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明らかになった「EU脱炭素化戦略の失策」

 2024年8月、トヨタ自動車とともに世界最大の完成車メーカーの地位を争うフォルクスワーゲン(VW)が、国内にある工場の閉鎖を検討していることが話題となります。     EUは脱炭素化戦略の手段を当初はディーゼルエンジンの高性能化に求めましたが、不正なソフトウェアを自動車に組み込んだスキャンダルの発覚を受けて、 EVシフトに切り替えていました。

 トヨタ自動車の豊田章男会長は2024年1月、「EV市場シェアは最大3割、残りはHVなどで、エンジン車は必ず残る」と宣言しています。  ドイツのメルセデス・ベンツやスウェーデンのボルボは、 2030年にすべての新車をEVにする経営目標を撤回しました。

 そもそも、世界中で巻き起こったEVシフトの流れは、EUが現実に不釣り合いな排ガス規制を課し、失敗に終わったことで始まったともいえます。  EUがもし、高過ぎる排ガス規制を課さなかったら、 もし急進的なEVシフトをその戦術に定めなければ、EV一辺倒への流れも生じなかったし、中国製の低価格EVの脅威にさらされることもなかったはずです。

 しかし、EUは性懲りもなく、今度は2035年までに新車供給の100%をEV(正確には走行時に温室効果ガスを排出しないゼロエミッション車ことZEV)で実現するという、 またまた現実に不釣り合いな厳しい目標を掲げます。   そしていまやEU域内のEV市場は中国製の低価格EVが席巻しています。 もしこのままフォルクスワーゲンが衰退したとすれば、ドイツの自動車産業は、 EUの野心的な脱炭素化戦略の一番の被害者であり、犠牲者であるともいえます。

 中国のEVメーカーは、大量生産によるコストダウンに加えて、政府による補助金もあり、低価格でEVを生産することに成功します。    またEUとしても、中国との間で本格的な通商摩擦に突入することは回避したいため、米国のような高税率(100%)を課すことはしておらず、そのため、 ほとんどの中国製EVが、EU製EVよりも安価である状況にあります。

 もともと、VWは工場閉鎖の大きな理由はドイツのエネルギー高にあると説明しています。  もともとドイツは、ロシアからパイプライン経由で安価な天然ガスを輸入することで、 エネルギーコストの抑制に努めてきましたが、2022年2月のロシアのウクライナ侵攻でEUとロシアの関係が破たんしたため、ドイツは「脱ロシア」を進めざるを得なくなりました。

 そこへもってきて、ショルツ政権は「脱炭素」と「脱原発」を推し進め、石炭火力発電や原子力発電を停止してしまいます。  これではドイツのエネルギー価格が高止まりし、製造業の足を引っ張るのは当然です。

 かくして、EUのEVシフトがドイツ自動車産業の空洞化を招きつつある、という実態となったわけです。  このままヨーロッパ経済の中心であるドイツの製造業で空洞化が進めば、 ヨーロッパ経済の成長力が低下することは必至であり、今後のドイツ自動車メーカーの出方に要注目です。(2024.9.9)


  

揺れ動く「エンジン車撤廃」の流れ

 2015年の第21回国連気候変動枠組条約締約国会議(COP21)で、前述の平均気温上昇の幅を1.5度以内に抑えるなどが盛り込まれた「パリ協定」が採択されて以降、 多くの国がおおむね2030〜2035年までにエンジンのみで動くクルマの販売を禁止する方針を示しました。   日本政府も、2035年までにエンジン車の販売をゼロとすることを目標としています。

 ただし、ハイブリッド車はこれ以降も販売が認められる方針であるため、ガソリンや軽油を燃やす仕組みがクルマから完全に消え去るわけではありません。  しかし、 ここ1年ほどの間で「エンジン車撤廃」の流れに変化が出始めました。

 EUは2023年3月、2035年のエンジン車販売を禁止するという方針を一部変更し、GHG排出のネットゼロを実現できるe-fuel(合成燃料)を使用するのであれば、 エンジン車の販売継続を容認する姿勢に転じたのです。  この背景には、フォルクスワーゲングループをはじめとした自動車メーカーを抱えるドイツが、 e-fuelの使用を条件にエンジン車の販売継続を主張したことにあります。

 結果としてEUはドイツの主張を受け入れ、原則的にはエンジン車の販売禁止を掲げつつも、全面禁止とはなりませんでした。  なお、e-fuelは既存のエンジンにもそのまま使える燃料です。    今のところ、EU以外の政府レベルで追随する動きは見られません。  しかし、メーカーとしてはエンジン車を存続させたい意向も垣間見え、 とりわけドイツと同様に自動車が一大産業である日本においては顕著です。

 2024年5月28日に行われた トヨタ・スバル・マツダの発表では、それぞれの「カーボンニュートラルの実現」、「内燃機関を見捨てない」、「エンジンって良いよね」という共通の想い、 そして各社の個性を活かした新開発エンジン技術を発表しています。

 とはいえ、e-fuelは、穀物由来ではなく水素とCO2の合成燃料ではありますが、「効率よく」「クリーンに」「需要に見合う」水素を生産する技術はまだ研究開発の途上であり、 2030年代に向けてエンジンが生き残るのか、それとも、なくなっていくのかはいまだ不透明です。(2024.9.2 くるまのニュース)


   

電動化適合新エンジンに注力する日本車

 日本の自動車メーカー、トヨタ、マツダ、スバルは、中国・欧米の「国策BEV推進」を尻目に、電動化に適合した新たなエンジン開発を続けています。    2024年5月には、「マルチパスウェイ ワークショップ」というイベントが報道関係者向けに開催され、真に脱炭素の実現のためには、 BEV(電気自動車)以外の選択肢も同時進行的に用意しなければいけない、としています。

 「マルチパスウェイ(複数の道)」とは、内燃機関(ICE)を利用するハイブリッド(HEV)やプラグインハイブリッド(PHEV)も含まれ、 BEV(Battery Electric Vehicle)はマルチパスウェイの1つでしかないという位置づけですが、 この思想を当初から唱えていたトヨタに対し、世界各国や日本の一部メディアは、脱炭素に消極的、などと謂われない非難を浴びせてきました。

 しかし、2023年のEVの世界販売を見ると、約57%が中国で販売され、欧州が約24%、米国が約12%と、この3地域で全体の93%を占めていますが、 それ以外の地域ではBEVがほとんど売れていない、という状況も明らかになっています。   そもそも電力事情の悪い新興国にBEVが普及するはずは無く、 電気100%自動車の限界は当初から指摘されていました。  中国・欧米における需要も一段落した今、 国策で無理やりBEV推進を進めても、販売が伸び悩むのは当然です。  一方で外部から充電できるPHEVの販売は急伸しています。

 トヨタをはじめとする日本の自動車メーカーは、こういう事態を予測していたからこそ、BEVほど高価でなく、使い勝手は通常のガソリン車と変わらず、 なおかつ通常のガソリン車より大幅にCO2排出量を少なくすることができるHEVをメインにして、BEV一本やりの戦略はとってこなかったわけで、 いまやトヨタを中心とした日本メーカーの考え方こそ正しい、ということが明らかになりつつあります。

