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東アジアの火薬庫.......北朝鮮

 すぐ隣なのに、なにかと厄介なご近所の国、韓国と北朝鮮。    北朝鮮は過去、覚醒剤や偽ドル、ハッキングなど国家主体で犯罪行為を企て、それで国家経済を成り立たせている国です。  ミサイルなど武器輸出も盛んに行っています。

 とくに北朝鮮は2017年から頻繁にミサイルを日本周辺めがけぶっ放し、核実験は頻繁に繰り返すという、もはや暴走ともいえる行動をとっています。(2017.10.26)

 すでに朝鮮半島の南北問題は民族問題や経済問題ではなく、アメリカと同盟国の安全保障の問題となっています。    北朝鮮はアメリカ本土に到達するミサイル・核の開発を進めており、アメリカの直接的な敵国となっている現状があります。

 頓挫した米朝会談の打開を図るため、2019年4月11日に韓国の文在寅大統領はアメリカのトランプ大統領と米韓首脳会談を行います。   しかし会談予定の30分間のうち27分を記者会見に費やされ、肝心の話し合いは約2分で終了するという屈辱的冷遇を受けます。

 本来ならば韓国は日米韓で協力しあい、北朝鮮との交渉にあたるパートナーのはずでした。  それなのに文大統領は北朝鮮寄りの姿勢を続け、南北関係を進めることを国政の最大課題とし、 この狂信国家を擁護し続け、北朝鮮との融和政策に前のめりになりすぎています。

 どうやら文大統領には北朝鮮を対話路線に引き出したのは、国連制裁と米国の軍事的圧力によるものだという認識は全くないのでしょう。     それどころかこの人物は日韓関係をこじらせ、対立をますます増長させています。  空気を読めない無能な政治家であることを天下に晒しているわけです。

 そもそも、会談に先立ちアメリカ側は「北朝鮮への制裁緩和の話をするのであれば来なくてもいい」というスタンスだったのに、韓国側が押しかける形で実施されたといわれます。     もし韓国が米朝会談を本気で進めるのであれば、まず北朝鮮に行き金正恩委員長に非核化と譲歩を促し、その成果を持って米国に行くのが仲介者の役目なはずです。

 しかし、この「出しゃばりな仲裁者」文大統領には、自分が取っている行動がアメリカの安全保障を直接的に脅かすものである、 という現実が見えていないのでしょう。  

 金正恩さえも4月12日に行われた最高人民会議で文大統領に対し、「出しゃばりな仲裁者・促進者のように振る舞うのはやめろ」、 「南朝鮮当局は口だけではなく、実践的な行動でその誠意を示す勇断を下せ」、と非難していました。  米国と直接的なパイプができた以上、もう韓国は無用の存在になりつつあるというわけです。

 韓国主要紙も、「文政権はこれまで米朝の仲介者を自認してきたが、米国はこのような韓国の立場はもはや認めない。  韓国は日米韓同盟の一員として協力すべきである」、 という論調に変わってきています。(2019.4.16)

 いつまでもの北朝鮮の我が儘を放置していると、いずれ核弾頭を小型化してミサイルに搭載できるようになり、それを実戦配備すればもう後戻りはできなくなります。    そうなってしまえば、日本や韓国は北朝鮮からどのような言いがかりをつけられるか、難しい局面を迎えることになります。


独裁国家北朝鮮

 北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)は、ソビエト連邦(ソ連)による朝鮮占領期に、ソ連に亡命してそこで朝鮮人共産党員の指導的役割を担っていた金日成(キム・イルソン)を委員長に任命し、 1948年9月9日に独立・建国されました。 金日成が1994年に死亡した後、「苦難の行軍」と呼ばれる、都市部でさえ配給が止まる飢饉が国全体を覆う時代が続きます。

冬になれば食糧も凍る土地なのに、家の窓にガラスはなく車や列者の窓さえ薄いビニールを二重に張って寒さを凌ぐほどだったといいます。     このままなら間違いなく独裁体制の金政権は倒れ、後に日本が北朝鮮の核ミサイルの脅威に晒され、怯えて暮らす事態は起きなかったはずでした。

 しかし、1998年、韓国に親北の金大中(キム・デジュン)が第15代大統領として誕生したことで事態は大きく変わり始めます。   金大中は「太陽政策」のもとで北朝鮮への食糧支援や生活物質をふくむ援助を活発化させていきます。   このおかげで2000年頃から北朝鮮の食糧事情も改善されていきました。

 北朝鮮の国民は金独裁体制の崩壊を望んでおり、それがもう少しで叶えられるところだったのに、韓国に親北左翼政権が誕生してしまい、北を救ってしまったのです。   もう少し時間があったなら、そして親北の大統領でなかったら、東アジアに戦争の危機が迫ることも無かったのです。

 金正日(キムジョンイル)総書記時代の困窮ぶりを脱北者が皮肉った韓国のジョークがあります。 経済失政の余波が軍にもおよび、末端兵士は日用品にも事欠く中、 不満と失望が限界に近づいていたある日、とある部隊で将校が言いました。

 「諸君! きょうは良い話と、悪い話がある。 まず良い話だが、諸君は下着の交換が認められた」。 歓声をあげる兵士を一瞥(いちべつ)し、将校は話を続けます。    「次に悪い話だが、下着は、隣の同志と交換だ」。  この話を紹介した加藤達也氏によれば、最近“後日談”があることを知ったそうです。 「交換のためにズボンを脱いだ兵士らは、下着をはいていなかったらしいのだ」.....。

 2017年に第19代の韓国大統領となった文在寅(ムン・ジェイン)も北朝鮮に融和的といわれ、核ミサイルの開発を急ピッチで進める北朝鮮に対し各国が経済制裁強化に動く中、 優柔不断な態度をとりつづけ金大中と同じ道を辿ろうとしています。(2017.12)


北朝鮮の核保有容認という最悪のシナリオ

 北朝鮮は自らが核ミサイルのヨロイを身にまとう前に、アメリカに攻撃されると元も子もない。  だから日本に対し「東京をミサイルで火の海にする」と恫喝するのです。    脅かすことで北朝鮮に圧力をかけることを躊躇させ、恐怖を与えることで日本国内の世論を操作し、アメリカにブレーキをかけさせる方向に向かわせる目的があるのです。

 一刻も早くミサイル開発を完了させよう必死の北朝鮮は、日本国内に半藤氏のような考えの世論を拡大させ、しばらく時間稼ぎをしたいのです。   北朝鮮に対しいまさら対話など持ち出しても手遅れなのです。

 もし北朝鮮が核ミサイル攻撃・防衛体制を整えてしまえば、万が一の不測事態が起こったとき、やぶれかぶれになった「金正恩」が核ミサイルの攻撃ボタンを押してしまう、 という想像するだけでも恐ろしい恐怖のシナリオが現実味を帯びます。

 発射した次の瞬間、アメリカの反撃により金王朝は一瞬にして滅び、北朝鮮は地上から消滅するでしょうが、発射された核ミサイルが韓国、日本、アメリカに着弾して、 何百万の命が一瞬にして失われるのです。

 たとえ戦争にならなくても、アメリカが北朝鮮の核保有を容認し、新たな開発凍結と厳しい管理で手を打つというシナリオにでもなれば、日本は未来永劫北朝鮮の核ミサイル攻撃の恐怖にさらされ続け、 北朝鮮の顔色をうかがいながら暮らすという悪夢のような事態も起こりうるのです。  そうなったら最悪の展開となってしまいます。

 米国が「アジアのことはアジアに」の政策を強めていくなかで、今後日本は自国の防衛力強化はもちろん、中国、韓国が持ち出すであろう歴史問題、歴史戦争に対抗できるよう、 独自の力を強く備えていかなければならない事態を迎えようとしているのです。

 やれ政局がどうとか森友学園がどうした、などとウカレ報道に終始して、北朝鮮のミサイル発射など蚊帳の外に置いていたマスコミたちは、いまさらこの事態を誰のせいにするのでしょう。      圧力ではなく対話が大切だと北朝鮮を容認する姿勢に終始する行動をとってきた政治家、マスコミ達は、そうなったときでも政府を非難するのでしょうか。

 2017年11月29日、北朝鮮はとうとうアメリカ本土まで届く、より高性能なICBM「火星15」の発射実験に成功したと報じました。  それまでは北朝鮮の核など旧日本軍の風船爆弾程度の脅威、 としか感じていなかったであろうアメリカも、このままほっておけるはずも無く、事態はいよいよ風雲急を告げてきています。

