【た】No6     表紙ページへ戻る

だおけ

共通語  (馬草など家畜の)餌桶

用例    夏だけんたんびにだおけを洗って馬草をやれよ。

用例訳  夏だからたんびに餌桶を洗って馬草をやれよ。

採取者  森山[湖陵]

 

たかたかいび

共通語  中指

用例    ほぁ、(指の中で)ちばん背のたけのがたかたかいびでね

用例訳  ほら、一番背の高いのが中指だよ。

採取者  金沢[松江]

 

だえこ(ん)おろし

共通語  おろし金

用例    (芋の)とろろつく けんだえこんおろし取ってごしない

用例訳  とろろを作るから、おろし金を取ってください。

採取者  金沢[松江]

 

たいたい〔2〕】

共通語  相対、対等

用例    よーし、こんたいたいでやら

用例訳  よーし、今度は相対でやろうか。

採取者  金沢[松江]

 

だめつめる

共通語  談判する、議論する 

用例    とな どなこんでだめちめた。

用例訳  隣 に怒鳴り込んで談判した。

採取者  f-k[加茂]/【だめちめする】f-k[加茂]

 

たける

共通語  (強い刺激物が目や鼻に)しみる 

用例    このワサビ漬、上手にこっさえ ちょらい けん、目鼻にたけて涙だしながらよばれ ちょーます

用例訳   このワサビ漬、上手にこしらえ ておられる から、目鼻にしみて涙だしながらいただいていますよ。

採取者  森山[湖陵]

 

たかしゃっぽ

共通語  中折帽子、山高帽子 

用例    ちーと場違いじゃーーか。いまどきたかしゃっぽなんかいかべー もんおら よ。

用例訳  すこし場違いじゃないか。いまどき山高帽子なんか被る ものはい ないよ。

採取者  児玉[横田]

 

たかもり

共通語  椀などに食物を高く盛り上げること、大盛り 

用例    まあ、またたかもりにしてごい たてて、よう食わ 

用例訳  まあ、また大盛りにしてくれても、よう食わない よ。

採取者  児玉[横田]

 

たきさし

共通語  木の燃えさし、燃え残りの薪 

用例    風呂(釜)のたきさし。気  

用例訳  風呂(釜)の木の燃えさし。気をつける のだ よ。

採取者  f-k[加茂]/【たきくさし】児玉[横田]

 

たりする

共通語  (家の)助けになる 

用例    こな子も卒業しました けんこーからちたたりしごし ましょ ぞね

用例訳  あの子も卒業しました から、これから少しは(家の)助けになってくれ ましょう よ。

採取者  金沢[松江]・f-k[加茂]

 

たけざ

共通語  竹製のすのこ、竹製すのこを用いた床几状台座 

用例    今夜けんたけざしじんでく 

用例訳  今夜は蒸すから、竹製のすのこで涼んでくる よ。

採取者  f-k[加茂]

 

だだけん

共通語  だから、〜のだから

用例    (人の会話を受けて)だだけんいけん てて っただら がや

用例訳  だから、いけない と 言っただろう が。

解説    【だけん】の強調語

採取者  金沢[松江]

 

たけんま

共通語  竹馬

用例    たけんまだーいっち なが 乗っとーきょうそ しょ こい

用例訳  竹馬で誰が一番 長く乗っているか競争 しよう よ。

参考    「たけんま」は「たけうま」の出雲訛り。太田柿葉氏著「明治・大正の出雲(1962年)」によると明治・大正期、松江・能義地方では竹馬を「たかし(高脚)」とも呼んでいたようだ。

採取者  f-k[加茂]

 

だだける

共通語  駄々をこねる、我儘を言って騒ぐ

用例    おもちゃ買ってやらだったら、だだけてえけん 

用例訳  おもちゃを買ってやらなかったら、駄々をこねていけない よ。

採取者  f-k[加茂]

 

たじねる

共通語  探す

用例    もっと、よーねだじねてみはっしゃい

用例訳  もっと、よく探してみてごらんなさい。

採取者  坂本[加茂]

 

