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中国打倒を決意したアメリカ

 2018年10月、ペンス副大統領はシンクタンク・ハドソン研究所で、極めて「反中的」な演説を行います。 ペンス氏は中国のGDPが過去17年間で9倍増大したことに触れ、 中国が急成長できた主な理由は、米国の対中投資と、 中国政府の不正(為替操作、強制的技術移転、知的財産の窃盗など)によるものだったと指摘。

 さらに中国は自国内で活動する外国企業に企業秘密の提供を強要し、米国企業を買収しているとし「中国の安全保障機関が、米国の技術の大規模な窃盗の黒幕だ」と断じました。     経済発展が著しい中国は、先端技術開発に膨大な投資を行い、外国企業の企業秘密を奪い続けています。  このまま中国の独走を放置すれば、 投資家ジョージ・ソロスが指摘するように「中国民衆をコンピューターによって評価する社会信用制度を構築し、国家の脅威となる人物を“処理”している。  このシステムがいったん開始されれば、習近平は完全に中国国民をコントロールできるだろう」、という危惧が現実味を帯びるわけです。

 いまやハイテク通信技術は国防の要であり、世界のインフラを動かす技術、つまり世界を支配しうる技術とさえいわれます。 中国は2020年までに社会信用スコアによる人民管理・ 監視社会を実現させる目標を掲げています。    このままでは、いずれSF映画のような近未来独裁国家がまさに誕生しようとしているわけです。

 ペンス氏は、米国の歴代政権がこれらの事実を無視してきたことが、中国を有利にしてきたと指摘したうえで「そうした日々は終わりだ!」と力強く宣言します。    米国政府の動きはこの演説の後から明らかに変わったとされ、 米国の支配者層が「中国打倒を決意した」ことが窺えます。    やっと米国が本気になり、これまで4年間にわたって押さえ込まれてきた米海軍を中心とする対中強硬派による"反撃"が ようやく開始されることになるわけです。   米中の巨大シーパワーに翻弄されつつある日本は、これにどう対応していくのでしょうか。(2018.10.7)


膨張し続ける強盗国家..... 新冷戦の怪物・中国

 すでに中国の拡張主義への対応は、日本だけ、米国だけ、で論じることができないところまで来ています。  世界トップクラスの人口を有し、 ますます経済発展を続ける一党独裁の社会主義国である中国の暴走をこれ以上放置すれば、アジア周辺はおろか世界中が中国の悪影響を受け、 自由で公平な民主主義とは無縁の社会主義独裁の世界が形づくられてしまうでしょう。

 マッカーサーが憂慮した脅威は、 現在中国が南シナ海や東シナ海で力による実行支配を行っている現状が証明しています。  その強権国家が、 今度は南沙諸島を我が物とし、尖閣のみならず、 いずれ沖縄まで食指を伸ばそうと日本周辺に迫っています。

 2016年7月12日の南シナ海を巡るハーグ仲裁裁判所の判決は、中国側の完敗と言える結果となりましたが、中国政府は即座に受け入れ拒否を表明。    その後も中国は南シナ海占有にこだわり、 南シナ海周辺で海軍力を誇示する行為をやめません。

 頼みのアメリカも世界の警察の立場を放棄し、最大の関心は中東であり、 中長期的に中国とどう向き合うかの戦略策定は明確にしておらず、 もはや「新冷戦の怪物」への道を突き進む中国に対し手をこまねいているのが現状です。  世界は拡大し続ける中国共産勢力にこの先どんな代償を払うことになるか、 どんな展開になっていくのか検証していきます。(2017.12.11)


もう止められない中国の暴走

 ソ連崩壊を目の当たりにし、さらに、巨大な中国市場に魅了された先進諸国の指導者たちは、共産主義の限界を知ったのだから、中国共産党が独裁支配する中国も、いずれ強権主義は勢いを失うだろうと考えました。

 しかし、急激な経済発展を遂げた中国は、「新植民地主義」 ともいうべき覇権主義をむき出しにし、反体制派の締め付けを強め過酷な取り締まりを行い、周辺諸国の民族を弾圧。   共産党政権の独裁支配をより強固なものにしています。  平和幻想の期待は脆くも崩れ去り、米中関係は対立がますます激化しています。