 「火星15」の発射は米国に予想を上回る強烈なインパクトを与えたようで、国連安全保障理事会の緊急会合で米国のヘイリー国連大使は、 「世界は戦争に近づいた。 仮に戦争が起きれば、北朝鮮の体制は間違いなく完全に破壊する」、と言い切ります。  このままでは、2017年12月末から1月にかけアメリカ軍による北朝鮮攻撃が開始される、 というウワサ話が俄かに現実味を帯びてきました。(2017.12)


豹変した北朝鮮の対外的スタンス

 2018年4月28日、韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領と北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長が板門店で南北首脳会談を行い、 板門店宣言に「完全な非核化」を共同目標にすることが盛り込まれました。

 それにしても、ついこの間まで『日本を火の海にしてやる』と恫喝し、 トランプ大統領とは悪口の応酬に励んでいた金正恩のこの変貌ぶりに、正直世界は驚かされました。   一時はスワ核戦争勃発かと世界を震撼させた「ロケットマンと不動産王の威嚇合戦」でしたが、 どうやらとりあえずはブレーキがかかったようです。

 文氏と正恩氏が手を携えて軍事境界線を越える姿に、いよいよ朝鮮半島に平和が訪れる兆しが見られたかと期待が寄せられます。  しかし、金正恩のこの動きは決して平和のためのものではないことを知っておく必要があります。

 2017年9月23日、米軍の爆撃機「B-1B」2機が北朝鮮の元山上空を飛行しました。  ステルス性が高く60トンもの爆弾を搭載できるこの「死の白鳥」の飛来は、北朝鮮の貧弱な防空体制では感知できなかったとされます。  金正恩にとって、気づかぬうちに頭上に現れた死神の存在にさぞや驚愕したことでしょう。  彼は本気で米国の斬首作戦に恐れ始めたのです。   それ以来核実験やミサイル発射はピタリと控えるようになりましたから、ゲンキンなものです。

 さらに、中国の北朝鮮に対する新たな動きも金正恩の警戒心に拍車をかけます。 そもそも若い独裁者である正恩氏は、中国への配慮を金日成、正日の時代と違い軽視し、傍若無人にふるまってきました。  過去には中国が保護してきた金正男氏を暗殺、中国からの対話に関する提案の拒否など、聞く耳を持たない独裁者との印象を中国に与えてきました。

 もともと中国は、複数回に及ぶミサイル発射および核実験の結果、北朝鮮への懸念を強めてきていました。 中朝国境地帯での50万人規模ともいわれる難民収容施設の設営や、大規模な軍事演習は、 ある意味、中国から北朝鮮への警告とも受け取れる行動でした。 金委員長はようやく自らの中国に対する言動の危うさに気づき、中朝関係の改善の重要性を認識し、 中国への「恭順の意」を示す道を選んだのです。

 あわてて中国に保護を求めた結果、2018年3月25〜28日、金委員長は非公式に中国を訪問し、習近平国家主席らと会談の場を持ちます。     金正恩政権が米国の斬首作戦を阻止し独裁体制を維持するには、どうしても後ろ盾である中国の庇護(ひご)を受け体制を維持していく必要があるからです。   その後も金委員長は頻繁に中国を訪れています。

 北朝鮮が従来の強硬姿勢を改め方針を豹変させた理由は、米国の斬首作戦への恐れと中国の対北朝鮮政策の変化にあります。 同委員長が自分の命が危険にさらされていること、 自らは米国に武力で対抗できる術を持たないことを自覚したからこそ、 あわてて米国との対話に走った、というのが2018年6月12日に米朝会談が実現した構図なのです。 ヤクザものを動かすのは説得ではなく恫喝がものを言うわけです。

 北朝鮮が米朝会談を急ぐもうひとつの理由として、日本はじめ国際社会からの制裁措置が、徐々にではあるが北朝鮮を窮状に追い込んでいる、という点にあります。   北朝鮮のイカ釣り漁船が東北地方沿岸に漂着したことや、洋上での積荷引渡し(瀬取り)の横行にみられるように、制裁は北朝鮮をかなり疲弊させてきています。

 こうした状況が続けば北朝鮮民衆の不満が高まり、体制維持への不安も大きくなり、さらに、そんな中でこのまま核開発を続ければ中国からの警戒も一段と高まります。    その結果、金委員長は独裁体制を維持することが難しくなる可能性もでてきます。  そのために強行路線から融和路線へ大きく舵を切ってきたのです。

 ただ、歴史的にみても、北朝鮮が核兵器の開発や攻撃能力の保有を完全に放棄することは想定しづらいといえます。  金日成、正日の時代も北朝鮮は非核化を宣言しましたが、いずれも国際社会との協約が順守されることはなく、 秘密裏に北朝鮮は核攻撃能力を開発してきた過去があります。  独裁政権にとって核兵器の保有こそが体制維持のための必須手段に他ならないからです。

 今回の南北首脳会談へのシフトも、体制を立て直す時間稼ぎにすぎないといえます。  国際社会は対話を進めつつも従来の制裁を維持して一切の妥協を許さない姿勢を、 今後も粘り強く北朝鮮に示すことができるか否かが問われます。   5月には米朝首脳会談の予定も浮上しています。

 日本は日朝首脳会談において国交正常化後に幅広い経済協力を行うことを取り決めています。  米朝首脳会談を前にして、関係国間において日本だけ「孤立」しており「北から相手にされていない」、 との日本国内の分析があり、「早く、首脳会談を」という主張も出ていますが、一兆円以上と目される日本からのカネは、朝鮮半島の安定を企図する米国や韓国、中国からも当てにされているはずです。

 日本は孤立どころか北朝鮮をめぐる事態が進むほどその役割が増していき重視せざるを得ない立場にいます。  日本からの資金援助こそが東アジアの安定と正恩氏の“未来”を握っているとも言える現状では、 日本は「早く、首脳会談を」という主張に左右されず、焦ることなくじっくり構え、拉致問題の完全解決への戦略を練ることが重要です。(2018.5.1〜6 産経ニュース参考)


決裂した米朝首脳会談

 2018年6月12日にシンガポールで開催予定だった歴史上初の米朝首脳会談は、5月25日、トランプ米大統領からまさかの首脳会談中止通告で破談となりました。   トランプ氏は会談中止を決めた理由について、北朝鮮が会談の準備を進める過程で非核化に向けた「約束」を次々と破ったためだと説明しています。

 この中止通告は、首脳会談の設営に向けた準備を行うことで両者が合意していたにもかかわらず、米側チームが協議のためシンガポールを訪れたところ、北朝鮮側は現場に現れなかったとか、 米政権がこの1週間、北朝鮮との連絡を何度も試みたが全く反応がなかったことなどが米側の不信感を決定付けたことが影響していると見られています。

 さらに、ボルトン補佐官が北朝鮮の核廃絶への方式は核兵器を完全に放棄したら経済援助する、いわゆる「リビア方式」 になると発言したことに北朝鮮が反発し、崔善姫(チェソンヒ)外務次官が23日(米国時間)の談話で、「米国が会談に応じないのであれば核戦争も辞さない」、 と警告してきたことへの対抗処置と見られています。

 核放棄に踏み切ったリビアのカダフィ旧体制が崩壊した直接の原因は、核を放棄したからという懸念から反発したとされますが、そもそものはその後も抑圧的な政権運営を続けて自ら内乱を招いたところに 「アラブの春」の訪れが引導を渡した結果です。   核放棄を受けて経済再建と安定的な国家運営をできるかどうかは、金体制自体の責任のはずです。

 北朝鮮が一転して恫喝ともとれる強硬姿勢に転じたのは、より強い態度を示すことで、一層の譲歩を引き出そうとする、お得意の瀬戸際作戦だったのでしょうが、よもやの会談中止という事態に北朝鮮側は驚いたでしょう。     「北朝鮮には二度とだまされない」、北朝鮮の身勝手な言動はもう容赦しないゾ、とする米国の決意を感じさせます。    以外にやるじゃないかトランプ大統領、というところでしょうか。

 平昌五輪を利用し韓国に急接近し、南北首脳会談で笑顔を振りまいた金正恩氏は、韓国や中国との対話の中で「体制保証を得つつ、段階的な非核化で乗り切れる」 との感触を得てきたはずです。

