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加速する電気自動車(EV)化

 2017年は各国がガソリン車とディーゼル車の販売禁止の方針を打ち出し脱エンジン、脱内燃機関が世界的な潮流となりました。   今後世界の自動車業界の競争の軸は電気自動車(EV)、ということがほぼ決定された年となりそうです。  2018年は真のEV元年になるかもしれません。

 これを受け大手自動車メーカーの首脳は、次々にEVの投入計画を発表していきますが、はたして本当にガソリン車やディーゼル車に替わりEVが走り回る時代が到来するのでしょうか。    水素自動車のような燃料系動力車は主流とはならないのでしょうか。

 いまのところ世界のクルマの売り上げでEVが占める割合はほんの少しであり、そのシェアは現在のところわずか1パーセント以下といわれます。  しかし、いまや世界各地で内燃機関に終止符を打とうとする動きが加速しており、 ノルウェーのように自動車販売の30パーセントをEVが占める国まであらわれています。

 一方、EVが内燃機関エンジンにとって代わり、主流になるという考えに否定的な意見もあります。  EVは、天然ガス自動車(NGV・natural gas vehicle)や燃料電池自動車(FCV・Fuel Cell Vehicle) の露払いを務めるだけで終わる.......そんな見方も強まっています。

 「EVは航続距離の短さや車両価格、充電インフラの課題が解決されていない。 バッテリーの劣化の問題もある」、というものですが、 いずれも技術の向上でクリアできそうなものばかりで、そればかりではEV化を否定する決定的な理由にはなりません。

 我先に(EV)に向かう理由として、世界市場の4割を占める中国市場が、内燃機関開発では日本メーカー特にトヨタに太刀打ちできないから、簡単な(EV)化に舵を切った、という背景があります。    だから、EV支持派は「ガソリン車の技術を捨ててEV化を行う以外、生き残る道はない」、という極論を持ち出すわけです。(2017.12)

 2024年時点で、トヨタ自動車の豊田章男会長は《....電気自動車(EV)の市場シェアは最大でも3割、残り7割はハイブリッド車(HV)、燃料電池車、水素エンジン車などになる》と予測しています。 はたして、 この先自動車を取り巻く環境はどう変化していくか、「エンジン車は必ず残ると思う」とした豊田会長の読みはズバリ当たるのか、見守りたいと思います。(2024.1.24)

  
 

燃焼エンジンの未来....2030年にガソリン車はなくなる?

 2017年あたりから、世界中でEV(電気自動車)シフトの機運が高まり、「2025年から2030年までの間に燃焼エンジンよりバッテリー型電気自動車のコストの方が安く」、 なるということで自動車業界が100年に一度の大転換期を迎えるのでは、という風潮が広がりました。

 2017年7月には英仏両政府が「2040年までにガソリン車やディーゼル車の販売を禁止する」と宣言。    ガソリンのみで稼働するエンジンは、早ければ2020年にも欧米の排ガス規制を順守できなくなるとしています。

 ボルボ(スウェーデン)はエンジン車から撤退して2019年以降に発売する全車種をEVなどに切り替えることを表明。  VWも2030年までにはグループ全体で300種類以上あるモデルを、 すべてにEVかPHVを設定する計画を発表しました。

 すでにオランダやノルウェーでは2025年までにガソリン車やディーゼル車の販売を禁止する法案の準備が進められていて、ドイツでも2030年までに発火燃焼エンジン、 要するにガソリン車とディーゼル車を禁止する決議案が連邦議会で採択されています。

 自動車の市場規模世界5位、大気汚染が深刻なインドでも6月に2030年までにガソリン車、ディーゼル車の販売を禁じて国内販売を電気自動車(EV)に限定する政策を打ち出しました。     自動車の2大市場である中国や米国では、2018年から2019年にかけてEVなど次世代車の販売割合を義務付ける規制が導入され、 2025年にはガソリン車1台につき500ドル(約5万6000円)の罰金が科せられるとみています。

 日本メーカーも、スバルは、「2030年までに、全世界販売台数の40%以上を電気自動車(EV)もしくはハイブリッド車にする」という目標を掲げています。(2017.12)    「....スバル車の特長は、水平対向型という、独ポルシェなどごく一部を除いて量産されなかったエンジン形式を軸足として、セダンなどでも積極的にAWDを採用するという、独自の商品性にある。    そうしたスバルらしさに惚れ込んでスバルに入社した人、またスバルの販売店で業務にあたる人が大勢いて、彼らの思いがユーザー(とくに「スバリスト」と呼ばれるスバルのファン)のスバル愛を生み出し、 支えていた。(自動車ジャーナリスト・桃田 健史)....」わけですが、これからスバルはどう変化していくのでしょうか。

 2021年4月、ホンダは、2040年までにすべての四輪車をEV(電気自動車)とFCV(燃料電池車)にする計画を発表しました。  つまり、ホンダは19年後にはハイブリッドすら廃止し、 ガソリンエンジンの生産から完全に撤退するとしたのです。

 その一方で、内燃機関搭載のクルマままだまだ無くならないと予想する勢力も存在します。   マツダは、ハイブリッド車やプラグインハイブリッド車を含めると、 内燃機関を搭載するクルマは、2035年においても全体の84%を占めると試算しています。   トヨタ社長の豊田章男氏も、 「私が生きている間は、(EV)が街を走り回ることはないと思います」、と述べています。   「消費者=国民、にとって最善の車」を供給するのが自動車メーカーの役割であるということを認識しているのです。

 昨今は100l(EV)というより、「走行にはモーターのみを用い、エンジンは発電用として用いる」、「バッテリーの電力残量が減ると内燃機関で発電する」という、 内燃機関を搭載している(EV)、というパワートレーンを使い分けるシステムスタイルが続々誕生しており、むしろ今後はこの方式が主流になっていくのかもしれません。(2021.1.3)


 

「HV(Hybrid Vehicle)」の基礎知識

 「HV(Hybrid Vehicle)」とは、エンジン、モーターといった2つ以上の動力源を備え、モーターのみでの走行も可能な車ですが、ただモーターはあくまで燃費をよくするための補助的な役割であり、 結局はエンジン走行がメインであり燃料は消費します。    また駆動用バッテリーへの充電も(EV・電気自動車)や(PHV)のように外部からはできず、エンジン回転→発電機回す→駆動用バッテリーを充電する、というシステムになっています。

 そもそも(HV)が登場した当時は充電設備など整っておらず、駆動用バッテリーへ充電するということが不可能だったわけで、そのため、外部からの駆動用バッテリーへの充電は不要なシステムとなっているわけです。      充電はあくまで内燃機関のエンジンが担っています。  ただ近年では(HV)でもバッテリーに直接充電できるものが徐々に増えています。  (HV)や(PHV)(EV)の駆動用バッテリーは従来の鉛電池ではなく、 リチウムイオン電池やニッケル水素電池などの二次電池が使われ、何回も充電しながら使うようになっています。

 これに、「回生ブレーキ」というシステムが取り入れられています。 これは走行中の制動力をうまく使い、運動エネルギーをバッテリーに「回」収し(充電)、その電気エネルギーを走行に「生」かすもので、 モーターは発電時には大きな抵抗を生じますが、この抵抗をブレーキ代わりに使うことで車のスピードを減速させ、かつ駆動用バッテリーに充電しています。     昔からモーター式エレベーターなどに使われていて、巻上機(モーター)に重さに引っ張られるような力がかかると、モーターが発電機の働きをして蓄電するわけです。

 一口に(HV)といっても、エンジンが主で必要に応じモーターがサポートする「パラレル方式」。   エンジンを発電用として使用し、その電力でモーターを駆動させて走行する「シリーズ方式」。     「パラレル方式」と「シリーズ方式」の動力源を上手く使い分ける「シリーズパラレル方式」があります。  最近はプラグインハイブリッドカー(PHV)という駆動バッテリーを外部から直接充電できる新世代のハイブリッドシステムも登場し、 駆動バッテリーの充電をエンジンが燃料を消費しながら行わなくてもいいタイプが出てきました。

 従来の(HV)はモーターでの走行はせいぜい数kmしかできず、それ以外はエンジンを併用したハイブリッド走行になります。   それに対し(PHV)はモーターのみでの走行が50〜70kmも可能となっていて、 かなりの距離をモーターだけで走行できるので、その間は完全にエンジン停止できますから燃料を大幅に節約できます。   ただ、当然ながら(PHV)は(HV)より大幅に駆動バッテリーが大型化されており高価です。

 外部から充電可能なのは(EV)も同様ですが、(EV)は航続距離はバッテリー容量頼みで、長距離を走れる(EV)はまだまだかなり高価です。  また充電時間の長さも課題であり、まだまだ長距離を手軽に移動できる乗り物、 とはほど遠い存在です。   (EV)や(PHV)は駆動用バッテリー容量で燃費が決まるといっても過言ではありません。    そのためバッテリーはモデルチェンジごとにどんどん大型化していますが、駆動用バッテリーは部品コストが高く、 容量を大きくするとその分コストが増加します。   いくらバッテリーを大型化させて燃費を良くしても、車自体の購入費用が高ければ燃料代分の経済性はすぐに吹き飛んでしまいます。  また、充電時間の問題もあります。

 いまは次世代自動車パワートレーンの本命などと持ち上げられている(EV)ですが、はたしてバッテリーの技術改善やコスト低減によって(EV)が自動車の中核となる、などという時代は本当に到来するでしょうか。    いずれ水素エンジンなどの新世代自動車パワートレーンが登場するまで、(HV)や(PHV)がしばらく市場を席捲し、(EV)はそれほど市場に出回ることなくいずれ消え去る、というストーリーがいまのところ現実的です。(2023.8.27)


 

次期自動車パワートレーンを巡る攻防

 いまだ次期自動車パワートレーンの本命は何になるか不確定ですが、完全な電気自動車(EV)の需要はまだまだ低空飛行のようで、2023年の米国での販売に占める割合は、HVが7%、完全EVは9%程度で、 いまだに内燃機関車が80%以上を占めると予想されています。

 いずれにせよ(EV)が抱える初期コストの高さや航続距離への懸念、充電時間の長さ、充電ステーションの不足といった諸課題が解消されない限り、(EV)が自動車パワートレーンの本命になることはあり得ないわけで、 この先も当分ガソリンエンジンと電気モーターを併用するハイブリッド車(HV)(PHV)が主流の時代は続くはずです。

 現に米国フォード・モーターは最近、今後5年間でHVの販売を4倍に増やす計画を公表しており、 「未来の自動車パワートレーンが何になろうとも、これからも当分HVが重要な橋渡し役」を務めるのは間違いなさそうです。  (HV)については、日本メーカーはこの分野で優位を保っており、 特に(HV)先駆者トヨタとそのプレミアムブランドであるレクサスは、少なくとも18モデルの(HV)を販売しています。

