ホーム⇒気になる話⇒対立が激化する米中貿易戦争の勃発

対立が激化する米中関係

 かつて米国とソ連が覇権を巡り激しい東西冷戦を繰り広げてた時代、 レーガン大統領( 任期・1981年1月20日〜1989年1月20日)はデタント(仏語・緊張緩和)は冷戦を長引かせるだけと否定。   ソ連を「悪の帝国」と呼び捨てにし国防費を大幅に増大。  スターウォーズ計画を推進して力による平和を唱えます。

 当初この政策に世界中が呆れましたが、結局、レーガン大統領の戦略が功を奏し、軍拡競争に巻き込まれた形となったソ連は数年後に財政破綻。   ついには共産党政府が潰れ、東欧が解放され冷戦が終結するという平和な時代が実現したのです。   レーガン大統領は他国の野望をやすやすと放置しなかったのです。

 このとき自由主義陣営は中国共産党が独裁支配する中国も、ソ連崩壊を目の当たりにし共産主義の限界を知ったのだから、いずれ強権主義は勢いを失うだろうと考えました。    これから中国経済を発展させていけば海外への門戸がますます開かれ、人々に自由社会への渇望が生まれ、中国に民主主義という考え方が広がっていくだろうと期待し、 巨大な中国市場に魅了された先進諸国は様々な経済援助を行いました。

 しかし、その期待は脆くも崩れ去り、マッカーサーが米上院聴聞会で、「過去100年に米国が太平洋地域で犯した最大の政治的過ちは 共産勢力を中国で増大させたことだ。  次の100年で代償を払わなければならないだろう」と述べたとおりの展開となっています。

 急激な経済発展を遂げた中国は「新植民地主義」 ともいうべき覇権主義をむき出しにし、反体制派の締め付けを強め過酷な取り締まりを行い、周辺諸国の民族を弾圧。  共産党政権の独裁支配をより強固なものにしていったのです。

 レーガン以降の米大統領はビジネスの利益を優先する勢力が実権を握り、 こんな中国に対しなんの手立ても打てずにいましたが、ここに登場したのがトランプ大統領です。     中国の躍進が経済発展にあると捉えたトランプ政権は、ここにきて中国を徹底的に叩く方針を打ち出しました。

 手始めに中国からの輸入品に関税をかけ、アメリカ国内産業について外国資本による投資を厳しく規制、万国郵便連合から脱退することで、 上国に分類されている中国がアメリカに安い料金で郵便を送ることを阻止しようとしています。     米国は後あらゆる手段をとって中国を追い込もうとしているわけです。    これはもはや「戦争」であり、2018年は米中覇権争奪戦が始まった年と記憶されるでしょう。

 しかし、残念ながら2020年11月の米国大統領選挙において、 トランプ大統領は対立候補の民主党バイデン候補に破れ、せっかく中国をノックアウト寸前のところまでロープ際に追い詰めたところでリングから去ることになってしまいました。  この結果が中国がさらに強大覇権国家へと膨張するターニングポイント(分かれ道)となってしまうのでしょうか。

 過去日本は世界情勢を見誤り、ナチス・ドイツの枢軸国側と同盟国となった結果、連合国側と対立する事態に陥りました。  今回も、 「米中戦争が始まった途端に、中国に接近する」という愚かな動きをしています。    安倍政権は過去の過ちを繰り返すことなく、ゆめゆめ中国の肩を持つような愚は起こさぬようにしてもらいたいものです。(2019.1.7)


内部崩壊の兆しが見えてきた中国共産党

 中国の若い世代は、「なぜ自分たちには韓国や日本、台湾のような政治的、社会的自由がないのか」、という疑問を感じているとされます。   国民が党の歴史や高潔さ、妥当性に疑問を抱いており、また中国共産党もそれに気付いています。

 中国共産党の幹部たちは、自分の命と家族の将来生活に不安を抱いている一方で米国生活に憧れています。  そのため彼らは汚職で貯め込んだ財産を米ドルやユーロに替え、 外国に隠し持っているとされます。  米国に留学している中国人学生の多くは共産党幹部の子弟であり、彼らの重要な役割の一つが秘密資産の管理だといいます。

