【おどわっせる】
共通語 意に反して忘れる
用例訳 こないだまで覚えていたのに意に反して忘れて。
採取者 高橋[平田]・原[出雲]
(記録者:奥野)
【おど】
共通語 あらかた、全く、非常に、大変に
用例訳 おど済む ようになって来ても、つまら ない よ。
採取者 松尾[湖陵]
【おい】
共通語 シーツ
用例 おいが汚れちょー けん、そろそろ換えちょいてごさん かや。
用例訳 シーツが汚れている から、そろそろ換えておいてくれない か。
採取者 今岡[加茂]
記録者 (金沢:松江)
【おおめ】
共通語 メジナの大物
用例 だいしょ さぶ んなったけん、そろそろおおめがつれーせん かや。
用例訳 少し 寒 くなったから、そろそろメジナの大物が釣れない かい。
採取者 松尾[湖陵]・森山[湖陵]
【おだり】
共通語 (山間いから出る溝ていどの小さな)水の流れ
用例 雨が降らん だ けん、おだりが少なて稲が枯れーせんかあんじらし。
用例訳 雨が降らない から、水の流れが少なくて稲が枯れないか心配だ。
採取者 森山[湖陵]
(記録者:奥野)
(註)大雨の時だけ流れる溝状の小さな流れがある。大雨時に出る水をやませと言う。おだりもやませも山間地帯の稲作の大切な水源であった。
【おおみみず】
共通語 (畑などにいる)大きいミミズ
用例訳 うなぎ釣には(餌は)大きいミミズが一番いい よ。
解説 梅雨から夏ごろおーめめじ(15cmぐらい)をウナギの釣りえさに使いました。/森山[湖陵]
採取者 森山[湖陵]
(記録者:金沢)
【おちごじる】
共通語 (大豆の粉で作った)団子汁
用例 今日はおちごじるだじね。
用例訳 今日は大豆の団子汁だ よ。
採取者 遠藤[大東]
【おえがでる】
共通語 嘔吐する
用例訳 そんなに 急いで食べると、おえがでーずね。
採取者 原[出雲]
(記録者:奥野)
【おはばい】
共通語 身分不相応で恥ずかしい、まぶしい存在
用例訳 娘の花嫁姿がまぶしいようだ よ。
採取者 伊藤[斐川]
(記録者:奥野)
【おろえる】
共通語 告げ口、訴える
用例 内緒にしちょか こい てて言っちょったに、わーがおろえたけん兄ちゃんが叱らえたがな」。
用例訳 内緒にしてお こう と言っていたのに、おまえがつげ口したからお兄ちゃんが怒られたよ。
採取者 森山[湖陵]
(記録者:奥野)
【おーせる】
共通語 罪をなすりつける
用例訳 いけない ようになると、あいつは人に罪をなすりつけるから ねー。
採取者 児玉[横田]
【おとこ】
共通語 〔卑〕下男、男の奉公人、下働きの男
用例 おとこに行く。
用例訳 下働きの男に行く。
参考 【おなご】も同様の使い方をする
採取者 児玉[横田]
【おどれ】
共通語 〔卑〕相手をいやしめていう言葉
用例 おどれが今までなにしちょった。
用例訳 おのれが今までなにしていた。
採取者 児玉[横田]/【おどら】奥野[平田]/【おどーめ】奥野[平田]
*【おどら】・【おどーめ】に空見出しを付ける
【おいたたかす】
共通語 おっぱらう
用例 うるさーていけん もんだけん、おいたたかいちょいたわ。
用例訳 うるさくていけない ものだから、おっぱらっておいたよ。
採取者 児玉[横田]
【おとこまつ】
共通語 〔植〕黒松
用例 築地松はおとこまつだわな。
用例訳 築地松は黒松だよ。
参考 【おなごまつ】
採取者 遠藤[大東]
【おー】
共通語 時分、頃、時
用例 おら やつのほしぇおーにゃ よー えのころすわいで遊んだもんだわ。
用例訳 おれ たちの小さい頃にはよく犬ころを叩いて遊んだものだよ。
採取者 清水[松江]
(記録者:奥野)
【おにまわし】
共通語 〔遊〕(トランプ遊びの)ババぬき
用例訳 こんどはババぬきしようよ。
採取者 金沢[松江]
【おさだになる】
共通語 駄目になる 水泡に帰する、お釈迦になる
用例
お前、なにー考えちょりゃー。手のほうがよーねおさだに
なっちょー がな。
用例訳 お前、なにを考えているのだ。手のほうが完全に駄目になっている よ。
採取者 児玉[横田]
【おし】
共通語 (主として漬け物用の)重し石
用例訳 漬け物に重し石をしておいてくれよ。
採取者 金沢[松江]・清水[松江]
【おかだる】
共通語 浮かぶ
用例 川に死んだ魚がよーけおかだっちょったが、なんぞあっただーか。
用例訳 川に死んだ魚がたくさん浮いていたが、なにかあっただろうか
採取者 松尾[湖陵]
【おまになる】
共通語 ノイローゼ、神経衰弱みたいな状態