 中国はいまや世界第二位の経済大国として力をつけ、アジア支配の牙を剥き力による実効支配を目論み、アジアの覇者として周辺諸国の属国化を推し進め、数年後に南シナ海や東シナ海において武力行使する、 という事態が起こることはまちがいありません。  物分りのいい、『人類は皆兄弟』というシバリにとらわれすぎた指導者たちの姿勢が、 現在の中国が強大共産主義の侵略国家として世界中の民主国家からヒンシュクをかう事態を招いたのです。

 世界の警察を返上した米国の対中融和派が中国に与えてしまった4年間で、 今や中国海洋戦力による南シナ海での軍事的優勢は大幅に拡大してしまったのです。  中東でも目を覆うばかりの失策のヤマを築き上げるオバマ氏の“戦略”を、 米紙のある著名コラムニストが 《抑制ドクトリン(ドクトリンは教義・主義)》と表現しました。

 中国のすさまじい拡張戦略に危機感を覚えた各国はやっと重い腰をあげ、まず日米印とオーストラリアによる連携で南シナ海をわが庭にしようと軍備増長を進める中国に、 ハッキリ対峙する姿勢をやっと打ち出しました。  東シナ海では日米が軍事演習を行い、そのおかげで例年なら大挙して東シナ海に押し寄せてくるはずの中国漁船の数も、 ずいぶん減りました。  暴力的な相手に対抗するには、一定の「力」の誇示が不可欠なのです。

 しかし、事態はもう「時すでに遅し」のようです。 トランプ政権下で従来の外交鉄則を方針転換した米国ですが、 すでに中国は中国本土から1200キロメートル以上も離れた南沙諸島に強力な前進航空基地を3つも作り、人工島に地対艦ミサイルシステムと地対空ミサイルシステムを設置し、 核爆弾や長距離巡航ミサイルを搭載することが可能なH-6K(戦神)爆撃機を展開しているのです。 こうなってしまったら打つ手は「戦いの道(武力による結着)」しか残されていません。(2020.10.24)


 

従来の外交鉄則を方針転換した米国

 アメリカは従来から第三国間の領域紛争には中立的立場を貫くことを外交の鉄則としてきました。   アメリカ政府としてあからさまに領域紛争当事者の一方の主張を公式に否定し、 他方の主張を支持するという、外交的立場を明確にすることは断固として避け続けてきたわけです。

 これは中国が強大な海洋戦力を振りかざし南シナ海全域で近隣諸国を威嚇し、中国の軍事的支配を確立しつつある状況に対しても適用され、 中国と紛争中のフィリピン、ベトナム、ブルネイ、マレーシア、インドネシア、台湾などの主張を明確に支持するという立場を明確かつ公式に表明することは避けてきたわけです。

 ただ、中国が南沙諸島に人工島まで建設し始めると、オバマ政権は南シナ海に軍艦を派遣して公海自由航行維持のための作戦(FONOP)を実施。    アメリカの威信を示して同盟国や友好国の信頼をつなぎ止めておこうという動きはみせていました。  とはいっても、中国が中国領と主張している人工島などの沿海域を通航するときは、 国際法上認められている無害通航原則に従ってきました。

 具体的には、直線的針路を可及的速やかに通過する。  途中停船させたり、射撃レーダー波を発したり、 艦載機(ヘリコプターやドローン)を飛ばす、などの軍事的行動は封じ込めてきたのです。トランプ大統領も就任直後は習近平主席との関係が悪くなかったため、 FONOP実施のペースは若干上がった程度に留まっていました。

 しかし、米中関係がギクシャクし始めると、 米海軍や米海兵隊などの間に「何らの軍事的威嚇にならない無害通航原則に従うだけのFONOPでは、 中国の人工島建設をはじめとする南シナ海の軍事化を牽制する効果は全く期待できない」、「アメリカは、領有権紛争で劣勢に立っている同盟国や友好国を明確に支持する立場を表明しなければならない」 と主張する対中強硬論が噴出。  2019年初頭あたりからのFONOPのペースは目に見えて上がってきていました。

 そしてとうとう、2020年7月13日、アメリカ外交当局はこれまでの外交鉄則を大きく方針転換。   ポンペオ国務長官が、「南シナ海における中国による全ての主権的主張は国際法上認められるものではなく完全に違法である」、 「アメリカ政府はフィリピン、ベトナム、マレーシア、インドネシア、ブルネイの排他的経済水域や当初に関する領有権の主張などを支持する」、との立場を明記した公式声明を発したのです。