 いまや何百万もの中国人が、子どもを米国に留学させています。  中国共産党はあらゆる局面で、イデオロギーの脆弱性に直面しているわけです。

 党の上級幹部たちは、習氏の家族や中国共産党政治局員のようなインナーサークルの人物が富を貯め込んでいることに非常に怒っているとされます。  さらに、 習氏の政策ラインと政治指導スタイルに反発する声も大きくなっています。(2021.7.2 現代ビジネス 引用)


 

「世界の工場」中国を頼りにしてはいけない

 「世界の工場」として様々な製品を生産し、世界中に輸出することで急激な経済発展を遂げた中国ですが、 近年は人件費の高騰などを理由に多くのメーカーが生産工場を東南アジアなどに移転させているといわれます。  また、 コロナ騒動で浮き彫りになったマスク不足で見られるように、中国頼みのチャイナリスクも顕在化しており、それを背景に工場を自国に戻すメーカーも少なくないといいます。

 特にローエンド分野におけるメード・イン・チャイナ製品の製造は中国から東南アジアへの移転が加速しており、いずれ東南アジア諸国が中国に取って代わるのは間違いありません。   ハイエンド分野においても米国が各国にファーウェイ製品を使わないよう求めるなど、中国製品にノーを突きつけるようになっています。

 たしかに中国の国内総生産(GDP)は現在世界2位といわれていますが、日本の人口が約1億2400万人であるのに対し、中国は14億人を超えており、 一人あたりのGDPを比較してみると中国は日本の3分の1で、これだけ人口の規模が違えばGDPの規模が大きくなるのはある意味当然です。

 14億もの国民に対して、基本的な生活を保障するだけでも大変なのは明白であり、「国民の豊かさ」を維持することが政権基盤維持の要である中国は、 だからこそ拡大主義に突き進まざるを得ないという側面もあります。  いずれにせよ、中国はGDP世界第2位に登り詰めた経済発展を背景に、拡張主義をむき出しに軍備を膨張させ、 周辺諸国のみならず世界に脅威を撒き散らしています。

 アジア地域の安定のためには経済発展を背景にした中国の覇権主義を、このまま放置しておくわけにはいきません。   そのためには今のメード・イン・チャイナの製品が不可欠という状況からの脱出が求められます。    中国頼みになっている現状を一刻も早く見直す動きを今後世界中でますます活発化させることで、 世界が中国の支配下におかれるという悪夢をなんとしても食い止める必要があります。(2020.5.12)


 

中国「アジア・スーパーグリッド構想」の脅威

 日本を含む世界を中国からの送電網と通信網とセットでつないでしまおうという巨大な中国製スマートグリッド構想にいま注目が集まっています。     中国製のスマートグリッドを日本の各家庭に入れれば、ユーザーはインターネット料金が無料になり、モンゴルで発電したクリーンエネルギーを利用できるというのです。

 ただ、スマートグリッドで電気代を節約するには、熱センサーや振動センサーで部屋のどこに人がいるかを察知し、AI(人工知能)が遠隔でライトやエアコンを調整する必要があり、 日本国民の自宅の通信から、居住者が部屋のどこにいて何をしているのかという情報までもが中国政府に漏洩するリスクがあります。

 中国は新型コロナ景気対策として5G通信基地局と大規模電力網へのインフラ投資のため、新規に建設基金を立ち上げました。    ソフトバンクは中国のインフラ投資の基金に目をつけ、各地域の電力会社と行政区の首長と話をつけ、日本に中国からの送電網を引く構想があるというウワサもあります。

 2020年5月1日、トランプ大統領は敵対する外国政府の支配下にある企業のスマートグリッドによって各家庭を監視されたり、 電力供給を勝手に制御される“インフラ・テロ”のリスクから米市民を守るため「送電網に関する国家非常事態宣言」で、一部の外国製品を排除する大統領命令に署名しました。

 ここでも日本の対策は遅れており、日本政府は「アジア・スーパーグリッド構想」における電力インフラの脅威に対する政策はまだ手付かずです。(2020.5.10 Business Journal 参考)


  

米国を本気で怒らせた中国のやり口

 2010年、Googleは人民解放軍につながりのある中国系ハッカーによって内部システムへ侵入され、検索エンジン技術の「ソースコードが中国に盗まれた」、と発表。   中国は盗んだソースコードで「今は世界で2番目に人気となっている中国の検索エンジン、百度(バイドゥ)を手助けした」と指摘されています。