 自動車検査登録情報協会によると、2009年のハイブリッドの乗用車は52万5411台でしたが、その10年後の2019年には845万3451台まで増加し、10年で約16倍もシェアを伸ばしました。      ブランドによってはガソリン車を上回る販売台数のケースもあります。  いまのところ日本企業は安易な(EV)路線一本やりの戦略はとらず、(HV)、(PHV)、水素自動車や合成燃料エンジン車など、 長年培った技術をベースにする全方位戦略をとり、 この中の最善策を模索しているわけで、本来はこれが正しいやりかたでしょう。(2023.8.26)

  
  

モーターサイクルの未来図

 2023年12月12日、川崎重工業は同社の「グループビジョン2030進捗報告会」において、傘下のカワサキモータースが開発した水素を燃料とする排気量1000ccクラスモーターサイクルの試作車を公開しました。    カワサキは2021年頃から水素燃焼エンジンで先行するトヨタの呼びかけに応え、既存のエンジンをベースに水素燃焼エンジンの開発に着手しており、翌2022年にはカワサキH2の1000ccスーパーチャージャー付きエンジンをベースとした エンジン単体として試作機を完成させています。

 今回公開されたモーターサイクルは、そのエンジンを搭載しており、形態としてはH2の現行市販モデルであるH2SXに準じたスポーツツーリングモデルで、2024年には実走試験を開始する予定としています。   電動モーターサイクルは、特に小型のスクーターやコミューターのようなモデルであれば、操作や操縦に違和感を抱くことはないので、実際、電動スクーターは主に業務用として、ゆっくりしたペースではあるが普及し始めているとされます。

 しかし、高性能の趣味性を重視したスーパースポーツモデルにおいては、電気モーターと内燃機関では「操作感や操縦性が大きく異なる」とされます。  その点、 水素燃焼エンジンであれば既存の内燃機関メカニズムをそのまま使えるので、実際の操作感や操縦感は違和感なく扱えますし、従来の内燃機関モデルと大差ないレベルにチューニングすることも、おそらく難しくないだろうと見られています。

 2023年6月には、カワサキ、ホンダ、スズキ、ヤマハの国内メーカー4社によって、水素小型モビリティエンジン技術研究組合(HySE)が設立されています。   これは小型モビリティ用水素エンジンの実用化に向けた共同基礎研究を行うのが目的とされます。

 HySEが構想する水素燃焼内燃機関は、モーターサイクルだけを対象としているわけではなく、小型の建設機械や農業機械、エンジン駆動の発電機やポンプなど、産業機械全般にも応用できるとされます。  これらの分野で使用される燃料を、 ガソリンや軽油から水素に切り替えることが可能になれば、技術の将来性はさらに広がると期待されます。

 さらにカワサキの構想する水素ビジネスは水素燃焼モーターサイクルだけではなく、「航空機エンジン分野への参入」も視野に入れているといいます。  実際、H2SX用エンジンをベースにしたハイブリッド用パワーユニットを、 フランスの航空機ベンチャーであるボルトエアロに供給することが決定されています。

 カワサキが将来的にビジネスとして広く展開することを目指す水素燃焼内燃機関は、モーターサイクルや航空機分野だけに留まらず、これまで産業界で大きな役割を果たしてきた小排気量内燃機関全体にも適用できると期待されており、 日本の基幹産業全体の将来にとって、重要かつ意義深いプロジェクトとなりそうです。(2023.12.25 浅野良・フリーランスノンフィクションライター)


合成燃料エンジン車、商用化の動き

 2023年3月27日、日本政府は、欧州連合(EU)が合成燃料車に限って2035年以降も生産を認めることに関連し、合成燃料を利用した内燃機関(エンジン)車の商用化に向け、 技術開発に取り組んでいくとの見解を示します。   日本は従来から電気自動車(EV)や燃料電池自動車に加え、合成燃料の活用も選択肢の1つとしていました。

 松野官房長官は、EUがドイツの反発を受けて2035年以降も「e−fuel(イーフュエル)」と呼ばれる合成燃料の利用に限り認めることを決めたことに関しては、「他国の制度に関するものであり、コメントは差し控える」としつつ、 日本の自動車産業にとって欧州市場は約1割の販売台数を占める市場であり「高い関心を持って状況を注視していきたい」と語ります。(2023.3.28 Reuters 引用)

 それ以外にも、「LNG(液化天然ガス)」はタクシーのメジャーな燃料であり、10年間で数十万q走るタクシーに使われています。   LPGスタンドは全国的に普及しおよそ1900軒(ガソリンスタンドは30000軒以上)あり、 販売網・流通網が整備されています。   水素ステーションも目標の1000軒を達成すれば、トヨタはタクシー車両の9割を独占しているとされますから、水素自動車の普及に弾みがつき加速度的に普及するはずです。(2023.8.23)


  

このまま先祖返りしてしまうのか、自動車エネルギー

 2023年時点の自動車を取り巻く情勢はEV化への流れが草木も靡くほどの勢いで広がっているわけですが、そもそも、車の動力エネルギーとして真っ先に実用化されたのは電気自動車でした。    ダイムラーが内燃機関を発明したのは1885年とされますが、電気自動車は内燃機関よりも古い1839年から用いられている技術であり、 いわば電気自動車は先祖返りのローカル技術なのです。

 1900年頃には、全世界の自動車の40%を電気自動車が占め、ニューヨークのタクシーはすべて電気自動車が走り回っていたといいます。   当時は、誰もがこれからは電気自動車の時代であると確信していたわけです。  しかし、その後ガソリン車の技術革新が進み、 結果、電気自動車より優位性が認められるようになり、電気自動車は市場から次第に姿を消していきました。 100年ほど前は(電気自動車)から(内燃機関車)へという、 現在とは真逆な流れが繰り広げられていたのです。

 それが「地球温暖化」という流れが加速していった関係で、大した影響もない内燃機関車が真っ先にやり玉に挙げられていきます。  その背景には、内燃機関車ではもう日本メーカーに太刀打ちできない 欧州メーカーと中国の戦略があります。  特に今後も主流を占めていくと思われる「ハイブリッド車」はトヨタが市場を席巻しており、欧米は永遠に追いつけないでしょうし、中国に至っては逆立ちしても無理です。     そのためトヨタ以外の自動車メーカーは「温室ガス削減」というスローガンを錦の御旗として、この機会を逃さず一斉にエンジン車を排除しEVへシフトしようと、 100年前の世界に戻る道を一生懸命歩んでいるのです。  ただ、EV一本やりというより、エンジンと併用する(HEV)が主流となっていくかもしれませんが。

 2022年の段階では、EV/プラグインハイブリッド車(PHEV)の販売台数は1000万台、販売比率は14%を超えたとされます。  ただ、世界には14億台の(内燃機関車)が走り回っているとされ、 全て置き換わるには100年以上かかる計算となり、その間電気とモーターに変わる自動車動力が生まれてこないというのは考えにくい話であり、本当に自動車の動力がEVオンリーになるのか、はなはだ疑問です。

 トヨタの社長章男氏は「100年以上に渡り進化を遂げてきた内燃機関を、未来のエネルギーとして期待される水素を活用して更なる可能性を探る」というスタンスをとってきたわけですが、 そのバトンを引き継いだトヨタの新社長佐藤氏は、「2026年までに10車種の電気自動車を展開し、年間150万台のEVを販売する」と宣言しています。  さらに、 2030年までに350万台のEVを販売し、35年までに二酸化炭素排出量を半減させ、2050年には脱炭素を達成する公約を掲げています。

 このままトヨタがEVシフトへ大きく舵を切ることは無いでしょうが、常に新たな技術革新を成し遂げてきた人類の歴史上、昔の技術に逆戻りさせて成功させた、という例はありません。     もし佐藤新社長が主張する「未来の車への新しいチャレンジ」が電気自動車推し、というのでは、 自動車動力を100年前に先祖返りさせることです。       いつか来た道を再び歩むことなどないよう、 佐藤社長には是非、「次世代自動車エンジンの本命は水素燃料車」とまでいかずとも、 すくなくとも「EVしかない自動車動力」という悪夢が実現することのないよう「新時代の基軸となる新たな自動車動力」を是非実用化して頂きたいものです。(2023.6.28)


EVの電池にかすり傷で全損扱い・の現状

 これまであまり報道されていませんでしたが、現在のところ、事故により電気自動車(EV)のバッテリーに軽微な損傷があっただけでも、 修理や評価が不可能となっています。    一部の国では、こうしたバッテリーパックが廃棄物として山をなしているとされ、想定されていた「循環型経済」にとって手痛い落し穴となっています。

 (EV)の場合、ちょっとした衝突事故でもバッテリーを廃棄せざるをえないわけで、これにより保険会社としては、たいした距離も走っていない車両を全損扱いとせざるを得なくなります。     これでは走行距離の少ない「ゼロ・エミッション」車が、軽微な損傷によって廃車になってしまうわけです。  そもそも(EV)用バッテリーの製造においては、 化石燃料車の製造よりもはるかに多くの二酸化炭素が排出されます。   何千マイルも走行しなければ、そうした追加の排出量の相殺できないわけです。

 それなのに、たいして走りもしないうちに廃車にしてしまえば、二酸化炭素排出量における(EV)の利点はほぼすべて失われてしまいます。  また、その結果(EV)の保険料は高くなり、 化石燃料車から(EV)移行のメリットも薄れてしまうという、あまりサステナブルとは言えない状況が明らかにされつつあります。

 そもそも、バッテリーパックのコストは数万ドルに達することがあり、EV価格に占める比率は50%にも至るとされます。   それをちょっと傷ついただけで交換する、 というのではあまりに不経済です。   しかも、現状でも、ほとんどの(EV)の保険料は他の車よりも高くなっています。

 (EV)メーカーもバッテリーパックを修理しやすいものにしているとされますが、逆にテキサス工場で製造するテスラの「モデルY」のように、バッテリーパックを車体構造の一部として接着する方法では、 専門家に言わせれば「修理可能性ゼロ」だとされています。   この、テスラのバッテリーパックを車両ボディーの一部とする設計は、製造コストの削減につながる一方で、 そうしたコストを消費者や保険会社に転嫁するリスクがあります。

 事故状況に応じて「バッテリー交換は合理的でない」という判断を下すためには、診断データを外部に公開して、 たとえバッテリーパックに傷があっても内部のバッテリーセルの健全さを判断できるようにする必要があります。     しかし、(EV)メーカーは第三者が情報にアクセスすることに消極的とされます。  このままでは、(EV)普及によるエコ社会実現という目標は、まだまだ程遠いようです。(2023.3.27  Reuters 参考)


 

世界最高峰の内燃機関技術を捨て去る愚策

 モータージャーナリストの池田直渡氏が指摘するように、「....カーボンニュートラルが目指すのは、あくまでもCO2の削減である。 EV化はその手段に過ぎないにもかかわらず、今、手段が目的にすり替えられようとしている。 ここは断固主張するが、  成すべきはCO2の削減であって、EV化ではない。」のです。

