ホーム⇒気になる話⇒日本の再軍備化の歩み・日米の軍事同盟について
    

日本の再軍備化の歩み

 太平洋戦争で敗れた日本は、占領国アメリカの思惑で作られた新憲法の、 「戦力は保持せず....国の交戦権は、これを認めない」、というシバリにより、軍隊を持てない丸腰の国家として新たなスタートを切りました。

 世界に二度と争いが起きないというのなら、新しく作られた日本国憲法に明記された「戦力の不保持....」も在り得たでしょう。    しかし、残念ながら戦後に生まれた世界情勢は、新たな対立を生み出しています。

 憲法9条第2項で「陸海空軍その他の戦力(war potential)はこれを保持しない」と謳う日本国憲法ですが、 現実の日本はすでに世界有数の軍隊である「自衛隊」を持ち、憲法と乖離している現状にあります。

 第二次世界大戦中アメリカは、「敵(ドイツ・日本)の、敵(ソ連)は味方」、の理屈で共産主義諸国と協力関係にありました。  その後、戦後の1947年(昭和22年)頃から、自由主義と共産主義、 二つのイデオロギーが対立する「冷戦状態」が激化し、米英は世界共産主義運動の嵐をまともに受けるようになり、これがソ連が倒れロシアに戻る1989年まで続きます。

 こんな中、1950年(昭和25年)6月25日、突如、北朝鮮が38度線を越えて韓国に攻め込み、ここに朝鮮戦争(〜1953年7月27日休戦)が勃発しました。

 占領軍として日本に駐留し治安維持任務に当たっていたアメリカ軍は、共産主義勢力の攻撃で窮地に陥った韓国を救うため、この戦いに駆り出されます。     そのため、アメリカ軍が不在となる日本国内の治安維持を担う目的で、1950年8月に警察予備隊が設置されることになりました。

 ただ、この警察予備隊は、あくまでも「警察部隊として警察の任務の範囲に限られる」、目的で作られ、 軍隊とは一線を画する組織でした。

 このような、極東における朝鮮戦争の勃発、ソ連の強大化、中華人民共和国という社会主義国家の誕生、といった激動の中、アメリカは自由主義の防波堤としての役割を、 日本に期待するようになっていきます。

 日本が武力を用いて二度とアメリカに逆らわないようにするため、憲法のシバリによって日本を丸腰にしておいたはずのアメリカでしたが、 「日本を共産主義に対するアジアの砦」、 とするため対日方針を徐々に転換し始めていくようになります。(2014.12.19)


 

自衛隊は軍隊?

 日本には国防を担う自衛隊があるわけですが、「.....戦力は、これを保持しない....」、と憲法で定められているため、 日本政府は日本的なレトリック(弁論説得術)で「自衛隊は軍隊ではない」、と言い張ってきました。  しかし、世界中がすでに自衛隊は強力な軍隊であることは承知しています。

 この点でも既に憲法と現実が乖離しているのが実情なのです。   中身は変わらないのに、「自衛隊」という呼称なら許されるが自衛隊は軍隊ではないと言い張るコトバ遊びを、 日本はいつまで続けるのでしょうか。

 現在では自衛隊の戦力は、最新鋭の戦闘機、イージス艦、戦車を保持した20万人以上の、何処から見ても堂々たる軍隊です。   米グローバル・ファイヤーパワーによれば、2020年の軍事力ランキングで日本は5位とされています。(1位米国、以下ロシア、中国)    自衛隊が憲法第9条第二項で保持を禁じられている「戦力」であることはもはや疑いの無い事実であり、「戦力」ではないと強弁するのは相当無理があるのではないでしょうか。

 つまり、自衛隊の存在自体そのものが憲法違反の疑いがあるのに、この違憲状態をウヤムヤにするため「自衛隊は軍隊ではない」と強弁しているわけで、 はっきり言って、自衛隊の存在=事実上の軍隊である現状では、もうすでに憲法違反の状態にあるわけです。

