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拡大する日本の財政赤字

 2018年9月、財務省は国債や借入金などを合わせた「国の借金」の残高が、9月末時点で1091兆7685億円だったと発表。 過去最大を更新しました。    推計人口で割ると、国民1人あたり約863万円の借金を背負っている計算になります。

 日本の政府債務残高GDP比は2018年時点で236%と先進国で最悪水準となっています。  ちなみに米国も2018年時点で108%に上っているそうですが、日本の場合は先進国でも桁違いともいうべき数字です。

 財務省は2015年度の財政を家計に例え、同省のウェブサイトで、『...月収は50万円ですが、月の生活費として、80万円を使っていることになります。   そこで、不足分の30万円を、借金で補い家計を成り立たせています。 こうした借金が累積して、8,400万円のローン残高を抱えていることになります。』、 と説明しています。

 「国の借金」が増加する理由は、高齢化で膨らみ続ける医療や介護といった社会保障費などを賄うために発行した普通国債(残高860兆3717億円)が、3兆1272億円増えたことが要因とされます。

 もう日本は賃金の伸びが限定的である一方、社会保障負担が着実に増加しており、手取りの収入(可処分所得)の減少が続いている家計も多くなっています。   この流れは今後も続くと予想され、増税や社会保障負担の増加は避けられない状況となっています。


 

社会保障費と社会保障給付費の違い

 社会保障費は国が一般会計予算に組み込む社会保障のための費用であり、財源は税金です。

 一方で社会保障給付費とはILO(国際労働機関)が国際比較のために定義した社会保障を意味する用語で、各種社会保障に対して支出される費用の総称です。

 国や地方が給付した、社会福祉、雇用保険、公衆衛生サービス、公的扶助、戦争犠牲者などモロモロに対する給付が社会保障給付費に含まれます。    会社や個人が払った保険料、サービスをうけたときの利用料などをぜんぶひっくるめたものであり、社会保障給付費=国家予算の社会保障費+国民の保険料、となっています。

 下の表は社会保障費と社会保障給付費の推移です。 数字については見通し・予測値も混在しているので多少実績とのズレがあります。    

年度 社会保障費 社会保障給付費
医療費 年金給付費 医療費 年金給付費
2020年度
令和2年度
兆円 兆円 46.9兆円 58.5兆円
2018年度
平成30年度
11.8兆円 11.8兆円 41.5兆円 56.7兆円
2015年度
平成27年度
9.3兆円 11.1兆円 38.1兆円 54兆円
2012年度
平成24年度
兆円 兆円 35.3兆円 53.2兆円
2010年
平成22年度
兆円 兆円 37.4兆円 53兆円
2005年
平成17年度
兆円 兆円 33.1兆円 兆円
2000年
平成17年度
兆円 兆円 30.1兆円 41.2兆円


 

増加する一方の社会保障関係費

 社会保障費と国債費を除く歳出は、2018年度ベースで41.6兆円。  1998年度は45.5兆円でしたからから、むしろ減少していますが、 社会保障費が歳出に占める割合は2018年度では18%から33%と大きく膨らみ、日本の財政は悪化する一方です。

 社会保障負担は2013年度以降、毎年2.9%〜4.1%のペースで増加を続け、 1998年度の14.8兆円から2018年度には33兆円へと、およそ2.2倍に拡大しています。  一方税収については、 1998年度の49.4兆円から2018年度には59.1兆円へとわずかながら増加しています。    税収の伸びが限定的なのに、社会保障負担は着実に増加しているわけです。

 社会保障関係費とは、医療、年金、介護、福祉などの社会保障制度にかかる費用ですが、急激な高齢化社会が進む日本は、それに伴う医療費の急激な増加が大きな社会問題となっています。    さらに、現役世代が次々にリタイヤしている日本では、年金給付費も年々増加する一方で、こちらも日本の財政にとって大きな課題となっています。

 2018年度では社会保障費の総額約33兆円のうち、医療費と年金給付費がそれぞれ11兆円以上を占め、この二つが社会保障費の7割を占有しています。

 2004年度以降、年金の給付水準は人口減少や平均余命の伸びといった社会情勢を反映した、 マクロ経済スライドが導入されました。  ただこの制度は2004年度以降、2015年度、2019年度のわずか2回しか適用されていません。

 実質賃金が1%を超えて伸びたのは2010年度が最後で、直近の実質賃金はマイナスが続いています。 厚生労働省が2014年に公表した「将来の公的年金の財政見通し(年金財政検証)」によると、 2014年度時点の年金の所得代替率は62.7%でしたが、実質賃金が年1%のペースで伸びると想定しても、2058年度には所得代替率が42.0%と、2014年度の3分の2程度まで低下すると試算されています。

 実質賃金がマイナスを続けている現状では、マクロ経済スライドの適用を先送りすればするほど、年金財政は悪化を続け、 いずれ年金給付額がより急激に減額されるというリスクが高まることになります。(2019.6.7 msnマネー 引用)