 池田氏はさらに、「....ダイハツのミラ イースの燃費は、JC08でリッターあたり35.2キロだ。 CO2排出量に換算すると走行キロ当たり65.9グラムと、驚くべきことにCAFEの30年規制、 それは取りも直さず極めて難しいといわれたパリ協定の中期目標を意味するが、これに迫る数値を出している。 それを高効率のガソリンエンジンとCVT、それに車体の軽量化だけで成し遂げているのである。」

「....それだけの性能のものが僅か86万円で買える。 EVは価格の下方硬直性に阻まれて、この価格帯をカバーできる日がいつになるのか皆目分からない。 その途方もない技術を、 『EVではないから』と禁じる愚かさを反省すべきだろう。」、とマサに正鵠を射る(物事の急所を正確につく)指摘をしています。

 もう一つ気になるのが、2020年5月、経産省参与に水野弘道氏という人物が就任したとされる件です。  池田氏によれば、水野氏は米テスラ(EVメーカー)の社外取締役に就任している人物だといいます。    監督官庁の参与という立場は日本の産業界を指導する重要な役目であるはずですが、そのポストにわが国の基幹産業と競合する国外企業の社外取締役がつく、 というのはどう考えてもおかしな話であり、常軌を逸した役人人事です。

 この背景には、もはやガソリン車の日本絶対優位は崩せない欧米メーカーの焦りと、環境優先という名目で日本車優位の現状をなんとか阻止しようとする外国の思惑に踊らされた日本政府が、 とにかく世界に習おうとして遮二無二EV化に邁進する、という構図があるわけです。

 しかし、こんな流れに振り回され、まんまと相手の思うつぼに嵌まり、日本全体がまだまだ不完全なEV化に後先考えず突き進むようでは、 マスコミが扇動し国民を戦争へ誘導した先の戦争の流れと大差ないでしょう。

 外国企業の手先の人物にそそのかされた挙句、日本の自動車メーカーや産業界が長年にわたり積み上げてきた、世界最高峰の技術をもつ内燃機関自動車市場を、 無能な政治家の愚かな政策でアッサリ捨て去り、日本の大切な主幹産業である自動車産業を廃れさせる事態とならぬよう祈るばかりです。(2021.1.3)


 

各国のガソリン車禁止の動き

 2020年11月、英政府は温室効果ガスの排出量を2050年までに実質ゼロにする目標の達成に向け、ガソリン車とディーゼル車の新規販売を禁じる時期を、 従来方針の2035年から2030年へ早める見通しを発表しました。 プラグインハイブリッド車(PHV)の販売禁止時期についても、2035年という計画を維持する見込みだといいます。

 米カリフォルニア州がガソリン車やディーゼル車の新規販売を2035年までに禁じる方針のほか、中国でも同年までに一般的なガソリン車の販売ができなくなる方向に動いており、 英国はさらに野心的な目標を掲げる可能性もあります。(2020.11.15)

 日本政府も2030年代に新車のガソリン車販売をなくすことを検討しています。  これにトヨタ自動車の豊田章男社長)は、「自動車業界のビジネスモデルが崩壊してしまう」と懸念を示し、 EVが製造や発電段階でCO2を多く排出することに触れ、「(そのことを)理解した上で、政治家の方はガソリン車なしと言っているのか」として、電気自動車(EV)への急激な移行に反対する意向を示します。

 さらに、日本は火力発電の割合が大きいため、自動車の電動化だけでは二酸化炭素(CO2)の排出削減につながらないとの認識を強調。   そのうえで、ガソリン車の比率が高い軽自動車が「地方では完全なライフライン」となっている現状を踏まえ、「ガソリン車をなくすことでカーボンニュートラルに近づくと思われがちだが、 今までの実績が無駄にならないように日本の良さを維持することを応援してほしい」と述べ、拙速な「脱ガソリン車」には賛成できない考えを示しました。(2020.12.18)


 

古い橋を壊すのは新しい橋ができてから

 いまや世界中が競って(EV化)へと草木もなびく(盛んな威勢に、すべてのものがなびき従う)状況です。  イヤイヤ、まだまだ内燃機関の環境対策、燃費向上などのテクノロジーを磨けば、ガソリン車も通用するヨ、 などと言おうものなら、「時代遅れの考えだ」とか「CO2排出量」をどうする、などと一斉に反発をくらう状況となっています。

 しかし、中世暗黒時代の魔女裁判のような「妄想」に基づき、現状の化石燃料車をまるで悪魔でもあるかのように敵視し、すぐにでも排除し電気自動車に変えてしまえ、という考えは普通ではアリマセン。     そもそも、電気の多くは化石燃料で発電されているのです。  このような「エコテロリスト」のあおりで、世界中では危機が叫ばれる食料の生産よりも、 脱炭素を優先するという正気とは思えない事態も進行しています。

 2022年6月、オランダ政府は、地球温暖化を促すとされる、 家畜から排出される窒素に対して、2030年までに排出量を半減させるという目標を発表。  この脱炭素政策に畜産業削減に猛反発。    大規模デモが起こり、このあおりで、オランダ国内の商店は深刻な品不足に陥る事態となります。

 「古い橋を壊すのは新しい橋ができてから(池田直渡)」とも言います。  たしかに世の中には「古い橋があるから新しい橋ができないのだ」 という理屈を振り回す人もいますが、世の中の潮流に流され、後先考えず突き進む、というのも考えものです。   電気自動車にも、利便性や本当に脱炭素社会の切り札なのかという、 まだまだ克服しなければならない問題が山積みです。   (100%EV化)は、もう少し冷静になって考える必要があるのではないでしょうか。

 しかも、あたかも国民に「内燃機関車を作る(購入する)のはケシカラン」という風潮を、国が音頭を取り広げようとしていますが、国も国民も企業も少し冷静になるべきです。

 現状の(EV)は価格でも実用性能でも内燃機関車に後れを取っているのは事実です。  その現状を無視し、今すぐにでもガソリン車やハイブリッドを一切禁止しよう、 などという暴挙に走ろうとしているから話がおかしくなるわけです。(2021.1.3)


 

揺れ動くEUのガソリン車禁止の政策

 2023年3月、欧州連合(EU)は2035年にガソリンなどで走るエンジン車の新車販売をすべて禁止するとしてきた方針を変更し、環境に良い合成燃料を使うエンジン車は認めると表明します。

 EUは従来の政策を見直し、再生可能エネルギー由来の水素と二酸化炭素からつくられる合成燃料「e―Fuel(イーフューエル)」を使うエンジン車の新車販売は、35年以降も可能にする、と決定したわけです。  これで、 エンジンの全面禁止により電気自動車(EV)シフトを世界に先駆けて進めてきたEUの政策が、大きく転換することになりました。

 この背景には、フォルクスワーゲン(VW)やBMWなど多くの自動車大手を抱えるドイツにおいて、エンジン関連の雇用損失を懸念する声が強まったことがあるようです。     自動車産業を抱えるドイツの政権与党の一部から合成燃料の利用容認を求める声が上がり、フランス政府はドイツの主張に反対していたものの、 ドイツ自動車産業との結びつきが強いイタリアや東欧諸国はドイツに賛同した、という事情があったわけです。

 これまでのEUのエンジン車禁止の動きは、日本の自動車メーカーが強いエンジンとモーターを併せ持つハイブリッド車(HV)の禁止も含まれる予定でしたが、今回の方針転換で合成燃料の利用が可能になれば、 HV技術を生かした日本車は有利になる可能性があります。(2023.3.26 朝日新聞 DIGITAL)

 「EVは排気ガスを出さない」という一点だけ見て、EV生産工程でどのくらい二酸化炭素を排出するか理解しない、小学生のような議論は、「自分の家の玄関先のごみを隣家の前に掃き出して、 うちの玄関がきれいになった(大原 浩氏)」と言っているのと大差ない話です。

 さらに、スクラップにすれば済むガソリン車と異なり、使用済みのEV用電池は「危険廃棄物」であり、EV車が増えることによって原発の使用済み燃料廃棄処分問題のような、 どのように環境を汚染するのかという新たな問題も今後無視できなくなります。   2035年までの完全EV化など無理だということに早く気づくべきです。(2023.4.14)


ガソリン車が無くなる日は何時か

 2019年のガソリン車(内燃機関車)を含む世界自動車販売台数は約9000千万台、電気自動車(EV)とプラグインハイブリッド(PHV/PHEV)=(次世代車)の販売台数は約490万台とされ5.4%を占めていましたが、 2021年間には世界全体で649万5388台となり、前年比は107.8%増となっています。  予測では(次世代車)の販売数は800万台を超えるとされていましたが、 コロナ禍もあってかややペースダウンしているようです。 2022年には(次世代車)の販売台数は、1000万台の大台を突破するのは間違いないでしょう。

 ただ、現在世界中には14億台の(内燃機関車)が走っているとされますが、(次世代車)の年間販売台数が1000万台で推移していっても、(内燃機関車)が全て(次世代車)に置き換わるには、 単純に140年かかる計算となります。  2030年には(次世代車)の販売割合が(内燃機関車)を超えるという予想が出ていますが、はたしてどうなるでしょうか。

 そもそも、電気自動車は人類が自動車を発明した時、真っ先に動力エネルギーとして1839年に用いたもので、 ダイムラーが1885年に発明した内燃機関よりも古い、いわば先祖返りのローカル技術です。  この先人類が140年間も、自動車エネルギーを電気バッテリーだけに頼り続けていくとは考えられません。

 自動車エネルギーの歴史は、スタートは電気自動車が優勢でした。  1899年にはフランスで作られた電気自動車が時速100kmを超える記録をガソリン車より先に残し、 1900年頃には全世界の自動車の40%を電気自動車が占め、ニューヨークのタクシーはすべて電気自動車が走り回っていたといいます。  当時は、 誰もがこれからは電気自動車の時代であると確信していたわけです。

 しかし、その後ガソリン車は課題でもあった点火装置の改良などが進み、技術革新が行われていった結果、電気自動車より優位性が認められるようになり、 さらに化石燃料を使う政府の支援もあり価格が低下したことを受け、人々に爆発的に支持されていくようになります。  それに伴い電気自動車は市場から次第に姿を消していきました。

 まさに、現代の(内燃機関車)から(次世代車)へのシフトと真逆な流れが、100年ほど前にも繰り広げられていたわけです。  一方、新興国、途上国の多くは電力不足であり、 これらの国では(次世代車)よりコストの安いガソリンやディーゼルを使う(内燃機関車)の需要が今後もより増していくはずで、(次世代車)が世界中に普及するのは夢のまた夢の話なのです。