 それと比較し、欧米の自動車メーカーは、いまのところ従来型エンジンは継続生産していますが、BEVシフトを急ぎ過ぎてしまい、新規ICEの開発は基本的に取りやめています。   それに対し、 トヨタはまた一歩業界をリードするであろうハイブリッド用エンジンを新規に開発。  マツダも2ローターのロータリーエンジンを発電機として使うシリーズハイブリッド方式を、 スバルは水平対向エンジンにトヨタのシリーズパラレル方式を組み合わせたハイブリッドシステムを披露するなど、 電池に頼らない新しいパワートレインを次々に開発しています。  これら新型エンジンと新ハイブリッドシステムのアドバンテージは相当なもので、この先しばらくは、 ICEが搭載されたHEVやPHEVが主力となるはずです。

 トヨタとしてもいずれかの将来、BEVが主流になる時代が来ることは予測しており、2026年には150万台のBEVを生産する計画ですが、 現状のリチウムイオン電池ではBEVの本格的普及は難しいと判断して、「マルチパスウェイ」を推進しているわけです。    BEVが飛躍する鍵とされる全固体電池に関しては、トヨタはパナソニックに次ぐ世界第2位の特許数を誇っており、 全固体電池が主流になる未来の自動車社会においても、トヨタ栄光の時代は続くと考えていいでしょう。(2024.7.4 PRESIDENT Online 引用)


   

BEVが内燃エンジン車を凌駕する可能性はほぼゼロ

 国策としてBEV化を推し進める中国は、ICE車の購入には制約を設ける一方、BEV購入には優遇税制を適用しBEVを買わせるよう仕向ける政策をとっていますが、BEVの販売は伸びているものの、 その成長率は鈍化しています。  さらに、多数の企業がBEV市場に参加し、BEV市場は非常に買いやすい状況になっているものの、強烈な価格競争が起こっているため、 安かろう悪かろうからの脱却は当分望めません。

 ただ、BEVだけですべての需要を賄まかなうのは難しいと判断したらしく、中国市場では現在PHEVの販売が伸びているといいます。   2024年4月のデータを前年比で見ると、BEVは10%アップなのに、 PHEVは65%アップと飛躍的に伸びています。  この背景には、PHEVにもBEVと同じような優遇策を適用するようにしたことがあります。  中国EVメーカーのBYDも、 現在ではBEVよりPHEVの販売台数のほうが多くなっているといいます。

 BEV化を積極的に推し進めてきたドイツも同様で、2023年には自動車市場の18.4%がBEVだったのが、2023年12月にBEVに対する補助金が打ち切られると、2024年1〜4月ではなんと11.8%と急激に減少しています。    アメリカも2023年のBEV販売は前年比60%増と激増したものの、2024年第1四半期の数字では、2023年第4四半期に比べると7.3%の減少となっています。

 このように、世界のBEV市場をリードしていたエリアでは、BEVの販売は完全に停滞、もしくは減少局面となっていますが、その反面売り上げが伸びているのが、 HEVやPHEVといったICEも搭載した電動車です。  こうなるのも当然の話で、そもそもEVは誰でも買える価格ではありませんし、充電設備を必要とするため使い道も限られます。 新興国ではなおさらです。

 BEVがもてはやされていた時、不思議なことに「電費」についての言及はそれほど多くありませんでした。  いわゆるガソリン車でいう「燃費」については、実は電気自動車のメリットはそれほどないのです。    BEVの「電費」は、6km/kWhくらいが一般的で、 テスラの最善のケースでも走行1kmあたりの経費は約10円とされます。  外部急速充電のみで運用すると、 燃費が16〜17km/lLの車と同じくらいのランニングコストになるとされ、ガソリンをリッター160〜170円程度とした場合、燃費の良いハイブリッド車よりも費用がかかってしまう計算となります。

 家庭で充電する場合、日産のシンプルプランでは1kWhあたり、90kWの充電器なら66円、50kWの充電器なら119円かかり、 かつ使っても使わなくても毎月1100円の基本料がかかります。   しかも、多くの充電器は50kW以下の性能が現状です。  BEVは街中の短距離移動用に限れば便利ではありますが、 頻繁に充電する必要があるのに、充電施設は限られており、自宅に保管場所と充電施設がある世帯しか購入できない、というのでは購入できる人は限られます。

 電気代が高騰している今、電気自動車は手軽に走り回れる乗り物ではありませんし、用途のすべてが賄えるわけでもありません。  冬季間、 渋滞でヘタしたら何十時間も車内に閉じ込められかねない日本の風土では、せいぜいセカンドカーとしての役目を担うのが現状かも知れません。    BEVは自動車市場のある程度の割合はカバーしていくでしょうが、このままいけば、現在の内燃エンジン車に取って代わる可能性はほぼゼロで、 これ以上BEVを普及させるのは困難であることが明確になってきたといえます。   さらに、 合成燃料やバイオ燃料が普及すれば、BEVのシェアはさらに限定的になるかもしれません。(2024.7.4 PRESIDENT Online 引用)


   

致命的な「BEV充電時間の壁」

 現状、SA・PAに設置されているCHAdeMOの急速充電器(40kW)で充電を試みると、各車両の受電能力の影響があるにしても、30分で入れられる電力量はおおむね20kWh前後が一般的とされます。     実電費5.5km/kWh前後のBEVであれば、100km程度は走れる計算ですが、バッテリー能力が70kWhとしたら、80%の56kWhまで入れようとすると、 30分×3回の充電時間が必要となり、各駅停車感は否めません。

 30分×3回=90分間という時間は、高速道路を走ったら100kmは軽く超えてしまう移動距離ですから、なんとも勿体ない時間です。  この「充電時間の壁」はBEVにとって致命的です。   40kWhの急速充電器でこれですから、20kWhの急速充電器だった場合、目も当てられません。    しかも、BEVのバッテリーは気温などによって充電速度が遅かったりするので、最悪30分繋いで数%しか増えない……なんてこともあるわけで、「充電時間」はBEV普及の最大のネックとなっています。

 解決策として、大容量の急速充電器が普及すれば、ある程度は充電時間短縮ができますが、現在整備が進んでいる90kWh急速充電器にしても、 マルチポートなので2台同時に充電すると、能力が半分の45kWhに落ちてしまうという欠点があり、「BEV充電時間の壁」はまだまだ超えられそうもありません。    高速道路でもこの状況なのですから、一般道ではさらに悲惨な現状となっています。

 道の駅などに設置されている、初期に導入された急速充電器は20〜40kWhと性能が低く、さらに、導入から年数が経っているので、老朽化による性能の低下や、故障が相次いでおり、 航続距離ギリギリでやっと充電器にたどり着いたのに、使えなかった、という最悪の事態もあり得ます。  急速充電器の寿命は10〜15年と言われますが、高額な修理費用を捻出できずにそのまま放置し 結果として閉鎖してしまう充電ステーションも多いといいます。

