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文春砲・次のターゲットは松本人志?

 2023年12月27日発売の「週刊文春」が、お笑いコンビ「ダウンタウン」・松本人志氏(60)の女性に対する不適切行為 について報じる記事を出し、すわ「ジャニーズ性加害事件」 に続く芸能界の第二弾性加害事件勃発かと世間から注目を浴びます。

 記事では複数の女性が取材に応じているようで、「ジャニーズ性加害事件」をきっかけに、社会的強者による性加害が社会問題化する中、彼女らはこの性加害報道に感化され、 告発しようと思い至ったとしており、またしても芸能界に君臨する大物芸人による性加害問題が表ざたになる気配がただよってきました。

 「週刊文春」の記事によれば、2015年にアテンド役のスピードワゴン・小沢一敬氏(50)や放送作家らが、東京・六本木の高級ホテル(グランド ハイアット東京)の一室で催した飲み会において、ホテルに呼び出された《女性数人》が、 松元氏らから性的な行為を強いられたとしています。  このような催しは以前から繰り返されていたといいます。

 女性たちの携帯電話は、証拠を取られないように事前に後輩芸人が没収するなどしており、 ベッドルームで2人きりにされた女性に、全裸の松本氏がいきなりキスしてきたり、「俺の子どもを産めや」と強引に迫ったりしたといいます。  帰り際にタクシー代として半分に折った1万円札を渡し、 携帯番号の交換を求めたことなども報じられています。

 参加者の一人は松本氏が後輩芸人らと開いた「飲み会」、そして「ゲーム」について、《...後輩芸人が六本木のグランド ハイアット 東京に女性を招集。  彼女たちは『ものすごいVIPとの飲み会だから』 としか聞かされていません。  飲み会スタートから大体3時間後に、後輩芸人が『ゲームを始めよう』と声をかけ、ベッドルームで女性と松本さんが2人きりになるよう仕向ける のです》と明かしています。(2023.12.27)

 ただ、被害女性(A子さん)がこの出来事を告発したのは7年以上経ったタイミングであることや、帰りのタクシー代まで受け取っていた事実を勘案すると、はたして性加害事件だったのかという疑念も残ります。

 2024年1月5日のYAHOO!JAPANニュースは、A子さんが小沢氏に送った"お礼LINE"の文面を載せています。  そこには、

《....小沢さん、今日は幻みたいに稀少な会をありがとうございました。  会えて嬉しかったです。 松本さんも本当に本当に素敵で、●●さん(※画像では実名) も最後までとても優しくて小沢さんから頂けたご縁に感謝します。 もう皆それぞれ帰宅しました ありがとうございました》 というメッセージが残されています。(2024.1.5)


文春は「お礼LINE」の存在を知っていた?

 2023年に文春に被害を訴えたA子さんが、実は2015年の時点では、松本氏サイドに"お礼LINE"を送っていたという顛末は、一般的な解釈だと「つじつまが合わない」 と捉えるのが普通です。  もし警察が動いたとしても、性加害を受けたと訴えた人物が、実は加害者側に「お礼」までしていたというのでは、別な客観的証拠でもない限り、 事件性が無いと判断されるのがオチでしょう。

 その一方、現在被害を訴えているA子さんは当時の状況について、《...飲み会の当日、小沢さんから『粗相があったら、この辺りを歩けなくなるかも』と言われていた。 これは、 芸能界に関わる仕事もしていた私にとって脅迫に聞こえましたし、正直、告発する勇気も出なかった》という証言をしています。

 もしこれが事実だとすれば、松本氏とその取り巻きという、いわば社会的強者側が、自分たちに類が及ばないよう 弱い立場の人間を恫喝して恐怖を与え大人しくさせておくというヤクザまがいのやり方を仕掛けていたわけです。  こういう背景があったとすれば、問題のLINEの文面についても、恐怖感を抱いたA子さんが 不本意ながらそういう中身にせざるを得なかったという見方もできます。

 また性被害者心理として加害者を怒らせないため『迎合メール』を送る ことは珍しくないとされ、心にない文面になったとも考えられます。  実際、A子さんも「文春砲第二弾」で、《...お礼LINEを送った時はパニック状態にあった》、 《『どうか穏便に見逃してほしい』と反射的にお礼の文言を書いてしまった》としています。

 この「お礼LINE」が文春以外から出たことにより、《文春は「お礼LINE」の存在を知らなかったのでは》、《文春の主張が怪しくなった》とする意見も出ています。  たしかに A子さんがそのLINEを消して文春に告発したという展開だとしたら「A子さんの狂言」という線も考えられ、文春不利となるのは確実です。   現時点で松本氏のテレビ出演が消滅したわけでは無さそうですが、既にいくつかのスポンサーが降りたという話もあり、 莫大な損害補償を文春が背負うという最悪の事態も考えられます。