 2018年、米国が中国の通信機器大手「華為技術(ファーウェイ)」の製品を使わないよう友好国に要請する事態が起こります。    米国はいったい何が問題でファーウェイを排除しようとしたのでしょうか。

 その理由は、中国の超法規的な国内法があるといわれます。 中国では、政府によって命じられれば、国内企業や市民、組織は治安当局に協力と支援をする義務があると法律で定められており、 ファーウェイのような企業であっても、政府に協力するよう命じられれば、どんな要請にも全面的に従う必要があるといいます。

 つまり、中国政府の命令とあらば、ファーウェイの販売した機器に簡単にアクセスして、そこから政府系ハッカーなど20万人近くいる中国のサイバー軍団がマルウェア(不正プログラム) をどんどん埋め込んだり、情報を抜き出したりするだけでなく、破壊工作を実施することもできる、というわけです。  そうした背景から、米国は同盟国を巻き込んで、 この分野で対中国の攻勢に出ているわけです。

 そもそも現在は18万人以上の従業員がいる大企業となっているファーウェイは、人民解放軍の通信部門研究を担う情報工学学校でトップを務めたこともある任正非によって、 1987年広東省深センに設立された会社です。 人民解放軍との契約関係や、任の軍部出身という経歴、また元妻が共産党幹部の娘であることを踏まえ、米国はずっと前からファーウェイを警戒してきたとされます。

 米国は従来から自国の安全保障を脅かす勢力に対し、常に周到で強引な手段により相手を封じ込めてきた歴史を持つ、 強かな大国です。   このまま米国が黙って"中国のやり方を世界秩序のスタンダードにしようとする野望"を座視するはずはありません。

 そのキッカケが偶々(たまたま)ファーウェイ排除だったという話しであり、 米国がファーウェイなど中国の特定産業を排除しようとしている、と批判するのも的外れな話です。   米国コラムニストが「ファーウェイが、 安全保障を守るという理由だけで米政府によって不公平に標的にされている、と非難するのはばかげている。    中国の共産党が産業政策を武器化している方針こそが非難されるべきだ。  米国は単純に現実と向き合い、自国を守っているだけだ。  他の国も、後に続いたほうが賢明だ」、と主張するのも一理あるわけです。

 今回の一連の流れはもはや単なる経済問題ではなく、 "西側自由社会と中国共産党式管理社会という価値観の衝突"であり、互いの価値観が異なる限り解決は望めない対立です。

 太平洋戦争に米国が乗り込んだのは、当時満州の利権を欲した米国が、 アジア唯一の自主独立国だった日本を封じ込めるため、 ルーズベルト大統領の指示により、日本を仮想敵国と定め封じ込め抹殺する目的があったからです。      この「米国が日本を抹殺するため仕掛けた」という説の根拠の一つが、 「カラープラン」と呼ばれた米国の対仮想敵国戦略です。  ちなみに、 「カラープラン」では日本はオレンジ、ドイツは黒、イギリスは赤、メキシコは緑でした。

 日露戦争中の1904年、米国陸海軍統合会議が日本を抹殺する 「オレンジ計画」の作成に着手します。 その後日本はまんまと米国の策に牛耳られ、 戦争という舞台に引き出されていくことになります。    中国潰しに本気となった米国が今後いかにして中国の台頭にブレーキをかけるのか。  この米中対立が、今後どのような経緯を辿っていくのか、 東アジアの安全保障にどのような影響を与えていくのか、要注目です。  はたして米国にとって中国のカラーは何色なのでしょう。(2019.5.21)


 

アジア地域における米国の中国包囲網構築

  暴走国家・中国は東南アジア諸国に対して軍事力を背景にした海洋進出を推し進める一方で、インフラ整備などへの資金提供というように、硬軟を織り交ぜて圧力をかけています。    北朝鮮もますます中国への傾斜を強めています。  このような情勢を目の当たりにし、いよいよ米政府は危機感を強めアジア情勢を重要視せざるを得なくなってきました。 

 いよいよ米政府はアジアにおいて中国包囲網を本気になって構築せざるを得ない時期になったわけです。 そうは言っても中国がこれほど世界経済に影響力を与えている現状では、 いまさら中国を「封じ込める」ことなどできません。  今後米国の対中姿勢は相当厳しくなっていくことが予想されます。