 特に車が必需品でもある地方都市における充電設備はまだまだ脆弱であり、自宅に充電設備がない人には厳しい状況です。  自宅に一般的な家庭用EV普通充電器を設置する場合、 工事費用は「約10万円程度」が相場とされまますが、その費用の一部をメーカーやディーラーが負担して、実際の工事費用は半分程度というケースもあるようです。

 ただ、これはあくまで、一晩かけてゆっくり充電する普通充電器(普通充電設備)の場合であり、1kW〜3kW程度の出力で充電する普通充電器の充電時間は、 40kW程度のBEV車で約16時間程度かかり、外気温によってはさらに時間がかかる可能性もあります。  したがって急用ができたので急いで充電して走りたい、 という使い方はできません。(2024.7.6 YAHOO!ニュース 引用)


   

非現実的な「自家用急速充電設備」

 急速充電器(急速充電設備)は、現在最大出力200A、総出力90kW程度まで出力が可能で、対応可能なEV車なら数十分〜1時間程度の充電で約200km程度の走行距離を回復できます。    近年では100kW以上の超高速で充電が行える設備も登場していますが、高圧電力が必要な設備のため、設置するには高圧契約に加え、高圧電力に対応した設備工事が必要になります。

 ガソリン車のように手軽に使いたいから、自宅に高性能の急速充電器を設置したいと誰しも考えますが、 急速充電本体の最多価格帯は200万〜250万円、 さらに、工事費用も250万〜1,000万(設置場所によって大きく異なる)と、ヘタすれば1,000万円は軽く超えてしまいます。

 さらに、充電スタンドを作っただけで終わりではありません。   当然ながら充電すればその都度電気料金が発生しますし、機械の整備や点検や保険などの維持費も必要です。     年間のランニングコストの目安は、「電気料金:40万〜100万円」、「整備費:30万円(メーカーにより異なる)」ほどかかるとされ、 最低でも月額換算で6万円以上維持費がかかる計算です。  お金持ち以外の人は到底手が届かない費用です。

 100kWh超えの充電器を設置しようとすると、2500万円くらいかかるとされ、さらに受電契約とメンテナンスに年間で約250万円かかるといいます。   これだけコストがかかると、 たとえビジネスとして高出力の充電器を設置して一儲けしようとしても、現在の日本では利益を生むことは極めて難しいのが実情です。

 現在、NEXCO管内では急ピッチで高出力の急速充電器を整備する計画ですが、たとえ高速道路上では充電問題が多少改善されたとしても、 使用量が圧倒的に多い一般道での充電環境は、これまで通り、というのでは日本でBEV普及がなかなか進まないというのも当然です。

 いまのところ、急速充電スタンドの設置には、国から次世代自動車充電インフラ整備促進事業という補助金が出ており、設置工事にかかる全ての費用から、 最大で2/3まで負担してくれますし、トヨタ、日産、ホンダ、三菱は、追加支援を設けているので、残りの1/3に関しても補助が出る場合があり、 うまくいけば設置費用を大幅に抑えることが出来ます。

 維持費に関しても、現在は急速充電器用の電力プランなど様々なものが出ており、年間で15万〜30万程度の節約が可能なので、自前の急速充電スタンド設置も夢ではなさそうですが、 故障やメンテナンスに掛かる費用も考えれば、自宅に急速充電設備を作るのは庶民には現実的ではありません。(2024.7.6)


   

勢いが弱まった「EV転換の風」

 英調査会社JATOによると、米国では2023年4〜6期以降、HVの販売台数が3四半期連続でEVを上回ったとされます。 23年10〜12月には、 トヨタ自動車の米国でのHVの販売台数が前年同期比49%増の約18万台と過去最多となり、20%増の約17万台だった米テスラのEVを逆転。  ホンダのHVも約4倍の約8万台と急伸しています。

 ブルームバーグ・ニュー・エナジー・ファイナンス(BNEF)は、電気を動力とする自動車の23年の販売台数を170万台と予測しましたが、最終的な売り上げは146万台にとどまっています。

 EVは、価格を気にせず新しいものに興味がある富裕層にはもういきわたったようですが、充電設備や価格がネックになる普通層にはまだまだハードルが高く、販売台数の伸びは期待できません。    純粋なEVに軸足を移すとしていた各自動車メーカーは、当初の取り組みから後退するかもしれません。

 現実に、メルセデス・ベンツは、2030年までに販売する新車をすべてEVにする計画を撤回しました。   韓国・現代自動車はHVの生産を強化するとしています。

 ブームも落ち着いてきた最近では、そろそろ電気自動車がもたらす“現実”を見つめざるを得なくなってきたようで、EVの欠点もそろそろ聞かれ始めています。 これまで脱二酸化炭素の掛け声に乗っかり、 EV路線へと突き進んだものの、高い製品価格、充電設備の不足、税額控除に関するルールの複雑さなどが露呈した結果、やっとEVの欠点を暴露し始めた、ということなのでしょう。

 その一つが EVは車重が重く駆動力が大きいため、タイヤに大きな負担を強いること。 北米では年間走行距離が5万マイル(約8万km) に達することも珍しくなく、最悪の場合、こうしたユーザーがEVを購入した場合、「2か月に一度」タイヤを交換しなければならない、という真実。   EVが普及しなければ、 タイヤの寿命問題がここまでクローズアップされることはなかったでしよう。

 そもそも、自動車市場の中でも大半の電気自動車はまだまだ高価であり、充電設備ひとつとっても、持ち家もない人々にとっては公共の充電設備がより重要になりますが、まだまだ不足しています。

 二酸化炭素・排出削減の大号令でEV化へと突っ走ったものの、貴重な各種レアメタルをどんどん消費する一方で、レアメタル乱採や廃棄・処分での環境破壊という負のサイクルを生み出した結果、 「二酸化炭素の削減には成功したが環境破壊に突き進み、地球環境をますます悪化させている」、という愚かな行動にせっせと勤しむこの現実について、22世紀の人間たちは呆れ笑うでしょう。(2024.3.4)


 

「2040年脱エンジン」に執着するホンダ

 2024年5月、ホンダは「2024 ビジネスアップデート」と題された記者説明会において、2022年に三部社長が宣言した、2040年にBEV/FCEV(燃料電池車)で100%を目指す電動化の方針に変わりはない、 とあらためて公表します。   この説明会の直後には、トヨタ、マツダ、スバルは電動化時代に向けた新しい内燃エンジンの開発を宣言しています。

  「脱エンジン」を宣言したホンダVS「内燃エンジンも継続する」とした他の日本メーカー、という構図が生まれたわけですが、果たしてこの勝負、どちらに軍配が上がるのか、2040年の車社会はどうなっているか、 興味は尽きません。   まあ、そのときには自動車の運転などおぼつかないヨボヨボの老人になっているかもしれませんが。