 しかし、天下の文春がそんな事態を予想していないハズはなく、文春はA子さんと小沢氏の「数十通のLINEのやりとり」をしっかり確認しているとされます。    当然綿密に調査を重ねたハズですし、A子さんという人物も信用できると踏んだから記事にしたはずです。  そもそも文春の最初の記事にA子さんの「お礼LINE」の存在 をわざわざ書く必要はないわけで、載せたら読む方も「ナンダ、どっちもどっちだネ」 となってしまい、読者の興味は半減してしまい、関心が薄れ後追い記事も盛り上がりません。

 むしろ、「事実無根」と言い張る松本氏側が、無実を証明する切り札としてまんまとこの「お礼LINE」を出してくれたほうが、 「松本氏とA子さんが同席していた」決定的証拠となり、「事実無根という主張の根拠」が崩れるわけで、反論ツールに使われることは承知のうえで、 文春砲をぶっぱなしたと見た方が自然です。

 いずれにせよ現段階では「真相は藪の中」といったところですが、被害を訴えているのはA子さん以外にもいるとされ、若し裁判で争った場合、いかがわしい「パーティー」の実態が 司法の場で徹底的に暴かれ公となるわけです。   そうなると松本氏や所属事務所も相当のイメージダウンを受けるのは必須です。     文春砲は当然次の弾丸は装填済みのハズで、次はどんな威力の砲弾(記事)を飛ばしてくるか、今後どのような展開となっていくか、見ものです。(2024.1.6)


「週刊文春」VS「吉本興業」

 いまのところこの騒動は、《...告発内容が8年前の出来事ということもあってか各テレビ局は松本を排除することはせず、今後の文春の動きや裁判を見守る方向で、 これまで通り番組は放送していく方針にはなっています》(民放関係者)という状況になっています。

 松本氏が所属する吉本興業は、日刊ゲンダイの取材に対し「弊社がメディアに報道自粛を要請した事実などはございません」(担当者)と説明。  さらに27日、同社の公式サイトを更新し、 週刊文春の記事について「当該事実は一切なく、本件記事は本件タレントの社会的評価を著しく低下させ、その名誉を毀損するものです。  当社としては、本件記事について、 新幹線内で執拗に質問・撮影を継続するといった取材態様を含め厳重に抗議し、今後、法的措置を検討していく予定です」と声明を発表しています。(YAHOO JAPANニュース )

 一方、「週刊文春」は朝日新聞の取材に対し、「記事は複数の詳細な証言に基づき、さらに裏付け取材も尽くしたもので、十分に自信を持っています」とコメントしています。     ちなみに、ジャニーズ「性加害事件」では、当初ジャニーズ側が文春の口封じに動き 名誉毀損の訴訟へと発展しましたが、最高裁で文春が勝訴しています。

 吉本興業は『当該事実は一切ない』として知らぬ存じぬで押し通すつもりのようですが、これにはA子さんも《....『事実』とは一体どの部分を指すのですか。  飲み会自体が行われていないとでも言うのでしょうか。 それとも私が松本さんとの性行為を好んで受け入れたとでも言いたいのでしょうか。 本当に馬鹿にされた気分で、 心の底から怒りが湧き上がってきます》と憤っています。(「週刊文春」)

 吉本興業は記事が出て即「当該事実は一切ない」と言い切り、法的措置をチラつかせる対応をとっているわけですが、もし本気で事実確認する気なら、本人や関係者に聞き取り調査するため、 ある程度の時間は必要なはずで、吉本の対応について「こんなに早く事実確認を行えるのか」といった懐疑的な声も上がります。  ようはハナから調べようという認識がないわけで、 この様子では大御所松本氏にお伺いを立てたがキッパリ否定したので、火消しのコメントをすぐ出してしまった、というところでしょうか。

 旧ジャニーズの性加害事件では、大手メディアは当初から文春記事を完全無視していたことや、その後も「権力による威嚇」に屈し、 「報道すべき責任を完全に放棄」していた姿勢は、 世間から猛バッシングを浴びました。  したがって今回の疑惑騒動を完全スルーするわけにはいかないところですが、真意が定かではない今の時点では、 テレビ各局も文春記事を紹介程度に取り上げる局もあれば、静観するところもある状態となっています。

 いまのところ松本氏は否定し、吉本興業も「法的措置を検討していく予定」としていますが、もし「週刊文春」の記事が事実なら、いまだにジャニーズ性加害騒動の記憶が生々しく、性加害は厳しく糾弾する昨今の世間の風潮では、 “不倫”などという言葉で簡単に片づけるのは難しそうで、メディアや芸能界から糾弾される事態も予想されます。

 はたして文春VS吉本興業の“全面戦争”の行き着く先はどういう結果になるのか、 ジャニーズを葬った文春砲が、今度は吉本興業をノックアウトし、松本氏を芸能界から退場させるのか、興味深く見守りたいと思います。(2023.12.31)

 吉本興業は1月24日、公式サイトで《真摯に対応すべき問題》とし、事実関係の確認と検証を進めると態度を変えます。  このあまりにも真逆の方針転換≠ノ、弁護士の若狭勝氏は 「聞き取り調査を吉本興業の中で進める中でですね、 少なくとも女性に対する人権侵害があることを前提としているようにも思われるコメントに思えてならない」と疑問を呈します。(2024.1.28)