 アジア諸国には過去の植民地支配による「米国アレルギー」が残っているせいか、日本を除いて「親米」と言い切れる国はありません。  必ずしも米国に融和的な国だけではないわけです。対中姿勢といっても中国の台頭による目覚ましい富と力の分布の急速な変化に応じて、 東アジア/アジア太平洋において、どのような政治経済秩序を、どのような原則の下、いかに作っていくか。それが課題です。

 かといって中国に対しも必ずしも「親中」国だけではありませんが、フィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ大統領は、あからさまな「嫌米」ですし、ベトナムも「反中」ではあるものの、 決して「親米」ではありません。    マレーシアは「自主独立」を掲げるマハティール・モハマド氏が首相に復帰しました。


21世紀の覇者を競う....米中貿易戦争の始まり

 2018年6日、トランプ政権はとうとう、340億ドル相当の中国からの輸入品に対し25%の制裁的追加関税を発動。 米中貿易戦争の火ぶたが切られました。  中国は2015年の全国人民代表大会で、2025年までに中国が達成すべき重要な10の分野に関して「中国製造2025」という野心的な目標を発表しました。    産業用ロボットの国産比率を70%に、自動運転車の50%を国産に、2020年に月探査計画を実施、などを計画しています。 これにアメリカは危機感を抱いたわけです。

 習政権は直ちに、米国からの輸入品に対する同規模の追加関税を報復措置として発動します。  それに対し、トランプ政権はさらに、 2千億ドル分の中国からの輸入品に10%の関税を上乗せする追加制裁を行うことを発表します。

 『しかしそれでは、中国はもはや、アメリカに対する同等の報復はできない。 中国の毎年の、アメリカからの輸入は1500億ドル程度だから、「2千億ドル分の輸入品に対する追加関税」を発動できるわけはない。    「やられたら報復するぞ」という習氏流の恫喝(どうかつ)は不発に終わった。  そしてもし、アメリカが上述の2千億ドル分の中国からの輸入品に対する制裁関税を本当に発動してしまえば、 輸出頼みの中国経済に破滅的な打撃を与えかねない。 習政権は今、大変な窮地に立たされているのである。』(2018.7.26 【石平のChina Watch】 「側近政治」の失敗と限界  引用)

 2018年に勃発した米中貿易戦争で、アメリカは中国に対し3つの要求を突きつけました。 「1...為替操作の禁止」、「2...アメリカを含む諸外国の情報や技術の窃盗の禁止」、 「3...労働者を安い賃金で働かせる奴隷労働の禁止」、という内容です。

 特に2については、独自の技術を生み出す能力に欠ける中国にとって致命的なダメージとなります。 FBIは「中国のスパイ活動は広範囲で長期にわたっている」現状に危機感を露わにし、 10月にはベルギーで拘束した中国の情報機関に所属する人物の身柄をアメリカ国内に移送し起訴しました。  いよいよ本腰を入れて取締ってきたようで、ここにきて「21世紀の覇者」の座を競う新しい冷戦がいよいよ本格的になってきたようです。


激しさを増す米国の「中国排除」

 対立が激化すると必ず出てくるのが、『ナニもそこまで事を荒立てなくても.....』、と深く考えもせず中庸な落とし処を探そうとする声です。    ただ、これは今回の一連の出来事を、単に米中間の経済問題とだけしか見ていない、ということでもあります。  この問題の背景にある、 いよいよ米国が中国の覇権主義に歯止めをかけるため本気になり、抑止政策の火蓋を切った、という構図を理解していないと米国の真意が見えてきません。

 当初外国の技術と資金が喉から手が出るほど欲しかった中国は、安価な労働力や、環境汚染しても文句を言われない地方の土地を提供する代わりに、外国企業が技術やノウハウ、 資金を提供する、という関係で外国企業を積極的に受け入れ優遇してきました。

 しかし、もし中国が西側自由主義市場をそのまま受け入れれば、いずれ共産党体制の崩壊につながる危険性があるため、中国政府が市場を管理するというやり方は堅持する必要があります。    習近平政権になってからは管理を強化し、米国から不当に盗んだ技術を元に、中国版ハイテク技術をもって海外市場を席巻する動きを強めています。

 そんな米国が、ますます膨張する中国経済を黙ってこのまま放置しておくわけはありません。  かならず何処かで抵抗する処置をとってくるはずです。   そのキッカケが偶々(たまたま)ファーウェイ排除だったという話しであり、米国がファーウェイなど中国の特定産業を排除しようとしている、と批判するのも的外れな話です。