だつなぎば

共通語  牛の係留場

用例    だつなぎばの牛も、蚊くよししてやれ

用例訳  係留場の牛にも、蚊いぶしをてやれよ

参考    厩や係留場で小さな焚き火の上に青草を被せ燻し蚊いぶしにした。

採取者  森山[湖陵]

 

たちみ

共通語  収穫量の査定

用例    台風で稲が倒れたけん、明日たちみしーけん 出てごしなはい。

用例訳  台風で稲が倒伏したから 明日収量査定するから出かけてください。

参考    戦中戦後の米などの強制供出の時代、「たちみ」で収穫量を予測して供出量を割当てた。

採取者  森山[湖陵]

 

たちもん

共通語  建築物

用例    やっぱし大家だのーたちもんがどこそこ上品な  

用例訳  やっぱし大家だねえ。建築物がどこそこ上品だ よ ねえ。

採取者  児玉[横田]

 

たちまんま

共通語  立ったまま

用例    この歳と、たちまんまの仕事はどうも無理だ

用例訳  この歳になると、立ったままの仕事はどうも無理だよ。

採取者  児玉[横田]

 

だちんま

共通語  駄荷を負う馬、馬車馬、駄馬

用例    だちんまがへこえた。なんぼ こえた。と こえた。 との山超えて、まが三本転んで、しけかえて起こた。 (昭和10年代の悪童の戯れ歌)

用例訳   駄荷を負う馬が屁をした。いくら した。10(回) した。10の山越えて、松が三本転んで、支柱を取り付けて起こした。

参考    駄賃馬。駄賃馬は本来、駄賃を取って荷物を運ぶ馬のことですが、大正〜昭和初頭には姿を消していました。しかし昭和10年代はまだ、馬車馬や駄馬など馬一般を「だちんま」と呼ぶことがありました。悪童が馬を見つけると、用例の戯れ歌を囃し立て、ふざけ合ったものでした。

採取者  f-k[加茂]

 

だごえ(だーごえ)】

共通語  人糞尿肥料

用例    むかしだごえかっとっけんよー しがわて、しくだし飲んだもん わ

用例訳  昔は人糞尿肥料を使っていたから、よく (回虫などの)虫が湧いて、虫下しを飲んだものだよ。

採取者  f-k[加茂]

 

だら〔2〕】

共通語  (腰にさす煙管用の)煙草入れ

用例    おじじが、まただられて。また、さわぎ 

用例訳  お爺さんが、また煙草入れを忘れて行かれたよ。また、騒ぎになる よ。

解説    皮製や布製の外、恵比寿さんや大黒さんの頭部を象った桐材の【だら】などもあった。

採取者  f-k[加茂]

 

たながわる

共通語  (果菜類など)一代雑種ができる

用例    西洋カボチャと日本カボチャつけて植えたけんたながわった。

用例訳  西洋カボチャと日本カボチャをひっつけて植えたから、一代雑種ができた。

参考    果菜などは異品種を近づけて植えると風や虫の媒介で一代雑種(F1と言う)ができやすい。親より優れたものは少ない。

採取者  森山[湖陵]

 

たてつめる

共通語  (襖・障子などの)建具を隙間なく閉め切る

用例    そげんたてちめーと息が やな 

用例訳  そんなに(建具を)隙間なく閉め切ってしまうと息が詰まる ようだ よ。

参考    出雲弁では、襖・障子などを閉めるのをたてるといいます。

採取者  f-k[加茂]

 

たてわけ

共通語  (1)区別 (2)わきまえ、分別、道理

用例    (1) もんとぼろをたてわけとく けん 
       (2)まーじたてわけのわから子だ

用例訳  (1)良い ものとボロ(不良品)とを区別しておく から ね。
       (2)本当に、道理の解らない子だね。

参考    (1)の語意では【たなわけ】といういい方もありました。

採取者  f-k[加茂]

 

たてる〔2〕

共通語  あおって米麦などの塵をとりのぞく、風選する

用例    この種籾塵が混じちょっていけ。唐箕でたてー

用例訳  この種籾は塵が混じっていていけない。唐箕で風選しようか。

参考    少量のときは、板箕(薄い板で作った塵取りのようなもの)でするが、能率が悪い     ので唐箕を使うことが多かった。

採取者  森山[湖陵]