用例訳 あの人は今ノイローゼになっておら れる。
採取者 金本[東出雲]・miyake[東出雲]
【おかざー】
共通語 浮く
用例 宍道湖ね鯉の死んだやつが、たいそーおかざーちょったげな。
用例訳 宍道湖に鯉の死んだやつが、たいそう浮いていたそうだ。
採取者 森山[湖陵]・藤原[出雲]
【おーたいぎ】
共通語 大層お疲れ、大変な疲れ
用例 やー、おーたいぎでした。そこ、ながんなって休んでごしなはい。
用例訳 やー、大層お疲れでした。さあ、横になって休んでください。
採取者 松尾[湖陵]
【おさどになる】
共通語 (一方に気が向き一方が)お留守になる
用例 こら、け、口ばっかーたって、手がおさどねなっちょー が。
用例訳 こら、もう、口ばかりたって、手がお留守になっている よ。
採取者 KEN[八雲]・坂本[加茂]
【おさえ】
共通語 腹のたし
用例 酒ばっか飲んどーが、飯くっとか んと(腹の)おさえにならん じ。
用例訳 酒ばかり飲んでいるが、飯を食っておか ないと腹の足しににならない よ。
採取者 遠藤[大東]
【おーあかり】
共通語 薄明かり
用例訳 緑内障で薄明かり(に)しか見えないようになった。
採取者 森山[湖陵]
【おさめのさかじき】
共通語 (祝言などの最後に順次回し飲みする)宴を収める大杯
用例 おさめのさかじきを空ね せな えんでもらーわけね えかん けんね。
用例訳 宴を収める大杯を空に しなければ帰ってもらう訳に 行かない からね。
参考 出雲地方の婚礼用語、【収めの杯】
採取者 f-k[加茂]
【おやがに】
共通語 ズワイガニの雌
用例訳 ズワイガニの雌の内子は旨い よねー。
採取者 金沢[松江]
【おおやまんぼし】
共通語 (坊主頭の)髪が伸びてボサボサの状態
用例 明日は卒業式だけん、おおやまんぼしつんでこい。
用例訳 あしたは卒業式だから、髪が伸びてボサボサをつんでこい。
採取者 森山[湖陵]・つど[大社]
【おでーも】
共通語 〔植〕ナガイモ
用例訳 砂地でナガイモを作ると掘るのが楽だ。
採取者 森山[湖陵]・岡[平田]
【おにむすび】
共通語 縦結び
用例 か、なんだ。おなご ん子のくせにおにむすびしかできん だ かや。
用例訳 これは、なんだい。女 の子のくせに縦結びしかできない の かい。
採取者 金沢[松江]・松井[大社]
【おーちけ】
共通語 本格的に漬けた漬け物、本格的に漬けること
用例 ちと、しわい だ ども、やっぱーおおちけのほが味がえ が の。
用例訳 少し、かたい けれども、やっぱり本格的に漬けた漬け物の方が味が良い よ ね。
採取者 坂本[加茂]
共通語 蒸すように暑い
用例 たいしたおんけーが、雨が近いねー。
用例訳 ずいぶん蒸すように暑いが、雨が近いねー。
採取者 森山[湖陵]
【おみける】
共通語 蒸し暑くなる、むれる
用例訳 今日は、すごく蒸し暑くなるそうだ。
採取者 f-k[加茂]/【おみけのくい】f-k[加茂]
【おーぜまんぜ】
共通語 大勢
用例訳 大勢でお邪魔してご馳走さまになりました。
採取者 森山[湖陵]
【おのーばらたてる】
共通語 自分のしたことにたいして腹を立てる
用例 ○○ちゃんがぺッタンに負けておのーばらたててえんだ。
用例訳 ○○ちゃんがペッタンに負けて 腹をたてて帰った。
採取者 森山[湖陵]
共通語 仏前に供える飯
用例訳 飯が炊けたら一番先仏様に供える飯を盛るんだよ。
採取者 森山[湖陵]
【おっぱえ】
共通語 口先の上手なこと
用例訳 あいつの口上手には気をつけ なくては いけない。
採取者 f-k[加茂]
【おーがつく】
共通語 吐き気がする
用例訳 吐き気がするほど酒を飲む もの では ない。
採取者 遠藤[大東]・てんちゃん[湖陵]
【お(っ)とんだら】
共通語 大ばか者
用例訳 大ばか者。なにをしている のだ。
採取者 miyake[東出雲]・f-k[加茂]
【おもいつく】
共通語 着手する
用例訳 (仕事に)そろそろ着手しようでは ないか。
採取者 遠藤[大東]
【おーご】
共通語 一番上の子
用例 おち ゃ おちまごが3人でおーごとおとごがにょーばんこ、真ん中がおとこんこだがね。
用例訳 うち は 内孫が3人で一番上の子と末っ子が女の子、真ん中が男の子だよ。
採取者 f-k[加茂]
【おおばなし】
共通語 (声高に盛んに)長話をすること
用例 おじじが、また、となーのおばばとおおばなししとっ てだ じ
用例訳 お爺さんが、また、お隣のお婆さんと長話ををし ておられる よ
採取者 f-k[加茂]