 そもそも、電池とモーターというシンプルな動力機構のBEVは、個性の固まりでもある内燃エンジンを搭載しないため、車の魅力・走りの差別化が難しいと言われます。     ホンダのBEVは、F1技術を活用したとされる高効率パワーユニットと空力技術による電費性工場や、 全高は他社平均と較べて10%以上低く、オーバーハングもやはり10%短くするなどのパッケージングで差別化を図るとしていますが、車はスタイルだけでは売れないというのも真理です。

 ミニバンで人気だった日産エルグランドは、発売当初は商用車的なバンタイプとは一線を画したスタイリングで人気を集めましたが、次期モデルは低くスマートなスタイルにモデルチェンジします。  それに対し、 トヨタは威風堂々スタイルのアルファードを投入。   もともとミニバンを望む客層は、低いかっこいいスタイルより、多少腰高でも家族がゆったり寛げる広々とした車内を望むわけで、案の定新型エルグランドは全く売れず、 逆にアルファードは一時期はカローラに匹敵するほどの販売台数を記録したこともあるほどの人気車となっています。

 ホンダも重心が低く、空力に優れる、オデッセイという上級ミニバンを販売していましたが、あまり販売台数は稼げなかったようです。   やはりミニバンは家族が広々車内でゆったり移動する、というのが基本コンセプトであり、 何でもかんでもスポーティーな形にすれば売れるというものではないはずです。

 車はどんな高性能の動力装置を搭載しているかも商品力に大きく影響します。   自動車産業は日本の稼ぎ頭ですが、その自動車の動力が、どこも似たり寄ったりの電池とモーターというのでは魅力も半減ですし、 世界中、誰にでも作れてしまうということです。   日本がこれからも自動車で稼いでいくには、日本独自の最先端技術を開発していく必要があります。  ホンダもせっかく良いエンジン技術の蓄積があるのですから、BEV主流ではなく、トヨタのように未来の自動車産業を支える期待がもてて、 かつ日本のエンジン技術を生かせる水素燃料のエンジン開発にもっと注力してもいいのでは。(2024.6.30)


 

(EV)はハイブリッド車の軍門に降るか

 電気自動車(EV)大手・米テスラは、世界的にヒートアップした(EV)ブームに乗り、2021年11月には、すべての日本メーカーの時価総額をはるかに上回る、1兆2000億ドル超(約185兆円)を達成。    2020年7月に日本のトヨタ自動車を抜いて、自動車メーカーとしては世界一となりました。

 しかし、2024年あたりから、テスラの株価が大きく下がり、4月19日時点で4600億ドル(約71兆円)まで暴落しています。  一時は次世代自動車の主流になると持て囃されていた(EV)ですが、 高価格で不便、おまけに運転時や再販時のリスクも山積している現状が露呈し始めたことで、やっと販売にブレーキがかかってきたわけです。

 そもそも、(EV)がもてはやされ、テスラの時価総額がトヨタの5倍に近づいたのは、バイデン政権の後押しで世界中がEVシフトを推進したことと、テスラのマスク氏が金融からクルマ、 そして宇宙開発にまで広がる壮大なビジョンを持ち、その「魔法」にウォール街が幻惑され、人気が先行した結果の「あだ花」だったのです。

 それに、エンジン車では日本車に太刀打ちできない中国が、(EV)を普及させて自動車市場を制覇しようとした戦略もあり、一時は猫も杓子も(EV)へと突き進んだわけです。     ところが、ここにきてバッテリーが重すぎる、充電時間が長すぎる、価格が高すぎる、厳寒に弱いなどの構造的なハードの問題が露呈したことで、 やっと市場も頭を冷やす人間が増えてきたわけです。

 (EV)の特性を理解していれば、普及がいずれ行き詰るのは自明のことでした。  日本もホンダのように(EV)完全シフトを宣言し、エンジン車を切り捨てようとするメーカーもありますが、 その点トヨタはしっかりとした戦略を立て、日本が誇る内燃機関技術を、一気に葬り去るような愚かな道は選びませんでした。

 豊田章男氏率いるトヨタは、EVという錦の御旗に逆らう反動勢力のようなレッテルを貼られ、メディアから散々叩かれながら、 ハイブリッド車というすでにある技術をさらに磨くという、いわば「地に足のついた経営」という地味な手法を採っています。  そしていまや、EVに代わってハイブリッド車が売れまくっている事実が、 トヨタの戦略は正しかったことを表明しています。(2024.5.1)


本当に電気自動車が主流になる?

 そもそも、100年以上開発し続け、世界中に数億、数十億台走り回っている内燃機関自動車(自動車)が、はたして全て(EV)に置き換わる時代は本当に訪れるでしょうか。   また、たとえその流れが拡大しようが、 そうなるのに果たして何十年かかるでしょう。

 乗用車は比較的容易に電気自動車に置き換えられるものの、本格的なカーボンフリーを考えると、最も難しいのは大きなパワー出すモビリティ、つまりバスやトラック、船舶、鉄道用、建設用機械などの、 脱ディーゼルエンジン戦略だと言われています。 これらのモビリティをもし電池エネルギーで代替えしようとすると、とてつもなく巨大で重いバッテリーを搭載しなければならず、現在の技術で実現は不可能とされています。    これらに対応できるパワーユニットで最も有望なのが燃料電池です。

 トヨタ社長の豊田章男氏は「私が生きている間は、(EV)が街を走り回ることはないと思います」、と述べています。  ドイツのメルセデス・ベンツやスウェーデンのボルボは、 2030年にすべての新車をEVにする経営目標を撤回しました。   市場は全部(EV)化を目指すのではなく、 内燃機関の代替となる新たな動力システムの実用化が本筋となりつつあり、(EV)はあくまで途中経過・繋ぎの技術で終わりそうな気がします。

 なぜそう考えるか。  まず電気自動車の決定的な欠点は「バッテリー切れしたらアウト」、という部分です。 それなら今の自動車だってガソリン(燃料)が無くなれば同じことだ、 という意見もあるでしょうが、大きな違いがあります。  それはズバリ、そうなったとき電気自動車には簡単な対策手段がない、という点です。

 日本で大雪になるとニュースになるのが、「数百台が雪で身動きできなくなった」とか「10時間以上も動かない」、という非常事態です。    2020年12月には、新潟、群馬県境の関越自動車道で最大2100台以上の車が52時間にわたり立ち往生しています。  こういう場合、 もし電気自動車に乗っていたとしたらどうなるでしょう。    暖房は必要ですから欠かせませんし、ワイパーを動かしライトを点灯させ、ニュースを聞きカーナビを操作する、 となったらバッテリーはみるみる減っていきます。

 自動車であればガス欠になったら近場のガソリンスタンドからガソリンを運んできたり、緊急手段で隣の車から少し分けてもらうという方法も取れなくはありません。  実際、2020年12月のときも新潟県から災害派遣要請を受けた陸上自衛隊が、 現場で食料やガソリンを配る活動を行いました。  共通して使え小分けできるガソリンだからこそ可能な緊急処置なのです。