 「脱炭素」社会から目の敵にされている自動車が消費する石油は、全体の2割に過ぎないといいます。  今回の(次世代車)へのシフト、という流れは、 世界の石油消費のわずか12%に過ぎない欧州の先進国で豊かに暮らす人間たちが、(内燃機関車)を無くせば温暖化とおサラバできるいう怪しげな理屈をつけ、 日本車が席巻している (内燃機関車)市場を破壊し、(次世代車)にシフトしようとしている、という構図です。

 歴史は繰り返すといいますが、自動車エネルギーを100年以上前のやり方に戻して、これからも使い続けようとする動きは、これまで数々の画期的な発明を成し遂げてきた人類としては、 いかにも進歩のない話です。   そもそも、(次世代車)へのシフトの動きの裏には、 (内燃機関車)分野では日本メーカーの技術力に太刀打ちできない国が仕掛けている、という側面もあるのです。(2023.1.10)


 

外国EVメーカーの取締役を経産省参与にする愚策

 「脱炭素」は世界の潮流となってしまいましたが、日本の基幹産業である自動車産業にも『脱ガソリン車』の動きが加速化しています。  しかし、「脱炭素」の旗振り役はガソリン車を眼の敵にしていますが、 自動車が消費する石油は全体の2割に過ぎないというのに、自動車だけ目の敵にして急速なEVシフト化へ突き進もうとするのは、 果たして本当に“地球に優しい”取り組みなのでしょうか。

 もともと、世界のEVシフトは他国の自動車メーカーに勝てない中国や、車とITの融合を狙うテスラを抱えるアメリカなど、 従来のガソリン車分野ではトヨタなど日本メーカーの技術力に太刀打ちできない国によって仕掛けられた側面もあるとされています。

 しかも、EVはバッテリーを作る過程で大量のCO2を排出しており、電力を火力で発電している限り、その過程で大量にCO2が出ます。    まだまだトータルで考えればガソリン車はEVと遜色ない環境性能なのですから、慌ててEVへ転換する必要などないのです。  むしろ、 水素エンジンの方へエネルギーシフトした方がよほどメリットがあるはずですが、この分野はトヨタの独壇場であり、諸外国の自動車メーカーは熱心ではありません。

 そもそも、2018年の統計では世界のCO2排出量割合は、中国だけで約30%・毎年約90億トン以上、米国は約15%・約50億を排出しているとされます。  しかし、 GDP世界第3位の日本はわすが3%に過ぎず、すでに「圧倒的な脱炭素社会」を実現している国なのです。   自動車だけを目の敵にせず、 本来であれば中国・米国が環境を整備すれば、たちまち“地球に優しい”世界が実現できてしまうのです。

 この『脱ガソリン車』を強力にプッシュした黒幕とされているのが、2020年テスラ社の取締役に就任し、その後経産省の参与に就いた水野弘道氏です。  彼は「...『脱炭素』がエコを進める世界の潮流。     自動車もCO2を排出するガソリン車ではなく、EVに取って代わられる。  その動きに乗り遅れるな」として「脱ガソリン車」の方向に舵を切るよう政府を動かします。

 それにまんまと乗せられた菅総理が2020年12月、愚かにも国内での新車販売において、「電動車」の割合を2030年代半ばまでに100%にするとの方針を決定させたとされています。   この総理大臣は、日本の基幹産業であり膨大な就業人口を抱える自動車産業を、ワザワザ自ら崩壊させる愚策を打ち出したのです。   まさに亡国のEV推進政策であり米国や中国の罠にマンマと騙されようとしているトンだ間抜けなのです。

 現在EV購入では国から補助金が出ています。  例えば高級車であるテスラ製のEVの場合、一台当たり数十万円もの補助金を国民の税金で負担しているのです。  しかし、国産メーカーのEVならいざ知らず、 なぜ外国メーカーの作った車にまでわざわざ国民の税金が原資である補助金を与えるのでしょう。  2021年1月、テスラCEOのイーロン・マスクがテスラ株上昇で「世界一の富豪」になったといいます。     日本人の税金を使ってテスラを儲けさせているのです。

 そもそも水野氏はテスラ社の取締役で、ストックオプションを付与されている身です。  外国EVメーカーの取締役が日本の自動車産業を管轄する経産省参与を兼任するなどということは、 泥棒が法律を作るようなもので完全なモラルハザードでしょう。  菅総理や役人はもいったい何を考えているのでしょうか。

 ストックオプションは会社の株価が上昇すると利益を得られますから、水野氏は完全な利害関係者です。       その人物が日本の自動車産業を管轄する経産省の参与という公的な立場でありながら、テスラの株価を上昇させるためEV化を進めたとしたら、 利益誘導の疑いあるとされても仕方ないでしょう。(2021.11.3)

ストックオプション.....会社の役職者や従業員が報酬として、自社の株を、時価ではなく、ある特定の価格で入手できる権利で、株がその価格より値上がりすれば利益が生まれる。


トヨタ、全固体電池の実用化を宣言

 2023年6月、トヨタは全固体電池が装着されたEVの量産時期を2027〜2028年と明示しました。   全固体電池は固体であるため、爆発や火災の危険性が低く、 様々な形状に製作できるというメリットがあり、さらにエネルギー密度も高く、EVの走行距離を画期的に伸ばすことができるとされます。

 従来のリチウムイオン電池は、走行距離の短さや充電時間の長さが指摘されてきましたが、全固体電池はこれらの欠点を一掃できるわけで、トヨタは自社のEV「bZ4X」にこの全固体電池を搭載すれば、 一度の充電で1200キロメートルを走行でき、充電時間も10分以下に減らせると説明しています。 これが実用化されると現在のEVは一気に時代遅れとなるわけで、 全固体電池がEV市場のゲームチェンジャーになるといわれてきたのもそのためなわけです。

 ただ、LGエナジーソリューションやサムスンSDI、中国のCATLなどは全固体電池の量産計画時期を2026〜27年と予定していましたから、ライバル社より早いとはいえず、やや出遅れた感はあります。

 内燃機関自動車では業界最大手のトヨタですが、「プリウス」に代表されるハイブリッド車をメインとしてきたため、電気自動車(EV)市場ではおくれを取っており、昨年トヨタが販売したEVは、 800万台まで成長したEV市場でわずか2万台に過ぎず、一部からは市場の変化に素早く対応できていないと酷評されています。

 各社がしのぎを削る全固体電池開発競争ですが、現在の技術レベルでは、現行のEV電池の主流であるリチウムイオン電池と比較すると、全固体電池の製造費用は4〜25倍になるとされます。     しかし、今後トヨタが本気で全固体電池の実用化に突き進めば、トヨタがEV市場の勢力図を塗り替え、またしても覇者となる可能性が出てきます。  実際、 トヨタは2021年には世界で初めて全固体電池EVの走行映像を公開しています。

 また、トヨタは全固体電池関連の技術特許などを最も多く保有しているメーカーであり、さらに計画を予定通り進めることで定評がある会社ですから、 今後のトヨタの動向は、世界中のライバル社もかなり気になることでしょう。(2023.6.16 YAHOOニュース 参考)


  

「水素エンジン」

 現在は電気自動車(EV)が今後の主流であるかのような記事が溢れていますが、ここにきてとうとう本命が登場したようです。  それはズバリ「水素エンジン」搭載車です。    水素で発電しモーターを駆動させる燃料電池車の『MIRAI』も水素を使用しますが、「水素エンジン」は、よりガソリン車に近い構造となっています。    もともと、自動車メーカーは1990年代から、水素を燃料とするエンジンの開発に力を入れていた時期がありました。

 脱炭素化の動きは二輪車業界でも加速していますが、迫力のあるエンジン音や振動を含め五感で楽しむ趣味性が強い大型ツーリングバイクに、バッテリーを積むのでは(商品として)成立しない、として2022年12月、 ヤマハ発動機は水素エンジンを搭載した二輪車の試作車が完成したことを明らかにします。  一方、水素を補充する拠点の整備がいまだ進んでおらず、市販化の時期は示せていない状況で、 ヤマハ発動機は自動車業界全体で取り組む重要性を強調しています。(2022.12.23 msnニュース引用) 

 同社は川崎重工業やホンダ、スズキと二輪車向け水素エンジンの実用化へ共同研究を行う計画で、航続距離などの課題にも取り組む方針で、水素インフラの整備など実用化に向けた課題は多いが、 「数年で開発にめどは立つ」との見通しを示しました。

 「水素エンジン」はガソリンなどの化石燃料を使用するエンジンに比べて環境負荷が圧倒的に少ないことや、既存の内燃機関を改良して作れることから製造コストが抑えられること。    さらに水素は化石燃料のように枯渇する心配がないといったメリットがあり、カーボンニュートラルの実現に向けて有効なパワーユニットの1つです。    「水素エンジン」の技術は長年トヨタが開発していきた直噴システムD-4の技術が活きているといいます。    

 「水素エンジン」は燃焼がガソリンよりも速く、応答性が良いという特徴を持つとされます。  また、ガソリンエンジンでも発生するごく微量のエンジンオイル燃焼分を除き、走行時にCO2は発生しません。     優れた環境性能と、従来のガソリン車同様に「クルマを操る楽しさ」を両立できる、まさに新世代のエンジンとも言えます。(2021.4.29)

 豊田社長は30年先のカーボンニュートラルを目指し、電気自動車だけなく、選択肢を多くするため水素を燃料とした内燃機関を作るために、今回富士24時間に参戦する意義があると語っていますが、 水素のみを燃料にしてレースを走ったのは世界初であり、これでいよいよ二酸化炭素(CO2)を排出しない新たな車の量産に向けてスタートを切ったわけです。   今回の出来事が、水素エンジン車が30年後の自動車エネルギーとして主流になる時代の入口となるのでしょうか。  大いに期待したいものです。(2021.5.24 msnニュース 引用)


  

生き残るのはどっち、電気自動車と水素自動車

 日本の自動車メーカーはEV開発で出遅れているといわれていますが、EVブームは直近では2008年頃にもあり今回で4度目です。  そのときも日本メーカーの優位は揺らがなかったわけで、 多くの企業は燃焼エンジンの時代が今後数十年は続くとみており、内燃機関の環境対策、燃費向上などテクノロジーを高めることが不可欠だと考えています。

 結局のところ、EVで用いる電気を生むためには、石油や石炭による火力発電に依存することになるわけですが、それに対し、 水素は水を始めとするさまざまな物質から獲得することができ、しかも、水素を燃焼した際に生成されるのは水のみです。  環境にやさしい点では水素自動車に軍配が上がります。    その一方で、現状では水素の製造コスト、貯蔵する際の安全性、使用する上での安全性と効率といった部分で未成熟な部分があり、その課題をいかに解決していくかが勝負となります。

 いずれ自動車エネルギーは、100年前のように (内燃機関車)が新たな技術によって、電気自動車より優位性を持つようになるか、またはどこかの時点で全く新しい自動車エネルギーを用いた技術革新が起こるのは間違いありません。     少なくとも、電気自動車が主流だった100年以上前の車社会に、またしても先祖返りする、などということはないはずです。