 これにより、今後はFONOPも含めてアメリカ海軍や空軍による南シナ海での対中軍事牽制行動も新たな局面を迎えることになるのは確実となりました。    尖閣諸島の領有権紛争についても、数年前から米軍関係者などの間では、アメリカ政府として公的に「尖閣諸島の領有権は日本にある」といった明確な立場を表明すべきであり、 そうしなければ南シナ海のように東シナ海での中国の軍事的優勢が確立してしまう、と警告を発する者も少なくなかったといいます。

 もちろん、尖閣諸島に対する日本の領有権を確保するのはアメリカ頼みではなく日本自身なのですが、もしトランプ政権が尖閣諸島をめぐる領有権紛争に関して「中国の領有権主張は、 アメリカ政府としては認められない」という立場を示すならば、極めて強力な対中強硬姿勢を明示することになるのは間違いありません。  ただし、 台湾も尖閣諸島の領有権を主張しているため、アメリカと台湾との関係を考えればそう単純な話にはならないでしょうが。(2020.7.16 msnニュース 引用)


「カウボーイにしかできない」.....平和の実現

 週間新潮に掲載の、藤原正彦氏の連載コラム『管見妄語(かんけんもうご)』に、「.....真に偉大な変革は知識人ではなくカウボーイにしかできないのかも知れない.....」 という件(くだり・文章の一部分)がありました。(2018.10.9)

 『米国の歴代大統領のうち過去ルーズベルト、ウィルソン、カーター、オバマの4名がノーベル平和賞を受賞しているが、しかし、ホンモノの平和を実現したのは、 売れない俳優出身のレーガン大統領だけだった。   彼は国防費を大幅に増大し、スターウォーズ計画を推進、デタントは冷戦を長引かせるだけと否定し、ソ連を「悪の帝国」と呼び捨て、力による平和を唱え、 この能天気には世界中が呆れた。』

 『....しかし、レーガン大統領のとった政策により、数年後軍拡競争に敗れたソ連が財政的に破綻し、ついには共産党政府が潰れ、東欧が解放され冷戦が終結する時代が実現、 世界史に残る大快挙を成し遂げた』、と藤原氏は喝破しています。

 2018年、トランプ大統領は関税を一方的に上げるという戦後自由貿易を否定する破天荒な手段で中国に 貿易戦争を仕掛けます。 さらに、関税ばかりか中国による先端技術漏洩に目を光らせ、 全米の多くの大学で中国批判を封じている孔子学園を閉鎖するなど中国にプレッシャーをかけています。   藤原氏は、トランプ氏がこのまま突き進み、 中国経済に大打撃を与え、 共産党独裁政権を倒し、民主化を実現させたら世界史に輝く人物になる、と指摘。   トランプ氏は「カウボーイにしかできない」ことを成し遂げ、最も偉大な大統領になるか、最も愚劣な大統領となるかの岐路にいる、 と結んでいます。

 中国が推し進めている世界制覇を阻止できる国は米国しかありませんが、 前政権の優柔不断なオバマ大統領では決して成し遂げられないことです。    トランプ氏について識者などと称される人たちの大部分は、無知で情緒不安定な暴走老人としか見ていないようですが、 今回中国に決然とノーを突きつけたトランプ氏の評価は、 はたして後年どう評価されるのでしょうか。(2019.1.31)

 残念ながら、せっかく中国をノックアウト寸前のところまでロープ際に追い詰めたトランプ大統領でしたが、 2020年11月の米国大統領選挙において、 対立候補の民主党バイデン候補に破れリングから去ることになってしまいました。  この結果が中国がさらに強大覇権国家へと膨張するターニングポイント(分かれ道)となってしまうのでしょうか。(2020.11.18)


  