 しかし、電気自動車では車種ごとに違う予備バッテリーを何百個も持っていくわけにもいかず、 まさか隣の電気自動車からバッテリー拝借というわけにもいきません。  移動できる充電装置があったとしても、一台ずつしか対応できず、まず現実的ではありません。 たとえ今後充電スタンドが増えていったとしても、 現在のガソリンスタンドの数とは比較にならないでしょう。  冬の豪雪地域や山奥、未開発地では、 電気自動車に乗るのはまさに命掛け?なのです。    また急速充電を行うと、現在のEVのリチウムイオン電池は熱を発し電池劣化が進み、電池寿命が短くなるとされます。(2017.12)


 

「テスラ排除」に舵を切った世界的レンタカー会社

 2023年12月、ドイツのレンタカー事業者シックストが、ラインナップからテスラを排除する方向にあると報道されます。  シックスト以外に米国のハーツレンタカーも段階的に廃止するとの報道があり、 レンタカー事業者のテスラ離れは、ますます広がるのではないかと見られています。

 理由の一つに「テスラ車のリセール(売却)バリュー低下」が挙げられています。  レンタカー事業者の利益は「レンタル収入 + 車両のリセール収入 > 車両購入価格 + 車両管理費 + 店舗や広告などの経費」の式で成り立っているとされますが、 テスラによる相次ぐ車両価格の値下げが、車両のリセール価格の低下へとつながり、レンタカー事業者の収益の悪化をまねいているというわけです。

 さらに、EVならではの理由もあるといいます。  電気自動車(EV)は1台あたりのパーツ点数は少ないものの、修繕となると費用が高くなる傾向があります。 特にテスラの場合、 バッテリーパックが構造材として車体の一部を構成しているため、交換が難しいどころか、ちょっとした事故で全損扱いになりかねないリスクを抱えているとされます。 また、割高な修繕費用に全損リスクを抱えているため、 EVの車両保険は自然と高くなる傾向があります。

 ガソリン車と比較して相対的に高い修繕コストは、レンタカー事業者にとって悩みの種であり、レンタカー事業者がテスラを保有するメリットは、今のところほとんどないといっていい状況なのです。 ただ、 テスラ車は敬遠しはじめているシックストですが、EVのラインナップ拡大は継続するとしており、中国のEVメーカー比亜迪(BYD)とパートナーシップを締結したとされます。

 レンタカー事業者によるテスラ車回避の影響は、2023年の販売目標約180万台とするテスラからすれば微々たる数字でしょうが、欧州ではレンタカーをEVのお試しとして使用している消費者も一定数いるといわれており、 今後のテスラ車購入行動にどのような影響を及ぼすのか気になるところです。(2024.1.5 国際トラフィックライター・小田坂真理雄)


  

EV主体の 「脱炭素ごっこ」に騙されるな

 自動車のエンジン(内燃機関)をEV化すれば、脱炭素社会が実現でき温暖化とおサラバできる、などという風潮が独り歩きしています。      しかし、そもそも世界の石油需要の55%は輸送用燃料の需要で占めるとされますが、そのうち自動車が消費する石油は全消費の21%に過ぎません。   たとえ自動車のEVシフトが急激に進んだとしても、大型車両や航空機、船舶などの石油依存は手つかずのままなのです。    これでは自動車だけ目の敵にしても脱炭素社会など到底実現できません。  EVがいくら普及しようが地球規模の脱炭素社会に大きな影響を与えることなど、土台無理な話なのです。

 地球温暖化は、国家、企業、個人に「変化すること」を強いている、などと構えられても、はたして温暖化そのものの根本原因に、自動車がどれほど悪影響を与えているというのでしょうか。     そもそも、インフラの問題は無視し、発展途上国にも(EV)が走り回ると決めつけるこのような極端な動きのそもそもの背景には、日本車排除を目論む中国や、 いまやハイブリットエンジン技術では日本に太刀打ちできない欧米の思惑があります。

 内燃機関だけをターゲットにした「脱炭素」ウンヌンのパフォーマンスは、先進国で豊かに暮らし、 これ以上経済発展や生活水準を向上させる必要などない者たちだけの、我々は環境対策を推し進めたのだという単なる自己満足アピールなのです。   そもそも、欧州連合が 「2035年にハイブリッド車を含むガソリン車の新車販売を禁止する」などとタンカを切ったところで、 欧州の石油消費は世界のわずか12%に過ぎないことを考えれば、先進国だけが独りよがりの 「脱炭素ごっこ」をやろうとしているだけなのです。    そもそも、本当の敵は炭素であり、内燃機関ではないはずです。

 次世代環境車の本命として欧州あげて喧伝していたディーゼル車が、実は「不正ソフト使用」によって作り上げられた「虚像」であったことが明らかになったという出来事がありましたが、 この「ディーゼル不正問題」の後に、それを無かったことにするかのように、大慌てで欧州が推進し始めたのが「EV=電気自動車」シフトなのだという話もあります。(大原浩氏)  ちなみに、 この不正を暴くのに使われたのが堀場製作所の測定器でした。   もともと、世界に自分たちに有利な「規格」を広げて、その「規格縛り」で優位なビジネスを進める、というのが欧州のお家芸なのです。

 EVが普及するには、初期コストの高さ、航続距離への懸念、充電時間の長さ、充電ステーションの不足など様々な要素の解消が不可欠です。 そもそも新興国、途上国の多くは電力不足とされています。    それらの国では充電ステーションなどのインフラ整備にかける予算も時間も到底ありません。  新興国が化石エネルギーをバンバン消費する動きの中では、充電設備の必要不可欠な EVの世界的普及などという話は、夢のまた夢の話であって、EVが世界中に普及する可能性は今世紀中はほぼ無いでしょう。

 そもそも、電気自動車は不便なのです。    中国やインド、ブラジル、アジアやアフリカなど、先進国以外で生活する65億人は、生活水準の向上に突き進むため、 今後も都市部以外はコストの安い石油やディーゼルを使う内燃機関車の需要がより増していくはずです。 このような環境下でEVが増えていったとしても、 現在世界中に14億台あるといわれるガソリン車がEVに置き換わるには、いったいこの先どれだけの時間が必要となるのでしょうか。

 また、いくら欧州や米国が「これからの新車はEVなど環境対応車に切り換える」などと言っても、2020年に世界で販売されたEVは、プラグインハイブリッド車と合わせても、たったの300万台とされます。    テスラは2030年までに年間2000万台を販売する目標を掲げていますが、たとえ「EV販売が年間2200万台のフロー」となろうとも、「自動車の平均使用年数は約12年」といわれます。    EVが「内燃機関車ストックの14億台にすべて置き換わる」までには、まだまだ途方もない時間を要するでしょう。