 過去、人類は次々に新しい技術を発明しては発展させる、ということを繰り返してきました。    水素エネルギーについても、いずれ諸課題はクリアし、 未来では水素エンジンが当たり前に内燃機関にかわり主流となっていることでしょう。(2021.8.29)

 しかし、トヨタは2023年6月の株主総会で、豊田章男会長への賛成比率は84.57%と、2022年の95.58%から11ポイント低下します。  この背景には、EVへの全面シフトを急ぐ他社と異なり、 「水素エンジン」も推し進める章男氏に対し、株主の期待がそれほどでもないことの表れとも言われます。 トヨタ社内の空気もさすがに、「もうEVしかないだろう」(トヨタ関係者)という空気が支配しつつあるとされ、 章男氏の取締役再任案の賛成が少なくとも13年以降で過去最低となったようです。

 章男氏の戦略は、ガソリン車やハイブリッド車を販売しながら、EVや水素、代替燃料を開発して顧客にさまざまな選択肢を提供する、 という「全方位思考」ですが、米国の大手年金基金や欧州の投資家が章男氏の再任に反対した根底には、EVへの全面シフトを急ぐ欧米の競合他社に後れをとっていると判断したのかもしれません。

 そうはいっても、章男氏には世界一のエンジンを量産してきた日本の内燃機関技術を、みすみす捨て去ることに対する深い思慮もあるわけで、 EVシフトは内燃機関エンジンでは日本に太刀打ち出来ない欧米メーカーの日本つぶしと言うEV普及の大合唱に、 日本メーカーが水素燃料を用いた新技術で一矢報いたいという思いもあるはずです。

 トヨタの新社長となった佐藤社長は株主に対し、「豊田会長が作り上げた価値観をしっかり継承していく」と強調し、「未来の車へ新しいチャレンジをしていくことが我々の使命だ」 と理解を求め、さらに次世代電池の本命といわれる「全固体電池」を、2027〜28年の実用化を目指す、としたことが株価を刺激したことが市場から受け入れられ、 株主総会後トヨタの株価は13%上昇し時価総額を4兆4000億円押し上げたといいます。 (2023.6.28 msnニュース引用)


 

「水素エンジン」の現在地

 「水素エンジン」は、ガソリンエンジンの燃料供給系と噴射系を変更し、エンジンの気筒内に直接水素を吹いて水素を燃焼させることで、動力を発生させるシステムで、 現状のガソリン車と同じ内燃機関車として走行します。

 2021年5月22日、静岡県小山町の「富士スピードウェイ」でスタートした「富士SUPER TEC 24時間レース」において、福島県浪江町の太陽光発電で製造した水素を使用する、 カローラスポーツを改造した水素エンジン車を、トヨタの豊田章男社長がオーナーとドライバーを務めるルーキーレーシング・チームが走らせ、約4.5キロのコースを358周し、見事完走します。

 この水素エンジン車はMIRAIの水素タンク4本を使い(うち2本はボディサイズの関係で短い)180Lの水素を搭載。  パワーは、ガソリン車よりも少し落ちる程度の出力が出ているとのこと。   ただ燃費はまだまだ改善の余地はあり、ガソリンエンジン車であれば、通常1時間前後走行してからピットで給油などを行いますが、 現在の技術では12〜13周を目安にピットインを繰り返す必要があります。  実際、初戦は水素エンジン最大の問題「異常燃焼」を抑える事に精一杯でガソリン車に対して出力は劣っており、 完走させるだけで精一杯だったといいます。

 しかし、水素エンジン車はその後レースを重ねるごとに改良されていき、半年後にはガソリン車を超える出力を実現。 タイムも飛躍的に向上を果たします。   2023年からは燃料を気体水素から液体水素へ変更しています。


 トヨタは2023年の東京オートサロンで、「4AG」エンジンを水素エンジンに改造した「AE86 H2 Concept」を出展しました。  車体後方にMIRAIの高圧水素タンクを2本搭載し、インジェクターやフューエルデリバリーパイプ、 プラグといった燃焼に必要な部品を水素エンジン用に改造を施し、その変更箇所を最小限としているのがポイントです。    すでに市場に出まわっているクルマを、カーボンニュートラル化に対応するためのアイデアとして注目されます。(2023.2.19 ベストカーWeb 引用)

 消費者としては現在の「自動車はEV主流」という現状の中、「燃料電池は主流になるのか?」、「水素燃料車と燃料電池車、どっちが将来有望なのか?」という「燃料電池車の行く末」は、まだまだ見えません。     世界的に見ても「将来は液体水素燃料車」という流れはまだ主流となっていないようですが、「ウクライナ情勢を契機に世界のエネルギー事業は一変した」という背景もあり、 日本にとって「水素」は今後ますます重要なエネルギー源となりつつあるようです。(2023.4.12)


 

水素エンジンの当面の技術的課題

 ヤマハは2021年11月13日、レクサスLC500/LC-Fに搭載されている5リッターV8ガソリンエンジンを、シリンダーヘッドやインジェクター、排気マニホールドなど水素エンジン用に変更した、 最高出力455.5ps、最大トルクは55.1kgmを誇る水素エンジンを発表します。  ガソリンエンジン車で世界を席巻した日本の自動車産業ですが、いよいよ次世代エンジンとして水素エンジン車の開発がこれから本格化していくのでしょうか。

 そもそも水素エンジンの歴史は古く、日本では武蔵工大(現、東京都市大)の教授らが1970年代に研究を進め、試作車を製作しています。  2000年頃には、欧州でBMW、日本ではマツダが水素エンジンの開発に注力し、 水素エンジン車を発表しました。  しかし、BMWは2009年に開発を中止、マツダも水素ロータリーエンジンの開発を凍結しています。

 水素エンジンはまだ課題が多く、実用化の障壁となっているのが次の3つです。

 カローラスポーツの改造水素エンジン車は、2021年11月に「スーパー耐久シリーズ」に参戦しましたが、プレイグを回避するために出力を抑え、さらに、頻繁に水素充填を繰り返したことから、 レース結果は優勝車の約半分の距離しか走行できず、半分以上をピット作業に費やしました。

 水素エンジンの当面の技術的課題はプレイグの回避ですが、現状では有効な手立てがないため、出力を下げて対応するしかありません。  燃焼が速いため燃焼温度が上がるのは必然なので、 従来のガソリンのような燃焼でなく、燃焼速度を緩慢にする水素エンジンのため新しい燃焼方式の開発が急務です。

 しかし、将来的に水素がエネルギーの中心になるのは確実です。   今後、日本メーカーによる水素エンジン車や燃料電池車の開発が進み、再び議題に昇り、生産規模が拡大され、流通コストが削減されるようになり、 車を動かす動力が電池ではなく水素が主流となる、という時代が訪れ、再び高性能の水素エンジンを搭載した日本の自動車が世界中の人気を集める日を心待ちにしたいものです。  トヨタには水素自動車メーカー代表として、 今後も是非頑張って欲しいものです。

 2023年にはル・マン24時間で水素GRカローラがデモランを実施。 デモランと言ってもパレードのような走行ではなくレーシングスピードで走行するもので、 ドライバーのモリゾウ選手が観客に水素エンジン車の実力を披露しています。(2023.6.27)

 
 

水素インフラの現状

 2020年5月の段階で稼働している水素ステーションは、全国で130箇所、116基ですが、2020年度中に157箇所、143基まで、 さらに2030年度中には一気に900箇所程度まで拡大予定です。  とはいってもガソリンスタンドの数と比べればまだまだです。

 水素ステーションの数は、2022年末時点で、全国に160数カ所しかないといいます。   政府が2019年3月に取りまとめた「水素・燃料電池戦略改訂版」では、 ガソリンスタンドの約5倍もの建設費用がかかると言われる水素ステーションの整備目標は、2025年度までに320カ所程度としていますが、政府の目標達成は難しいとみる意見が多いようで、これも普及の足かせとなっているようです。

 この背景には、EV崇拝者たち「水素エネルギー拡大を阻止せんとする勢力」の存在があるのかもしれません。  トヨタはFCV以外にも水素エンジンの開発を進めていますが、 この水素ステーションの問題があるため、現時点では水素エンジンの本格普及も、かなりハードルが高そうです。

 現状では様々なインフラ設備が対応できていないこともあり、しばらくはFCVが市場に躍り出る機会はないでしょう。  ただ、インフラ整備と同時に水素そのものの価格を、 最終的には現在の三分の一程度まで下げる考えも出ていますから、そうなれば一気に販売台数が増えるのは確実です。(2021.1.3)

 政府は2021年6月の菅義偉政権で初となる成長戦略会議で、燃料電池車(FCV)用水素ステーションを、2025年度に320基としていた目標を大幅に積み増し、2030(令和12)年までに 現在の約150基から1000基に増やす考えを示します。  電気自動車(EV)向けの急速充電器も2030年までに現在の約4倍の3万基整備することも明記しました。   実際、充電スポットは2022年3月末の時点で2万1198カ所にまで拡大しています。(2021.6.3)

 水素インフラについては、日本政府が今のところ積極的でないのが実情です。  2030年に1,000箇所の水素ステーションを設立する、という目標は、 バッテリーEV用の急速充電器の3万台に比べて、心もとないのは否定できません。   今後のインフラ整備は、今回旗揚げしたトヨタらの活動が、どれだけ政府をやる気にさせるかにかかっているといっても過言ではありません。  新しい技術には課題がつきものですが、 いずれこれらの諸課題もメーカーの努力で改善されていくことを期待したいものです。(2022.1.11 ベストカーWeb 引用)

 
  

気体水素より液体水素

 現在「気体水素」よりもエネルギー密度が高い「液体水素」の搭載技術への挑戦が始まっています。  岩谷産業の資料では、 「水素ガスを液化すると体積が800分の1に縮小でき、またボンベやトレーラーで流通している圧縮水素ガス(気体水素)は15〜20MPaの圧力で約150〜200分の1に圧縮。よって、 液体水素にすれば同じ容量の容器に圧縮水素(気体)の4倍以上の量を計算上では充填できる」と説明しています。

 液体水素は気体に比べて大量に輸送することが可能となるわけで、2021年5月にレースデビューした「気体水素エンジンカローラ」も、液体水素を搭載した仕様に変更されました。     これまで開発してきた気体水素の技術のほとんどが液体水素マシンに応用できるといいます。

 液体水素を水素エンジンと組み合わせることができれば、航続距離がガソリン車に近づき、水素ステーションは現在の約1/4の面積で運用できるようになるといいますから、 こうした企業の努力に対して、国や自治体の対応が問われます。(2023.2.19)

 