 

急激に増加する医療費

 日本の医療給付費は2015年度概算で41.5兆円(前年度比1.5兆円増)と初めて40兆円を超え、13年連続で過去最高を更新しました。    特に問題なのは、高齢者に係る医療費です。  75歳以上の1人あたり医療費は65歳以下の人とくらべて約5倍にもなり、医療費全体の1/3を占めており、年々その割合が上昇しています。

 医療給付費のうち、4割は国や地方が負担して、企業や個人の保険料などで負担しているのは5割。 1割が患者が負担する仕組みになっていますが、 医療制度改革で国民の直接負担は増加する一方なのに、国の負担はむしろ減っています。

 概算医療費の内訳では、「調剤」の伸びが大きく、調剤医療費の伸びが概算医療費全体を押し上げる大きな要因と言えます。    日本では保険で使われている薬剤の価格は世界一高く、また医療材料の価格も外国と比べて大変に高く設定されています。

 たしかに病院に行くと診療は短時間で終ってしまうが、山のような薬を処方されるのが当たり前という現状を改革しない限り、薬剤費用の増大は今後も続くものと思われます。


  

日本の公的債務

 財務省は国債と借入金、政府短期証券を合計した「国の借金」の残高が、2016年9月末で1062兆5745億円になったと発表しました。  この増える一方の債務は、現在国民1人あたり837万円にのぼる借金を抱えている計算になる、と国民を脅かし、 ビジネス本のコーナーには国債破綻を煽る本があふれている現状があります。

 しかし、これには反論もあり、そのひとつが「日本の債務のほぼ全ては中央銀行と国内金融システムが保有」しているのだから 債務の大部分は相殺できる、というものです。   経済紙ファイナンシャル・タイムズ(FT)は「...日本は過去20年間債務危機が言われ続けてきたが一度も起きず...」、 「日本の公的債務への懸念は行きすぎ」とする論説を出し、 その中で「...国債破綻危機は永遠に起きないかも知れず....」、むしろ「...つじつまの合わない債務危機の不安に駆られ...」、 「2014年の消費税増税で景気回復の息の根を止めた政策ミス」のような事態が生じることのほうがよほど怖いと指摘しています。

 FTは今後の日本社会のありかたを、「財政健全化をめざす短兵急な清算」を目指すより、歳出の抑制と増税と使い分け債務を上手くコントロールする、 「債務と永続的に共存していく方法」を提示しています。   性急な財政引き締め策と消費税増税へ走らず、 高齢者向け歳出をいたずらに拡大させるだけでなく一部負担増も求め、 富裕税の創設も検討するなどして、高齢化社会へ突き進む日本国の経済を上手に回していく処方箋が求められています。

 1989年に3%でスタートした消費税ですが、1994年に5%、2014年には8%と徐々に上がり、GDPの約6割を占める家計消費を直撃しています。   2016年度などは、家計消費が引き上げる前の水準より実質で4.6兆円も家計消費がダウンしました。   2019年には消費税が10%になる予定で、これにより5.4兆円程度家計の負担が増えると予想されています。  社会保障や教育・子育て支援に2兆円強を回しても、 この増税によって少しずつ回復基調にあった家計消費にブレーキがかかれば、景況は一挙に暗転し財政収支はますます悪化してしまいます。(2017.10)


日本の財務体制.....生き残るための経済対策

 債務を膨らませ、金利急上昇による経済・財政の破綻懸念という“爆弾”を抱える先進各国。 みずほ総合研究所が国際決済銀行(BIS)のデータを分析したところ、 2017年末の主要国の債務残高は計177兆ドル(1京9824兆円)だそうです。 そのうち28%を占め首位に立つのが米国で、以下中国18%、日本10%、フランス5%と続いています。

 この背景には、先進国の中央銀行がリーマン・ショック後の景気冷え込みを防ぐため大規模な金融緩和を進めたことがあるといわれます。   日本銀行は当面、金融緩和策を続ける方針ですが、財務省の試算では金利が1%上昇すると2020年度の国債の元利払いを示す国債費が2.2兆円増えるといいます。 (2018.9.21 産経ニュース 【先進国に「債務爆弾」 世界がはらむ新たな危機材】 引用)


現実に財政破綻したギリシャと夕張

 2010年、ギリシャは国家財政の“粉飾決算”発覚でEUや国際通貨基金(IMF)からの支援受け入れを迫られました。 その後支援条件である財政緊縮策を進めた結果、 財政収支は国内総生産(GDP)比11.2%の赤字から、2017年には0.8%の黒字へ転じました。 やればできるものなのですね。

 しかしギリシャはいまなお政府債務残高がGDP比約190%抱え、まさに青息吐息の経済状況とされています。 緊縮策の結果、経済は疲弊。 GDPは約4分の3まで縮小し、 失業率は2018年5月には19.5%とピーク時の27.5%よりは下がりましたが、依然として2010年の倍以上の水準となっています。