松ちゃんの文春砲対応策

 当の松本氏は文春記者から性加害の疑惑を直撃されると、「分かんないっすね。 笑っちゃうくらい分かんないっすね。 もう好きに書いてくださいよ」、「何も証拠を見せないで聞かれたって、 分かんないじゃないですか」などと返し、事実関係については「ないっすね!」などと否定していることも文春は伝えています。  松本氏は28日のX(旧Twitter)で 「いつ辞めても良いと思ってたんやけど…  やる気が出てきたなぁ〜。」と投稿。 8日には《事実無根なので闘いまーす。》としています。

 記事でその場に同席したと書かれているお笑いコンビ「スピードワゴン」の小沢一敬さんの所属事務所は「私どもからお話しすることはございません」としています。

 テレビ誌ライターによれば、《....松本氏は2020年8月21日に放送された『人志松本の酒のツマミになる話』(フジテレビ系)で、タレント・小池栄子氏から、仮に(松本氏に) 不倫報道が出た際のメディア対応の方法を聞かれた際、『オレは常に考えてるよ。 いつ文春が突撃してきても(良いように)』と切り出し、 両腕を組みながら『“全部その通りです”って言う』と“ドヤ顔”で豪語。

小池はその潔さを『カッコいい』と称賛し、共演者が『たとえ(記事内容が事実と)違っても?』、『松本さんを陥れようとして、ちょっとオーバーに言ってたりしても?』と質問すると、 松本は何度もうなずき『“全くその通りです”』、『たぶん、これをやられたら、(文春側は)もうやりようがないと思う』と断言しています。  これに千鳥のノブは『うおぉぉ?』、 『ホントだぁ!』などと、目を見開いて感動していましたね。》ということがあったそうです。

 3年後、まさにその文春から直撃され、ややキレの悪い返答となったことで、ネットには『全然素直に認めないじゃん…』との声や、『わかりました。“全くその通り”なんですね』 とヤユする反応が上がっています」(テレビ誌ライター)  さすがの松本氏も実際に文春砲の強烈な直撃を食らってしまうと、緊張や動揺が隠し切れなかったようです。(アサジョ によるストーリー・木村慎吾)

 ファンの《...もし本当に女性を大切にしていないとかモノのように粗暴に扱っていたのだとしたら、もう二度とまっちゃんで笑う事はできないな。  子供の頃からずっと笑わせてくれてたのに本当に悲しい。信じたくないね。》という声を、芸能界に君臨する松本氏はどう聞くでしょうか。(2024.1.11)


 

A子さん発"お礼LINE"の検証

 A子さんが送ったとされる"お礼LINE"なるシロモノは、文春発売から数日後に別の週刊誌に掲載されました。 このLINEはアテンド役・小沢氏とのやり取りのようで、 「週刊女性」が掲載したLINEスクリーンショットは『小沢氏発言部分が切り取られて』おり、A子さんのお礼文部分のみ紹介されています。   言って見れば松本氏サイドにとって有利な証拠(となるであろう)文面のみを持ち出し、反撃してきた形です。

 吉本関係者は、《...小沢さんは自身とA子さんしか入手できないLINEのスクリーンショットを芸人仲間に横流し。 松本さんは『これを公開すればええやん』などと息巻いていた》と語っています。   実際松本氏は5日、「週刊女性」が掲載したこのLINEスクショの一部を引用し、「とうとう出たね。。。」と“勝利宣言”をポストします。  これにはフォロワーからは 「無罪だった」と喜びの声が出ているようです。    たしかにA子さんがこのLINE文面を強制ではなく自主的に送ったとすれば「性加害はなかった証拠」として世間は捉えるでしょう。 ただしあくまで『迎合メール』ではなかったという前提ですが。

 一方でこのLINEで一気に松本氏側が有利になったかと言えば、そうとも言えない展開になってきました。  そもそも吉本興業は12月27日時点の公式サイトで、 「当該事実は一切なく」、「客観的事実に反するもの」と言い切っていました。  しかし、ここにA子さんが松本氏と接触した証拠ともいえるLINEが出て、 これを松本氏も暗に認めた形となったわけです。 これで吉本興業の「当該事実は一切なく」という主張は根拠が曖昧になりました。   「一切ない」のがどの部分を指すかは不明ですが、事実無根とは言えない状況になったのは確かです。(2024.1.11)

 疑問なのは、もしこのLINEがA子さんの本音なら、性加害はなかったという絶対的証拠であり、この騒動が明らかになった際(昨年末)に松本氏サイドが、 正々堂々とこの事実を公表していれば、大事にはならなかったかもしれません。  にもかかわらず、松本氏は文春の取材に対し『証拠を見せろ』と逃げを打っていますし、つなぎ役の小沢氏も『何も言えない』としており、 両者ともこの(無実を証明するかもしれない)LINEの存在に当初は触れていなかった、という部分が腑に落ちないところではあります。