 1994年(平成6年)自民、社会、さきがけの"自社さ政権"が成立し、首相となった社会党の村山富市氏は、 野党時代には自衛隊は憲法違反と散々訴えておきながら、 首相に就いたとたん党の憲法解釈をひっくり返し、自衛隊は合憲だと明言しました。

 村山氏は著書の中で、憲法9条と自衛隊の存在の矛盾に関して、 「矛盾をはらんでいる現状を政治がどう受けとめるかと考えた場合、『自衛隊が憲法違反だ』と言って 、論外という扱いをしたんじゃ政治にならない」、と極めてまっとうな指摘をしています。

 だったら最初からそう言えよ、とツッコミたくなるところではあります。 やはり現実の政権運営を担うと反安保などの非現実的な主張はなかなか貫けなくなるのは当然なのです。 日本の指導者の立場になればバリバリの護憲論者であろうが、 いやおう無しに自衛隊容認にならざるを得ないのです。

 共産党の志位和夫委員長は、政権をとった場合「自衛隊はどうするのか」との問いに「しばらくは合憲とする」と答えたといいます。   普段はさんざん違憲だと言ってるのですから「しばらく」というのでは筋が通らないでしょう。  結局彼らが喚き立てている合憲・違憲というリクツはその程度の軽いものなのです。

 結局、現行憲法というものは 「米軍の占領下という特殊な環境で占領軍によりむりやり着せられた子供服のようなもの」(稲垣武・「悪魔祓い」の戦後史)であり、 サヨク政治家が「自衛隊は違憲」などと言っても、所詮は政権攻撃の題材、言葉アソビであって、 ただの「ご都合主義」なだけなのです。

 戦後日本が経済発展を遂げ、国力を成長させ国際的地位もそれなりに向上した現在では、独立国家としての行動の自由、選択の自由を著しく制約する結果になっているわけで、 もうそろそろ憲法も実情にあった内容に見直す時期に来ているのではないでしょうか。
(2004年時点の自衛隊の戦力)    

陸上自衛隊 海上自衛隊 航空自衛隊
人員 約14万8,000名 約4万4,000名 約4万5,000名
保有戦力 戦車が910輌、装甲車が950輌、野戦砲が660門、航空機が約500機 各種艦艇151隻(護衛艦53隻、潜水艦16隻等)、42.8万トン、航空機約310機 各種航空機約500機、うち戦闘機は約370機。主力戦闘機F15はアメリカに次いで2番目に多い約200機以上保有。
予備自衛官 約54,000名
日本の軍事予算 2004年の防衛予算は4兆8,764億円で、一般会計予算の5.94%。 日本の軍事予算比率は 0.96% 。
予算規模は為替換算ではアメリカ約5,200億ドル、中国約1,200億ドル、ロシア約550億ドル、フランス約450億ドルに次いで世界第五位であるが、 大部分を人件費が占める。
GNPにおける割合は世界的に見てかなり低い水準に抑制されており、先進国の中で最低の比率。

ちなみに、自衛隊は陸、空、海のいわゆる三軍体制ですが、戦前の日本軍は陸軍、海軍の二本立てで空軍という独立した組織は存在せず、陸軍航空隊、海軍航空隊 というように陸軍、海軍内にそれぞれ航空部隊が設けられていました。

陸軍、海軍でそれぞれ航空機の役割分担(用兵)が異なるせいもあり、日本の航空機は非常に種類が多く、 それでなくとも資源と人手の足らない中、陸海の両方からバラバラに要求され開発製造するメーカーは大変な苦労をしたそうです。

そもそも空軍という組織は第一次大戦後にヨーロッパの国で創設されたという歴史があり、それ以前には飛行機を戦争に使う発想もなかったでしょうし、 戦前の大日本帝国憲法には、『天皇ハ陸海軍ヲ統帥ス』とされており、新たに空軍を作るには憲法の改正が必要となるわけですが、戦前にそれを言い出せる者がいるはずも無い、 ということで日本はずっと陸、海の二軍体制のまま終戦まで戦ったわけです。


  

アメリカの都合による日本の再軍備化

 新たに生まれた東西冷戦という世界情勢により、アメリカは日本を、「共産主義の浸透を食い止める"反共の砦"、"アジアの防波堤"」、 にする必要に迫られ、「軍事産業を復活」させ、「なし崩し的に再軍備化」、する方向に突き進んでいくことになりました。