進化する燃焼エンジン

 消えいく運命のような扱いを受けている燃焼エンジンですが、ところがドッコイ、まだまだ日本メーカーも頑張っています。   日産は「夢の可変圧縮比エンジン」を市場デビューさせようとしています。

 もともとガソリンエンジンの場合、よりパワーを出そうとして混合気を濃く、つまりガソリンを多く噴射すると、ノッキングが起きやすくなって圧縮比を上げられなくなります。      逆に混合気を薄くするとノッキングが起きにくくなって圧縮比を上げられ効率が良くなるけど、パワーは出しにくい。

 そういう相関関係があって、パワー型エンジンと燃費型エンジンでは本来、最適圧縮比が異なる世界になっていました。   マツダの高圧縮比エンジンは燃費面では理想的低燃費エンジンだけど、 排気量の割にパワーが出ない。  そのため街中や渋滞時はいいけど、坂道や高速ではパワー不足でツラくなってしまう、という現実があったのです。

 そこが従来のエンジンの限界でもあったわけで、本来はまわりの暑さや寒さ、気圧、走行スピードなどいろんな要素ごとに最適な圧縮比があるのに、無理やり1つで済ませていたわけです。     今回日産は混合気の濃さに合わせて、圧縮比を可変させることができるようなシステムを開発したのです。     このエンジンは通常は10とか11とかの圧縮比を、8から14まで変えるそうです。   圧縮比8というのは日本でこれまで発売されたエンジンの中では一番低いはずで、本来はあり得ない低圧縮比とのこと。

 パワーが欲しいパワフルモードでは圧縮比8でアクセルを踏んだらドカンとパワーが出る。  パワーが要らない低燃費モードでは圧縮比14で効率良く走り燃費を稼ぐ。     2リッター直列4気筒ターボエンジンなのに、V63.5リッターエンジン並みのパワーがあり、燃費は同じ排気量エンジンと比べて27%向上しているという魔法のエンジンが誕生したわけです。

 圧縮比を変えるといっても、燃焼室の形状を変えるわけではなく、ピストンの上限位置である「上死点」をバリアブルで上下させる。   具体的には、各気筒ごとピストンとクランクシャフトをつなぐ「コンロッド」の下にコントロールリンクと呼ぶ機構をつけ、ピストンのコンロッド長さを可変させるシステムです。

 アイデア事態は20年以上前にあったそうですが、本来ものすごい力が掛かる真っすぐなコンロッドにリンク機構が付いてるわけで、実用化は難しかったといいます。    メカにかかる応力が非常に大きく、エンジンを2000〜3000回転ぐらいしか回すことができなかったのだとか。

 日産は決してEVしかやらないわけではなく、ガソリン自動車もドンドン性能を上げていくつもりのようで、少々安心しました。(2018.4)

 

主流となるか「ギガプレス」

 電気自動車大手テスラのSUV「モデルY」のリア部のアンダーボディは、アルミ合金の一体鋳造で作り出しているとされます。   「モデルY」のベース車両である「モデル3」のリア部は、約100個の部品を溶接や接合で複雑に組み上げていたそうですが、テスラの最高経営責任者(CEO)のイーロン・マスク氏は、 それを1つの作業で作り上げる「ギガプレス」を構想したといいます。

 テスラは大手の鋳造機メーカー6社を選び出し、アンダーボディの一体鋳造のアイデアを持ち込んで、可能性を打診しますが、6社中5社から即座に「無理だ」と回答されます。   その中でイタリアのIDRA社だけがかろうじて前向きな姿勢を示し、結局、テスラがIDRA社と協力して1年以上の時間を費やし「ギガプレス」を実用化します。

 従来70回におよぶプレス加工、押出成形、鋳造を必要としていたが、「ギガプレス」を使うことで、約100秒で一気に作ってしまい、 「製造スペースを30%削減し、約1000台あったロボットから300台を削減できた」、そうです。  すでにテスラはモデルYのリア部だけでなくフロント部のアンダーボディもギガプレスで一体鋳造して作り出しており、 製造コストは40%削減が可能となったとされ、まさに、 おもちゃの車を作るように、フルサイズの車を作りつつあるわけで、これは自動車のものづくりを根底から変える可能性があります。

 「ギガプレス」はテスラの専売特許ではなく、スウェーデンのボルボ社、中国の自動車メーカーも「ギガプレス」導入の動きを見せているといいますから、 今後「ギガプレス」が世界の自動車メーカーの生産方式の主流となるのか、要注目です。   その一方、「ギガプレス」で製造された車両は、たとえば衝突事故になった時、アンダーボディのアルミ製鋳造品をすべて交換する必要があり、修理費用は従来より大幅に高くつくことになり、 チョットした損傷でも程度によっては即廃車となる恐れが高くなります。

 その点、従来の鋼材と溶接の組み合わせなら、部分的な修理ができるので、ギガプレス懐疑派もまだまだ多いようです。      「ギガプレス」はトヨタなど既存の自動車メーカーとはまったく異なる製造方式なわけで、まだまだこの先の展開は未知数ですが、 テスラはこれまでも常識破りを繰り返すことで爆発的な成長を続けてきたわけで、 ひょっとするとこれが未来の自動車製造の一歩となっていくのでしょうか。  はたして「ギガプレス」はこれからの主流になっていくのか要注目です。(2022.8.10 msnニュース 参考)


  

なかなか売れない「燃料電池車(FCV)」

 トヨタは2014年12月15日にFCV(燃料電池車)「MIRAI」を販売開始し、2020年11月に販売終了していますが、700万円を超える高価格と、水素インフラの整備が進まないこと、 さらに生産能力が年3000台に限られたことなどがネックになって、世界での累計販売台数は1万1000台で終わっています。

 それでもトヨタはFCVを諦めず、2020年12月に2代目「MIRAI」を発売します。  2代目では水素タンクを2本から3本に増加。 航続距離は初代の約30%増となる850km(PA基準では647km)と発表されています。

 2代目「MIRAI」の月間国内販売台数は、2022年8月ではわずか10台に低下するなど、苦戦しています。  ただ、2021年1〜11月の世界販売台数は、国内で約2300台、国外で約3300台と約5600台に達しており、 初代が6年かけて販売した台数の半数を、約1年で超える快走を見せており、今後の見通しはまだまだ判りません。

 1997年に世界初の量産ハイブリッド車として登場した、いまでは販売ランキングのトップに輝くトヨタ「プリウス」でさえ、初めから人気があったわけではなかったといいます。   エコカーの代名詞的存在であったプリウスに大きな追い風が吹いたのは、3代目モデルがデビューしたときにエコカー減税&補助金が導入され、世をあげて“エコカー”を応援する雰囲気に染まってから以降とされています。    決して最初からバカ売れしたわけではなかったのです。

 「燃料電池車」がなかなか売れないのは、電気で水素を作りその水素でまた電気を作るという無駄なプロセスを回すことになるので、その間にエネルギーの70%が失われてしまい、 「水素電池は極めて効率の悪いエネルギーの媒体である」という理由があるからとされます。

 さらに、使える形の分子状水素(H2)は、地球上にはほとんど存在せず、人工的に作る必要があるが、本当に環境にやさしい「グリーン水素」は水の電気分解で作るしかなく、 その際に大きな電気エネルギーが必要になるとされます。

 また、生成した水素を数百気圧に圧縮する過程でも、大量のエネルギーを消費するといわれます。  一方、発電した電気をバッテリーに溜めるEVは、90%の電気が有効に使え、ロスは充電・放電の合計でも10%程度で済むとされます。    水素にまつわるこれらの問題が技術的に解決されれば、いずれ水素が人類の有望エネルギーとして持て囃される時代がくることでしよう。


  

「燃料電池車(FCV)」を取り巻く現状

 2020年12月9日、トヨタの2代目となるFCV(燃料電池自動車)、「MIRAI(以下ミライ)」が発売を開始します。  水素を空気中の酸素と化学反応させることで電気を発生させモーターを駆動するFCVは、 将来の有力な「電動車両」のひとつでもあり、初代は受注好調で最長で2年近い納期になった時期もありました。

 しかし、独自の水素燃料タンクを始めとしたパーツ類の生産能力が受注に追いつかないこともあり、その後は販売も停滞気味となり、なかなか市場に出回りませんでした。 その要因のひとつが、 まだまだ少ない水素ステーションの数です。  さらに、気になる燃料代ですが、現状、 経済産業省の試算ではハイオクガソリンとほぼ同等レベルとされ、EVだと深夜電力を使えば圧倒的に安いはずですからだいぶ不利になっています。

 いまのところ車の次世代エネルギーはバッテリーカーが主流のような風潮ですが、将来バッテリーカーだらけの車社会になるのはまずありえません。 いずれ水素自動車が主役となる時代が訪れるのは間違いないはずです。

 しかし、FCVを取り巻く環境を世界的に見れば、水素自動車産業からメーカーが次々に撤退していっており、1990年代に試作車を発表し、 水素自動車開発の先頭を走っていたダイムラーも2020年には開発から撤退しています。  続いてフォード、日産・ルノーのグループもFCV商品化を凍結しました。

 これらのメーカーはFCVに開発・運用に莫大なコストをかけるよりも、もう見切りをつけてEVに注力したいということなのでしょう。  いまやFCV、EVの開発を並走させられるのは世界トップのトヨタくらいですが、 欧州トヨタのマット・ハリソン社長はインタビューで、「乗用車の場合、正直なところ、燃料電池に大きなチャンスがあるとは思いません。(2030年までに)年間数千台といったところでしょう」と語っています。


 

バイクの2035年問題

 東京都の小池都知事は、2035年までに都内で新車発売される2輪車すべてを「非ガソリン化」すると発表しました。  乗用車についても、 新車販売は2030年までに電気自動車(EV)やハイブリッド車(HV)など「非ガソリン車」にする目標が同時に掲げられています。

 対象が新車販売となっているため、中古車販売は問題になりませんが、いずれ東京都内で販売できるバイクは、電気バイクかハイブリットバイク、もしくはガソリンエンジン以外のエンジンを搭載したバイクでなければ販売できない、 となるわけで、東京都内ではガソリンエンジンのバイクを新車で買うことはできなくなります。

 今後バイクメーカーは「非ガソリン化」のため、ガソリンエンジン以外を動力にしたバイクを開発するか、電動化(EV化)するかの選択を迫られることになります。  しかし、 電動化して航続距離を伸ばすには、大容量の蓄電池を積まなくてはいけませんが、バイクの限られたスペースでは電動化には不利な点が多いと言われ、 大型バイクであればスペースの問題は多少なりとも解決するでしょうが、スクーターなどはキビシくなります。

 そもそも、燃費が良いと言われるバイクを電動化する必要があるのか、という議論もありますが、今後の新たな動力源として、CO2と水素を合成して生成される合成燃料や、 燃料電池二輪車、ガソリンエンジンを水素エンジンにする、などという手段も検討されています。(2021.5.16 msnニュース引用)


 