 「一方的な核廃棄要求には応じない姿勢を堅持」したい北朝鮮としては、交渉カードとして核実験場爆破を外国メディアに現地取材させ非核化の意思を行動で示し、 「核実験中止の透明性の確保」を誇示することで米側に相応の措置を求めていく戦術でいこうと企てます。

 しかし、核実験場爆破といっても専門家によれば入口を吹き飛ばした程度で、今回爆破した実験場も「過去の実験で崩壊状態にあり、価値がない」(南成旭(ナム・ソンウク)高麗大教授)という見方が多く、 過去6回の核実験を行った用済みで不要な核実験場を廃棄しただけ、という可能性もあります。

 そもそも実験場を爆破したからといって核開発中止の保証が担保されるはずはありません。    北朝鮮は2008年にも海外メディアを前に寧辺(ニョンビョン)の核関連施設を爆破したものの、その後も核実験を継続していた前科があります。    本気で核兵器を放棄する意志などもうとうないのです。

 そういった北朝鮮側の見え透いた目論みが、米側の「北朝鮮は守るつもりのない約束をめぐって米国から譲歩を引き出そうとすべきではない」、 「トランプ大統領を手玉にとれると思ったら大間違いだ」、というしたたかな姿勢を見せ付けられてこの甘い認識が崩れてしまったわけです。   米朝首脳会談を実現させ自身の独裁体制の保証、経済制裁の解除や経済援助を得ようという腹づもりだった金正恩氏は、アメリカから会談を中止されるという予想外の事態に、さぞや戸惑ったことでしょう。

 しかも、金正恩氏に宛てたトランプ氏の大統領書簡には、「北朝鮮は永続する平和のための重要な機会を失った」、として米国の圧倒的核戦力を誇示し、 『それを使用する必要のないことを神に祈る』、という究極の恫喝が盛り込まれており、正恩氏をいかに震え上がらせたかがわかります。   いままで散々、大勢の人の命を虫けらのように奪ってきた独裁者は、自分の命が断たれる恐怖をガチリアルに実感したはずです。

 この米側の突然の中止通達に慌てた北朝鮮は、トランプ氏の中止通告を招いてしまった、金桂寛氏や崔善姫外務次官らの米政府高官らを激しく非難した談話は、 「一方的な核廃棄を迫る米側の度を超した言動への反発に過ぎない」、と苦しい言い訳で釈明します。  よく言うよ、というところです。

 さらに、米朝会談を決めたトランプ氏の勇断を「ずっと内心で高く評価してきた」とまで持ち上げ、米朝敵対関係の現実は重大で、 「関係改善のため、首脳会談がどれほど切実に必要か」、などと訴え、なりふり構わない卑屈さで米側に再考を求めます。  金正恩はよっぽど命が惜しいのです。

 ビジネスマンのトランプ氏ですから、押したり引いたりという交渉はお手のものでしょうが、この北朝鮮のへりくだった態度はトランプ氏のプライドを大いにくすぐったはずです。   そもそもこの米朝会談が成功したらノーベル賞受賞ということも決して夢物語ではなくなるわけですから、お調子者のトランプ氏は気を良くして交渉再開を考えたはずです。   此処まで読んでの一連の行動だとしたら、やはり北朝鮮はしたたかな国と認めざるを得ません。

 このまま会談中止となれば、日本にとって北朝鮮が核ミサイルを完全に放棄しないまま経済援助だけ受ける、という最悪のストーリーはとりあえず回避できそうですが、 果たして結果は......。(2018.5.25)

 

結局やるんかい!!

 トランプ米大統領は5月26日、米朝首脳会談に関して「うまくいっている」と述べ、6月12日のシンガポール開催を目指す考えに変わりはないとホワイトハウスで記者団に語りました。     どうやらは米朝首脳会談は予定通り開催される雲行きとなりました。  結局やるんかい!!、というところです。

 米朝首脳会談の結果予想される顛末は、『北朝鮮が完全に核を廃棄する道筋が決まる』、『会談が決裂する』、『段階的に非核化するという妥協策で、いままでと同じ道をたどる』、 のいずれかになるでしょうが、「体制保証を得つつ、段階的な非核化を図り、結局元の木阿弥になる」という過去と同じ過ちだけは繰り返さないでほしいものです。

 カヤの外に置かれているとされる日本は、「米本土に届くICBMは完全に放棄する」、「中・短距離ミサイルについては段階的に削減する」、 「拉致問題は棚ざらしのまま、巨額の経済負担を求められる」、という貧乏クジを引かされた挙句、結局はいつまでも北朝鮮の核ミサイルによる恫喝に脅えながら暮らす、 という最悪の結果が予想されています。

 安倍首相はトランプ氏を説得できる数少ない人物として米政権や米議会の期待も高いとされます。 実は、当初南北軍事境界線がある板門店での開催に傾いていたトランプ氏を翻意させ、 シンガポールに決めさせたのは安倍首相で、それも米政権内から「首相から大統領に言ってほしい」との要請があってのことだったとか。     裏ではわが国の首相が米朝会談の筋書きにしっかり絡んでいた.....という展開を期待したいものではあります。

 北朝鮮は日本に対し、「外相の河野(太郎氏)をはじめとする安倍一味がほっつき回り、『対北圧力維持』と『拉致問題』を執拗にわめいている」、 「『拉致問題』ごときを持ち出し、対決に狂奔するなら世界の嘲笑を受ける」、と揶揄する一方で、南北首脳会談で「いつでも日本と対話する用意がある」と表明するなどして、 日本に「正しい選択をする」よう繰り返し迫っています。

 日本を対話から外す思惑などなく、あくまでも「賠償」と称して日本からの経済支援を分捕ろうとの魂胆が見え透いています。 しかし日本にとって拉致問題は解決済みだとの北朝鮮の主張は、 到底受け入れられるはずはアリマセン。  トランプ大統領が安倍首相の働きかけに呼応し、米朝首脳会談で「拉致問題解決なくして経済協力はない」と正確に伝達してくれるのか、 注目されます。(2018.6.7)


北朝鮮が狙う体制の維持

 金正恩朝鮮労働党委員長は、4月の南北首脳会談で「終戦と不可侵が約束されれば核を持つ必要はない」と語りました。  5月の中国・習近平国家主席との会談でも 「敵視政策と安全の脅威をなくせば非核化は実現可能だ」と強調しています。

 トランプ政権が非核化の見返りに経済的恩恵を示唆していることに対しては、「われわれは一度も米国に期待して経済建設をしたことはなく、今後も取引しない」、 と拒絶感さえ表明しています。  これを額面通りに信じ込む人はいないでしょうが。

 いずれにせよこれまでの言動でおいて、北朝鮮側にとっての最優先事項は「核廃棄後の安全保障体勢の維持」が最大関心事であることが見て取れます。   米朝間における体制保証の合意という中身を、曖昧にしたままの交渉は今後に大きな禍根を残す恐れがあります。

 トランプ米政権の構想は、北朝鮮による「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化」を実施した段階で経済制裁を解除するとともに、 北朝鮮への財政支援や投資を解禁して北朝鮮の経済発展を促し、金正恩体制による民心掌握を下支えするというものです。   これが北朝鮮に対する「体制保証」としたら、楽観的すぎて画餅(がべい)で終わる気配が濃厚です。

 ホワイトハウスではトランプ大統領と金正恩委員長をデザインした「米朝首脳会談記念コイン」を鋳造し、歴史的な初会合を盛り上げようとしていますが、 今の現状ではたとえ首脳会談が開催されたとしても互いに納得のいくような合意に達するのは至難の業であり、まさに前途多難で先行き不透明の状況です。

 日中韓からの経済支援により北朝鮮の経済が活性化し豊かになれば、住民統制や幹部らの忠誠心に変化が生じ、それにより恐怖と抑圧で国内を統治している今の独裁体制が揺らぎ、 結局自分の首を絞めることになることは金委員長も当然認識しているはずです。

  北朝鮮がいう体制とは、「金一族が独裁体制を維持していく」ことです。 「体制は国際社会が保証するものでなく、自ら守るもの」とすれば、 闇雲に経済支援さえ実施すれば後は安心だとはならないでしょう。