 1952年(昭和27年)4月28日、連合国諸国と日本国との間の戦争状態を終結させるため、「サンフランシスコ講和条約(*1)」が発効され、 この条約により連合国は正式に日本国の主権を承認します。

 1952年10月、警察予備隊令が講和条約発効から180日後に失効することから、警察予備隊を改編し、国内保安のための武装部隊として、 現在の陸上自衛隊の前身に当たる保安隊を発足させます。  警察予備隊はもともと朝鮮戦争時にマッカーサーのいわゆるポツダム政令により成立したので、 講和条約が発効されれば廃止されるものでした。

 その後、1954年(昭和29年)7月、それまで警察の補完組織だった保安隊を、国防任務を担う組織、「自衛隊」、 として新たに発足させることになります。   そのとき、新任務にふさわしい宣誓を求められた保安隊の全隊員の6%にあたる約7,300人が、宣誓拒否し退官したそうです。

 この「自衛隊」誕生により、やっと日本国に正式な軍事組織が誕生することになったわけです。  ただ、憲法で「戦力は保持せず....国の交戦権は、これを認めない」、 と謳う以上、どうみても軍事組織である自衛隊を、軍隊ですとは正面きって言えず、「自衛隊は軍隊ではない」、というナントモ苦しいイイワケを、日本は戦後何十年にもわたり続けているわけです。

 また自衛隊を保持していても、「国の交戦権が認められていない」憲法の下ではたとえ中国・北朝鮮からチョッカイを出されようが、 余程のことが無い限り抵抗は一切出来ず、ために日本中にアメリカ軍の基地を用意し、年間1兆円近くのお金を払って用心棒として駐留してもらっている現状が続いています。

 まともな国ならとっくにこの矛盾を解決するため、憲法を現実に合わせ変えるべきなのですが、先の戦争において日本が武力でアジアの国を侵略して悪いことをした、 というGHQによる自虐史観に捕らわれる日本人はいまだに多く、 憲法改正して自分の身は自分で守れる国にしようという声はそれほど大きくありません。(2017.11)

 ただ、中国の日本周辺の近海進出、北朝鮮の核ミサイルによる恫喝など、昨今日本周辺を巡るキナ臭い動きが活発化しています。     一食触発の緊張状態がますますエスカレートしている現状で、「....国の交戦権は、これを認めない」、という憲法ではいかにも心もとなく、 安倍首相としても有事対応可能な法体制を一刻も早く整備したいところではあります。

 なにせ、支那軍は自衛隊が憲法のシバリにより手も足も出せないことをいいことに、平気でレーザー照射してくる連中です。      他国の軍隊がこんなことをされたら、攻撃とみなして即座に反撃するのが常識なのですが、現状ではオキノドクですが自衛隊員たちは自らの寿命を縮ませるしか手がないのです。

 それにしても、歴史は大きく変動するものです。  あれほど日本を弱体化させておくため憲法の中に戦力不保持などと盛り込んだアメリカが、 21世紀初頭では戦いに引きずり込み、「ショー・ザ・フラッグ(艦隊を派遣せよ)」、「ブーツ・オン・ザ・グラウンド(地上部隊を派兵せよ)」、 などとけし掛けるのですから。(アメリカ国務副長官アーミテージ氏談)。


 

日本の海上兵力再建の経過

 戦後の日本の海上兵力の再建には、戦争中好敵手だった、日本海軍に敬意をもつ米軍海軍将校たちの支援が大きく貢献したとされます。 当時極東海軍司令部参謀副長、 アーレイ・バーク少将は日本の海軍再建計画を支援し尽力したといいます。

 米海軍が保有するミサイル駆逐艦、いわゆるイージス艦の艦級名のアーレイ・バークは彼の名にちなんでおり、 日本の「こんごう型」「あたご型」の設計のベースとなっています。


