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柱を立てるための水糸張り

ウッドデッキから作業小屋、庭づくりから外構工事、またまた一軒家まで、どんな構造物を作るにしろ正確な寸法だし(正確な高さ・ライン)を行うために駆使するテクニックが "水糸張り"といわれるものです。

プロの世界ではこのような、"工事に着手する前に行う建物の正確な位置を出す作業"のことを "水盛り・遣り方(みずもり・やりかた)"などとも呼ぶそうで、 土木工事では"丁張り(ちょうはり)"というそうです。

"水盛り・遣り方(みずもり・やりかた)"の水盛りというのは"水平の印をつける"こと、 遣り方(やりかた)とは、建物を建てるスペースの回りにめぐらした"板と杭"のこと、だそうで基本中の基本テクニツクなのですね。

建物の基礎ブロックであれ柱であれ"正確な高さ・ラインに揃っている"ことが重要で、 高さがバラバラだったりそれぞれを結ぶラインが曲がったりズレたり、直角だしが不正確では構造物が正しく建てられません。

ということで建物の正確な位置を出しピッタリと寸法を合わせるためにも水糸張り"テクニックは必須となるわけです。


水糸張りの作業手順

この作業手順は"土の作業場所にウッドデッキを作る"、という前提での簡単な方法ですが、例えば地面がコンクリートだとか、 杭が一本しか使えないとかという条件では別な方法が必要です。

【おおまかな作業手順】


■図は水糸が張られた最終的なもので、基本はおおよそこんなイメージになると思います。

施工位置(構造物が立つスペース)を確認し、その外側四隅の各コーナーに水糸用の杭(水杭・みずくい)をグラつかないようしっかり地面に打ち込んでいきます。
各水杭の設置位置は"施工スペースの外側"なら適当でかまいませんが作業のジャマにならない位置を選びます。


■まずどこかひとつのコーナーの3本杭(水杭・みずくい)に垂木(水貫・みずぬき)を渡し、ここを"地面からの高さを決める基準ポイント"とします。 水平器を使い垂木がキチンと水平(同じ高さ)になっているか確認しておきます。
ここでは地面から垂木上面までの高さを300ミリとします。

ここを基準として残りの各コーナーの杭にも同じ高さになるよう垂木を取り付けていきます。 本格的にやるなら水杭と垂木はグラついたりズレたりしないよう筋交い貫(すじかいぬき)を斜めに打ち付けしっかりと固定しておくと万全です。


■本格的な一軒家を建てるときの丁張り(ちょうはり)です。
まず基準となる地面の高さを決めたら約1.8m間隔に"水杭(みずくい)"を立てておき、 「レベル」という水平を見る器械ですべての杭の同じ高さにマーキングします。この作業は一人ではできませんから助手が必要です。 全体の水平ラインを決めたら"水貫(みずぬき)"とよぶ横に渡した板で水杭同士をつないでいきます。

さらに水杭と水貫が動かないよう 筋交い貫(すじかいぬき)と呼ばれる板を水杭と水貫がグラつかないよう斜めに打ち付けて固定します。 その後水貫と水貫の間に水糸を張り基礎ラインとします。

ウッドデッキ作成の工事程度でここまで本格的に工事する必要はないと思いますが参考までに.........


■各コーナー間同士の高さも水平器で計測しながらそろえます。  長い水平器がなかったら長い真っ直ぐな材を渡しその上に水平器を載せればチェックできます。
四隅コーナーの垂木高さが全て揃う(水平になる)ことをチェックしたら水糸を張る準備は完了です。


■いよいよ施工スペースにそって水糸を四角く張っていきます。
四角く張られた水糸の内部が実際の施工スペースになります。
"水糸の交差する部分に柱を立てる"わけですが設計どおりの柱位置にピッタリ正確に水糸が接しているか十分確認しましょう。
交差する水糸同士は、正確に直角がでるようサシガネや大矩(後述)を使いチェックしキッチリ合わせます。


■水糸が交差している部分に柱を立てていきます。柱が立つ場所にはあらかじめ穴を掘っておきます。深さはウッドデッキなら500ミリ〜600ミリ程度で十分でしょう。 穴は広めにしておくと高さの微調整するとき作業が楽です。
穴の中にはグラつかずしっかり固定できるよう砕石(さいせき)など入れ、柱の地中に埋まる部分は腐りにくいよう防腐剤などで塗装しておきます。
"張られている水糸の高さを基準"に、その水糸位置から柱の高さが○○ミリ上に立ち上がる、 というように各柱の高さが設計どおりになるよう設置していきます。
これで立ててから高さが違っているのに気づき空中でカットする、などという事態は避けられます。
柱が垂直に立っているかも非常に重要なので"常に水平器でチェック"し、垂直状態で柱を固定します。


大矩(おおがね)で直角をだす

正確に90度の角度をだす作業のとき便利なのが、三枚の真っ直ぐな板材で簡単に作れる、"大矩(おおがね)"と呼ばれる冶具です。 (大工さんは、「さんしご」などとも呼びます)

木の板で作った巨大な三角定規のようなもので、"ピタゴラスの三平方の定理"を応用し 各辺の長さ比が3:4:5の直角三角形(3対4対5の接点は必ず直角になる)にして組み立てたものです。
これを、水糸が交差しているコーナーに当てて正確に直角がでているか確認していくわけです。

■作り方は曲がりの少ない合板を利用し、任意の長さで3:4:5の比率で正確に寸法を測定し組み立てれば、正しく直角が出るはずです。


レーザー水準器

水糸張り作業で困るのが、広大な場所で作業するときなどは"水糸が途中でたわみ正確に計測できなかったり風の影響"をうけてしまうことです。
こんなときにあると便利なのが"レーザー水準器(レーザー墨出し器)"というものです。 最近はかなり安価なレーザー水準器もでていますからそれを使えばより正確に作業ができます。
施工場所のどこか一箇所に、グラつかずしっかりとした平らな素材の上にレーザー水準器を置いて水平水準を出してやれば、 照射されるレーザーのスポットは同じ高さを示す、というわけで設置さえしっかりしておけば完璧な水平がとれるわけです。


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水盛り

水糸を使わず水の水位を使って水平を出す方法が"水盛り(みずもり)"といわれる手法です。
バケツなどに基準高さになるような量の水を入れビニールホースの片端を入れたら、そこから計測ポイントまで透明のビニールホースを伸ばします。
そしてホースをくわえバケツ水面より水位が高くなるまで最初に吸い込みます。(飲み込んでしまわないように........)
"バケツ水面とホースの水面は同じ高さ"になるハズなので、この性質を利用して各ポイント高さを一定に揃えていくわけです。
ただし水盛りではホース内部に気泡などが入ると水位がくるうので注意が必要となります。

"水盛り・遣り方(みずもりやりかた)"の水盛りというのは水平の印をつけることで、 遣り方(やりかた)とは、建物を建てるスペースの回りにめぐらした板と杭のことです。


ペットボトルを使う方法もあります。


もうひとつの方法はビニールホースに水を入れ、片側水位を基準点に合わせればもう片方も同じ高さになる、という原理で水平を出す方法もあります。


トランシット

水平を正確に測定する機器としてタマに耳にするのが"トランシット (transit)"というもの。

トランシットは角度を計測する測量機器の一つで"セオドライト (theodolite)、経緯儀(けいいぎ)"とも呼ばれます。 "光波測距儀と組み合わせたものもあり、これを俗にトランシットと呼ぶ"ことも多いとのこと。

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