 それよりも、EVにとって代わる新たなエネルギー車、例えば、現状の内燃機関車エンジンを多少改造して、 ガソリンの代わりに水素燃料で走行できるようにするほうが、よっぽど脱炭素社会を実現できる可能性が高まります。  もし日本がこの技術を実現出来たら、 21世紀の世界のエネルギー産業をリードすることとなりますから、トヨタには水素燃料車実現に向け大いに頑張ってもらいたいものです。      自動車産業が国家経済をけん引する、資源を持たない日本は、「脱炭素」などとという絵空事言葉に踊らされず、現実を直視した自動車産業育成政策をとる必要があります。(2021.10.6 現代ビジネス 参考)


 

本当の気候危機など存在しない

 世界で「気候変動(危機)」を支持する科学者は、政府や企業、さらには圧力団体におもねる「御用科学者」を除けば、実のところ少数派とされていますが、 現実には「気候変動(危機)説」は多くの政府や企業による『多数派工作』によって「科学的根拠が無いまま広められ」、 利益目的の多数派によって決められた『地球温暖化論』がまかり通っています。

 そもそも気候変動要因は太陽活動そのもの(黒点の動きなど)が極めて大事なファクターとされます。  かつて南極大陸は緑の大地だったが現在は氷の世界であり、 実は現在の地球は氷河期の中の「間氷期」だと考えられています。   南極や北極に「氷が存在する」こと自体が地球が寒冷である事の証拠だというのです。

 つまり、このような重要な気候変動要因を論じずに、二酸化炭素の問題だけをことさら取り上げるのは、まさに「非科学的態度」だというわけです。   2022年に「量子もつれ」の研究によってノーベル賞を受賞したジョン・クラウザー博士は

 ≪....気候変動に関して人々に広められている物語は、危険なまでに腐敗した科学の反映であり、世界経済と何十億もの人々の幸福を脅かしている。(中略)そしてその誤った似非科学である気候変動は、 あらゆる悪いことを引き起こしているとされた。(中略)この似非科学は、同じ様に誤ったビジネス・マーケティング、政治家、ジャーナリスト、政府機関、環境保護論者によって宣伝され、拡大されてきた≫

さらに、≪...私の考えでは、本当の気候危機など存在しない。 しかし、世界の膨大な人口に良い生活水準を提供するという非常に現実的な問題が存在し、 それに関連するエネルギー危機は存在する。  このエネルギー危機は、私に言わせれば、間違った気候科学のせいで不必要に悪化している≫としています。

 「EV主体の脱炭素ごっこ」の悪夢から目覚めるには、「真実を伝えようとする声」が大きくなる必要があります。    しかし、現状は「民意は多数決で決するが、『真実』と多数決は無関係だ」ということがまかり通っているのが実情です。    ジャニー喜多川事件は、マスメディアではない媒体が昔から「真実」を伝えようと努力してきましたが、 大手メディアの隠蔽で世間に広がることはありませんでした。 その後、BBCの「黒船」報道によって、ようやく世間に拡散していきました。

 御用学者の意見ばかりを取り上げてきた新聞・テレビは、ジャニー喜多川事件と同様にクラウザー博士の(不都合な)発言にはいまのところだんまりを決め込んでいます。    例によって「報道しない自由」を駆使し良識ある科学者の意見は封印しているわけです。    大手メディアはジャニー喜多川事件で「見て見ぬふり」したことを形ばかりは反省した風を装い、 世間の批判をやり過ごした気でいますが、この「気候変動」問題についても「真実を伝えようとする努力」と真逆の姿勢に終始しています。  大手メディアの本質は変わらないのです。(2023.12.8 現代ビジネス 引用)


  

温暖化対策の解決にはならないEV普及

 これまで「ものづくりニッポン」は、家電敗戦、半導体敗戦、PC敗戦、液晶敗戦、スマホ敗戦など、「失われた30年」で数々の敗戦を喫してきており、 挙げていけばキリがない。 この先、自動車産業まで敗戦を喫してしまうのか、このままトヨタまで輝きを失ったら、日本経済は本当に大きく傾いてしまう、パラダイムシフトが起こっているときは、 それにいち早く対応しなければ生き残れない、目を覚ませ、と言う声もますます大きくなりつつあります。

 いまの日本社会は、このような目先だけの煽り話にすっかり影響されすぎてしまっている現状がありますが、こんな状況になったも、本来この動きはトヨタ、 自動車産業という一業界の話で無く政治の問題であるのに、この国を動かす政治家と官僚に未来を見据える力がないうえ、判断力、決断力、実行力、行動力が欠けている事情があるのです。   そもそもEVは決して未来の技術などではなく100年前に主流だった先祖返りの技術です。

 トヨタは実現不可能とされたハイブリット車を世に出し世界を席巻しました。  日本は船舶から農業機械、自動車まで、世界一とされる優れたエンジン作りのノウハウがあります。    日本はみすみすこれを捨て去る愚を侵そうとしているわけで、「EVは温暖化防止の救世主」などとする怪しげなスローガンに惑わされた挙句、 まさに亡国の道を自ら辿ろうとしているのです。

 いまのところ日本企業は安易なEV路線一本やりの戦略はとらず、(EV)車以外に水素や合成燃料エンジン車、発電専用エンジンでモーターを動かすe-POWER車など、 長年培った技術をベースにする全方位戦略をとり、この中の最善策を模索しているわけで、本来はこれが正しいやりかたでしょう。

 その一方、一刻も早く日本車も100%(EV)化せよと叫ぶ勢力も存在感を増しつつあります。  この勢力は未来を見据えた自動車の成長戦略は(EV)しかないとしますが、しかし、 はたして(EV)が唯一の自動車エネルギーとして世界に君臨する日は本当に訪れるのでしょうか。  むしろ、(EV)しか目に行かない今は、 日本の自動車業界にとってビッグチャンスになりうるかもしれません。   日本の自動車メーカーは先祖返りの古い動力システムに戻るという愚かな発想は無視し、 排気ガスを出さない水素エンジン車の実用化など、未来の自動車エネルギーを一刻も早く実現させるべきです。(2023.8.3)


 

失速気味となったEV販売

 2019年上期(1〜6月)の日本国内での乗用車の新車販売全体に占める電動車の比率が、上半期としては初の4割超えを果たしました。    ただ、その実態はハイブリッド車がメインであり、EVはむしろ減っています。  電動車販売の内訳は、HV(ハイブリッド車)60万8271台、7.3%増に対し、 PHV(プラグインハイブリッド車)8279台、28.9%減。  EV(電気自動車)1万0967台、26.6%減で、電動車販売の96%をHVが占めているわけです。    ちなみにFCV(燃料電池車)は391台、50.4%増となっています。

 日本市場でピュアEVが売れない要因として、短い走行距離に高い車両価格、不足気味の充電インフラなどが上げられていますが、なんといっても最大要因はバッテリーです。    航続距離を伸ばそうとすればバッテリーの容量を大きくしなければならず、その分車両価格は高くなります。