 財政再建の代償として景気低迷で給与が減った上、税金や社会保障費の負担が増え、自営業者ではその負担が収入の65%に上ることもあると試算されているほどの苦しい生活事情のようです。

 日本でも2007年、353億円の赤字を抱えて事実上破綻した北海道夕張市の例があります。 一時は炭鉱の町として栄え、最盛期の人口は12万近くを数えていましたが、 昭和40年代に入り産業のエネルギー源が石油に変わった結果、炭鉱は次々に閉山、人口も減少しとうとう夕張市は自治体の倒産にも等しい「財政再生団体」になった、日本唯一の都市となったわけです。

 夕張市は260人いた市職員を半分以下の約100人にまで減らし、議員数も18人から9人に減らし、報酬も40%カット。 身を切るところも徹底的にやったけれどまだ足りず、 市民に負担してもらっているのが現状だといいます。(2014年の鈴木直道夕張市長談)

 ギリシャはいまなお政府債務残高がGDP比約190%にも上っており、今後も借金の返済費用を除いた基礎的財政収支を2022年までGDP比3.5%、2060年まで年平均2.2%の黒字に保つ必要があるといわれます。  EUから厳しく監視され続けており、支援が終わっても財政が制約され、国民に重い負担がかかる状況は変わらないとされます。 (2018.9.21 産経ニュース 【先進国に「債務爆弾」 世界がはらむ新たな危機材】 引用)


自治体が「倒産」したら生活はどうなる

 財政破綻した夕張を立て直そうと東京を離れ奮闘する鈴木直道夕張市長によれば、当然ながら自分の住んでいる自治体が破綻してしまうと、 それまで当たり前で空気のようなものだった「行政」の存在を嫌でも意識せざるを得ず、さまざまな不便が降りかかってくることを実感するといいます。  最小限の行政サービスしか受けれず、何も恩恵はなく、負担だけが増える社会となるわけです。

 ごみの収集を有料化し、1リットルあたり0.8円にすることを決めた千葉市では、住民からは「生活できない」と苦情が殺到したそうですが、夕張ではその倍以上の1リットルあたり2円だそうです。  生活に絶対必要な水も目黒区の水道料金と比べると倍くらい、軽自動車の税金は自治体ごとに決められるので、夕張では破綻後に1.5倍になったといいます。

 生活をしていれば徴収される市民税や道民税も、法律である程度上限があるとはいえ、ほかの自治体より上乗せされ、日本で一番高い設定になっています。   割安と思われる公営施設利用料があれば料金はすべて高いところに倣って上げられるため、夕張は「全国で最高の負担、最低の行政サービス」といわれます。

 ただ、こんな中でも鈴木市長はこれを一地方自治体の問題として考えるのではなく、逆にこのケースを将来日本が直面する超高齢化社会でも乗り越えられるモデルとすべく、 前向きに取り組んでいるといいます。

 例えば、炭鉱住宅をそのまま受け継いだ老朽化した公営住宅や、市街地から遠く離れた地域に住む人々を、将来的に国道、道道沿線の便利な場所に集団移転してもらう 「住宅再編事業」があります。  これは行政サービスの効率化だけでなく、お年寄りの孤立を避け、ケアが行き届くようにするための大切な事業と捕らえています。

 住民にとって何十年も住み慣れた場所を、離れてほしいと説得することは大変なことだったそうですが、それでも住民と膝をつきあわせて何度も話す中で、 皆が夕張に住み続け、次の世代に夕張をつなぐために必要という思いは伝わったといいます。  今はほぼ100%の同意を得られたといいます。(2018.10.24)


  

旧民主党政権の方が経済成長した?

 実質GDP実額のほうが経済実態を捉えているといいます。   旧民主党時代のほうがGDP成長率は高かった、という説があります。  ただ変化の率というのは景気に左右されるものであり、 リーマンショックによる2008〜09年の急激な落ち込みから世界経済が好転しつつあったことが背景にあってたまたま成長率を押し上げた、という側面がありました。

 リーマンショック前2007年度の実質GDPは506兆円でしたが、旧民主党政権時代では、2010年度は493兆円、2011年度は495兆円、2012年度は500兆円で低迷しました。

 これに対し、安部内閣の実質GDPは、2013年513兆円、2014年度が517兆円、2016年度が523兆円です。

 新聞は安倍政権の経済政策のみ攻撃し、あたかも旧民主党時代のほうが良かったなどという論調で国民をダマそうとしていますが、旧民主党時代の2010〜2013年度の平均税収は43兆円で近年最低であり、 反対に国債発行額は年間40兆円を超えていました。   危うく「収入を借金が上回る」財政状況だったわけです。

 マスコミや野党の「旧民主党政権の方が経済成長が大きかった」などというデマが有権者に信じられ、万が一にでも政権交代が起こってしまえば、 またしても日本は失われたときを味わうことになりかねません。    同じ過ちは繰り返すわけにはいきません。(2017.10)




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