リベラルタイプの指導者では世界が混沌さを増す

  過去、人類は悲惨な戦争を何度も繰り返してきましたが、 《リベラルを前面にだすタイプが指導者になると世界が混沌さを増す》、 というセオリーがあります。

 アメリカ合衆国初代大統領、ジョージ・ワシントンは、「戦争に備えることは、平和を守る最も有効な手段の一つである」、と唱えました。    世の中には安全保障についてもいろいろな考えの人がいます。  「左派」と呼ばれる人々は国防の強化を説く相手を「軍国主義への回帰だ」と非難し、 「右派」は「左派」を「平和ボケ」と非難します。   両者の間には埋めがたい断絶があります。

 ただ、「人類の歴史は戦争の歴史」であることを知る人間は、 平和は何もせずとも与えられるものではなく、果敢に作り出すもの、という冷徹な事実は理解しています。  誰しも戦争など望みません。 しかし、 「平和を望む」だけでは平和は守れないのも現実なのです。

 近代における戦争勃発の構図は、物分りの良い指導者たちによる 現実逃避の平和主義が、力による覇権を目論む無法国家を放置、あるいは増長を後押しした結果引き起こされてきた、 といっても過言ではありません。

 パシフィズム(平和主義)だったイギリス首相ネヴィル・チェンバレンは、 ヨーロッパにおけるナチス=ヒトラーの台頭を放置しドイツに譲歩し過ぎた結果、第二次世界大戦を防げなかった人物と評価されています。

 オバマ政権下の米国は、 2012年以来、南シナ海において「航行の自由作戦」を控えました。     しかし、中国の南シナ海進出を放置したまま、「仮想敵である中国海軍をRIMPACに参加させることで海洋での予期せぬ衝突を防ぎ、 軍事力を振りかざす中国の海洋侵出を抑制できる」、 という甘い理想は、いまや全くの空想だったことが明らかとなりました。

 この背景にあるのは、リベラル指導者たちに、「悪いことは悪いと言って反対する」、という腹の据わった態度が欠落していることにあります。     オバマ大統領は奥さんと言い争いになると自室に閉じこもって現実から逃避したといいます。

 ニクソンは、日本嫌いのキッシンジャーの肝入りで中国敵視政策を転換させ、アメリカと強固な同盟関係にある日本の頭越しに、アメリカ大統領として初めて中国首脳の毛沢東と握手をし、日本を驚かせます。     これは1960年代後半からのアメリカの経済・外交の行き詰まりを打開するための起死回生をねらった政策転換とされます。

 カーター大統領は、1979年にケ小平政権と米中国交正常化を実現させ、その結果、中華民国政府(台湾)は、国連から追放され、 世界各国は台湾と正式な国交を断絶します。  当時の日本は、アメリカが中国共産党政権を承認し、台湾を切り捨てるなどという重大な外交方針の転換を、 同盟国日本に相談なしに実行するとは考えもしておらず、外交は日本流の「信頼関係」など通用しない世界であることを思い知らされます。

 いずれにせよ、アメリカの対中政策のマズさが、中国をノサバラさせ、今の世界の混乱を招いてきたとも言えます。  一方で、 レーガン大統領のような、カウボーイ気質の指導者が、平和な世界を実現した例もあります。

 米国とソ連が覇権を巡り激しい東西冷戦を繰り広げてた時代、レーガン大統領はデタントは冷戦を長引かせるだけと否定。  ソ連を「悪の帝国」と呼び捨てにし国防費を大幅に増大しました。    軍拡競争に巻き込まれた形となったソ連は、数年後に財政破綻し、ついには共産党政府が潰れ、東欧が解放され冷戦が終結するという平和な時代が実現させます。

 トランプ大統領は、急速な経済 成長を遂げている中国に対し、一貫して強気の厳しい姿勢を示し、米国における中国のイメージダウンを大いに拡大させます。     対中政策であまり結果を残せなかったとされるトランプ大統領ですが、「中国は悪い国」という意識を国民に知らしめたのは大きな成果かも知れません。(2020.10.24)


  

オバマ政権時代のツケ....南シナ海の米中対立

  『戦争は悪であり、戦争廃止を熱望し広く啓蒙すれば戦争はなくなる』と信じ、『覇権主義をちらつかせる相手に宥和政策』をとろうとする パシフィズム(平和主義)は、 独裁者ヒトラーのような狂信者が登場すればいともアッサリと打ち破られてしまう、という第二次世界大戦の教訓があります。