 経済支援による恩恵は軍や指導者層たちだけが独り占めにし、今後より一層厳しさを増すであろう国内の反体勢押さえ込みに費やされ、一般市民は相変わらず貧しいままというのでは、 北朝鮮経済は発展どころかますます困窮の度が深まっていくことは十分に考えられます。

 駆け引き巧者の独裁国家北朝鮮が、自由社会の発想でしか物事を考えていないアメリカの思惑通りに素直に動くことは考えられません。    過去何度も裏切られてきた対北朝鮮交渉ですが、果たしてこの結末は如何に。(2018.6.8)

 日本としてはこの機会に拉致問題解決の道筋をつけたいところですが、前途は多難の気配が濃厚となりつつあるようです。  トランプ氏は金正恩氏の密使との2時間にわたる会談で、 日本が強く望んでいる拉致など人権問題については「今日は話していない」と断言したとされます。

 人権問題には言及さえしなかったというのですから、「拉致問題は棚上げ」にされ、「制裁強化は先送りの方向」に進んでいるとみられます。   まさに安倍外交は孤立する形になっている状況です。

 安倍総理はいままでトランプ大統領に米朝首脳会談の中に拉致問題をなんとか組み込んでもらおうと働きかけてきましたが、 今秋に中間選挙を控えているトランプ大統領としては 交渉をより複雑にして決裂する事態は避け、なんとしても目に見える成果を上げる必要があります。    密使との会談後に、「『最大限の圧力』という言葉はもう使いたくない」とまで発言しています。

 北朝鮮側としても金正恩自身の命と国家の存亡を賭けた交渉であり、米朝とも自国の都合が優先される会談に、日本の事情を考える余裕などないわけです。      米朝ともに自分のことで精一杯なのです。

 そのうえでトランプ大統領は、「北朝鮮への経済協力は韓国、中国、日本がすると思う。 米国が多額の資金支援をすることはない」、と釘を刺し、 「拉致被害者が全員帰国するまでビタ一文出せない」という方針をとってきた安倍首相に対し、 日本の事情を組み込むことに事実上“NO”のメッセージを送りました。

 そもそも、アメリカでは米朝首脳会談準備のための国家安全保障会議(NSC)は1度も開かれず、各省庁を動員した組織的な準備作業は一切行われなかったといいます。     米国のホワイトハウスを中心に進められてきたのは、戦略的にきちんと進められた準備対策ではなくて、狂想曲というか、むしろドタバタの悲喜劇(msnニュース)という観測さえあります。

 結局日本は経済援助だけ負担させられ、以前となんら変わらない立場に置かれてしまう、という最悪のストーリーさえ見えてきました。    まさにスッカラカンの中身で「非核化」の進展はなく、単にトランプ狂想曲にツケを負わされただけだった、という顛末を迎える可能性まで取りざたされる始末です。(2018.6.11)


米朝首脳会談の結果

 大きなトラブルが起こることもなく、無事終了した歴史上初の米朝首脳会談。   殴り合いまで行かずとも、罵りあい程度は期待(?)していましたが、テレビでみる限りトランプ大統領は終始笑顔で余裕を見せ、 金正恩氏はやや緊張気味で引きつった笑みでトランプ氏に調子を合わせていました。  両者とも敵意丸出しという雰囲気はなく、最後まで和やかなムードに終始したようです。

 金正恩氏は会談の冒頭、『ここまで来る道は容易でなかった。 我々には足かせとなる過去があり、誤った偏見と慣行が我々の目や耳をふさいでいたが、我々はすべてを乗り越え、この場に来た』、と発言しました。    つまり米朝は68年前の「1950年6月に勃発しいまだに休戦状態にある朝鮮戦争」で血を流し合った仇敵であり、北朝鮮国内には米国について偏見があり、 米国の言うことに耳を貸そうとせず、首脳会談に反対する者も多くいるが、 自分は彼らの反対を乗り越えてこの場にやってきた、と言いたかったのでしょう。

 半月前には、『チビのロケットマン』、『老いぼれ』などと大人気なく罵り合っていたもの同士が、 とりあえず話し合いのテーブルには着いたわけですから、マンガのような展開ではありますが、まずは危機はとりあえず後退したことは確かでしょう。   友好ムードを醸し出すことに成功した北朝鮮はこれでしばらく時間稼ぎできることは確かであり、 経済封鎖が緩む流れも作ったわけですから相変わらずの交渉巧者ぶりではあります。

 トランプ大統領は「金正恩はグッドマンだ」と持ち上げ、まるで金正恩氏が「独裁者」から「まともな有能な若き指導者」になったかのような評価をしますが、 この人物が自分の政治生命に対する脅威を取り除くためには親族まで処刑する「テロリストで独裁者」であることを忘れてはいけません。

 会談終了後の共同声明には「朝鮮半島の完全な非核化」という文言は入っているものの、 「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化(CVID)」には踏み込まず、核弾頭や大陸間弾道ミサイル(ICBM)の移転、解体も触れていない、という結果に終わりました。

 人権問題も取り上げられませんでした。  「人権を無視する独裁国家」のイメージが強い北朝鮮は米国人が世界中でも最も嫌いな国で、国民の78%が「最も嫌いな国」に挙げているといわれます。    北朝鮮の体制が変わることなく友好関係を築くことに国民が納得しないでしょう。

 バタバタの政治ショーの側面もある第一回目の会談ですから、成果としてはまずはこんなものでしょうが、「ディール(取引)の達人」と評されるトランプ氏は、 北朝鮮の(CVID)への具体的な道筋さえつけられず、「米朝対話が続いている間は米韓軍事演習を中止する」、とまで約束してしまいました。   1回の会談で今までの懸案が一気に解決されるとは、反日マスコミ以外ダレも期待していませんが、取引は金正恩委員長に完全に値切られ大損に終わったようです。


米朝首脳会談がもたらした課題

  ICBMさえ手にすれば、たとえ圧倒的国力の差があろうが、その脅威の前に相手は武力行使に踏み切れず、 結局トップ会談に応じる、という既成事実が誕生しました。  この会談が成功理に終れば、金委員長は核兵器の有効性を立証したことになります。 核兵器を持った相手には交渉の余地を与え、核兵器を手放した相手(イラク)には攻撃的な態度にでる、 という教訓を米国は作ってしまったわけです。

 ソ連崩壊や米大統領選のトランプ氏勝利などを「予言」したことで世界的に著名なフランスの歴史人口学者、エマニュエル・トッド氏は
「米国は奇妙な行動を取っています。イランという核兵器を諦めた国との合意は離脱して、 北朝鮮という核保有国とは交渉するのです。北朝鮮が非核化を進めるというのはばかげた夢となった。 米国と問題を抱えている国々も、核を手放す方が危険だという教訓を得たことでしょう。  米国は今、核拡散を促すような行動をしているのです」、と懸念を示しています。(2018.6.27 産経ニュースより)

 例によって安倍首相の足を引っ張りたくてしょうがない反日マスコミは、やれ期待外れだ、拉致問題は共同声明に盛り込まれなかった、会談勝者は中国で日本は何一つ望むものを得られなかった、 サアどうする、といった論調ですが、現段階でそのような結論を出すのはいくらなんでも早すぎるでしょう。  日本の最優先課題である拉致問題にしても、 これまでの歴代米政権の中でトランプ大統領は最も強く協力してくれているのは事実です。

 これから非核化が進む中で、今後経済協力が大きな議題になっていきますが、日本は拉致問題進展なしに財布を開く愚挙は絶対に犯さない強かさが求められます。  その姿勢は国際社会から非難されるでしょうが、トランプ大統領自らが拉致問題を提起してくれたからには、アメリカからの非難は出にくいはずです。

 また、正確な拉致人数さえ把握していない現状で、いかに全員の帰国を実現できるか、数人の帰国ですべてが片付いたなどと言わせない、日本の底力がこれから試されます。

 うがった見方では、『北朝鮮の軍内には対米強硬派が多く、もし米朝会談で成果のないまま金氏が帰国した場合、金氏が軍から突き上げられる可能性も出てくる。    このため、トランプ氏は今回の首脳会談の成果を金委員長の手土産とし北朝鮮の体制維持保証を明確にしたのだ』、という指摘もあります。(Business Journalより)

 いずれにしろ、ジャパン・タイムズが、《日本にとって最悪のシナリオは、北朝鮮がアメリカに届くミサイルさえ諦めれば、北朝鮮が核保有国として認められる存在になるというものだ。 日本は完全に脇に追いやられた》と証しているように、なにやらこの先は視界不良の暗雲が広がったような気配が漂ってきました。(2018.6.13)