 後ろめたい(悪い点があって気がとがめる)ことが無いのなら、最初からこのLINE全文を、ヘタな加工などせず堂々と公開したハズです。  公にしなかったのは、松本氏サイドが 「このLINEが無実の決定的証拠になり得ない」何らかの事情を認識しており、そのため当初公表するのを躊躇った、という理由も考えられます。  いずれにせよ、 小沢氏の発言が切り取られている不自然なLINEが突然流出したことで闇はますます深まってきました。

 そもそも、ここまで問題が大きくなったのですから、吉本興業が松本氏を清廉潔白と判断したのなら、『法的措置も検討していく』などと脅しをかける前に 出版差し止めなどの法的対抗処置をとればいい話であり、松本氏も事実無根で名誉棄損と考えるのなら、会見を開きこのLINE全文を堂々と公表して反論すればいいだけの話です。

 それを法的措置に出るでもなく、会見をするでもなく、ただ自分に都合のいいLINE文の一部だけを切り取った記事を載せた週刊誌に乗っかり モソモソ反論しているわけです。  これでは何かもっと裏があるのでは、と邪推されてしまうのも仕方ないでしょう。(2024.1.7)


 

B子さんの証言

 もう一人の告発者・B子さんによれば、2015年9月に小沢氏の誘いで参加した際は25歳前後の3人の女性が参加。   部屋では松本氏、小沢氏の他に松本氏の舎弟を自称する放送作家のX、 ある大物タレントの4人が、和気あいあいと談笑していたといいます。   その後携帯電話は事前に回収され、小沢氏の号令によって 「恐怖のゲーム」が始まったといいます。

 B子さんは3人の女性が代わる代わる松本氏の部屋に消えていったと重い口を開き、 全裸になった松本氏は、B子さんの「駄目です、駄目です」という抵抗に対して「君みたいな真面目な子に俺の子どもを産んでほしいねん。   君の子どもがほしいねん」と執拗に性行為を迫ったといいます。

 B子さんが解放されたのは深夜12時過ぎで終電時刻を過ぎていたが、タクシー代は渡されなかったといいます。  数日後、B子さんの携帯電話に自称“松本の舎弟”を自称する放送作家のXから 「松本さんが、また会いたいと言っています。 ハイアットに来てくれませんか」という1通のショートメッセージが届きますが、B子さんが「男女の関係を求めていらっしゃるのであれば、私は難しいです」 と誘いを断ると、以降小沢氏からの連絡は途絶えたといいます。

 ここまで話が具体的だと、A子さんの証言も含めもはや捏造レベルの話とは思えません。  松本氏とその取り巻き連中がホテルを舞台に、 立場の弱い女性を誘い"飲み会"を開催していたのは事実のようですし、 その過程で女性蔑視の卑劣な行為を行っていたのも十分考えられます。

 小沢氏の知人は、《.....頂点に君臨する松本さんに取り入るため、小沢は女衒に徹している。  彼らの“部屋飲み”は、後輩芸人が松本さんに女性を献上する場。   芸能界に憧れを抱いた女性を選べば、無下には断れない。 もし断れば、彼らから“ない女”と認定され、捨てられるのです》としています。(週刊文春)

 女性を密室に誘い込み、携帯電話を没収して強引に性行為を強要しておきながら、ただの飲み会と主張するこの構図が事実であれば、これは、完全な社会的強者による性暴力です。    ここまで状況証拠が揃ってしまうと、たとえ松本氏サイドがA子さんのLINEを盾に性加害はないと言い張っても世間は納得できませんし、 たとえ大物芸能人の火遊びだったとしても、芸能界の性加害を繰り返させないためにも社会が放置してはいけない事案です。

 被害者A子さんは《...このまま放置してはいけないと痛感させられました。 これ以上、被害が出ないことを願ってお話しした》、《...今回の文春の記事を読むと、 私以外の女性も証言されており、松本さんから酷い仕打ちを受けた方は他にもいるはずです》、と動機を語っています。   B子さんも8年前の出来事を告発しているわけですが、 その動機はやはりジャニーズ被害者が告発する姿を目の当たりにしたのがきっかけだったようです。

 NHK党の立花氏は、《....完全なでっち上げであれば吉本興業が東京地裁に出版差し止めの仮処分請求をすべきだ。  あるいは緊急記者会見などを開き、全て答えればいいだけであり、 それができないと“クロ確定”なんです》、と語っています。(2024.1.5)


止まない社会的強者による性加害

 近年では、「週刊文春」の報道により、映画監督・榊英雄の映画に出演した複数の女優が性的行為を強要されたことが明らかになっています。    それが契機となり、映画界に蔓延する性加害問題が続々明るみに出ましたが、このような社会的強者による性加害は、 芸能界のみならず日本社会にはまだまだ蔓延していると言われています。   今回の松本氏スキャンダルも、こうした古い体質から抜け出せていない芸能界のブラックな面がたまたま表ざたになっただけ、ということなのでしよう。