    今回の一連の流れはもはや単なる経済問題ではなく、"西側自由社会と中国共産党式管理社会という価値観の衝突"であり、互いの価値観が異なる限り解決は望めない対立です。(2019.5.21)


CFOが「スパイ」だったファーウェイ

 2018年12月、スマホ世界2位、ファーウェイの最高財務責任者(CFO)孟晩舟が米国の要請でカナダ当局に逮捕される事件が起こります。  彼女はファーウェイ創業者・人民解放軍の元軍人、 任正非の娘で、後継者の最有力候補とされている人物です。  いよいよ米国が本気になり、中国によるハイテク企業を使った世界覇権を目論む動きを阻止しようと、戦いの火蓋を切ったようです。

 逮捕後、孟晩舟は中国が正式に発給している、名前が異なるが「偽造」ではないパスポートを「8通」も所有していたことが判明します。   つまり、孟晩舟は中国当局による「特別扱い」を受けている中国の諜報員(スパイ)だということです。

 その結果、世界中で「ファーウェイ排除」の動きが加速し、米国、オーストラリア、ニュージーランド、イギリスがファーウェイ排除を決めます。   日本政府も各府省庁や自衛隊などが使用する情報通信機器について、安全保障上の懸念からファーウェイとZTEの製品を事実上排除する方針を固めます。

 さらに12月15日にはフランス、ドイツがファーウェイ排除を決めました。  EUでナンバー1、ナンバー2の決定は、「EUのスタンダード」になる可能性が高いわけで、 これでファーウェイは「世界GDPの半分以上から外される」という極めて厳しい状態に置かれることになります。

 今回の出来事により「中国の異常性」が暴露され、結果日米英独仏豪ニュージーランドが「反中国」で結束する方向に進み、中国は国際的に孤立することになったわけです。(2019.1.8)

 

報復合戦....腹をくくったカナダの対応

 孟晩舟氏を取り戻すための報復処置として、中国政府は親中派のカナダ人元外交官や実業家13人以上の身柄を拘束します。    これで当初はファーウェイ側の保釈要請を当初拒んでいたカナダ当局も孟晩舟の保釈を認めざるをえなくなります。   結局ファーウェイ製の電子足かせをつけられるという屈辱的な条件で保釈を認められました。

 中国側は麻薬密輸容疑で起訴されているカナダ人被告の懲役15年の判決を差し戻して死刑判決にするなど、カナダ政府に圧力をかけ続けますが、米司法当局は孟氏を技術窃取スパイ行為など23件におよぶ罪状で起訴し一歩も引きません。    米中対立の板挟みのなったトルドー政権は腹をくくったか、孟氏の米身柄引き渡しに反対意見を述べた駐中国カナダ大使を召還。  いよいよ孟晩舟の米国引き渡しの公算が強まっています。(2019.1.31)


世界から締め出されるファーウェイ製品

 そもそも米国に言わせればファーウェイなど中国のテクノロジー企業の技術はもともと米国のものであり、それを中国は違法なやり方で奪ったわけです。    いよいよ米国は本気になって中国の先端技術排除行動を起こします。

 2018年8月、米国はスマホ世界2位、中国の通信機器大手「華為技術(ファーウェイ)」や、 同じく中興通訊(ZTE)の製品を政府調達から排除することを決定、友好国にも同製品は使わないよう要請します。  欧州はファーウェイの通信機器事業にとって世界第2の市場ですが、 そこから締め出されることになればその打撃は計り知れません。  米国としてもどうしても押さえたい地域ということになります。

 中国排除の背景には5G(第5世代移動通信システム)で世界をリードしつつある中国の台頭にブレーキをかける必要があるからです。    今ここで排除を進めなければ、世界各地にファーウェイをはじめとする中国メーカーの製品があふれかねない事態も考えられ、米国はそれを懸念しているわけです。    そうした背景から、米国は同盟国を巻き込んで、この分野で対中国の攻勢に出ているわけです。

 日本では、こうした騒動にもかかわらず、今もファーウェイ製品は普通に手に入ります。  ただ今後政府主導で排除の方向に向かっていくようになるのは確かで、 今後ファーウェイ製品が国内でどう扱われていくのかは要注目です。(2019.1.31)