儚く消える?「トランスミッション」

 昔のトランスミッションは、手動でギアを接続・切断操作をする「マニュアルトランスミッション」でしたが、いまやトランスミッションはATが当たり前となっています。    その一方で、日本ではCVT(Continuously Variable Transmission)が進化していった国です。

 もともとCVTは、変速が滑らかでパワーと燃費性能を両立できる、理想的なトランスミッションとして研究が進められていました。  ただ、実用化には高い制御技術と部品の加工精度が必要だったため、 欧米諸国のメーカーは採用に消極的だったといいます。

 しかし、そこは「モノ造り大国JAPAN」です。  国産メーカーは地道な研究と改良を続け、実用化にこぎつけたのです。  一時期日本ではCVTを採用するモデルが、爆発的に増加した時代がありました。    自分もニッサン・セレナで、CVTの全く変速ショックのない、スムーズな加速フィーリングを堪能したものです。

 ただ、CVTはワンテンポ遅れて加速する問題があったため、マニアにとってCVTは、「ダサッ」という印象が強いようです。  しかし、トヨタは「ダイレクトシフトCVT」、日産は「エクストロニックCVT」という、 新世代のCVTを開発し、他社製のデュアルクラッチトランスミッション同等以上の変速性能を実現したり、従来のCVTから約10%も燃費向上を達成させ、伸びやかな加速感を実現するなど、ますます高性能化させています。

 そんなガソリン車の必須機構、「トランスミッション」ですが、今後主流とされるEVはトランスミッションの必要がないため、今後世界的にEVシフトが進むと、トランスミッション自体がなくなっていくと予想されています。     せっかく積み重ねた「トランスミッション」技術ですが、このまま儚く消えていく運命なのでしょうか。(2021.2.20)


急速に進む水素電池車への取り組み

 2017年には日本政府が「水素エネルギー基本戦略」を策定、2025年までに水素電池車を20万台、2030年には80万台にまで増やすことを想定した、水素・燃料電池戦略ロードマップを打ち出し、 その後も次々と水素エネルギー発展に関する政策文書を打ち出しています。

 2025年までに水素燃料自動車の価格をハイブリッド自動車と同一水準にまで抑え、30年までに水素供給コストを従来の化石燃料エネルギー供給コストと同じ水準にするか、 それよりも低いレベルにまで引き下げるという2段階の計画が示され、日本の研究機関や企業ではこれらの目標を実現すべく大変な努力を重ねています。    もし技術的なブレイクスルーが実現すれば、いよいよ水素電池が次世代新エネルギー車の主流となる日がくるかもしれません。

 この分野は日本が世界を圧倒的にリードしています。 多くのメーカーがEV(電気自動車)に力を入れるなか、トヨタはすでに2014年には最大航続距離500キロの 「MIRAI」を日本国内で発売しています。    ホンダも1980年代後半から燃料電池の基礎研究を始め、2016年3月からリース販売限定ではあるものの、 ホンダ製の水素自動車「クラリティ FUEL CELL」を発売させています。

 実は韓国の自動車最大手・現代(ヒュンダイ)自動車も2006年から実証事業を行い、2013年に世界初の水素自動車「ツーソンix35」 (小型クロスオーバーSUV)の量産に成功していました。   2015年12月には韓国の自動車業界は将来の水素自動車市場を主導するものと期待し、政府も参画して水素自動車普及のロードマップを用意、2020年までに水素自動車1万台を普及させるとしていました。

 しかし、2019年までの韓国内の水素自動車・累積販売台数は834台に留まっています。  それに対し後発の「MIRAI」は4268台ですから圧倒的な差がでています。    ホンダの「クラリティ FUEL CELL」は2019年時点でPHEVを含め、約650台となっています。   水素自動車開発はトヨタ自動車をはじめ、ホンダ、ヒュンダイ、メルセデスベンツが開発を加速させていますが、 いまのところトヨタが独走大勢となっているわけです。

 2019年7月、2018年に韓国で販売が開始されたヒュンダイ製の水素自動車『ネクソ』が、試験走行中に炎上するという事故が発生したそうですが、 世界初の量産化に成功したヒュンダイとしては、ライバルに負けまいと焦っているのでしょう。  ただ、長い期間かけて基礎からジックリ研究してきた日本メーカーに追いつこうと開発した韓国製水素自動車は、 まだまだ実験段階なのかもしれません。

 中国メディア・東方網は、そのころ中国ではまだ「EVをどうやって急発展させていくか」について悩んでいたとし、「恐ろしいのは、日本がすでに量産段階に入ろうとしているなかで、 わが国がまだスタートライン付近にいることだ」と戦々恐々としています。(2019.7.12)


 

その後の水素電気自動車の販売動向

 まだまだ普及までの道のりは遠い水素電気自動車ですが、2020年1〜9月までのグローバル市場において、現代車はネクソ(NEXO)の販売が好調で、4917台を販売したと明らかにしました。 この期間の全水素電気自動車販売量は6664台であり、 現代車の市場占有率は昨年同期の44.3%より大幅に増え73.8%を記録しました。

 それに対し、トヨタはミライ(MIRAI)モデルの老朽化と、新型コロナ感染の余波で米国工場の生産中断もあって、販売が大きく落ち込み、同期間の市場占有率は昨年の29.1%から、 11.5%急減のわずか767台の販売に留まっています。  3位のホンダも、187台で市場占有率は2.8%と劣勢に立たされています。

 ただ、トヨタは2021年に米国市場で第2世代ミライで反撃に出る予定であり、水素電気自動車市場は現代車とトヨタ間の競争がますます過熱し、市場規模も大きくなるだろうと見られています。(2020.12.14)


自動車産業に大変革・「CASE」

 この数年の間に、「CASE(ケース)」という自動車産業に大変革期をもたらすといわれるキーワードが注目を集めています。  2016年のパリモーターショーにおいて、ダイムラーAG・CEOでメルセデス・ベンツの会長を務めるディエター・チェッチェ氏が中長期戦略の中で、 変革の時代を迎えている自動車産業の動向を象徴するキーワードとしてCASEという概念を発表します。

 CASEは、Connected(コネクテッド)、Autonomous(自動運転)、Shared & Services(カーシェアリングとサービス/シェアリングのみを指す場合もある)、 Electric(電気自動車)の頭文字をとった造語です。  自動車を製造・販売する会社から、クルマを移動するための手段としてサービスを提供する会社に変わる、という意味です。

 ドイツ連邦議会は2030年までにEVやFCVなどの排ガスゼロのクルマ以外の新車販売を禁止する決議案を採択しました。  EV対HV(ハイブリッド車)、FCV(燃料電池車)という単なるパワートレーンの競争ではなく、 その背後にあるサービスまで含めた競争に軸が移りつつあるわけです。

 トヨタ自動車も、「従来のクルマをつくる会社からモビリティ・カンパニーにモデルチェンジする」と宣言し、CASEを意識した事業展開を図っていく構えです。(2019.12.20 Business Journal 引用)


  

10年後「自家用車」は激減する?

 100年に1度という変革期を迎えているとされる自動車業界ですが、今後は自動運転技術の発達とシェアリング・エコノミーの普及によって、エリアを限定した自動運転システムが実用化され、 車は所有するものから利用するもの、というクルマのパラダイムシフトが一気に進む可能性が高まりつつあります。

 カーシェアやライドシェアなど、いわゆるシェアード・カーの比率(走行距離ベース)が全世界的に急上昇しているそうで、2030年には米国で14%に、欧州では17%に、 中国では24%に達する見通しとされます。  こうしたシェアードカーの半分以上が自動運転システムになると予想されています。

 現在、日本国内には約6200万台の自家用車が登録されていますが、そんなシェアード・カー社会がもし実現すれば、早くて10年後には個人で自家用車を所有する人が大幅に減少する、 という予測もで始めています。

 もし日本でもシェアードカーの動きが活発になれば、日本国内の約6200万台の自家用車が最大で25%、ほぼ1500万台の自動車が日本の道路から消滅するわけで、 そうなるとこの変化は経済や社会に対して大きなインパクトを与えることになります。

 田舎は別として、都会ではカーシェアと自動運転の普及でクルマを手放す人がますます増え、駅に近い利便性の高いマンションに人気が集中し、一戸建ての住宅は駐車場が要らなくなり、 敷地面積を減らし安価な住宅にする流れが加速するかもしれません。

 損害保険業界は、個人が加入する自動車保険で成り立っているとされますが、自家用車激減と自動運転による事故発生確率の大幅低下で保険料は引き下げざるを得ず、 大打撃となるでしょう。

 トヨタは、すでに国内販売店網の本格的な再編に乗り出しているとされます。 少子高齢化に伴う販売台数の減少に加え、今後「自家用車」市場が2割以上も縮小する、 というのでは一般顧客を相手にしているディーラーにとって大打撃です。(2020.1.28)


 

テスラに賭けたパナソニックの車載電池事業

 パナソニックは自動車産業が直面する100年に一度の大変革期、すなわち「CASE」を好機として、本格的に自動車分野に参入します。 2010年、テスラに3000万ドル(当時約24億円)を出資し、 EV用電池システムの共同開発をスタート。 2014年には、米ネバダ州の大規模電池工場「ギガ・ファクトリー」の建設に少なくとも2000億円以上を投じます。

 テスラは2003年に米カリフォルニア州パロアルトに設立された電気自動車(EV)メーカーで、共同設立者のイーロン・マスク氏が最高経営責任者(CEO)を務める企業です。    住宅用や産業用の蓄電池事業も手掛け、自動車業界では時価総額がトヨタ自動車に次ぐ世界2位となっています。

 パナソニックはEV普及がリチウムイオン電池需要を一気に拡大するチャンスと読み、テスラとがっちり手を結んだわけです。 ところが、 クルマの量産技術をもたないテスラは、2017年に生産を開始した量産車、同年7〜9月期の生産目標台数が1500台だった「モデル3」は実際は260台にとどまり、 以後、生産台数の目標達成時期はたびたび先送りされてきました。

 車載用電池の売り上げ増を期待し、本格的に自動車分野に参入しようとしたパナソニックですが、 肝心のEV市場が思うほどには拡大していないこともパナソニックの誤算でした。 EVの最大市場の中国でも、2019年6月下旬購入補助金が大幅にカットされるや販売台数は一気に減速。  さらに年間数十件という相次ぐ車両火災もEV離れに拍車をかけます。

 全世界のEV販売台数はいまだ年間200万台に満たず、日産「リーフ」にしても、 2010年12月から2019年1月まで9年間の販売台数は、累計11万8000台にすぎません。 車体価格の高さに加え、航続距離や充電インフラにも課題が残るEV購入に、 二の足を踏むのがもっとも大きな理由となっています。  2019年10月、英ダイソンも開発費がかさみ、事業の継続が難しくなったとしてEV開発の中止を発表します。   EVで収益を上げている企業はいまのところ見当たらないのが現状です。