重くのしかかる軍事費負担

 近年の中国の軍事費増強は目を見張るものがあり、2018年時点で日本の3倍、アメリカの3分の1に当たる1750億ドルの軍事費を計上。    長期的な計画で空母やステルス戦闘機の増強など装備の近代化を推し進め、「2050年までにワールドクラスの戦闘部隊を築き上げようとしている」、とされます。

 日本の防衛予算は過去5年間、約1%ずつの増加にとどまっており、 次の5ヶ年も同程度の水準となる見込みだといいます。

 2018年、ロイターは、日本が現在直面する軍事的脅威は直接的には北朝鮮のミサイルかもしれないが、中長期的な視点に立てば、 急速に軍事力を強化している中国こそが最大の仮想敵国だとしました。

米中戦争は70%以上の確率で起こるといわれます。 「一つの大洋に二つの海洋国家は存在できない」、 という歴史の教訓がありますが、日本周辺で繰り広げられている中国(新興大国)と米国(既存大国)のにらみ合いをズバリ指摘しています。(2018.8.7)


差が開き続ける日中の潜水艦戦力

 中国は2002年以降、10隻の原子力潜水艦を建造。通常型潜水艦は54隻を保有し、このうち48隻が稼働中と見られています。   日本は、先日就役したばかりの「そうりゅう」型9番艦「せいりゅう」を加え、通常型のみの20隻(うち練習艦2隻)で対抗しています。

 米シンクタンク、国際戦略研究所の分析では、中国は2020年までに70隻まで潜水艦を増やすとみられます。 原子力潜水艦は現状維持で、より安価な通常型潜水艦を20隻ほど追加する戦略のようです。  日本は、2021年までに2隻の追加にとどまる予定で、日中潜水艦戦力の差はますます開くことになるでしょう。 アメリカは50隻の原子力潜水艦を保有するが、多くは老朽化しています。 ハリー・ハリス米太平洋軍司令官は、「平時の要求を満たすのに必要な半数しかない」と嘆いているとされます。(ビジネス・インサイダー)。

 中国の潜水艦は活動範囲も広げています。 2016年には、原子力潜水艦がパキスタンのカラチ港に寄港。南アジアの港に中国の原子力潜水艦が姿を現したのはこれが初めてで、 その後、現在も続くインド洋での定期パトロール活動につながっています。 2018年1月には尖閣諸島の接続水域で中国原潜がキャッチされ、防衛関係者に大きな衝撃を与えました。


スタンドオフ攻撃能力を高める

 敵の保有兵器に比べ長射程の兵器で攻撃することを《スタンドオフ攻撃》、と呼ぶそうです。  中国の攻撃兵器はバカスカ日本国土に着弾するのに、 かたや自衛隊の兵器では敵に届かない、というのでは話になりません。   しかし、現実の日本の防衛能力はそうなっているのですから困ったものです。

 自衛隊が、現有ミサイルに比べ射程が5倍以上の巡航ミサイル導入方針を固めたら、早速平和ボケたちは、「敵基地(策源地)攻撃ができてしまう。 専守防衛に反する」、と大騒ぎしました。    「周辺諸国の脅威」になるというわけです。

 「射程が長いから」専守防衛にはそぐわないという主張は自衛隊員は接近戦で戦え、というようなものです。   旧日本軍は貧弱な装備でバンザイ攻撃して玉砕していきました。  同じような戦法で自衛隊員たちを特攻攻撃させるつもりなのでしょうか。

  相手に攻撃を思いとどまらせる抑止力には、懲罰的抑止と拒否的抑止があるといわれます。 しかし、「周辺諸国の脅威」にならない軍事力で、 どうして相手に日本を攻撃しようする気持ちを思い留まらせることが出来るでしょう。   抑止力は「周辺諸国の脅威」とならねば発揮できない、というのは軍事常識なのです。

 お隣韓国でさえ、北朝鮮の核ミサイル攻撃に対抗するため射程500キロのドイツ製《タウルス空対地巡航ミサイル》を170〜180発導入する予定といいます。  もう2016年10月から韓国に引き渡しが始まったとか。    タウルスは米軍トマホークのように、発射後上空で翼を広げ、亜音速(マッハ0.65〜0.9)で海上や陸地ぎりぎりの低空を地形をぬうように飛行、 標的の直前で急上昇しほぼ垂直に降下して標的を殲滅するミサイルです。