 中国とはある程度の妥協も容認せざるを得ないという軟弱方針だったオバマ政権下で決定された中国のRIMPAC参加でしたが、 《リベラルを前面にだすタイプが指導者になると世界が混沌さを増す》、というセオリーどおりの展開となってしまいました。    世界の警察を返上した米国の対中融和派が中国に与えてしまった4年間で、今や中国海洋戦力による南シナ海での軍事的優勢は大幅に拡大してしまったのです。

 いままでアメリカ海軍の圧倒的軍事力によってコントロールされてきた南シナ海の軍事バランスも、4年前に比べれば数段不安定なものになっています。  対中融和派が考えた、 「仮想敵である中国海軍をRIMPACに参加させることで海洋での予期せぬ衝突を防ぎ、 軍事力を振りかざす中国の海洋侵出を抑制できる」、という甘い理想は、いまや全くの空想だったことが証明されつつあります。(2018.6.7)

 2018年9月30日、南シナ海・南沙(スプラトリー)諸島付近を航行する米イージス駆逐艦(ディケーター)に、 中国軍駆逐艦が米駆逐艦の船首から45ヤード(約41メートル)以内の距離まで異常接近しました。

 中国軍駆逐艦はディケーターに対し、そのエリアを離れるように警告を発しながら、攻撃的な操縦を繰り返したといいます。 ディケーターが衝突回避の操縦をしたとき、 船首から中国軍駆逐艦の距離は45ヤード以内で、米太平洋艦隊は「危険であり、未熟な操縦」と批判しています。

 中国はすでに南シナ海を実効支配している気のようですが、オバマ政権時代に中国の南シナ海進出を放置していたツケがとうとう廻ってきたようです。   このままでは、南シナ海・米中軍事衝突、 という最悪の事態が起こることが懸念されます。

 リベラルタイプの指導者では世界が混沌さを増す、というのは歴史の真実なのかもしれません。 (2018.10.2  MSnニュース 引用)


  

「韜光養晦」から「戦狼外交」へ

 これまでの中国外交の基本方針は、ケ小平氏が敷いた「改革・開放」路線に基づく、「才能を隠して、内に力を蓄える」という意味の「韜光養晦」(とうこうようかい)でした。  これは、 強国と対峙する姿勢は見せず、協力を仰ぐことで中国を貧困の悪循環から脱却させ発展させていく政策だったわけです。

  そのためケ氏は将来の指導者たちに対して、「アメリカとの協力を発展させ、敵対しない」ことを強く指示したとされます。    それ以降の中国の指導者はこの忠告を忠実に守ります。  江沢民氏は対米関係を強めクリントン大統領の時代にアメリカとの戦略的パートナーシップを結び、胡錦濤氏もアメリカとの対立を避けてきたわけです。

 ところが、GDP世界2位の経済大国となった今、習近平氏は40年以上にわたって続いたその改革開放路線の外交政策を大転換させ、共産主義の原点への回帰ともいうべき「共同富裕」を打ち出します。     これは貧富の差をなくして、すべての人が豊かになるという意味ですが、実態は中国共産党が企業をコントロールし寄付を求め、共産党独裁色をより強固なものとしていく政策です。

 さらに小中高校では、2021年9月の新学期から「習近平思想」が必修化され、本来は個人崇拝は共産党規約で厳しく禁じられているにもかかわらず、習氏の「個人崇拝」色をますます強めようとしています。   毛沢東時代への復帰を目指す動きを、ますます加速させているわけです。

 再び強固な共産主義国家一党独裁を目指すこの「習近平思想」が、今後世界にどんな影響を及ぼしていくのか、日本を含む民主主義諸国は中国に対しどう向き合っていくのか、要注目です。(2021.9.302  msnニュース 引用)


  

中国に睨みを利かせる....「航行の自由」作戦

 中国は「世界の目を一つの地域に向けさせながら、他の地域で策略を進める」のが得意です。 2014〜2015年に、習主席がインド高官と対話している最中に、中国軍が中印国境の紛争地域に部隊を送ったことがありました。    インドに対し「対話」と「威嚇」を同時進行させたわけで、後に中国軍は撤退しますが、明らかに外交のイニシアティブは中国が握ることになりました。