米朝首脳会談が日本に突き付けた宿題

 2018年6月の産経ニュースで、立命館大学客員教授の宮家邦彦氏は、欧州で1980年代初頭、ソ連の中距離核ミサイル配備をめぐり大論争が起きた例を引き合いに、
《万一北朝鮮の核武装が既成事実化すれば、日本では非核3原則の見直し議論が始まるだろう。 その時日本国民は核ミサイルを積んだ米原潜の寄港を歓迎するか、さらには米国の戦術核ミサイルの日本配備を受け入れるだろうか。》、と述べました。

 今日まで朝鮮戦争休戦という一種の緊張状態に置かれてきたことで、地域の平和と安定が曲りなりに保たれてきた朝鮮半島情勢が、米朝首脳会談の結果、北朝鮮が非核化で譲歩せず、 なおかつ米国から国際的認知と体制の保証を得たとすれば、今後日本は北朝鮮の中距離核ミサイルにピタリと標準を合わせられたまま、脅えながら生きていく国になる可能性が出てきました。

 そうなれば日本国内には安全保障体制の強化を議論せざるを得なくなる状況が確実に生まれます。  宮家氏が言われる、《考えられないことを考えるべき時がついに来た。 これこそ米朝首脳会談が日本に突き付けた宿題である。》、に答えを出さざるをえない時代がとうとう訪れたようです。  サヨクたちははたしてこんな事態にどう答えを出すのでしょう。(2018.6.21)


第二回米朝首脳会談

 2019年2月28日、ベトナム・ハノイで第二回米朝首脳会談が開かれました。 会談前まではトランプ大統領が北朝鮮にまんまと騙され、経済制裁の全面解除や平和宣言の締結を行うのでは、 という憶測が流れましたが、蓋を開けてみれば「合意は一切なし」という結果に終わりました。   その原因は、金委員長が無謀ともいえる要求を突きつけたからだとも言われています。

 会談終了後テレビに映った金正恩(キム・ジョンウン)氏の顔は強張り、当てが外れたショックをまざまざと感じさせました。 金氏としては「人民生活の向上」を第一目標に掲げており、 経済を圧迫する制裁は体制の将来を左右しかねない死活問題だったわけですから、この結果にはさぞかしガックリきたのではないでしょうか。

 そもそもハノイ到着時にも表情には生気は窺えず、専用列車による長旅に疲れたのか、指でまぶたを押さえる金正恩氏の姿が見られたといいます。  メディアの目も気にせずたばこを吸っていたともいいますから、体調でも崩していたのでしょうか。  それとも今回の結果を予測していたか......。

 会談の前、北朝鮮のメディアに「画期的な合意がなされた」という報道があったというニュースが広がり、ヒョッとしたらアメリカが大幅な譲歩をしたのでは、という空気が流れましたが、 どうやら杞憂に終ったようです。

 トランプ氏は再会談に先立ち、『...北朝鮮が非核化すればベトナムのように繁栄するだろうとし、その潜在力はすごいと指摘。  金氏を「私の友人」と呼ぶなどして持ち上げ、 友好ムードの演出に余念がなかった。』、という雰囲気だったそうですが、もしハナから合意する気がなかったとしたら、大した交渉人ぶりです。

 北朝鮮は、核施設を廃棄したのだから経済封鎖を全面解除してくれと切り出したそうですが、アメリカは北朝鮮側が隠している核研究施設が複数存在する証拠を突きつけ、 これはなんだと迫ったといいます。  核施設を全て廃棄したと偽り、交渉を有利に進めようと目論んでいた北朝鮮は想定外の事実を米国に提示され、すっかり旗色が悪くなったのでしょう。

 北朝鮮側はまんまとダマしたつもりで見返りを期待していたのに、すっかりバレていたのですからこれでは強気に出るわけにいかなくなります。    やはりアメリカの強かさが会談で発揮された、と見るほうが正しいかもしれません。  米国を見くびっていたようですが、本当の力を甘く見てはいけないということです。(2019.3.1)


前のめりになりすぎ、見誤った北朝鮮の要求

 北朝鮮の実体経済は闇市場の拡大もありそれほど落ち込んでいないとされますが、国連による経済制裁で軍や側近などに配る「統治資金」が枯渇しているといわれています。     さらに2018年11月頃からは北部の広範な地域で電力供給がほぼストップするなど、経済制裁がかなりのダメージを与えているのは間違い無さそうです。    今回の会談でなんとしてでも経済制裁の全面解除を手にしたかったはずです。

 それが金委員長を前のめりにさせたことは否めません。  北朝鮮は制裁の完全な解除を要求する一方、非核化については寧辺の核施設の廃棄以外の譲歩には応じなかったとされます。     かなりズーズーしい主張であり、これではいくらトランプ大統領でも譲歩できるはずがありません。

 この背景には、第一回目の会談でトランプ大統領が北朝鮮側に妥協し曖昧な内容の共同宣言を出してしまったことがあります。    これで好感触を得た(と思い込んだ)金氏と北朝鮮は、第一回会談直後から「米国は段階的非核化を受け入れた」と勘違いし、終戦宣言や制裁の緩和といった見返りを要求するようになっていきます。    金氏は実務者協議などはすっ飛ばし、しきりにトランプ大統領に親書を送って首脳会談の開催を求めていたといいます。 早く成功の果実を手にしたかったわけです。

 さらにロシア疑惑をはじめとするトランプ大統領のスキャンダルが今後一層深刻化すれば、トランプ大統領が譲歩しづらくなると見て、一気に勝負に出たという背景があったと見られます。   金委員長としては「今回の交渉は、支持層からの信頼を得ることに重きをおくトランプ大統領がロシア疑惑に翻弄される前に結果を出すため、多少の譲歩はしても成功させることを目指すだろう」、 という幻想を抱いたのかもしれません。

 会談の合間、金氏は米記者団から「非核化の準備ができているのか」と問われると、「そのような意思がなければここに来なかった」と答えたといいます。     さらに「具体的措置を取る決心は」との質問には「今、話している」と応じています。  しかし、結局トランプ大統領が到底飲めない要求を突きつけ、 会談は決裂することになったわけです。

 金氏は2019年1月の新年の辞で、「米国が一方的に何かを強要しようとし、制裁と圧迫に出るなら新たな道を模索せざるを得なくなる」と警告しています。    さらに、今回の会談でトランプ氏と再会した金氏は、「不信と誤解の敵対的な古い慣行が行く道を阻もうとしたが、それらを打ち壊してハノイに来た」と強調しました。   実はこの発言の裏に重大な事実が隠されていたのは後日判明することになります。(後述)

 金氏が「古い」と切り捨てたのは、北朝鮮による全ての核物質や核兵器、核施設のリスト申告に基づく非核化から進めるという本来、米側が描いていた方式を指していると見られます。    随分自分に都合の良い理屈であり、今回の会談でもこの理屈であくまで制裁解除ありきの交渉を米側に迫ったとみられますが、アメリカはそれほど甘い相手ではなかったわけです。(2019.3.1)

 北朝鮮としても必死だったようで、予定された昼食会が中止となって協議が終了し、トランプ氏が会場となったハノイのホテルを出発する準備をしていたところ、 金氏からメッセージを託された崔善姫外務次官が米代表団の元に急いでやって来て、寧辺の核施設を廃棄する見返りに制裁の一部解除を求める、 それまでより制裁解除の要求を弱めた内容のメッセージを伝えたといます。

 それに対し米側が廃棄する施設の範囲が不明確だと指摘すると、金氏は再び崔氏を介して寧辺の全体を廃棄すると伝えますが、新提案でも核施設廃棄の見返りとなる制裁解除の範囲やペースを巡る隔たりは埋まらず、 結局米側は交渉再開に応じなかったとされます。(2019.3.7 THE SANKEI NEWS 引用)


以外な展開....タフな交渉人だったトランプ氏

 通常、一国の外交においては、トップ会談の時にはすでに事務方で協議がほぼ終えてあり、トップは食事をともにし、歓談し、あとはサインをするだけというのが通例といわれます。    トップが会談しながら「決裂」し、なんの声明文も出せないという事態に、平和合意の大ニュースを期待していたメディアも驚きを隠せなかったようで、 腹いせで厳しく批判するメディアもありました。