習近平のメンツを潰したトランプ大統領

 中国にとっては、ファーウェイは今後も中国の経済成長と生産性向上を推進するためになくてはならない中核企業です。  その最高幹部が逮捕されることによって、 このままでは中国の最重要経済政策がなし崩し的に破綻に追い込まれる可能性があります。

 米中両国は2018年7月から貿易戦争に突入したことで、中国経済は大幅な関税引き上げにより悪化、これまで習指導部の支持基盤だった都市部のホワイトカラー層の所得が伸び悩んでおり、 不満も高まっているともいわれます。

 こんな中、習氏は相手を“かしずかせて会ってやる”という「朝貢外交」の伝統をかなぐり捨て、2018年12月1日、G20会議が開催されたアルゼンチンで、 自ら米側の宿舎ホテルに出向きトランプ氏と会談します。   そこでなんとか米国が来年1月に予定していた中国への追加制裁を90日間猶予することが決まり、習氏は面目を保ったかに見えます。

 しかし、なんとその首脳会談当日、父の跡を継いで来年にもファーウェイ会長に就任するといわれる孟氏が逮捕されていたことがのちに判明するのです。   つまり、習氏は完全にメンツをつぶれされたわけです。

 こういう場面で中国に決然とノーを突きつけたトランプ大統領は、 政治オンチの単なる暴走老人という前評判でしたが、なかなかどうして、 カウボーイぶりを発揮する指導者なのかもしれません。

 トランプ米大統領は世界貿易機関(WTO)で中国や韓国などが発展途上国として優遇措置を受けるのは不公正だとして、 WTO制度の見直し要求も主張しています。(2018.12.15)


中国変貌の始まりとなるか

 2019年1月28日には、米司法省はファーウェイと孟氏を起訴。  1月30日、米司法省はカナダに対し正式に孟氏の身柄の引き渡しを要請します。    身柄引き渡しが下されれば彼女は米国に送られ、2018年8月22日にニューヨーク州の裁判所から発行されていた逮捕令状に基づいて逮捕されることになります。     裁判となればこれまで出てこなかった話も色々出てファーウェイのニュースが世界を賑わせることになるでしょう。

 もしこのまま米国主導のファーウェイ潰しが成功すれば、中国のテクノロジー産業の台頭を抑え込む決定打となり、 習近平政権のかかげる中国製造2025戦略自体が根底から揺らぎ、中国は長い停滞期に入るかもしれません。

 この米中貿易戦争がキッカケとなり、西側と中華圏の価値観の衝突の結果、中国に新たな価値観が生まれるようなことがあれば、一党独裁の共産党による人民支配という中国の構図に大きな変化が生まれるかもしれません。     一気に中国が民主化するという単純な結末とはならないでしょうが、中国の大衆や知識人から共産党支配以外の道を模索しようとする考えが大きく拡散していくかもしれません。

 最近、中国の体制内知識人から「国改・政改」という言葉が出始めているといいます。  まんざら夢物語ともいえない期待を抱いてしまいます。     はたして、中国の国家体制が大きく変貌する日が訪れるのでしょうか。(2019.1.31)


 

アメリカの「天網潰し」

 アメリカ商務省は、中国の企業8社および新疆ウイグル自治区の公安機関や警察大学校などをEL(エンティティリスト)に追加しました。  すでに華為技術(ファーウェイ)および関連企業100社以上が ELに掲載され、事実上の禁輸対象となっていました。 ELに掲載されると、政府の特別な許可がない限りはアメリカ企業との取引が実質的に禁止されるため、 ELは事実上の禁輸措置リストであり、ブラックリストとも呼ばれています。

 今回のEL入りは、アメリカの「天網潰し」とされています。   「天網」とは、中国におけるAIを用いた監視カメラによる国策的なコンピュータネットワークであり、 現在の中国の異常な監視社会を形づくっているシステムです。   対象となった監視カメラ大手の杭州海康威視数字技術(ハイクビジョン)や、 浙江大華技術(ダーファ・テクノロジー)などのテクノロジー企業は、その天網のいわば象徴であったといえます。

 ハイクビジョンは世界シェア1位といわれ、日本のメーカーもOEM供給を受けているケースがあるようです。  東京オリンピック・パラリンピックを控えて監視カメラや警備システムの更新が進むなか、 今後は計画を大きく見直す必要に迫られることになりそうです。(2019.10.9 Business Journal 引用)