 その中国が次に食指を伸ばしているのが南シナ海のパラセル(中国名・西沙)諸島です。

 米海軍は「(中国による)南シナ海における無法かつ見境のない主張は、航行や飛行の自由、全ての船舶の無害通航権といった海洋の自由に対し、今だかつてない脅威を与えている」、 「一部の国が海洋法条約に照らして国際法で認められた権利の制限を主張する限り、米国はこれらの権利と自由を擁護する決意を行動で示していく」と表明して、 中国が実効支配する南シナ海のパラセル(中国名・西沙)諸島の付近を通航する「航行の自由」作戦を定期的に行っています。

 その中国は2020年4月18日、海南省三沙市の下に、パラセル諸島とスプラトリー(南沙)諸島をそれぞれ管轄する行政区を設置したと発表するなど、 ここへきて南シナ海の実効支配のさらなる強化を図っており、対立はますます激化していく様相を示しています。(2019.5.21)


 

デービス線の攻防....緊張が高まる台湾海峡

 中国共産党との中国大陸における覇権争いに敗れた国民党は、台湾の台北に「臨時遷都」し、 それ以来現在に至るまで互いに対立、にらみ合いを続けている歴史があります。  中国大陸と台湾本島の間に横たわる台湾海峡の中間には、 1958年米軍が台湾防衛のために引いた中間点を結ぶ線「デービス線」があります。

 これまで中台双方の軍は平時には「デービス線」を越えないという暗黙の了解がありましたが、中国空軍機が台湾側に侵入することが頻発。  これに対抗し米国も 「台湾への威圧をやめよ」と特殊作戦機や戦略爆撃機を台湾周辺で飛行させたり、2018年後半から米海軍は月1回程度中間線の台湾側を通過しています。

 2020年の「新型コロナウィルス騒動」では、この機会を利用しチョッカイを出してくる中国を強く牽制するため、 米軍イージス駆逐艦「バリー」が中国側に越えた海域を航行します。    フランス海軍のフリゲート艦も2019年に中間線の中国側を航行していますが、デービス線を巡る攻防戦は今後も厳しさをましていくでしょう。(2020.4.12)


リムパックから閉め出された中国海軍

 リムパック(RIMPAC)とは、ハワイの真珠湾を拠点として2年に一度開催される多国籍海軍合同演習です。    海上自衛隊がRIMPACに初めて参加したのは1980年、それ以来海上自衛隊は毎回参加しており、日本はRIMPACの古参メンバーでもあります。

 中国海軍は2014年、2016年とRIMPACに参加していましたが、ペンタゴンは「RIMPAC-2018への中国の招待を取り消す」と発表しました。

 もともと中国をRIMPACに参加させるか否かは、米国内の対中融和派と対中強硬派によるせめぎ合い事案でしたが、 対中融和派で優柔不断のオバマ政権下で中国海軍の参加が認められたという経緯があります。

 対中強硬派は当初から中国海軍をRIMPACに参加させる危険性を危惧していました。  案の定中国海軍はRIMPAC-2014に参加したときには、 情報収集艦を派遣しアメリカ海軍をはじめとする各国海軍の電子情報の収集に勤しみ、「中国海軍のリムパックへの参加は、今回が最初で最後となるであろう」 と対中強硬派を怒らせています。

 さらに、RIMPAC-2016では、海上自衛隊が中国海軍をレセプションに招待したにもかかわらず欠席したり、中国軍艦で開催されるレセプションに海上自衛隊を招待しないという、 リムパックにおいて前代未聞の非礼を働き世界から顰蹙をかいました。  このほかにも、 中国艦で開催されていた"オープンハウス"を訪問した海上自衛官たちが乗艦を拒否されたりと、国際儀礼を踏みにじる数々の非礼ぶりには 主催者であるアメリカ海軍もあきれ返ったと言います。

 「中国をRIMPACに参加させるな」という主張はRIMPAC-2014に参加したときから絶えず唱えられてはいましたが、対中融和派のオバマ政権下では聞き入られることはありませんでした。     指導者が変わったトランプ政権下で、政権発足後1年を経て公表された国防方針において、「中国・ロシアとの対決」 に打ち勝たねばならないという基本方針を打ち出し、やっとのことで叶えられたわけです。

 中国海軍に対するRIMPAC招待が取り消されたのは、南シナ海で一方的に『軍事化』を推し進め、とうとう複数の爆撃機による離着陸訓練までやりだして軍事的緊張状態を悪化させている事態を、 このまま看過したら大変なことになるとやっと米国が自覚したからでしょう。