 2019年10月、テスラが初めて米国以外に進出した中国・上海市に建設中の新工場「上海ギガ・ファクトリー」において、 「モデル3」の試作車の生産まで数週間のところにきていると発表しました。    当然、“運命共同体”として資金を投入していたパナソニックは自社製電池が搭載されると考えるのが自然ですが、中国の電池製造メーカーの製品を採用するとみられます。

 2000年代以降パナソニックはプラズマテレビに注力し、次々と工場を建設。    投資総額は6000億円にのぼりましたが、韓国勢の液晶テレビに敗れ、2013年にプラズマテレビから撤退した苦い経験があります。   EV市場は思うように伸びていない現状では、パナソニックの車載電池事業も、先行き不透明感が漂っています。  2018年が創業100周年の節目となったパナソニックですが、 このままではテスラ向け車載事業は次なる成長の軸となるどころか“お荷物”になりかねない状況です。

 パナソニックとトヨタは2020年代前半までの実用化を目指す全固体電池の共同開発を進めており、共同開発した製品はトヨタ以外の自動車メーカーへの販売も視野に入れています。   ただトヨタとしても車載電池の調達先は世界最大手の中国・寧徳時代新能源科技(CATL)と包括提携しており、パナソニックにとっては強力なライバルとなりそうですから油断はできません。 (2019.12.20 Business Journal 引用)

 と思っていたら、とうとうパナソニックは2020年2月に米電気自動車(EV)メーカー、テスラとの太陽電池の共同生産を解消すると発表します。    2010年代以降太陽電池は、中国メーカーが低価格を武器に台頭。  太刀打ちできない日本勢は苦戦していましたが、 それに加えパナソニックはテスラが求める性能水準を満たせずにいました。(2020.2.27)


売れまくった日産e-POWER車

 日本自動車販売協会連合会(自販連)が毎月発表している「乗用車ブランド通称名別順位」によれば、2018年の通年総合1位は日産ノートでした。  2019年1月においても登録車の販売台数総合1位はこのクルマですから、日産e-POWER車は売れまくっている車なのです。

 そもそも、EV(電気自動車)は、文字どおり電気モーターのみで走行するクルマであり、一般的なハイブリッド車は、ガソリンエンジンとモーターを上手に併用しながら走行します。

 それに対しe-POWER車はエンジンが搭載されているものの、それは発電専用であって駆動用で使うのではありません。   そのエンジンが発電した電力でもってモーターを動かし、そのモーターパワーのみで走るという仕組みになっています。  シリーズハイブリッドと呼ばれるべきものです。

 それゆえ、e-POWER搭載車はEV同様の「力強い加速とレスポンス」という美点を有しながらも、ピュアEVと違って「電欠」の恐れがないという、良いとこ取りの車です。   しかも約180万円〜という戦略的な低価格と言うのですから、売れまくっているのも当然なのでしょう。(2019.5.16 Business Journal 引用)


世界で使われる日本の技術

 中国メディア・東方網はドイツ車に採用されている日本の技術について7つ挙げています。

 1つ目はフォルクスワーゲンなどのドイツメーカーも用いている日本製の低コストで高品質なターボチャージャー。

 2つ目は、ICを使ってデータ分析し、制御を行う電子制御システム。  日本最大の自動車部品メーカー・デンソーがこの分野で大きな強みを持っており、 ドイツ車の一部にも同社製のユニットが採用されているとか。

 3つ目にはアイシン精機が大きなシェアを持っている変速機が。  4つ目には小糸製作所が業界をリードしている各種ランプがあります。

 5つ目にエンジンのピストン運動を回転力に変える重要な部品で愛知製鋼製が有名なクランクシャフト。  6つ目には四駆車に用いられ、 前後の軸間で発生する回転差を解消するジェイテクトのトルセンに代表されるセンターデフ。

 最後の7つ目は、自動車本体に取り付けられる部品ではなく、自動車を造るのに必要なレーザー溶接ロボット。    「ドイツ車は強度の高い鋼板を大量に用いており、短時間に細かい溶接を完成させるには精度が高く信頼できる日本製の溶接ロボットが必要なのだ」、 と説明しています。(2019.5.15 Searchina引用 )


これから有望な環境対策車

  EVよりもFCVが優位だとされる理由に、シェールガスを精製する過程で水素エネルギーを取り出すこともできるという点といわれます。     関係者が「EVよりも燃料効率のいいFCVの量産化を進めるべきだ」と指摘する理由もそこにあるというわけです。

 EVはエンジンが不要な構造のためシンプルで、ガソリン車に比べて部品点数が4割ほど減るとされ、特にエンジン関連の部品を扱う企業は深刻な問題となりますし、 国内スタンド数は2050年に現在のおよそ4分の1である8700カ所まで減ることも示唆されています。

 いずれにしろ、現段階の2030年時点の新車販売に占めるEVの比率予測は、 上はBNPパリバの26%から、下はエクソンモービルの1.6%まで、議論の幅は広いのが現状です。    果たしてこれからの車の動力源は何が主流となっていくのでしょうか。

 日本の自動車メーカーが得意のハイブリッド車はカリフォルニア州のZEV規制でも、2018年からZEVの対象から外されました。   2019年からスタートする中国のNEV法でもハイブリッド車は「NewEnergy Vehicle」には含まれていません。   ただし、日本メーカーが得意な技術にPHVがあります。

 EVと理屈は同じPHVは、プラグを差し込んで外部から直接充電できます。 PHVはバックアップにガソリンエンジンを持ったEVともいえるわけです。  EV最大の技術的ネックはバッテリーですが、PHVは長距離を走ってバッテリーが心細くなってもガソリンエンジンがあり、 両方を使い切ると700キロぐらいは走れます。  欧米でエコカーの本命がEVに傾いたのはPHVの利点を訴えてこなかったから、という指摘もあります。

 日産はガソリンエンジンがバッテリーの充電機、という発想で人気を集めています。  このシステムならガソリンがあれば何処までも走行できますから、 充電キレの心配もありません。

 日本メーカーとしては、周りが全部EVになったら元も子もないわけですから、「とりあえずPHVこそが現状ユーザーが安心できる最良のEV」、というPRをもっと大々的に行うべきでは。

 現在の内燃機関が完全に役目を終えるのは、どんなに早くても2050年レベルでしょう。  それまではエンジン・PHVハイブリッド・EV、FCV、それともまだ見ぬ○○、が混在しつつそれぞれ発展を遂げながら、 いずれ未来の主流動力が決まるのではないでしょうか。(2017.12)


あの話、どうなった?.......自動車編

 2017年頃から欧州メーカーは「内燃機関廃止!」と大騒ぎしていますが、本当に約束通り(?)2019年には新車にエンジンを全く用いずに、ゴミ箱に放り込み、全く別なパワートレインにシフトできるのか。

 欧州メーカーは早くも2018年に「ハイブリッドはやります」と軌道修正しています。  いずれ遠い将来ガソリンを燃やす内燃機関はなくなり、かわりにBEV(電気自動車)やFCV(燃料電池自動車)はゆっくりと増えていくでしょうが、 まだまだ車からエンジンを完全に駆逐する未来は先のような気がします。(2018.3.12)     

こんな話題 その後どうなった
物流業界、エンジン車からEVへ移行本格化 (2019.6.28)エンジンからevに代替すると、年間10万キロメートル走る事業者は1台当たり76万9000円の燃料代の削減が可能という試算も。
すでに中国製のEVバスが沖縄、京都、会津を走り始めた。 それにもかかわらず、日野自動車、いすずからはEV開発の槌音が聞かれない。
トヨタがいまさら低燃費エンジンを作る理由 2030年ごろの見通しは年産1000万台を超えるトヨタの新車の中で、燃料電池(FCV)とバッテリー電気自動車(BEV)が100万台。 マイルドハイブリッド(MHV)を含むハイブリッド(HV)とプラグインハイブリッド(HV)が450万台。 つまり合計550万台と全体の過半が何らかの電動デバイスを含む電動化車両になる。 依然として900万台の車両には内燃機関が用いられる。 (2018.3)
トヨタ、2025年にエンジン車のみの車種ゼロへ トヨタ自動車は2025年ごろまでに世界で販売する全車種を電動専用車か電動グレード設定車とすると発表。 エンジン車のみの車種はゼロとする。  電気自動車(EV)は2020年代前半に世界で10車種以上へ拡大する。   電動車はハイブリッド車(HV)やプラグインハイブリッド車(PHV)、EV、燃料電池車。(2017.12)



あの話、どうなった?.......飛行機編

   

こんな話題 その後どうなった
(2018.7)IHIより防衛装備庁に「XF9-1」という戦闘機用エンジンが納入。戦後70年以上できなかったことが、ようやくできた。

これまで一流の戦闘機用エンジンを自力で開発できなかった日本の航空産業史上、画期的な出来事。
XF9-1は試作エンジンであるとはいえ、推力は15トンを超える。米国の「F-15」やロシアの「Su-35」といった世界の一線で活躍する戦闘機のエンジンと同等以上の出力を持つ。

これまで日本は自力ではどうしてもエンジンを開発できる目処が立たず、米国に頼らざるを得なかった。

実は、日本のジェットエンジン業界は、日本独自のものも含め、優れた技術を多く持ち、エアフォースワンなどのごく一部の例外を除けば、 日本の技術の入ったジェットエンジンを積まない旅客機は現在、空を飛ばないまでになっている。
国産初の小型ジェット旅客機「MRJ(三菱リージョナルジェット)」 2019年6月、スペースジェット(旧MRJ)の一部胴体の量産を始めた。 スペースジェットは現在約400機受注しており、機体は運航に必要な国の認証取得に向けた最終段階に入っている。   2020年半ばの初納入を目指している。(2019.7.6)

米イースタン航空が発注した計40機(オプション含む)の契約について、「おそらく、なくなるだろう」と認めざるを得なくなるところに追い込まれている。 その会見では、計200機を発注している米スカイウエストなど大口契約先からのキャンセルはあるのか。(2017.12)

世界最大級の航空見本市「パリ国際航空ショー」で「MRJ(三菱リージョナルジェット)」は初飛行の遅れが響き、期間中に新規受注を獲得できず。
一方、MRJと同型のエンジンを積む新型機を開発中のブラジル・エンブラエル社はパリショーの商談期間中に50機を受注。(2015.6)

2014年10月飛行用の試験機が完成。 エンジンの加速やブレーキの性能、操縦性などを調べる地上での走行試験が8日行われた。 今年9〜10月には初の試験飛行を予定。(2015.6)

プロジェクトは、2003年以降に本格的に立ち上がり2008年に実用機の開発がスタートし2013年には初号機が受注先に引き渡される予定。
ホンダの小型ジェット機「HJ(ホンダジェット)」 米国を出発したホンダジェットは23日午後に羽田空港に着陸。(2015.4)





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