 GHQに刷り込まれた、先の戦争は日本が悪いから起きたとする東京裁判史観がまだまだ幅を利かしていたその昔、アメリカから航続距離の長い戦闘爆撃機「F4ファントム」を導入する際、 専守防衛に反するという野党の反対で爆撃装置を外したことがありました。

 わざわざ莫大な費用をかけ能力を下げた兵器を導入する、というので世界中から笑いものにされました。 「敵基地攻撃能力」とは「発射前ミサイルの撃破」が目的で相手と全面戦争するわけではアリマセン。  さすがにその後に導入したF15戦闘機は爆撃装置を外すことはなかったといいます。

 当時は中国や北朝鮮の脅威はありませんでしたから、世論もそれで差し障りがあるでなし、アタリマエだと考えていたわけです。  その装置はその後再装備し直していますから、 日本はホントにマヌケな平和ボケ国家だったのです。

 2009年以降、自衛隊はへり搭載護衛艦を相次いで配備しています。 2009年から就役を開始した「ひゅうが型」護衛艦や、 2015年からは太平洋戦争当時の日本海軍の最大の空母と大差ない大きさの「いずも型」護衛艦を配備しています。   面白いのは姿はもう航空母艦ともいえるこの艦船について、一昔前ならサヨクたちが、ヤレ戦争するのか、 とか軍国主義復活などと大騒ぎしたはずが、昨今はサッバリ聞こえなくなったことです。


強力な抑止力は最大の防御

  野党は防衛費が1%を超えれば軍国主義となる、などとおかしな理屈で大騒ぎしますが、「軍国主義」とは「政治家に対する軍人の優位」つまり 「軍人が政治を支配すること」であり、 軍が威力を背景として政治に関与することをいうものであって、軍備を強化することとは全く関係ないわけです。

 国の舵取りを担う政治家が軍をコントロールするのが常道であるのに、 日本は過去軍人が政治を支配したミリタリズム(軍国主義)のために軍人が暴走し、 大東亜戦争に突き進み大勢の国民の血が流された悲惨な歴史があります。

 予告も無く、指導者の気まぐれでときおり日本に向けミサイルをぶっ放す、アブナイ隣国があります。

万が一、核ミサイルでも撃たれたら、日本は甚大な損害が発生するわけですが、現状ではどんな危機が迫っていようが、日本の自衛隊は敵ミサイル基地を無力化するための攻撃は出来ません。

どういう手続きかは知りませんが、一応日本に代わり米軍が敵基地攻撃の役目をするようです。  ただし、実際はどうなるか、まさに被害が出た後でないと誰もわかりません。

やられたら、カタキを討つのは自分でなく用心棒という仕組みのようですが、ハタシテこんな国防体制がこの先どこまで続いていくのでしょう

北朝鮮がトチ狂い、万が一核ミサイルでも撃たれたら日本は甚大な損害が発生するわけですが、ナント、現状の憲法ではどんな危機が日本国に迫っていようが、 日本の自衛隊は敵ミサイル基地を無力化するための攻撃は出来ません。

 どういう手続きかは知りませんが、一応日本に代わり米軍が敵基地攻撃の役目をするようです。  ただし、実際はどうなるか、まさに被害が出た後でないと誰もわかりません。     やられたら、カタキを討つのは自分でなく用心棒という仕組みのようですが、ハタシテこんな国防体制がこの先どこまで続いていくのでしょうか。

 まあ、日本の自衛隊もこの現状にただ手をこまねいているほどヤワではありません。 予定では平成28年度から最新鋭ステルス戦闘機F35が 次期主力戦闘機として配備予定のようです。  日本が普通の国防体制がとれるよう憲法改正されれば、敵に気づかれずに攻撃できるステルス戦闘機は、 敵にとっては脅威となりますので抑止効果は大きいと思います。