 しかし、対北朝鮮に限っては事務方の協議レベルではなにも生まれないことは戦後70年の歴史が証明しています。    1948年から2019年時点で71年間続いてきた米朝の敵対関係を、友好な関係に変えるには時間がかかるのは当然であり、 そもそも、米国の歴代大統領が誰一人として北朝鮮トップと会談したことさえもなかったのに、トランプ氏は1年の間に2度も会っています。

 しかし、北朝鮮が差し出す見返りが寧辺各施設一箇所だけの廃棄というのではあまりにも小さすぎました。  これではトランプ氏も、「北朝鮮は準備ができていなかった」として合意を見送る結論を下すしかありません。   予定していた昼食会はキャンセルされ、急いで帰国の途についたのも、交渉が膠着状態に陥って進展の見込みがなかったことを意味しています。

 会談終了後のメディア報道には、『...不動産開発で一大帝国を築いた自信から「ディール」(取引)の名手を自負しながら、北朝鮮側の対応を読み切れなかった悔しさが感じられた....。』、 などという論調の記事もありましたが、これはタブン違う捉え方でしょう。  そもそも米朝間の最大の懸案である核の廃棄問題が、たかだか2度の首脳会談で全面合意するはずはありません。

 この時期、トランプ大統領の腹心で顧問弁護士だったコーエン被告は、司法取引によって「ロシアがサイバー攻撃で選挙介入しクリントン候補の秘密を盗んだ」とか 「トランプ氏の不倫問題でコーエン被告が女性に口止め料を払った後、トランプ大統領が分割払いで返した」、などという暴露証言を連発しています。

 米国ではコーエン被告の公聴会をあえて会談日の27日にセットし、トランプ大統領が米朝首脳会談を外交的成果としようとしていることを牽制していました。      そのため、こうした国内の政治情勢に鑑み、トランプ大統領は北朝鮮に譲歩を重ねてでも合意を得て、成果を“誇張”しようとするのではないかと見られていました。

 そういう中、あえてリスクを取って首脳会談に臨み、北朝鮮側が想像外の過大な要求を突きつけてきたため納得できなかったからこそ、 北朝鮮側に懐柔されることなく用意された声明文に署名をせず席を立ったのです。  弱腰で合意するよりも、それを蹴ってでも帰国した方が得策と判断したのだろうと捉える見方もありますが、 むしろトランプ氏のまともな判断力を見せたアクションだったと見るべきでないでしょうか。

 どうやらトランプ氏という人物は巷間言われる軽薄なお調子者という見立てとは違うのでは、という見方もされ始めました。  そもそも米国という国はトランプ大統領一人で動かしているわけでもないでしょう。   まともな政治家や軍人も大勢いるわけです。

 ただ、米国の一般大衆は、米朝首脳会談などそっちのけで、7時間にわたるコーエン氏と下院監視・政府改革委員会メンバーとの質疑応答のテレビ中継に釘づけになっていたといいます。    大統領を弾劾するという話もありますが、下院の過半数、上院で出席議員の3分の2が賛成というハードルがあり、上院で共和党議員の一部の賛同を得ねばなりません。    トランプ大統領の再選を阻む方向への注力の方がベターな選択となりそうです。(2019.3.1)


追い詰められた北朝鮮

 今回の交渉を通じて再確認できたことは、北朝鮮が最後の切り札である核を手放し、非核化に誠実に取り組むかもしれない、という期待を抱いてはいけないという現実です。    北朝鮮に核放棄を促すためには、強力な制裁をかけ続け「核保有したままで展望は開けない」現実を突きつける以外にありません。

 今回の米朝会談の決裂は韓国の文政権にとっても大きな痛手となったはずです。  左巻きで北朝鮮との融和を最大の政権課題とする文政権にとっては、 北朝鮮との関係促進を一気に進めようとする目論見が、今回の決裂で一挙に崩れてしまったわけですから予想外の展開だったでしょう。 100回目の3.1運動が反日一色にならなかったのも、 北朝鮮問題が解決の兆しが見えない今、日本を敵対視ばかりするわけには行かないと判断した政治事情が見え隠れします。

 金委員長としては、この会談決裂を受け今後は習近平中国国家主席や、文在寅韓国大統領にすがっていかざるを得ない立場に追い込まれました。   逆に日本にとっては米国との交渉再開のため日本の役割を北朝鮮に意識させ、金委員長が日本との関係改善に乗り出してくるキッカケをつくるチャンスともいえます。     いずれにしろ、金委員長がヤケをおこし、再びミサイルをぶっ放さないことを祈るばかりです。(2019.3.3)

 などと思っていたら、早速3月5日には韓国の国家情報院が国会で、「北朝鮮北西部・東倉里(トンチャンリ)のミサイル発射場で、撤去した施設の一部を復旧する動きが把握された」と報告する事態となります。

 金正恩委員長は2018年4月の朝鮮労働党第7期中央委員会第3回総会において、「核開発は完了したので、今後は経済建設に専念する」と定めていました。    アメリカに歩み寄り戦争状態が解消されれば強大な軍事力はもはや必要なくなります。    むしろ今後の経済開発にとって「お荷物」になってくる軍に対し、金委員長は、朝鮮人民軍をあからさまに軽視してきたとも言われます。

 それもあって金正恩委員長は長く朝鮮人民軍が独占してきた軍需経済などの既得権益を奪う政策を取り、そのため軍との無関係はよくないとされます。  今回の会談でワザワザ列車を使ったのも、 自分の専用機は空軍が管理しているため、鉄道省が管理している専用列車に乗っハノイまで出かけて行ったともいわれます。

 会談が決裂した今、朝鮮人民軍は今後、核開発もミサイル開発も復活させるよう、金正恩委員長に強い圧力をかけてくるでしょうし、 金委員長としても軍にクーデターを起こされないためある程度は軍の意向に沿った国家運営をしていく必要があるでしょう。   どうやら北朝鮮情勢は一年数カ月の「平穏の時」を経て再びキナ臭くなってきたようです。(2019.3.7 msnニュース 引用)


軍をコントロールできていない金正恩委員長

 2019年3月15日、北朝鮮の崔善姫(チェ・ソンヒ)外務次官は平壌(ピョンヤン)での会見で国外に向け、「人民と軍、軍需工業の当局者数千人が決して核開発を放棄しないように、 との請願を金正恩委員長に送った。 それにもかかわらず、金正恩委員長は米朝首脳が合意した約束に互いに取り組み、信頼を築き、(非核化を)一歩一歩、段階的に推進するつもりだった」(AP通信)、 という「重大発言」を行います。

 北朝鮮政府が公式に「金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長と軍部は緊張関係にある」事態を明らかにするという、まさに前代未聞の会見だったわけですが、 なぜわざわざこのタイミングで「軍部による非核化反対請願」を明らかにしたのか。

 そもそも軍が指導者の決断に反対を表明するということは、やがてはクーデターに発展しかねない緊急事態です。 いま北朝鮮内部では金委員長の方針に反対する勢力の存在が指摘され、 国外では暗殺された金正男(キム・ジョンナム)氏の長男が北朝鮮解放を目指す動きが出ているという話しもあります。 なにやら北朝鮮に別もののキナ臭さが漂い始めたようです。

 第2回米朝首脳会談直前の2月22日、スペインの北朝鮮大使館が何者かに襲撃され、コンピューターや携帯電話が持ち去られた事件が起きています。    しかも北朝鮮大使館は被害届を出さず、北朝鮮政府も公式の抗議声明を今も出していないといいます。  一説によればこの中に核開発に関する秘密情報があったのではないか、との推測が出ています。

 つまり、北朝鮮の反体制サイドの誰かが、ワザと米側に北朝鮮の核開発情報を流し、非核化への流れを阻止しようとした、というストーリーも考えられるわけです。   この秘密情報に怒った米側が「全面的な核放棄が、制裁解除の条件」という強硬策に転じたのではないか、というわけです。

 金委員長は第1回首脳会談で、「軍の反対を抑えながら非核化を進めるには、段階的な交渉と解決しかない」と繰り返し強調していたといいます。   さらに第2回首脳会談においては、「不信と誤解の敵対的な古い慣行が行く道を阻もうとしたが、それらを打ち壊してハノイに来た」と強調していました。    この発言の背景には、軍関係者らの強固な核開発推進という流れをコントロールできていない金委員長の苦慮があったのかもしれません。