 もともと松本氏のキャラとして“女グセの悪さ”は知る人ぞ知るハナシのようで、2023年6月18日に放送された『まつもtoなかい』(フジテレビ系)で、 中居正広さんが松本氏から『オレの悪いところ教えてよ。  オレはこの先どうしたら、もっと売れるの?』と質問された際、『性の抑制』と真顔で答えていたこともあったといいます。

 もし今回の文春記事が事実なら、これを契機に「セクハラ」、「パワハラ」は絶対に許さない、という社会を実現させようという機運(物事をなすのによい機会・時機)が、 日本国内で大いに盛り上がることを期待したいものですが、「臭いものには蓋をしてみて見ぬ振りする」傾向の強い日本社会では、この手の事件が表ざたになっても、 ともすれば「こんなことはありえないとスルー」してしまう風潮があります。

 これでは、性的暴力を受けた被害者が勇気を出して被害を訴えるのに、すごく躊躇してしまうわけで、もともと「恥の文化」の日本社会では、性にまつわるスキャンダルはなかなか表に出しにくい風潮があり、 これまで日の目を見ることはあまり無かったわけです。   しかし、故ジャニー喜多川性加害事件はかなり世間にインパクトを与え、 これまで声をあげられなかった被害者たちが勇気を出して告発するケースが増えてきたようです。

 今回の被害者A子さんは、《...ジャニーズ問題では、2010年代半ばまで多くの方が性被害を受けていました。  そして被害者たちが一斉に立ち上がり、大きな山が動きました。 それを見て、私は勇気をもらった》、としています。

 ジャニー喜多川の性加害の被害者が実名で告発したことに感銘を受け、実名証言が世間とマスメディアを動かすと実感して、 「小池氏の『学歴詐称』疑惑」のように、勇気を出し実名での告発を決意した人もいます。

 セクハラ被害を訴える人がいる限り真相解明の調査は必要ですが、メデイアが「社会的強者に尻込み忖度」して、最初から 「嘘じゃないか」という態度をとる社会では、 永遠に「セクハラ」は根絶できません。  今の日本でその役割を担っているのは、「真実は一つ 正義は勝つ」を社訓に掲げる 「週刊文春(文芸春秋社)」だけ、という情けない状況が続いています。   是非「週刊文春」の姿勢が他の大手メディアにも広がることを期待したいものです。(2023.12.28)


弱者が最後にすがる仕掛人『文春砲』

 性被害を訴え裁判にまでこぎつけるのは被害全体の2%とされますが、その背景のひとつに警察が性犯罪被害の訴えを門前払いするから、などという法治国家とは思えない実態があります。  そもそも、警察が8年も前の出来事を、 証拠も無いのに受理するはずは無く、よっぽどの有力者でもない限り、警察が後追いで捜査してくれることはありません。   これまでも警察がストーカー被害を訴える被害者の声に耳を貸さず、結果悲惨な事件に巻き込まれる事案はいくつも起きています。

 この騒動はまだまだ不確定要素が多すぎ、犯罪と決めつけるには時期尚早と言う見方もあります。  著名人の中にも、「今頃週刊誌に告発するなら当初に警察に訴えれば」 などといった無神経なコメントを出す者がいます。  セクハラ事件被害者は、自分も何か悪い部分があったのではと葛藤してしまい、よほどの転機でも訪れない限り、 なかなか自分から言い出せないとされます。  告発する勇気を出すまで時間がかかるのは仕方ありません。

 精神科医の和田秀樹氏は、《....性被害者は10年も20年も苦しみ続ける。 時間が経過してからようやく言葉にできる、告白できるケースがある。 これは至極、当たり前のことなんですよ》と述べています。  今回の被害者も、ジャニーズ性加害の被害者たちが証言しているのを目の当たりにしたことで、やっとこのまま放置してはいけないと勇気を振り絞り証言したわけです。  しかも賢明にも、 何もしてくれそうもない警察や大手マスコミにではなく、数々の社会不正を暴いてきた「文春砲」を頼りにしたわけです。

 近年の「文春砲」について、《たかが週刊誌》、《文春は絶対に正しいわけではない》と難癖をつける人もいますが、そもそも、週刊文春はあくまで情報媒体の一つであり、文春の記事がすべて正しい と皆が考えているわけでもないでしょう。

 週刊誌といっても十把一絡げ(じっぱひとから・げ:取り上げるほどの価値がない)であり、玉石混交(ぎょくせきこんこう:価値のあるも、ないものが入り混じる)ですが、もし文春が書かなかったら日の目を見ることが無かった 「権力者の醜聞ネタ」は少なくありません。   文春が話題になるのは、「権力者に忖度し、臭いものに蓋する」世の中で唯一、 「誰も書かない・書けない」情報を読者に提供する「勇気」があるからです。

 「文春砲」も詰めの甘さで的を外す場合もあるでしょうが、世の中完璧なものなどアリマセン。 噂レベルではみんな知っていたが隠蔽されていた「ジャニーズ性加害」を徹底追及したのも文春であり、 妙なレッテル張りして文春に難癖付ける暇があったら、文春の爪の垢を少しでもいいから分けてもらい、世の中の不正・悪事を暴く記事を一つでも書いてみろ、という話です。(2023.12.28)