 中国本土から1200キロメートル以上も離れた南沙諸島に強力な前進航空基地を3つも作ったり、人工島に地対艦ミサイルシステムと地対空ミサイルシステムを設置したり、 核爆弾や長距離巡航ミサイルを搭載することが可能なH-6K(戦神)爆撃機を展開している状況が確認されたりというように、南シナ海をわが領土とせんと、 ますます強行姿勢をとり続ける中国に対し、やっとブレーキをかける必要性が認識されたわけです。(2018.6.6)


「自由で開かれたインド太平洋戦略」

 2018年7月、日仏間で「海洋対話」を設置することで合意しました。   日仏にとっては中国の海洋進出を念頭に、海洋安全保障で連携を強める狙いがあり、 日本は太平洋にニューカレドニアなどの海外領土を持つフランスとの関係を重視しています。(2018.8.20)


  

中国の露骨な「人質外交」

詐欺罪などで米司法省から起訴されていた中国通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)副会長兼最高財務責任者(CFO)の孟晩舟被告と、同省の間で司法取引が成立したことを受けて、中国当局が拘束していたカナダ人2人を解放したことである。 2人は、孟氏が米政府の要請でカナダ当局に拘束された直後の2018年12月、国家機密を探ったなどとして中国で拘束された。このうち1人は今年8月、懲役11年の判決を受けた。孟氏拘束に対する報復とみられる。 中国国内に滞在する外国人を拘束し、外交圧力や取引材料にするのは中国の常套(じょうとう)手段である。政治的な駆け引きや報復目的の身柄拘束は著しい人権侵害だ。 懸念するのは、これを成功体験と捉える中国が、外交問題が起きるたびに相手国の人間を恣意(しい)的に拘束する恐れがあることだ。中国は2010年、尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件をめぐり、日本人4人を拘束した。これとは別に今も7人が拘束されている。日本政府は中国に対し、審理の公開と即時解放を求めていくべきだ。 あまりに露骨な「人質外交」と言わざるを得ない。 懸念するのは、これを成功体験と捉える中国が、外交問題が起きるたびに相手国の人間を恣意(しい)的に拘束する恐れがあることだ。中国は2010年、尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件をめぐり、日本人4人を拘束した。これとは別に今も7人が拘束されている。日本政府は中国に対し、審理の公開と即時解放を求めていくべきだ。 (2021.9.28 THE SANKEUにews 引用)


米中戦争は70%以上の確率で起こる

 歴史家のトゥキディデスは、紀元前5世紀、新興のアテネと既存支配者のスパルタの間で起きた戦争について、 『急速に台頭する新興大国は必ずや既存大国に挑戦し、既存大国が受けて立てば戦争が起こってしまう』としました。

  この戦争を回避できなかった原因は、『スパルタに潰されまいと力を付けるアテネと、現状維持を望むスパルタの恐怖心にある』、と指摘。   これは《トゥキディデスの罠》と呼ばれる法則で、現代の中国と米国の関係にも当てはまります。

 「一つの大洋に二つの海洋国家は存在できない」、という歴史の教訓があります。  先の戦争で日本と米国が戦ったのもこれが理由でした。   中国大陸における権益獲得に出遅れていたアメリカとしては、広大な中国大陸は貿易拡大を狙うためにも切実に欲しい地域であり、 権益獲得を着々と推し進める日本に対し反発を強めていました。 やがてアメリカは日本の抹殺図り、 日本に最初の一撃を撃たせたのです。

 この教訓は、現在日本周辺で繰り広げられている中国(新興大国)と米国(既存大国)のにらみ合いをズバリ指摘しています。  16世紀以降の世界史を振り返れば、新興勢力が既存の大国に対峙した事例15のうち11例で戦争が起きたといいます。  実に70%の確率です。

  日本周辺において、既存大国である米国が中国の横暴を見兼ね、何らかの行動に踏み切れば、戦争が起こる確率は70%と予言されているわけですから、 恐ろしい話ではあります。  もし米中戦争という事態になったら、米国の同盟国である日本は最前線の 「防波堤」としての役割を求められます。  さらに日本国内の米軍基地は、 戦いの緒戦で猛攻撃される可能性が濃厚であり、 日本もただちに中国との軍事衝突までエスカレートしていくのは確実な流れなのです。(2017.2.20)