シーレーン防衛でも、大戦中なら小型空母ともいえる全長200メートル前後の、「ひゅうが型」や、それより大型の「いずも型」 大型護衛艦を着々と建造しており、海の防衛も抜かりなく進めています。

 「いずも型」は全長248mですから、太平洋戦争時の日本の主力空母に匹敵する大きさであり、1番艦の「いずも」に続き、2番艦「かが」も2019年に就役しています。

いずれ、憲法改正により海上自衛隊もアメリカ空母に匹敵するほどの超大型空母を2〜3隻も配備すれば、中国は我が物顔で東シナ海や小笠原諸島に近づくことなど二度と出来なくなります。

ロシアから買ったポンコツ空母を、やっとこさ動かそうとしている中国と比較しても、まだまだ日本の工業技術は先進的でしょうから、 ハイテク日本の英知を結集し、相手がヒビッて手が出せないよう、より高性能の自衛装備をますます充実させ、大いに抑止力を高めていただきたいものです。

 もちろん平和国家日本ですからイタズラに戦う道を選んではダメですが、外交交渉においても相手より軍事力が劣っていては相手は従いません。    「孫子」は最善の策は「戦わずして人の兵を屈する」としています。    「戦争に備えることは、平和を守る最も有効な手段の一つである」のです。

自軍の兵力を損なわずに勝つためには、圧倒的な軍事力を備え戦う前に相手を降参させる。 あるいは戦っても勝てないと思わせることが大事であり、 あらゆる準備を整えておくことが大切なわけです。


日本は生き残れるのか?

 在日米軍の存在は、極東地域の紛争予防にとって今や必要不可欠となっており、もし日本から米軍がいなくなる事態になれば、 極東が新たな紛争地域になってしまう、という悪夢のシナリオも決して夢物語ではなくなります。

 もしアメリカ軍が日本・沖縄から撤退する事態になったら、虎視眈々と東アジア・西太平洋地域支配を企てている中国が恫喝外交のキバを剥き始め、 あらゆる手段で地域の主導権を握ろうとするのは間違いありません。

 2018年5月、「国家基本問題研究所」(櫻井よしこ理事長)の創立10周年記念シンポジウムに登壇したフランスの歴史人口学者、エマニュエル・トッド氏は、 転換期を迎えた世界の今後や日本が取るべき道について提言しました。 氏はソ連崩壊や米大統領選のトランプ氏勝利などを 「予言」したことで世界的に著名な方だそうです。

 トッド氏は1976年に発表した最初の著作「最後の転落」で、人口統計学的な手法で近未来のソ連崩壊を予測。 その後、人口動態や家族構造に着目した独自の視点でアラブの春英EU離脱などを見通すなど、「現代世界最高の知性」としてその発言は国際的に注目を集めています。

現実の軍事力を整備せよ

 トッド氏は、「なぜ戦争になるのか。 それは勢力均衡が破綻したときだ」と明言しています。 「何年か前、日本の首相の靖国神社参拝をめぐる議論が起きたとき、 私はこう思いました。 日本人、あるいは日本の首相はもうあの神社について語ることも参拝することもやめて、現実の軍事力を整備すればいいのに、と」

 「再武装をしないことが戦争の近道になる」のだから「隣に拡大する勢力があるのなら、再武装するしかない」というのが氏の考えです。

 さらに、「第二次大戦で筋金入りの反共主義者だったチャーチル英首相は、独ソ戦が始まるとロシアと組んだ。 本当に中国を脅威に思っているのなら、それをやらなければなりません」、 として本当に危機が重篤な場合、価値観の相違など忘れロシアと組むことまで示唆しています。

 日本も徐々に有事に対する法整備が進みつつありますが、しかし、「周辺諸国の脅威」にならない軍事力で、 どうして相手に日本を攻撃しようする気持ちを思い留まらせることが出来るでしょう。

 相手に攻撃を思いとどまらせる抑止力には、懲罰的抑止と拒否的抑止があるといわれます。  強力な抑止力は最大の防御なのです。   抑止力は「周辺諸国の脅威」となる《スタンドオフ攻撃》 でないと発揮できない、というのは軍事常識です。


日本は核武装すべき?