世の中「正論」を述べる人は少数派

 この手の事件が起こると、「あのヒトがそんなことするかな」、「聞いたこともない」というような加害者側に立った見方で発言するものや、 よっぽど文春に怨みでもあるのか「販売部数欲しさにガセネタをひねり出した」などと、事件の本質と無関係な方向へ目をそらさせようとする意見が出ます。   こんな風潮にタレントの指原莉乃さんは《....もしこれが事実だとすれば性加害ということになる。 しっかりとそこは真相究明をしなきゃいけないと思います》 と大物芸能人に臆することなく正論を述べています。

 こういう場合の発言は性加害に対するリトマス試験紙のようなもので、その人間が 「権力には逆らわず臭い物に蓋をする人間」か、「当事者が誰であれ事の是非を判断できる人間」かが如実に表れます。 ところが、 日本社会はいまだに指原さんのようなまっとうな意見を口にする人はごく少数派なのが現実です。  

 世の中は社会的強者の振る舞いにはハナから疑念は抱かず擁護するくせに、被害者側の心情など歯牙にもかけず色々難癖をつけてくる性根の腐った人間は多いわけで、 被害者の訴えを「小説を読んでいるみたい」と茶化したり、「被害にあったら警察に行くべき」などと、性被害者が警察署へ行くという心理的なハードルなどお構いなしの、無遠慮な意見を口にする輩も多数います。   こんな社会では被害者も「セカンドレイプ」を怖れ告発をためらうのは当然です。  

 ジャニーズ「性加害事件」では大手メディアは当初から文春記事を完全無視していたため、社会問題になることはありませんでした。  今回の騒動も 《....文春で告発された会は小沢が女衒に徹し、女性を食い物にした宴そのもの。  吉本は完全否定していますが、これがもし事実であれば、 相当ヤバイ内容です》(芸能ライター)という案件であり、性犯罪にもなりえる重大事案です。 当然、加害者を野放しにすることは許されず、それ相応の報いは受けなければなりません。

 ところが、世の中権力のある加害者の行いは「見て見ぬふり」する輩は多く、日本の大手メディアも昔から「事の是非より見て見ぬふり」が得意技です。  芸能人にも、立川志らく氏のように《自分は人情を大事にするから世話になった松本さんを支持する》と事の善悪より人情を優先させるヒトもいます。  これでは社会的強者は何をしても取り巻きのガードにより許される世の中のまま、と言うことです。  文春の二の矢、三の矢報道も楽しみですし、吉本興業には是非、法廷騒動にまで発展させていただき、 司法の場でシロクロ付けてもらいたいものです。(2023.12.31)


 

「文春報道」への批判

 今回のセクハラ(不同意性交)騒動では、『素人女性を手下が親分へ上納するシステム』の実態が表ざたになったわけですが、このビッグニュースの衝撃が収まってきたら、 今度は松ちゃんの熱烈なファンなのか、同業他社のヒガミなのか、怨みなのかわかりませんが、「週刊文春はやりすぎ」、「週刊文春の取材姿勢を問え」などという、 事の本質から目をそらさせるような記事もポツポツ現れ始めます。  中には過去文春に自分の悪行を暴露された輩が、この騒ぎに便乗して文春を叩いているケースも見受けられます。

 百人いれば百種類の考え方があるわけで、どんな場合でも「アンチ」は存在します。  今回の文春報道に対しても、「やりすぎではないか」、「完売して調子に乗ってる」 などという意見が出ています。  文春記事も的を外すこともあるでしょうし裁判で負けたこともあるでしょうが、それを持ち出し「文春記事は信用できない」、と決めつける輩もいます。     誹謗・中傷は世の常ですが、やらなかったら非難され、やったらやったでまた新たな批判を浴びる、というのも困ったものです。

 「文春記事が松ちゃんをつぶした」という声もあります。 松本氏擁護派は、「まだ事実と決まったわけではない」、「数年前なら許された」、「名誉棄損ダ」とします。  たしかに、 悪意のでっち上げの可能性も捨てきれません。  真相が定かでない時点では「疑わしきは罰せず」は当然であり、もし警察が週刊誌の記事を根拠に逮捕する社会だとしたら恐ろしすぎますが、そのために法律があるわけです。

 一方で人気商売の芸能人は「社会的イメージ」がすべてです。 記事でそのイメージが毀損されたのですから、やり玉に挙げられた本人が天地神明に誓って無実なら、 記者会見で堂々と無実を主張するなり、警察に訴えるか出版差し止めなどの対抗処置をやれば、世間も納得しこの騒動はとっくに収まっていたはずです。  それをしなかったら「クロ」と見なされるのも仕方ないでしょう。