 

たながし

共通語  種籾などを水に浸す

用例    苗代 んなん けんたながしちょくか。

用例訳  苗代をし なければならない から、種籾を水に浸しておくか。

採取者  森山[湖陵]

 

たのし

共通語  〔貝〕タニシ

用例    たのしの串焼きはかて だども まい  のー

用例訳  タニシの串焼きは硬いけれども うまい よ ねえ。

採取者  奥野[平田]

 

たばね

共通語  軒、屋根の先端、瓦屋根の一番先の瓦

用例    去年の豪雪の時にゃたばねの折れた家がたくさんあったのー

用例訳  去年の豪雪の時には軒の折れた家がたくさんあったねえ。

採取者  児玉[横田]

 

だらんだらん

共通語  だらだら

用例    あげんだらんだらん歩く  

用例訳  あんなに、だらだと歩くんじゃ ない よ。

採取者  奥野[平田]

 

ためてみる

共通語  確かめてみる、よく調べる

用例    そりゃよーにためてみことにゃーわから 

用例訳  それはよく確かめてみないことには分からない よ。

採取者  児玉[横田]

 

〜たれ

共通語  〜なやつ(人や者に相当する接尾語で、人を見下げて言う)

用例    ありゃ思いがけたれじゃったのー

用例訳  あれは思いがけない欲なやつだたねえ。

採取者  児玉[横田]/ 【〜たら】児玉[横田]

 

だらずばなし

共通語  みだらな話

用例    だらずばなしが嫌いなもんほんこたおる  わの

用例訳  みだらな話が嫌いな者は本当のことはい ない よ。

採取者  児玉[横田]

 

だらきりなし

共通語  区切りなし

用例    そげんまい ててだらきりなしにたべかわきやまいさばー じね

用例訳  そんなに、うまい といって区切りなしに食べると糖尿病になる よ。

採取者  岡[平田]

 

だらずばら

共通語  大食漢

用例    こな やち  なんぼ食っても 、まだごせいっ〜ちょーだらずばら  かや

用例訳  あいつ ら はいくら食っても、まだくれと言っているが大食漢では ない かい。

採取者  岡[平田]

 

たわいこくたいもない(たわいこくたえがない)

共通語  他愛がない、前後を忘れる

用例    あいちゃ、一所懸命教えたててたわいこくたいもない、すぐ忘れ けん のー

用例訳  あいつは、一所懸命教えても他愛がない、すぐに忘れる から ねえ。

採取者  岡[平田]

 

たらいのき

共通語  〔植〕タラヨウ

用例    たらいのきの葉に熾きを置いてー 。おもっせ模様が出ぞ。

用例訳  タラヨウの葉に熾きを置てみなさい。面白い模様が出るぞ。

参考    タラヨウの葉がハガキの語源だそうですが、字を書いたことはありません。子供頃風呂焚きをさせられると、庭からタラヨウの葉をとってきて、炬口より大小の熾きを乗せ色々な模様が出来るのを楽しみました。年寄りの言うにはタラヨウの木で盥 (たらい)を作ったから、たらいのきだと言っていましたが真偽は不明です。庭木には最高です。

採取者  森山[湖陵]

 

たらんかばち

共通語  足りないくらいに

用例    カレーがあまと困 けんたらんかばちこっさえー

用例訳  カレーが余ると困る から(少し)足りないくらいに作る。

採取者  森山[湖陵]

 

たてがあわん

共通語  対抗できない、かなわない

用例    あのさんにはたてがあわん 

用例訳  あの人にはかなわない よ。

採取者  松井[大社]

 

だまし

共通語  (川や海などにできた)深み

用例    だましがあ けん、危ないけん、そばへよっちゃーいけ ずね

用例訳  深みがあるから、危ないから、そばへ寄ってはいけない よ。

採取者  岡[平田]・松井[大社]

 

だる〔1〕

共通語  疲れる

用例    歩き過ぎたさーで足がだっやーな 

用例訳  歩き過ぎたようで足が疲れたようだ よ。

採取者  児玉[横田]

 

だる〔2〕

共通語  ゆるむ

用例    ネジがだってしまて機械ががたがたす がな

用例訳  ネジがゆるんでしまって機械ががたがたする よ。

採取者  児玉[横田]