 さらにEV転換を進めCO2の排出量を減らすというのは世界的なトレンドですが、バッテリーを大量搭載するということは、電極の乾燥工程などバッテリー製造段階で大量の電気が必要とされ、 環境負荷が増えるということですから逆効果になりかねません。   EVが普及するにはユーザーニーズとのギャップや、インフラ整備など、まだまだハードルが高そうです。    初代リーフはバッテリー劣化などから中古車市場で大きく商品力を落としているともいいますから、日産のゴーン元会長が豪語した「日産が世界のEVの覇権を握る」、 という目標にはどうやら暗雲が立ち込めているようです。

 日本市場のユーザーは、コストや走行距離など実利重視の観点からHVを選択しているわけですが、 世界最大の自動車市場を誇る中国でもEVの普及はなかなか進まず、むしろHVがクローズアップされつつあるようです。    EVの普及にはまだまだ多くの課題を抱えている、というのが現状のようです。(2019.8.24 msnニュースより)


ドイツではEV所有者の大半が後悔している

 グリーン化にまい進するヨーロッパですが「草木もなびく」ようだったEVシフトへの流れが変化しつつあるようです。  ドイツにおいて充電システムを販売している会社の委託で行われた最近の調査で、EV所有者のうちの大半が、 現在、EVを購買したことを後悔しているという結果が出ているといいます。    その最大の理由は電気代の高騰だそうで、原発を止め風車ヘシフトしたものの、思ったように風が吹かず石炭や褐炭を炊き増しつつ、高いLNGまで発電に注ぎ込んでいるものの、 それでもまだ足りないといいます。

 ドイツには3万本近い風車が立っており、発電容量はすでに64GW、つまり、原発60基ほどもあるとされますが、全然賄えていないわけで、自然任せの発電はリスクが高いわけです。 しかも、 風車を増やせばいいという話でもなさそうで、風車は増えれば増えるほど電気代が高くなり、供給も不安定化することがわかってきたため、今やドイツ政府の信用はガタ落ちだといいます。

 車大国ドイツの2023年1月の登録台数は過去最高の4880万台で、うち2.1%がEVとされます。  EVはまだまだ少数派で、ドイツの自動車メーカーも、ガソリン車をまだたくさん製造しているというわけです。    そもそも、本気でEV一本やりを目指しても、中国のBYDなどといったライバルが強すぎ、同じ土俵で戦っても太刀打ちできません。

 「地球を守るため」などという迷信にまんまと乗せられ、100%EVなどという非現実的な愚策で迷走するドイツは、「ハイブリッド車などの先端技術では日本勢に歯が立たず」、 「EVは中国が製造する『安い製品』に対抗できない」という崖っぷちに立たされつつあるようで、 今後どのような方向へ進むか、要注目です。

 欧州連合(EU)から離脱した英国は2023年9月、グリーンビジネスに多額の投資を予定していた投資家や事業者からの反対にひるむことなく、ガソリンやディーゼルを動力源とする内燃機関(ICE)車の新車販売禁止を、 それまでの目標であった2030年から5年遅らせ、2035年にすると発表します。     いまやグリーン化の「強化」だけでは有権者の支援を得られなくなってきたということのようです。(2023.9.22 現代ビジネス 引用)


 

EV時代の到来に「待った」をかけるトヨタの戦略

 2019年4月、トヨタは“虎の子”技術のHVを中心とした電動車の関連技術の特許を、無償で開放する方針を公表しました。    このトヨタの方針転換は、HVをさらに普及させることで自社のビジネスを有利に導こうという深慮があると見られます。

 自動車検査登録情報協会によると、2018年3月末の日本国内のHV保有台数は、約751万台(軽自動車を除く)で、乗用車の5台に1台はHVとなり、「普通の車」に近づいてきています。

 開放されるのは、モーターやPCU(パワー・コントロール・ユニット)、システム制御、エンジン、充電機器などが対象で、無償提供の期限は2030年(令和12年)末までとされます。

 この背景には、多くの自動車メーカーがトヨタ方式のHVを生産・販売するようになれば、システムに組み込まれる部品の生産量が膨らみ、 コストダウンとなり収益改善が図れる、というメリットが期待できるのがまずひとつ。

 さらに、本当の目的はHV時代を盛り上げ、いつかは来るとされるEV時代の到来をできるだけ遅らせる、という点にあると言われます。    現状の環境規制に対応するためには、2030年時点で世界販売に占めるEVの比率は20%前後と予想。

 そこで、エンジン車を全部HVに置き換えれば、その分CO2を削減できるため、20%必要なEVの比率を10%程度にまで押さえ込める、という目論みもあるようです。    それまでにHV特許を無償開放し、EV全盛時代の到来に一定のブレーキをかけておき、HVをEVの追随を許さないエコカーの“世界標準”として広く普及させておき、 いずれトヨタが得意とするFCVが普及する環境が整うのを待つ、という長期的戦略が背景にあるわけです。

 そもそも、EV時代が来れば現在使われているエンジン部品の需要が激減し、日本勢が得意とする加工技術の必要性は激減し産業構造にも大打撃となります。   さらにトヨタグループの強さの源泉とされる、部品メーカーなどとの緊密な系列構造の維持も難しくなります。

 はたして、EVに注力している世界の自動車メーカーの動きに一石を投じるこのトヨタの戦略が、今後の環境対策カーの販売競争にどんな影響を与えていくのか、今後の展開に要注目です。 (2019.5.16 THE SANKEI NEWS 引用)


  

中国は道を間違えている?

 中国のSNS・微博(ウェイボー)で「電気自動車(EV)を急速に発展させる中国は道を誤っているのか」との話題が大きな注目を集めます。  投稿者の男性は「最近、私は日本と韓国に十数日滞在したが、この間、 二つの国で見たEVは合わせて10台にも満たなかった。 ちょっとおかしいと思った。 EVはエコでコストも安いはずではなかったのか。 しかも、日本や韓国の科学・製造レベルを考えれば、EVを広めるのはわれわれ(中国)よりもずっと簡単なはずなのに。  なぜ日本や韓国ではEVをあまり見かけないのか」と疑問を呈します。

 その上で、「私は日本で長年生活している知人に聞いた。 彼の奥さんは以前、スバルで働いていたことがあるそうだ。 彼らは私にこう言った。 実は日本や韓国、多くの先進国はずっと前にEVを広めようとしたことがある。    しかし、その過程で三つの深刻な問題を発見した」と説明。 「第一に、EVは実はエコではないこと。 EVの電気の多くは火力発電によって賄われているから。 第二に、電池が劣化した際に交換が必要で、 そのコストが莫大であること。  第三に、最も重要なこととして電池による汚染が非常に深刻ということ。  現在のところ、エコな方法で完全に電池を分解できる国はない」として、 「彼女の話を聞いて私はふと思った。 私たちは道を間違えているんじゃないかと」と漏らしているのだとか。

 これに対し、「日韓はガソリン車が発達している。 誰も自分で自分の生命線を改革しようなんて思わないさ」。 「中国がリードする分野は何もかも『間違っている』と言いたいのだろう」、 などと男性の主張に異を唱える声が多く出ているようです。

