏の基本設計・要求仕様

自作でつくるので、あまり技術的に凝った構造は作れませんから、高望みしない構造と材料で設計します。

材料も贅沢を言えばキリがありませんし、予算的な制限もあります。 炉縁材は基本的に家具テーブルの天板などに使われる材料であればいいと思います。

ただ、スギやヒノキなどの柔らかい針葉樹は、キズつきやすいということであまりテーブル天板には使われません。 キズはイヤだというときにはナラ、オーク、タモなどの硬い広葉樹を使う必要が出てきます。

パーツ 考慮するポイント
炉縁
食器類が置けるように炉縁幅をある程度広く。(18cm〜30cm・ただしあまり広いと囲炉裏が大きくないとバランスが悪い)
炉縁は火が直接当たる部分なので、材のソリや割れを防ぐためなるべく厚い材を使用する必要があります。(6cm〜)

小さな囲炉裏では、火の周囲の炉縁温度は〜100度にもなるといわれます。
薄い合板などではなく、良く乾燥させた良質の無垢か集成材を使うようにしたほうが良さそうです。

鉄炉(砂を敷いて火を燃やすところ)
火を使う道具ですから、火災予防のために断熱には注意する必要があります。 古い囲炉裏の砂を払った底を見ると、木板がこげていることがよくあるそうですから、回りの木材も輻射熱(*1)でかなりの高温になります。

鉄炉には、銅・鉄・ステンレスなどの金属板が使われていることが多いですが、金属板の熱伝導率は非常に高い反面、断熱効果はほとんどありません。 そのため、鉄炉の金属板の裏側に木材が密着しているといずれ発火する危険性があります。

昔風の囲炉裏として使うなら、炉縁から炉灰までの距離が深すぎる炉は、せっかく足元にあたる赤外線を遮断してしまいます。 また炭火を調整するときも、姿勢をかがまなくてはならず使いづらくなります。(炉縁から炉灰までの深さ・5〜10cmもあれば十分といわれます)

鉄炉構造......吊り下げ型、全体の深さ〜20cm、鉄板厚み1.8〜2.5o、焼き付けの耐熱塗装。
囲炉裏に入れる灰
囲炉裏に入れる灰には、一般的な囲炉裏灰(木灰)やセラミック灰があります。
囲炉裏といえば、竹串にアユやヤマメを差して立てるシーンがお約束ですが、敷き詰める灰の深さは10pもあればいいようです。
網や五徳にもたれかける方法をとれば、〜5cm程度でもいけそうですから、鉄炉に投入する灰の使用量はそこを目安に検討します。

ただしセラミック灰は木灰のように押し固まらないので竹串は立たないようです。 支える台(珪藻土板など)が必要になってきます。

注意ポイントとして、灰の敷き詰める厚さは断熱効果も考慮する必要がありますから、火元から底まで10cm程度は離れるような厚みが欲しいところです。



囲炉裏の使い方をどうするか

囲炉裏の使い方は、大きく2つに分けて考えられます。

使用方法 注意ポイント
薪も使う
強火を使うので暖房にも使え、ほとんど野外のキャンプファイヤー状態も実現可能。 ただし狭い住宅事情ではほぼムリ。
防火・煙対策も考慮する必要あり。
炭火オンリー
せいぜいお茶を入れるためお湯を沸かす、餅を焼く、というような使い方なら特に問題なし。
炭火で焼肉パーティーやサンマを焼くような使い方をするのなら排気システムも必要となる。
ただし、こういう調理で脂が出て汚れてしまった灰は、その部分を取り除く必要がありますし、毎回セッセとニオイの元を掃除しておかないと、いずれ部屋中に悪臭が染み付いてしまいます。



 

鉄炉と囲炉裏

鉄炉は鉄板で四角の箱を造り、炉縁に引っ掛けます。 移動時に囲炉裏から鉄炉を取り外しやすいよう、鉄炉の普段目に付かない位置に取っ手を付けておくといいかもしれません。

鉄炉の納め 深さは15〜20cm程度で考えます。 あまり深いと大量の灰が必要となり、少なすぎると竹串焼きができません。


囲炉裏の大きさ

一人座る座布団スペースの幅をおおよそ70cmとして、老夫婦二人だけ使うのであれば囲炉裏サイズは90cm程度でもいいのですが、 家族が揃った場合はあまり小さいと皆で使えません。

囲炉裏の大きさ やはり、120cm〜150cm程度の大きさが欲しいところです。


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(*1).......輻射熱

輻射熱とは、離れている熱源(たき火や太陽)が、物体の温度を上昇させるために用いられる放射エネルギー(たき火や太陽の熱)のこと。







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