 日本の「触らぬ神に祟りなし」社会では、社会強者の事件はその取り巻き連中や大手マスコミが「権力者に忖度して見て見ぬ振りする」ため、社会的制裁が及びにくく、 だれかがその事件に風穴を開けない限り、「権力者の悪事」は闇に葬られたままで、なかなか表ざたになりません。  ジャニーズ性加害問題のときも、 事件の解明に動いた大手メディアは皆無で、スポンサーが動くまで「見て見ぬ振りする姿勢」を続けたのは記憶に新しいところです。

 報じなかった側の人間は、事件の本質には目を向けず 「ただの芸能ニュースのひとつと考えた」、「“枕営業”として被害を軽く見ていた」、「ニュースバリューを感じなかった」、「捜査当局が動かなかった」など 「沈黙の責任」をミスリードする様々な言い訳を並べ立てました。

 警察や大手マスコミは外圧がかからない限り動きません。  そんな隠蔽体質社会において、声をあげられない弱い立場の被害者側に立ち、「権力者の悪事」を暴けるのは、取材力と勇気をバックに 「真実は一つ 正義は勝つ」を社訓に掲げ、本気で社会悪に立ち向かう文春というわけです。  今回の被害女性も「ジャニーズ問題では.....被害者が一斉に立ち上がり、大きな山が動いた。  それを見て勇気をもらいました」と語っているように、もし文春が存在しなかったら、社会強者による性加害は隠蔽されたままで、被害者の苦しみも続いたでしょう。

 事実が明らかでない今、「松ちゃんを叩きすぎではないか」、「家族も被害者だ」、「みんな正義漢ぶってる」という意見もあります。   たしかに一般人ならここまでやる必要も無いでしょう。  しかし、 政治家が道徳的に許されない不倫をしたら政治生命が絶たれるように、社会的に影響力を持つものが人の道に外れる行為を仕出かしたら、 誰かが正さなければその行為が模範となり社会に悪影響を与え、世の中の秩序は保てません。  残念ながら今の日本でその役割を果たしているのは文春だけ、 というのが現実なのです。(2024.1.12)


 

タブーを世間が取り沙汰する時代

 現在のネット社会においては、宝塚旧統一教会といった、これまでいわば世間から隔離された世界も、 その裏事情が次々に暴かれ不当行為は容赦なく世間からバッシングを浴びる時代になってきました。    歌舞伎界でも猿之助のセクハラ、パワハラ疑惑が遠慮なく報じられ、結局、市川猿之助とその両親の一家心中事件まで起こっています。

 ネットの普及により、隠し事は出来ないという時代になってきたわけで、これまでタブー(言ってはいけない)とされてきた大物芸人スキャンダルでさえ、 もう隠し通せる時代ではなく、ネット空間に大々的に拡散していくようになったわけです。  こうなっては、「吉本興業」やメディアがいくら松本氏のゴシップを隠蔽しようとしても、世間は騙されません。

 ジャニーズ「性加害事件」騒動では、これまで「権力による威嚇」に屈し、「国民に真実を伝える義務」などそっちのけで 「正義よりビジネスを優先」させ「報道すべき責任を完全に放棄」 してきたメディアは、その隠蔽体質が世間から猛バッシングを浴びました。  そのため不祥事は大物芸人であろうがそうそう庇いきれるものではなくなっています。(2023.12.31)


 

ふた昔前と変わった世間の目

 “遊びは芸の肥やし”などと芸人の女遊びに“免罪符”みたいな認識があったふた昔ほど前だったら、ひょっとしたら今度の騒動もお笑い芸人の御乱行という捉え方をされたかも知れません。   松本氏も暴力に訴えたわけではないし、マサカ週刊誌に晒されるなど考えもしなかったでしょう。

 もともと「治外法権の村社会」で「人権は二の次」の芸能界では、大物芸人が遊びで女性に手を出したなどというゴシップも日常茶飯事とされていたわけです。     いい役を得るため地位や権力のある人間と寝る所謂「枕営業」は珍しいことではなく、世間も大騒ぎするようなこともありませんでした。  ただし、力づくは論外で、あくまで合意の上という前提ですが。

 この事件は松本氏の手先の連中が素人女性を言葉巧みに誘い、そんなつもりで来たわけではないのに部屋に2人きりにさせられ、無理やり性行為を迫られたとされます。  つまり、 意図せず知らぬ間に「松本氏へ上納させられた」わけですが、これは女性を罠にかかった獲物のように弄ぶ危険なゲームであり、大物芸人の火遊びどころか、チンピラがやる性加害です。    こんな卑劣な行為を、いい年した大人が繰り返していたというのですから呆れます。

 お笑い芸能界に君臨する松本氏は、金や名誉はおろかテレビ局さえ操れる権力者であり、自分にひれ伏す取り巻き連中に囲まれ、望めばなんでも手に入るいわば「裸の王様」状態にあり、 自分の手下が連れてきた女性なのだから《性行為に同意しているに違いない》と一方的に思い込んでいたのかもしれません。 《とうとう出たね》というつぶやきも、 本人にとっては《合意があった証拠》と見做していたのでしょう。  そもそも、女性らが自分の要求を拒んだり告発することなど考えもしなかったのかもしれません。