時期尚早の軍事衝突が招く習近平の崩壊

 もし米国との戦争が起きれば、現段階ではまだまだ米軍の圧倒的な戦力差があるので、中国が敗北するのは確実です。  その結果、習氏とその体制は崩壊するわけで、 今の中国は米国との軍事衝突を恐れているのは間違いありません。

 しかし、このまま中国軍の増長を指をくわえたまま放置していれば、時が経つにつれて、軍事バランスは中国有利に変わっていくことは確実です。   もしそうなれば、世界の勢力図は大きく変わり、 冗談抜きで日本の国会は中国に牛耳られ、日本各地に中国軍の基地が点在するという悪夢の時代になるかもしれません。

 ただし、米軍とのガチンコ勝負では勝ち目がありませんが、もし東シナ海で日中の小競り合いが勃発した場合、中国はゼッタイに引かず、大規模な戦いになるのは避けられないでしょう。

 なぜなら、中国が日本に負けるようなことがあれば、それがどんな小さな敗北でも、習近平にとっては、米国に負ける以上に、政治的威信に対する壊滅的な打撃になるのですから。

 南シナ海については、万が一台湾が中国に攻撃されたとき、米国が対応しなければ、その瞬間に米国への信頼は消え失せます。  米国の戦略にとっても台湾防衛は絶対不可欠であり、 米軍の直接出動であれ、台湾への軍事支援であれ、本気で介入していくはずです。(2021.7.2 現代ビジネス 引用)


懸念される米中軍事衝突の推移

 中国は急激な軍事展開を進め南太平洋一体を支配せんと人口島まで造り軍事力を行使しています。  これを自由諸国が黙って指をくわえて見ているわけではなく、 南シナ海、台湾海峡、インド洋周辺では静かな睨み合いが繰り広げられています。  しかし、一触即発の事態へと発展していくのも時間の問題なのかもしれません。  その周辺で繰り広げられる動きを時系列で追っていきます。(2020.4.30)    

時期 出  来  事
2020年5月13日 米海軍のミサイル駆逐艦マッキャンベルが、中国の海軍や空軍が今年に入って台湾周辺で軍事演習や示威行為を繰り返し、 台湾に圧力をかけているのに対抗する狙いで台湾海峡を通過。   台湾の蔡英文総統の2期目の就任式を20日に控え、中国が挑発行動に出ないよう牽制(けんせい)する意図もあるとみられる。
2020年4月29日 米海軍のミサイル巡洋艦バンカーヒルが中国が人工島を造成して軍事拠点化を進める南シナ海のスプラトリー(中国名・南沙)諸島の付近を通航。     米艦船が南シナ海で連日にわたり「航行の自由」作戦を実施するのは異例。
 第7艦隊報道官は声明で「(中国による)南シナ海における無法かつ見境のない主張は、航行や飛行の自由、全ての船舶の無害通航権といった海洋の自由に対し、今だかつてない脅威を与えている」 と批判。  「一部の国が海洋法条約に照らして国際法で認められた権利の制限を主張する限り、米国はこれらの権利と自由を擁護する決意を行動で示していく」と表明し、 南シナ海での中国の覇権的行動を決して容認しない立場を強く打ち出した。
2020年4月28日 米海軍のミサイル駆逐艦バリーが中国が実効支配する南シナ海のパラセル(中国名・西沙)諸島の付近を通航する「航行の自由」作戦を実施。
2019年4月25日 中国国防省は、7日に台湾海峡(Taiwan Strait)を航行したフランス海軍フリゲート艦「バンデミエール」が「中国の領海に違法に入った」と抗議。   これに対しフランスは、「(仏)海軍は台湾海峡を年に1回程度航行している」と述べた。
2018年9月30日 南シナ海・南沙(スプラトリー)諸島付近を航行する米イージス駆逐艦(ディケーター)に、 中国軍駆逐艦が米駆逐艦の船首から45ヤード(約41メートル)以内の距離まで異常接近。

2015年10月 イージス駆逐艦「ラッセン」(9200トン)を 中国が「領海」と主張する人工島の12カイリ(約22キロ)内に派遣。






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