外資系小売の撤退・見限られた中国市場

 2012年まで続いた改革開放路線の恩恵で、中国経済はしばらく拡大基調が続きましたが、習近平政権になってからは民営企業イジメや株式市場介入などが目立つようになり、 中国経済は市場縮小、低迷が明白となりつつあります。

 Googleは中国本土から香港に撤退させられましたし、大手SNSのFacebookやTwitterなども、中国国内では使用は禁止され、事実上締め出されている現状があります。

 アマゾンは2004年から中国市場に進出していましたが、結局シェアを1%もとれずに2019年に撤退を発表します。 米ライドシェア大手のUberは、 2014年に中国市場進出しますが、2016年には中国のライドシェア大手滴滴との競争を断念、中国事業を8億ドルで売却し撤退しています。

 特にECが消費の主流になった中国小売市場は、不動産価格の高騰によりテナント料も高止まりし、百貨店や大型スーパーのような経費のかかる店舗経営は成り立たなくなってきたといわれます。   そのため外資小売の撤退が相次ぐ事態となっています。

 2014年は英国のテスコ、2016年は英国のマークス・スペンサーが撤退。 2017年は韓国のロッテ・マートが撤退。 さらに仏資本の大型スーパー、カルフールも中国市場撤退を表明した直後、 日本の代表的な百貨店「高島屋」も中国から撤退するなど、近年は中国から工場撤退させる日本企業が相次いでいます。

 小売以外にもマクドナルドの中国事業を2017年、中信集団と米投資ファンド、カーライルによる共同運営会社へ売却。 2019年4月には米ファストファッションストアチェーン、 Forever21が中国におけるオンライン販売業務を停止し中国市場から撤退。 前後して英国のニュールックも撤退。 仏オーシャン(Auchan)は小売事業を台湾発の大潤発に委託。   スペインのZARA、スウェーデンのH&Mも次々、店舗を閉店しています。

 また年初から、シンガポール政府系ファンド、テマセクが香港のドラッグストア大手ワトソン・グループの株式売却を検討しているとのニュースが流れています。   ウォルマートも店舗を減らしており撤退は時間の問題ともいわれます。  いよいよ小売業界の中国市場撤退ラッシュもピークに入った感がありますが、 中国経済はこのまま失速し、長い停滞期に入るのでしょうか。(2019.6.27 msnニュース 引用)


世界経済のあの話、どうなった?

   

こんな話題 その後どうなった
米司法省が日本企業を「カルテル」による反トラスト法(独占禁止法)違反で次々に摘発。 2011年秋以降、東証一部上場の大企業を中心に全24社57人が起訴され、そのうち刑罰が確定しすでに服役したのは15社31名にものぼる。
米国を真似て中国と韓国も同様の摘発に乗り出しており、日本政府の早急な対策が望まれる。(2015.8)
不通(プルトン)の日韓関係。いつまで続く韓国の反日外交。 このままでは、韓国が外交的に孤立するかもしれないという危機感の表れなのか、最近、朴槿恵(パク・クネ)政権の外交政策を批判しながら、 自己反省する韓国メディアの記事が目立つ。(2015.6)
中国政府系の文化機関「孔子学院」が各国キャンパス内に侵食 米国大学教授協会(AAUP)が中国政府系の文化機関「孔子学院」をキャンパス内に誘致した米国内の大学に対し、設置の是非を改めて検討するよう求めていると報じた。
中国側は「孔子学院」に中国人教師を派遣して現地の学生たちに中国語を教えたり、中国文化を紹介したりして中国の文化的な影響力を高めるのが目的ともいわれている。
孔子学院は講師陣採用や指導、カリキュラムの選定、授業での議論が「(中国の)国家方針」に沿う形で行われ中国国家の手足として機能しており、『学問の自由』が無視されている。
孔子学院への批判は隣国カナダでより強く、カナダ大学教師協会(CAUT)は昨年12月、同様の声明を発表し、大学に学院との関係見直しを求めていた。(2014.6)
北朝鮮と拉致被害者交渉で基本合意 ただし遺骨収集などと抱き合わせ交渉で成り行きに警戒感。(2014.6)。
「南京大虐殺」がユネスコ(国連教育科学文化機関)の世界記憶遺産への登録申請問題。 日中間で事実認識に隔たりがあり、論争が続く中で中国が申請した「南京事件」に関する資料の登録が決まった。 中国側が「30万人以上」とする南京事件犠牲者数を含め「日本軍国主義の罪」を世界に認知させるための格好の材料と言え、政治的に利用される可能性が高い。 日本政府はユネスコに慎重な対応を求めてきたが、受け入れられなかった。 日本政府筋は「断固たる措置を取る」と述べ、ユネスコの分担金拠出などの一時凍結を検討する構えを見せている。(2015.10)