 現代ではいかなる国の安全保障も核兵器の存在を抜きにしては考えられません。  核保有国が、核を持たない同盟国に核兵器の抑止力を提供し安全を保障することは、 「核の傘」と呼ばれています。  同盟国に加えられた攻撃は核保有国への攻撃と同様にみなし代わりに報復する、という保障を与えているとも言われます。

 核兵器を持てない日本は「米国の核の傘」に守られている現状にありますが、トッド氏によれば「核兵器はただ自国のためだけに使うもので、 ドイツを守るためにフランスが核を使うことがないように、米国の核の傘なんて私はジョークだと思っている」という見解です。   イザとなっても米国が使うはずがない、とみているわけです。

 氏は自らを「フランス人の左派かつ平和主義者で、戦争は嫌い」な立場であるとしつつ、「核兵器とは戦争の反対で、戦争を不可能にするもの」であり、  日本に対し「別に強国になれということではなく、(国家間の)力の問題から解放されるから」、 「日本の核武装について考えてほしい」と提言しています。(2018.6.27)


軍事研究への過剰な警戒

 日本でも、防衛省による研究費助成の制度がスタートしました。    そんな中、日本学術会議、というイカメシイ名前の組織が、同会議が米軍占領下の1950年に出した、「戦争を目的とする科学の研究には絶対従わない」、とした声明を継承すると宣言しました。   この会議では1967年にも「軍事目的の科学研究を行わない」という声明も出しています。

 この声明の一面だけ見れば、「悲惨な戦争で使う武器の研究などケシカラン」、という意見は理解できます。  たしかに大量殺戮が目的の武器開発を行うなどトンデモナイ話です。

 しかし、「軍事目的」というあいまいな表現の中身は、具体的にどういうものを指すのでしょう。  戦争兵器と一口にいっても、人の命を奪うものだけではないですし、 自らの命を守るための兵器でさえ研究はゼッタイにやらない、というのでは自殺願望でもあるのかと疑ってしまいます。

 第二次世界大戦中、英国はドイツのUボートによる通商破壊戦術により、護送船団の船舶が毎月数十万トンも沈められ、武器、弾薬、食糧の欠乏に見舞われて降伏寸前まで追い込まれます。

 ドイツ軍は当時「エニグマ」と呼ばれた暗号を使っていましたが、ケンブリッジ大学の数学者、アラン・チューリングら数学者の必死の努力によりこの暗号の解読に成功。    これによりUボートの行動を事前に察知し、船団の被害を食い止め英国は国家滅亡の危機をなんとか乗り越えられました。

 歴史学者のヒンズレー卿は、『数学者によるエニグマ暗号解読は大戦を少なくとも二年は短縮した』、と述べたそうです。 チューリングらの数学者たちは軍事協力したわけですが、 日本学術会議はこのような、国家の危機を救う研究でさえも一切禁止させるつもりなのでしょうか。

 日本領海で目に余る挑発行為を仕掛けてくる中国や、 暴走し始めた北朝鮮のミサイル発射など、日本周辺はキナ臭い動きが活発になっています。   万が一相手が攻撃してきた場合に備え、日本中の英知を集めどこかで防衛する手段を研究する必要があるはずです。

 日本人の中には、戦いなど起きるはずはないと思い込み、真剣に安全保障問題に取り組む人々を軍国主義者と見下し、 平和愛好家面して自己満足している平和ボケ人種が存在しています。

 しかし、祖国を守るための武器研究でさえ一切やってはならない、という現実逃避の無邪気な平和主義発想では、 たとえ敵から攻撃を受け日本が存亡の危機にあっても、戦争を放棄している憲法を守るため抵抗して戦ってはいけない、と主張する頭のネジがトンデしまった連中と同じです。

 いまや、民生と軍事の線引きなど不可能であり、どんな研究であれ、いずれは何らかの形で軍用兵器の一部になっていくのは歴史が示しています。   誰しも戦争など望みませんが、人道主義だけでは平和は守れないことは明白であり、相手に打ち勝つ兵器を保有することが戦争を未然に防ぐ手段になる、という現実は直視する必要があります。

 平和主義のご立派な声明もいいですが、現実に極東において地政学的緊張が高まりつつある昨今、日本人ならば今そこに迫りつつある脅威に立ち向かうべく、 祖国の平和を守るための防衛手段の研究も抜かりなくやっていただきたいものです。(2017.3.21)


  

日本は「軍国主義」国家?