 今回の会見主旨は、米国に対し「そういう国内事情があるので、核放棄の全面廃棄でなく、まず段階的縮小という条件を前提にした3回目の首脳会談を早くやろうよ」、 という北朝鮮側の焦りの表れかもしれません。  いずれにしろ経済封鎖による影響は金委員長にかなりのプレッシャーを与えているのでしょう。    もう一押しで北朝鮮情勢は一気に新たな展開を迎える可能性が出てきました。(2019.3.21)


第三回米朝首脳会談

 2019年6月30日、第3回目の米朝首脳会談が軍事境界線で行われました。 金委員長と一緒に軍事境界線を跨ぎ北朝鮮領に足を踏み入れましたが、 米国の大統領が北朝鮮領に足を踏み入れたのは史上初です。 サスガ、パフォーマンスは一流です。


北朝鮮の主なミサイル発射履歴

  北朝鮮は2017年9月14日、国連安全保障理事会が11日に追加制裁を採択したことに反発し「日本を沈め」、「アメリカを廃墟にし」、「国連を破壊する」と声明を発しています。

 さらに2018年3月には、北朝鮮は「米国と傀儡好戦狂どもは終局的破滅を覚悟せよ」、「われわれは精密核打撃手段でソウルだけでなくワシントンまで火の海にするだろう」などと、 核打撃によってソウルとワシントンを火の海にすると威嚇しました。

 「ソウルを火の海にする」というのは昔からの北朝鮮の「常套句」ですが、とうとう矛先は日本にも向けられ、同月10日には「わが国(北朝鮮)への敵視政策が日本にもたらすのは破滅だけだ」と恫喝。    東京、大阪、横浜、名古屋、京都の名前を挙げ、戦争となった場合には「日本列島全体が戦場に変わる」、と脅しをかけてきました。

 いままで対話で解決という方針で進めてきた対北朝鮮政策ですが、単なる時間稼ぎに終わり事態はもうのっぴきならない段階まできてしまったようです。   米国のトランプ大統領と金正恩は互いに『チビのロケットマン』、『米国の老いぼれの狂人』と低レベルの悪口合戦で罵りあい、 一触即発の状態になっています。  昨今は12月末か年明けにアメリカが北朝鮮に攻撃を仕掛けるのでは、という具体的な話までささやかれ始めています。

 平和ボケ日本としては、まだ米国本土に届くミサイルを配備したわけでもなし、なにも戦争まで...と誰しも考えてしまいますが、 実はいまのうちに手を打たないと手遅れになる事情があるといわれます。

 北朝鮮は過去、覚醒剤や偽ドル、ハッキングなど国家主体で犯罪行為を企て、それで国家経済を成り立たせている国です。  ミサイルなど武器輸出も盛んに行っています。

 そんな北朝鮮がいずれ「核の輸出」に手を染める可能性を米国と世界は恐れています。  核ミサイル輸出より脅威なのはスーツケースに入る「小型化した核爆弾」で、 万が一こんな武器がテロ組織に渡ってしまえば、もう世界秩序もへったくれもない、無法テロ集団が核兵器をネタに世界を恫喝し牛耳る、 という考えたくも無い無法地帯になってしまう、ことを世界は恐れるのです。

 制裁より対話重視で、と発言している日本の平和ボケ政治家たちは、はたしてこんな悪夢を想像したことはあるのでしょうか。(2017.10.26)

         