中国が政治利用する不当なプロパガンダで「南京大虐殺」と「慰安婦関連資料」をユネスコ記憶遺産に登録申請する問題が起きている。
ユネスコ記憶遺産に登録されれば、アイリス・チャンの本が「南京大虐殺」を全米に広めたように、「中国人慰安婦」「慰安婦40万人説」の虚説が全世界に広がってしまう。(2015.6)。
日本と東南アジア各国との関係 日本の一部の新聞や識者は、首相の靖国神社参拝などが韓国や中国で非難されたことを理由に日本がアジアで孤立していると論じてきたが中韓こそアジアで孤立している。 シンガポール政府高官は「われわれ東南アジアの国々はこの種の歴史問題には決着をつけて将来を見て行動している」と断言。
日本がフィリピンやベトナムに巡視艇の供与を進めても、それを批判するASEAN諸国はないのをみても日本は孤立していない。
中韓両国は歴史認識問題を身勝手に解釈し、それを外交関係の中心に置いたことで、日本と主要問題で協議ができない状況を作ってしまった。(2014.6)
中国、「慰安婦」資料を世界記憶遺産へ登録申請。 中国外務省は旧日本軍による南京事件と、 いわゆる従軍慰安婦に関する資料を国連教育・科学・文化機関(ユネスコ)の世界記憶遺産に登録申請したと発表した。(2014.6)

 

 
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コトバ学
(*1).....チベット侵略

戦後、戦勝国となった中国が領土拡張のため1948年からチベットへ侵攻、全域を武力で制圧し中華人民共和国の支配下に入れた。 犠牲者の数は120万人以上とも。   現在でも中国に不満を持つチベット人の一部は反抗している。



(*2).....文化大革命

大躍進政策の大失敗により2000万以上の餓死者を出し、国家主席を辞任せざるを得なかった毛沢東が、 権力回復の為に起こした政治闘争で1965年から約10年間続いた。
この間、中国は内戦状態の様相を呈し多くの人間が反動分子として処刑された。 犠牲者は大躍進政策での失敗による犠牲者も含むと総計8000万人に達するという説もある。



(*3)......PC(political correctness)

政治的・社会的に公正・公平・中立的で差別・偏見が含まれていない言葉や用語のこと。 この運動を「政治的に正しいおとぎ話」と皮肉る向きもある。



(*4)......9段線

 中国南部・海南島の付近から南に下り、北東に向かってU字のカーブを描いて台湾に至る9つの破線で形成されている。南シナ海のほぼ全域を覆い、その形状から「牛の舌」とも呼ばれる。 



(*5)......甲申政変(こうしんせいへん)

1884年(明治17)の甲申の年朝鮮ソウルで起こったクーデター。   開化派(独立党)の金玉均・朴泳孝らが朝鮮の独立と政治改革をめざし日本の援助で王宮を占領したが 二日後に清の武力干渉によって失敗した。

(*6).....天安門事件

1976年と1989年に起こっているが、日本では1989年のものを指すことがほとんど。
第一次(四五天安門事件)......1976年4月5日、周恩来追悼の為にささげられた花輪が北京市当局に撤去されたことに激昂した民衆がデモ隊工人と衝突、政府に暴力的に鎮圧された事件。 この鎮圧に先立ってなされた学生や知識人らの民主化を求めるデモ活動を包括している。 実際の犠牲者や逮捕者は不明。

第二次(六四天安門事件)......1989年6月4日、胡耀邦元党総書記の死をきっかけに民主化を求め北京にある天安門広場に集結していた学生を中心とした一般市民のデモ隊に対し、 中国人民解放軍が市民に向けての無差別発砲や装甲車で轢き殺し、多数の死傷者を出した大量虐殺事件。  実際の犠牲者や逮捕者は不明だがソ連の公文書には3000人の抗議者が殺されたと報告されている。



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