 その一方で「ずいぶん前からこういう感覚があった。 もしEVがエコで持続可能な健康的な発展が可能なら、科学研究や製造業で世界トップクラスの日本が手を出さないわけがない」、 と賛同を示すコメントも寄せられています。(2023.8.15 msnニュース引用)

 いずれにせよ、電気自動車が主流で内燃機関車が従だった100年前の車社会が再び再来するのか、それとも、EVは次世代エネルギー車の一時的な繋ぎとして短い期間使われるだけで、 いずれその役目を終え消え去るのか。     その答えはまだ見えていません。  しかし、いつでも、どこでも、どんな手段でも、簡単迅速に車に動力エネルギーを充填(給油)できる、というのが 日常の移動手段である自家用車・トラック・バスにとって生命線であり、だからこそ、発展途上国、どんな未開拓地にさえ無数の内燃機関車が走り回っているわけです。

 一方、EVは専用の充電ステーションを設置し、かつ充電に数時間もの時間が必要です。  数分で給油完了する内燃機関車であれば、緊急の場合でも用を足せますがEVはそうはいきません。    さらに内燃機関車は給油さえすれば数十万キロ以上走り続けられますが、EVの電池は数年で交換する消耗品であり、その費用も莫大です。     そもそもEVは電池がネックとなり内燃機関車よりはるかに高価な製造コストがかかっています。

 動力エネルギー充填の簡易化、電池寿命の問題、内燃機関車より高い維持コスト。  これらを内燃機関車レベルまで持ってくれば、この先のEV普及にも希望が出てきますが、現状の電池技術では、 発展途上国にまでEVが普及するというのはどう考えても無理な話でしょう。   内燃機関車に置き換わり世界中でEVが走り回る時代が到来するというのは、 よほど特別な電池が発明されない限り、実現しそうもない夢物語なのです。(2023.8.15)


 

制約のない資本主義の象徴

 2019年以降、中国では都市部で大量の電気自動車(EV)が廃棄される「墓場」が存在するとたびたび報じられています。  これらのEVの多くは、2015年頃から中国政府のEV普及政策の一環として奨励した、 EVカーシェアリング事業で使われたものだとされます。   当時の中国政府は購入補助金などを通じてEV市場の拡大を主導し、カーシェアリングやリース方式で普及を促進させることで、 EVの個人消費を拡大し、安全な乗り物として認知させようとしたわけです。

 中国政府は2000年代後半からEV1台あたり最大6万元の購入補助金を支給しており、一部の大都市ではガソリン車の保有制限も始めます。    EVカーシェアリングサービスの優遇措置が始まった2015年以降、 中国の地場自動車メーカーは競ってカーシェアリングサービスに自社のEVを提供する会社を設立していたわけです。

 2019年には約500社のカーシェアリングサービス会社があったとされます。  ところが2019年に中国政府がEV購入補助金の減額に踏み切り、これにより多くのカーシェアリングサービス会社が政策変更に対応できず、 資金繰りに大きなダメージを受けた結果、経営破綻などで現在は約100社にまで激減し、特定の車種が大量に埋められているとも報じられています。

 その一方、2019年12月、「新エネルギー車産業発展計画(2021〜2025年)」が発表され、2025年までに新エネルギー車(NEV)比率を25%に引き上げる目標が掲げられます。  これにより、 EVの主戦場はカーシェアリングサービスから個人消費へと大きくシフトし、購入補助金などの政策によりEV市場は予想をはるかに上回る規模で拡大。  2020年以降はコロナ禍による都市封鎖があったものの、 2022年のNEV販売台数は689万台、シェアは25%を超えるまでに成長し、結果的に先の計画は達成されたことになります。

 現在の中国市場におけるEVブームは、ある意味こうした政策によって人々がEVを正しく認識できるようになったことに起因するといえますが、そもそも、バッテリーの製品保証期間は5〜8年であり、 2010年代半ば頃から使用されているEVバッテリーは、すでに耐用年数を迎えています。   こうしたバッテリーを搭載したEVが大量に廃棄され続ければ、環境への影響は避けらず、 一刻も早いEVバッテリーから有害物質を除去し、安全に廃棄する技術の確立が急務となっています。

 中国におけるEVや自転車の「墓場」は、無秩序に調達された資金による「制約のない資本主義の象徴」であるともいえますが、資源の無駄遣いの行き着く先は富の損失でもあります。     役目を終えた大量のEVが廃棄され、「墓場」と化し環境破壊だけが残るという事態はいまや放置できない問題となっています。(2023.9.1 webニュース 引用)


中国「EVバブル」終焉か

 テスラや中国BYD(比亜迪)製のEVは日本でも販売されていますが、中国製EVが街を走っていることを見かけることはありません。  最近中国ではEVは全く売れず、在庫の山となっているとされ、 大手の「BYD」など数社を例外に、ほぼ軒並み倒産してしまったといいます。  いよいよ中国は「EVバブル」の終焉をむかえたようです。

 2021年ごろから中国の新興EVメーカーの破産が目立ち始め、「バイトン(拜騰汽車)」、「奇点汽車」、「雷丁汽車」といったメーカーが次々破産しています。    急拡大した中国EV市場で雨後のタケノコ状態だった中国EVメーカーですが、中国の不動産大手「中国恒大集団」の子会社がEV製造に乗り出したものの900台しか売れなかったといいますから深刻です。  今後、 EVメーカーの約7割が倒産すると予想されており、どうやら淘汰(とうた)・再編ムードに切り替わったようです。

 日本も戦後2輪メーカーが乱立した時代がありましたが、その中からホンダ・ヤマハといった強豪が生き残り、後に世界を席巻するオートバイメーカーとなったわけですが、 はたして中国のEVは日本製オートバイのように世界中に浸透し市場を独占する時代を作れるでしょうか。  それとも粗製乱売の結果、市場から淘汰されてしまうのでしょうか。(2023.12.3 msnニュース引用)

 EVの販売不振は中国だけにとどまりません。 今年の韓国の電気自動車販売台数は昨年より減少したとされます。 マツダの毛籠勝弘CEOは「EVは確かに重要なテクノロジーだし開発も進めています。   ですが、米国におけるEVの市場シェアは昨年が約6%で、今年が8%。 その8%のうち57%はTeslaが占めており、残りのEVはあまり売れずに、在庫を抱えているのが実情です。   ゼロエミッションが達成可能かどうかは、お客さまのチョイスと社会のインフラ次第です」としています。

 11月28日には全米のディーラー約3,900社が連名で大統領に書簡を送り、「政府のEV購入補助金でショールームに足を運ばせることはできるが、無理に買わせることはできない」と窮状を訴えて、 EV販売義務化を遅らせるよう陳情したといいますから事態は深刻です。 消費者のアンケートでは「いずれEVに入れ替わる」と回答する層が半分だそうですが、 そう回答するディーラーは3分の1にも届かないそうで、そこにも深い認識のギャップがあるようです。(2023.12.5 ギズモード・ジャパン)




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