 憲法改正など言おうものなら、すぐさま「日本は軍国主義」に走るのか、と敏感に反応する人たちがいます。     野党も、防衛費が1%を超えれば軍国主義となる、などとおかしな理屈で大騒ぎします。

 しかしながら、そもそも「軍国主義」とは「政治家に対する軍人の優位」つまり 「軍人が政治を支配すること」であり、 軍が威力を背景として政治に関与することをいうものであって、軍備を強化することとは全く関係ないわけです。

 たしかに、過去の日本では国の舵取りを担う政治家が軍をコントロールするべきが、 軍人が政治を支配したミリタリズム(軍国主義)のために軍人が暴走し、大東亜戦争に突き進み大勢の国民の血が流された悲惨な歴史がありました。

 アメリカのリベラル派にも、日本の軍事化に神経を尖らせる輩は少なからず存在するようですが、日本の軍国化に敏感に反応するこの深層心理(?)は、 先の大戦でアメリカなど欧米各国を相手に、我々日本人がいかに勇敢に戦い彼らを恐れさせたか、という証拠かもしれません。

まだまだ大戦の警戒感から抜け出せない彼らからすれば、憲法改正により日本が強力な軍備を備えたら、 再び日本はアジアの盟主に返り咲く、という心配があるのでしょう。 なにせ、世界広しといえども、ロシア(日露戦争)、中国(日清・支那事変)、米国(真珠湾攻撃から太平洋戦の初戦)という三つの大国相手に勝利、 または戦果を挙げた国は日本以外なかったのですから。  中国には侵攻して国土を占領したのは日本だけですし、米国が領土を攻撃され壊滅的ダメージを受けたのも日本が行った真珠湾攻撃のみなのです。

 しかし米国はしたたかな国ですから、中国が力をつけてきた現状ではいたずらに刺激せず、日本をアメリカの被保護国のまま中国への警戒砦とする一方、 中国と米国はユーラシア大陸の同盟国として、仲良く発展していく方向でアジアをコントロールしていくはずです。

ブレデンスキー氏は米中同盟論を唱え、米国を「グローバルパワー」、中国を「地域的パワー」と位置づけ、 米中両国はともにユーラシアでお互いを必要とする関係を構築し、いずれ自然と相手同士を同盟国とみなすに至る、と述べたそうです。

そのため、日本は「文民国家」としてこの先もずっと米国の被保護国となり、おとなしく平和を唱えていればいいのであって、中国と対抗する軍事パワーを持つような動きは困る、 と氏は考えているようです。


⇒ページTOP


⇒サイトマップ

関連サイト


コトバ学
(*1).....サンフランシスコ講和条約

第二次世界大戦におけるアメリカ合衆国をはじめとする連合国諸国と日本との間の戦争状態を終結させるために締結された平和条約。この条約を批准した連合国は日本国の主権を承認した。 国際法上はこの条約の発効により日本と、多くの連合国との間の「戦争状態」が終結した。 ソビエト連邦をはじめとする東側諸国、「中国」(後述)およびインドやインドネシアなどの国は会議への参加や調印・批准を行わず、個別の条約や合意によって戦争状態が終結することとなった。
本条約はアメリカ合衆国のサンフランシスコ市において署名されたことから、「サンフランシスコ条約」「サンフランシスコ平和条約」「サンフランシスコ講和条約」などともいう。 1951年(昭和26年)9月8日に全権委員によって署名され、同日、日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約も署名された。翌年の1952年(昭和27年)4月28日に発効するとともに 「昭和27年条約第5号」として公布された。(Wikipedia)


ランキング



google adsense 広告


こんなサイトもあります

DIY関連
・diyパーゴラ作り
・diyウッドデッキ作り
・ホームセンター活用術






関連サイト・バックナンバー