 

たんか

共通語  短気

用例    こなは、ちとたんかけな こ た  かや

用例訳  あいつは、少し短気のような こと は ない かい。

採取者  奥野[平田]

 

だんらだんら

共通語  だらだら

用例    のくて汗がだんらだんら流れ やな 

用例訳  暑くて汗がだらだらと流れる ような よ。

採取者  奥野[平田]

 

たんころ

共通語  痰

用例    タバコ止めたらたんころがで やんなった。

用例訳  タバコを止めたら痰が出ない ようになった。

採取者  奥野[平田]

 

たんぽ〔2〕

共通語  尾が短い犬や猫

用例    うちのミケちゃんはたんぽだよ。

用例訳  うちのミケちゃんは尾が短い猫だよ。

採取者  森山[湖陵]

 

たわたわ〔2〕

共通語  しなって揺れるさま

用例    竿竹がたわたわとーが危こと かや

用例訳  竿竹がしなって揺れているが危ないことはない かい。

採取者  岡[平田]

 

だわだわ

共通語  揺れるさま

用例    物干し竹がだわだわちょー けんもて もんのせ ない

用例訳  物干し竹が揺れている から、重たい 物を載せる ではないよ。

採取者  岡[平田]/【だわんだわん】岡[平田]/【だんわだんわ】奥野[平田]

 

たくねる〔2〕

共通語  横取りする、奪い取る

用例    かげんなことって 、とおらもんたくねてしまった

用例訳  いい加減なことを言って、とうとう俺のものを横取りしてしまったよ。

採取者  f-k[加茂]

 

たないけ

共通語  (屋敷内に設けた)小さな池

用例    ねんぱ掬うててたなえけ ぼろけた。

用例訳  メダカを掬うといって小さな池に 落ちた。

参考    野良帰りの農具を洗ったり、種籾の浸漬等に使った。防火用水にもなった。

採取者  森山[湖陵]・f-k[加茂]

 

だる〔3〕

共通語  垂れ下がる、たるむ

用例    障子の建てつけがわりと思ったら、鴨居の真ん中が三分ほどだ ーちょう 

用例訳  障子の建てつけが悪いと思ったら、鴨居の真ん中が三分ほど垂れ下がっている よ。

参考   垂る(たる)/f-k[加茂]

採取者  森山[湖陵]・f-k[加茂]

 

たいした

共通語  大変な、おびただしい、ずいぶん

用例    たいしたさむが、雪がふっちょ せん かや。/奥野[平田]

用例訳  ずいぶん寒いが、雪がふってい ない かい。

参考    共通語では連体詞として使うが、出雲弁では副詞としても使う

採取者  森山[湖陵]

 

たきな

共通語  〔植〕ウワバミソウ

用例    ころあいに歯ざわりがあって、このたきなまい  。/児玉[横田]

用例訳  ころあいに歯ざわりがあって、このウワバミソウはおいしい よ ね。

採取者  松尾[横田]

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だんぎり

共通語  大鋸(横引き用)

用例    腰鋸では無理だぁー。だんぎり持ってこい。

用例訳  腰鋸では無理だ。大鋸を持ってこい。

参考    腰鋸:小さな手曲がり鋸は鞘に入れ腰に吊るす

採取者  森山[湖陵]

 

たなへじ〔2〕】

共通語  台所の汚水。汚水を流す溝。また、その汚水を受ける貯めます

用例    たなへじ なんぞ せかとー へんか 。 えらぇ 流れがわりが。

用例訳  台所の汚水の溝に なにか 引っかかってい ないか。えらく 流れが悪いが。

採取者  f-k[加茂]

 

たなんと

共通語  炊事場

用例    たなんとおっけな音がしたが、のしと猫はっちょー  か。

用例訳  台所で大きな音がしたが、野良猫が入って い ないか。

採取者  森山[湖陵]

 

たかぼくー(たかぼくり)

共通語  高下駄

用例    雨だけんたかぼくーっしゃい

用例訳  雨だから高下駄で行きなさいよ

採取者  金沢[松江]

 

 

 

 

 

 

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