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お正月料理

 新年1日(元旦)は家族そろってお屠蘇やお雑煮、「おせち料理」でお祝いをします。    弥生時代からあるといわれるおせち料理(御節)というのは、もともとは「季節の変わり目(節)」に収穫物の報告や感謝の意をこめて、その土地で収穫できたものを「神様にお供えする料理(節供料理)」 という意味の「御節供(おせちく)」を略したものと言われ、本来は季節ごとに行われていたとされます。

 おせち料理が全国に広がったのは江戸時代頃からとされ、宮中で行われていた宮中行事を庶民も真似するようになったのが始まりのようです。    この頃から節日の中でもっとも大切なお正月元旦に食べる料理を「おせち料理」と言うようになったと言われます。

 日持ちする物を多く入れた「おせち料理」を作るようになった理由には、「お正月から火を使用して、火の神様を怒らせないため」、「お正月から火事を出さないため」、「みんなが家事せずに休むため」など諸説ありますが、 いまでは、普段、食事を作ってくれる女性にお正月の三が日は休んでもらおうという意味もあり、正月にどこの家庭でも「おせち料理」を作るようになったわけです。

 おせち料理をいただくタイミングとして、北海道や東北地方では大晦日が多く、他は元旦を迎えたお正月の朝、というように地域により違いがあるようです。      いつまで食べるかについては、主婦を休ませるため1月1日、2日、3日の3日間、いわゆる三が日の間はこれを食べるというのが一般的でしたが、昨今は正月早々にスーパーも開いていますし、 食べ飽きるということもあってせいぜい元日〜2日までで食べきる量を作るのが多いようです。

 三が日にしてはいけない、6つのタブー(縁起が悪いこと)には、『火を使う煮焚きをしてはいけない』、『刃物を使ってはいけない』、というものがありますが、 台所仕事をせずにゆっくり休むようにという心積もりもあるのでしょうか。 地域によっては、自分の身体の一部である爪を切ってしまっては、家族との縁も切れてしまう……というジンクスもあるそうです。

 そのほかのタブーには、『掃除をしてはいけない』、『四足(よつあし)歩行の動物の肉を食べてはいけない』、『ケンカをしてはならない』、『お金を使ってはいけない』などがあるとか。

 あくまで地域の風習ですから現代はそこまで厳密なルールとして守られているところはずいぶん減っているのではないでしょうか。  たしかにケンカだけは避けたほうがいいかも...........


おせち料理の話......重箱は何段重ね?

 おせち料理を重箱に詰めるのは、「めでたさを重ねる」という縁起をかついだものとされますが、本格的に重箱に御節料理を詰めるようになったのは明治時代以降のことと言われますから、 それほど昔の風習ではないようです。

 おせち料理の献立は、地域や家庭によって違いますし、重箱も何段にするかは時代とともに変化しています。

 本来は四段重が正式とされていますが、しかし地方や家風によって、五段重が基本の場合もありますし、最近は大家族が少なくなって簡便に三段重というところも増えています。

各段に詰めるおせち料理の品数は、奇数になるようにします。    

段数 おせち料理の詰め物
一の重:祝い肴 黒豆・田作り・数の子・たたきごぼうなど、酒のつまみになるもの。
二の重:口取り 紅白かまぼこ・伊達巻・栗きんとん・昆布巻きなど、家族全員が食べられるもの。
三の重:焼き肴 鰤(ブリ)の焼き物・鯛(タイ)の焼き物・海老(エビ)の焼き物など。
与の重:酢の物・煮物 「四」は「死」を連想させるので、代わりに「与」を使う。  紅白なます・酢蓮(すばす)・煮しめ・金柑甘露煮など。
五段重の場合 一〜与の重までは同じように詰め、来年は重箱をいっぱいにできるくらい豊かになっていますように、という願いが込めて五の重は空に。   もしくは家族の好きなおせち料理を詰める控えの重とする場合も。



おせち料理の話......おせち料理素材の意味

 1年に一度の正月料理、重箱にぎっしりと詰まったおせち料理には、ひとつひとつに家族の幸せを願う意味があります。

基本のおせち料理は、「祝い肴」、「口取り」、「焼き物」、「酢の物」、「煮もの」、の5品といわれています。

おせち料理を作るタイミングとしては、時間がかかるものが多い祝い肴は27日頃から、酢の物は29日、焼き物は30日、煮物は31日、というように大きく4日間に分けて調理スケジュールを計画すると楽かもしれません。    

素材 おせち料理の意味
黒豆 まめに働き、まめに暮らせる、健康と長寿。
数の子 卵の数が多いことから子孫繁栄を願ったもの。
田作り ごまめ・五万米)イワシの稚魚の佃煮。    片口イワシを田の肥料にして、五万俵もの米が収穫できた事から、五穀豊穣を願ったもの。
昆布巻き 「よろこぶ」という言葉にかけて。
伊達巻 伊達政宗の派手好きが由来。   巻物に似た形から文化・学問・教養を持つことを願う。
栗きんとん(栗金団) 金銀財宝の意味、金運を願ったもの 。
紅白かまぼこ かまぼこは日の出を象徴しているので正月に欠かせない食材。  紅は魔除け・慶びを、白は清浄や神聖を表す。  紅白の色が縁起が良い。
お多福豆 文字通り福が多い。
たいの塩焼き 「めでたい」で縁起物。
海老の焼き物 腰が曲がるまで丈夫という長寿の願いが込められている。
ぶりの焼き物 出世魚である事から出世を祈願したもの。
紅白なます だいこん、にんじんの酢の物。   水引きを表し、平和を願う。
しいたけ 椎茸の傘を陣笠に見立てたもの。
高野豆腐 楯に見立てたもの。
手綱こんにゃく コンニャクを手綱に見立てたもの。
里いも 子芋がたくさん付くことから、子宝に恵まれますように。
たたきごぼう 細いながらも長く地面の下に根を張るごぼうは、縁起がいいとされる。
れんこん 穴が多数あるので、先が見通せる。
くわい 大きな芽が出ることから「めでたい」、芽が出る=出世。



おせち料理の話......作ってみたい正月料理



   

使用材料と調理方法
スルメの煮物 大根・ジャガイモ・玉コンニャク・玉子を一緒に煮込む。
タコの煮物 炭酸水を加えるとやわらかく仕上がる。
タコの揚げ物 ショウガでからめ片栗粉をまぶす。



おせち料理の話......解凍・調理方法のポイント



   

解凍・調理ポイント
冷凍カニの解凍方法 室温ではなく、12時間から24時間程度を目安に冷蔵庫の中でゆっくり解凍する。 乾燥を防ぐためにキッチンペーパーで包みビニール袋に入れると万全。   室温などで急速に解凍すると旨みであるエキスが流れ出て身もパサパサになってしまう。



おせち料理の話......一口ミニ知識



   

ポイント ウンチク
「祝い箸」 おせち料理をいただくときには、柳やひのきで作られた「祝い箸」でいただくと縁起がいいとされる。  柳は厄を払うと言われる。 祝い箸は一度使ったら捨ててしまうのではなく、使った人が自分で洗って、松の内(1月7日)まで使うことになっている。





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