北朝鮮の主なミサイル発射履歴。  ロケットの発射や失敗したものの一部は含まず
年 月 日
2017年11月29日 北朝鮮西岸から高性能の大陸間弾道ミサイル(ICBM)を発射。  ミサイルは、約53分間に渡り約1000km飛行し高度4000kmに達したと見られ、 青森県西方約250キロの排他的経済水域(EEZ)に落下。  この新型大陸間弾道ミサイルは搭載する弾頭の重量などによっては飛行距離1万キロを超えるものと分析された。
2017年9月15日 平壌付近の北朝鮮西岸から弾道ミサイル1発を発射。   ミサイルは北海道付近の日本上空を通過し、飛行距離約3700km、 最高高度750kmにおよび、襟裳岬の東約2200キロの太平洋上に落下したと推定される。
2017年8月29日 平壌の順安付近から日本海に向けて「火星12型」と見られる中距離弾道ミサイルを発射。    ミサイルは日本上空を通過し、飛行距離約2700km、最高高度550kmにおよび、上空で3つに分離し北海道襟裳岬東方1180kmの太平洋上に落下。
2017年8月26日 江原道旗対嶺付近から日本海に向けて短距離弾道ミサイル3発を日本海に向け発射。   ミサイルは改良された300mm多連装ロケット砲と見られ、1発は発射直後に爆発し失敗したが、2発は北東方向に約250km飛行したと見られる。
2017年7月28日 北朝鮮中部の慈江道舞坪里付近から「大陸間弾道ミサイル(ICBM)である『火星14』を発射。 47分間飛行し、高度約3500km、距離は約998キロ飛行し、 日本の排他的経済水域である北海道の積丹半島西約200キロ付近に落下。 北朝鮮は夜間の発射実験に成功したことで「任意の場所と時間に発射することができ、アメリカ本土全域が射程内にある」と報道 。
2017年7月4日 北朝鮮北西部の平安北道亀城付近から、日本海側に向けて大陸間弾道ミサイル(ICBM)の「火星14」1発を発射。  ミサイルは高度2802キロメートル、距離933キロメートル、約39分の飛行をして秋田県の男鹿半島から約300キロの日本の排他的経済水域(EEZ)内に落下。    北朝鮮はミサイル発射後に「特別重大報道」として「大陸間弾道ミサイルの発射実験に成功した」と発表 。
2017年6月8日 北朝鮮東部の元山付近から、短距離の地対艦巡航ミサイルを数発日本海側に発射。  ミサイルは約200km程飛行。   発射実験後に北朝鮮は「シースキミング(海面ギリギリを飛行する)能力を持つ新型の地対艦巡航ミサイルの発射実験に成功した」と発表。
2017年5月29日 北朝鮮東部の元山付近からスカッド系と見られるミサイル1発を発射。  ミサイルは約6分間で400km程飛行し、日本海の日本の排他的経済水域(EEZ)内に落下 。
2017年5月21日 中部の北倉付近から、地対地中距離弾道ミサイル「北極星2型」1発を発射。 ミサイルは約500km飛行し北朝鮮東岸から東へ約350キロの日本海上に落下。
2017年5月14日 北朝鮮北西部の平安北道亀城付近から、弾道ミサイル1発を発射。  今回のミサイルは約30分間で800km飛行し高度2000kmを超える高さまで上昇しロフテッド軌道を取ったとされ、 朝鮮半島東側400Km付近の日本海に落下。  北朝鮮側は今までのミサイルとは違う新型の「新型ミサイルの『火星12』」の発射実験に成功したと報道。
2017年4月5日 咸鏡南道の新浦付近から日本海に向け、中長距離弾道ミサイル「北極星2(KN―15)」1発を発射。     約9分間飛行し60km程飛んだものと見られる。
2017年3月6日 北朝鮮北西部の平安北道の東倉里付近から、日本海に向けて「スカッドER」と見られる4発のミサイルを発射。   ミサイル4発のうち3発が約1000km飛行し、秋田県男鹿半島の約300km沖の日本の排他的経済水域(EEZ)内に落下。 残りの1発は石川県の能登半島沖約200kmの日本海上に落下したと日本政府は発表。
2017年2月12日 北朝鮮北西部の平安北道からムスダンと見られる弾道ミサイルを発射し約500km飛行した後、日本海に落下。   このミサイルは、昨年3月に燃焼試験に成功した「固体燃料を使用した大出力ロケットエンジン」を使用した可能性が有ると見られる。
2016年10月15日 北朝鮮内陸部のバンヒョン飛行場から中距離弾道ミサイルムスダンと見られるミサイルを発射。   ミサイルは発射直後に失敗したものと見られる。
2016年9月5日 平壌近郊の黄海北道の黄州付近から日本海に向けて「ノドン」と見られる中距離弾道ミサイル3発を発射。   北海道奥尻島西方の沖に落下。
2016年8月24日 潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)「北極星1号」(KN-11)を発射。  約500キロ飛行し、日本海に落下した。
2016年8月3日 黄海南道・殷栗付近から日本海に向け弾道ミサイルを2発発射。 1発目は発射直後に爆発したと見られ、2発目のミサイルは約1000km程飛行し、 秋田県男鹿半島沖約250kmのEEZ(日本の排他的経済水域)内に落下。
2016年7月19日 黄州周辺から日本海側に向けて弾道ミサイルを3発発射。 アメリカ側は2発が短距離弾道ミサイルのスカッド、1発が中距離弾道ミサイルのノドンと見られると発表。 3発のミサイルのうち2発は約500kmから600km程度飛行し、残り1発は飛行の軌跡が不明確。
2016年4月23日 北朝鮮北東部の日本海上で潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)と見られるミサイルを1発発射。   ミサイル自体は約30km程を飛行し、少なくとも水中からの発射工程は成功したものと見られる。
2016年3月18日 平安南道粛川付近から日本海に向けて「ノドン」と見られる中距離弾道ミサイル2発を発射。   1発のミサイルは約800km飛行し、2発目は発射直後にレーダーから消えたことから爆発したものと考えらる。  「ノドン」は最大射程が約1300km有り、日本全域を射程内に収める事ができる。   ノドンの発射は2014年3月26日以来約2年ぶり。
2016年3月10日 北朝鮮南東部の元山付近から日本海に向けて短距離弾道ミサイル2発を発射。  ミサイルと思われる飛翔体は約500km程飛行したためスカッドミサイルでは無いかと調査が行われている。
2016年3月3日 北朝鮮南東部の元山付近から日本海に向けて6発の 短距離型ミサイルまたは多連装ロケット弾を発射。   ミサイルと思われる飛翔体は約100〜150km程飛行し海へと墜落。
2016年2月7日 「人工衛星」と称する事実上の長距離弾道ミサイルを北朝鮮西岸から南方向に向けて発射。       ミサイルは五つに分離し、沖縄県の上空を通過した。  米軍は人工衛星と見られる本体は宇宙空間まで打ち上げられたと発表。  分離した部品などは東シナ海や太平洋などに落下したと推定される。
2015年11月28日 日本海で潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の発射実験を行うも発射実験自体は失敗したと見られる。  ミサイルは約160m程飛行して海上に墜落したと韓国政府は分析。
2015年6月14日 南東部の元山付近から日本海にむけて対艦ミサイル「KN01」と見られる短距離ミサイルを3発発射。
2015年5月9日 南東部の元山付近から対艦ミサイル「KN01」と見られる飛行物体3発を発射。
2015年5月8日 咸鏡南道新浦沖と見られる海域で潜水艦からの潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の発射実験に成功したと報道。 その画像を公開。
2015年2月8日 南東部の元山付近から短距離ミサイルと見られる飛行物体5発を発射。  この短距離ミサイルは北東方向に約200km飛行し日本海に落下したと見られる。
2014年9月1日 北部の慈江道龍林付近から短距離ミサイルと見られる飛行物体1発を発射。  この短距離ミサイルは新型戦術ミサイルかスカッドミサイルと見られ約220km飛行し日本海に落下したと見られる。
2014年7月26日 黄海南道付近から日本海側へ、 スカッドと見られるミサイルを発射。  ミサイルは約500km飛行し、日本海へ落下。
2014年7月13日 黄北朝鮮南西部の開城付近から日本海側へ、 スカッドと見られるミサイルを2発発射。  この飛翔体は約500km飛行し、日本海に落下。
2014年7月9日 黄海南道苔灘の空軍基地付近から日本海側へ、 スカッドと見られるミサイルを2発発射。  この飛翔体は約500km飛行し、日本海に落下。
2014年6月29日 南東部の江原道・元山付近から日本海側へ、 最大射程距離約500kmの弾道ミサイルを発射。
2014年6月26日 南東部の元山付近から日本海側へ、短距離の発射体を3発発射。
2014年3月26日 日本海に向け中距離弾道ミサイル「ノドン」と見られるミサイルを2発発射。
2013年5月18日 18日から20日にかけて短距離ミサイルまたはロケット砲と見られる飛翔体計6発を発射。  何れの飛翔体も、北朝鮮東岸の沿岸から日本海側に向けて発射。
2012年12月12日 銀河3号ロケットを発射。  この銀河3号に搭載していた衛星の光明星3号2号機は、衛星軌道への投入に成功。 各国に事前通告されたため日本は破壊措置準備命令の発令により海上自衛隊はイージス艦の展開、航空自衛隊は首都圏と沖縄県に迎撃用のパトリオットミサイルを展開。
2012年3月28日 黄海側に向けて短距離ミサイル、シルクワームを改良した「KN―01」と呼ばれている地対艦ミサイルを2発発射。
2012年1月11日 日本海側に向けて短距離ミサイルを3発発射。
2011年12月19日 日本海側に向けて短距離ミサイルを発射。
2011年12月16日 日本海側に向けて射程距離100km程の短距離ミサイルを発射。
2009年7月 日 日本海に向けて7発の短距離弾道ミサイルなどが発射。  テポドン2号の射程距離は約6000キロメートル、改良型は1万キロメートル以上とみられている。
2009年4月5日 テポドン2号」の改良型とみられる弾道ミサイルを発射。  東北地方の上空数百kmを通過した。  日本政府は破壊措置命令を発令し領土への攻撃を行わせない為に迎撃体制を整えた。
2006年7月5日 5日未明から夕方にかけて7発のミサイルを日本海側に向けて発射。
2006年5月26日 短距離ミサイルを2発発射。
2006年5月25日 午前12時頃に舞水端里から1発のミサイル、午後5時頃には元山市から2発を発射。
1998年8月31日 中距離弾道ミサイル「テポドン1号」を発射。 1段目が日本海に落下、2段目は大気圏外の津軽海峡付近を飛行し日本列島を横断し太平洋に落下。 その飛行距離は1500キロメートル以上といわれる。
1993年5月26日 初めて日本海中部にミサイルが試験発射。  準中距離弾道ミサイルである「ノドン1号」を 日本海側に向けて発射し能登半島の350km沖に着弾。





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コトバ学(wikipedia参照)

(*1)サンフランシスコ平和条約  アメリカ合衆国をはじめとする連合国諸国と日本との間の戦争状態を終結させるために締結された平和条約。 この条約を批准した連合国は日本国の主権を承認。 国際法上はこの条約の発効により日本と、多くの連合国との間の「戦争状態」が終結した。

(*2)李承晩ライン  韓国初代大統領・李承晩(りしょうばん)の海洋主権宣言に基づき、韓国政府が一方的に日本海・東シナ海に設定した軍事境界線。

(*3)マッカーサー・ライン  第二次世界大戦後の日本を占領統治していた連合国軍最高司令官総司令部(GHQ)のダグラス・マッカーサー最高司令官の名で発せられた文書 「日本の漁業及び捕鯨業に認可された区域に関する覚書」によって決められた日本漁船の活動可能領域。

(*4)海上警備隊  1952年(昭和27年)4月26日から7月31日まで、海上保安庁内に設置されていた海上警備機関。海上保安庁内の機関ではあるものの、 警備救難監(当時の海上保安官トップ)の統制を受けないなど独立性の高い組織。 同年の8月1日には早くも保安庁警備隊として海上保安庁から独立し、2年後の1954年(昭和29年)7月1日には、防衛庁(現在の防衛省)海上自衛隊へと発展している。

(*4)朴正煕(パク・チョンヒ) (在任:1963年 - 1979年)第5代から第9代までの大韓民国大統領。大韓民国は1960年代から1970年代にかけて日米両国の経済支援を得て「漢江の奇跡」と呼ばれる高度経済成長を達成した。 この高度経済成長により、1970年頃まで経済的に劣位であった同じ朝鮮民族の分断国家、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)を経済的に追い越し、最貧国グループから脱した。

(*5)韓国独立  朝鮮は1910年の韓国併合によって日本の統治下に入るが、1945年8月15日、敗戦により日本がポツダム宣言の受託を宣言したとき日本統治からの離脱が決定的となった。 韓国ではこれを「光復」と呼び、8月15日を光復節という祝日に定めている。  ただし、すぐにアメリカが軍事占領しており完全な独立国の立場はまだ先だった。  「大韓民国」の国号は1948年6月23日に採決が行われて決定した。 韓国には日本統治時代や李氏朝鮮を想起させるとして「朝鮮」という呼称が忌避される傾向がある。



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