 芸人の火遊びは「けっして無理強いせず、素人には手を出さない」からこそ、大目に見られていたわけですが、「裸の王様」松本氏も、相手は喜んで同意しているはずと思いこんでいたでしょうし、 誘われた女性にしてみれば、有名芸能人の集まりに誘われれば気分は上がります。 過去にはそういう「Win-Win(ウィンウィンの関係」だった女性もいたのでしょう。  しかし、 日本もいまや2017年から世界中に広がった#MeToo運動、さらにジャニーズ「性加害事件」をきっかけに、性加害問題に敏感になっており、「セクハラ」にはハッキリ「ノー」 と主張する社会になってきました。

 今回被害を訴えている女性たちはこういう風潮になる前に被害を受けたわけですが、「性被害に泣き寝入りしない」という現代社会の流れに勇気をもらい、思い切って性暴力告発に口を開いたわけです。    彼女たちは断ったら何をされるのかわからない中、恐怖でいっぱいになり、不本意ながら周囲の雰囲気にあわせてしまったわけで、けっして同意はしていなかったわけです。  そこを松本氏は勘違いしていたわけで、 今も《何でこんなことになったんダ》というのが本音かもしれません。

 世の中には、違法ではないが不適切な行為というものはあるわけで、特に社会的立場がある人が度の過ぎる女遊びを仕出かせば、たとえ警察ザタにならなくても問題行為とされ、 社会から批判されるのは当然です。 取り巻き連中がどう擁護しようが、ファンがどう評価しようが、本人が自覚していなかろうが、社会的にアウトな不適切行為は許されません。

 性暴力に厳しい目が向けられる今の時代、たとえ上意下達(じょういかたつ:有無を言わせない)の芸能界であっても、 中世の日本でもあるまいし合意でもないのに性的な行為を強要したら犯罪と見なされるのは当然です。  結局は自惚れすぎの自分勝手な思い込みで繰り返した 「女遊び」の中身が、「それをやっちゃあ、オシマイヨ」だったことに、最後まで気づかなかったのです。(2024.1.24)


大物芸能人は「金払いの良さ」が命

 松本氏の相方、浜田雅功氏は2023年2月のフライデー記事で、35歳年下の大阪在住エステティシャンAさん(24)と4回にわたり密会し、合計約30万円を支払っていた“パパ活不倫”を報じられましたが、 大物芸能人の火遊び代としてはマアマアの額を不倫相手に渡しており、お相手の女性も相応の扱いを受けたようです。

 それに対し松本氏の場合、相方の浜田雅功氏と桁違いの、たった1万円でコトを済まそうとしたわけで、 これには倫理的なことはさて置き、《...「女性と性行為に及んだうえ、タクシー代として1万円しか渡さないとは、 “ドケチ”としか言いようがありませんね。  お笑いコンビ『アンジャッシュ』の渡部建さんの“トイレ不倫”のときも、女性に1万円しか渡していないことで炎上しました。   松本さんの場合は、さすがに高級ホテルだったとはいえ、お笑い界のトップに君臨する松ちゃんとしてはさすがに1万円とはねえ……」》(ワイドショー関係者)、というナサケナイ批判を浴びています。

 松本氏の今回の騒動は、どう贔屓目に見ても相方の浜田雅功さんの“パパ活不倫”とは別物であり、報じられた内容どおりなら“性加害”の要素が強い と認識されてしまうのも仕方ないでしょう。  《旧ジャニーズ事務所が、故・ジャニー喜多川氏の性加害問題で解体に追い込まれた経緯があるだけに、今後の対応や追加の報道次第では、 芸能界生命の危機にもなりえます」(芸能記者)》、という指摘が現実になりそうな気配となっています。(2023.12.27)

 秦の始皇帝の死後、後続の支配者によるあまりの圧政ぶりに民衆の不満は溜まり、農民による一揆を皮切りに中華帝国の各地で反乱の機運が高まります。  中国の歴史上最も勇猛といわれる「項羽」は、 その圧倒的強さで秦を滅ぼし自らを「西楚の覇王」と名乗りました。   しかし、その強引で容赦のない内政により、諸侯の指導者たちは次第に項羽に対する不満を高めていくことになります。

 やがて「垓下の戦い(がいかのたたかい)」で「項羽」は最期の時を迎えることになるわけですが、四字熟語の「四面楚歌(周囲がすべて敵や反対者で、 まったく孤立して、助けや味方がいないこと)」は、その戦いの際、敵兵に追い詰められた「項羽」が置かれた状況から誕生したものと言われています。  「項羽」は、たしかに猛将ではありましたが、 致命的な欠点があったとされます。  それは「婦人の仁」。

 これは「慈愛に溢れ、言葉つきも穏やかで、病に倒れた人を見れば、涙を流して飲食を分けるところもある」という意味ですが、そこに「封爵(しゃくほう:身分・領地)を賜うべき時にはためらう」と続くのが一般的です。     平たく言えば「一目(いっけん)優しそうだけど、いざという時はケチる」ということで、女性には失礼なコトバではありますが、昔のコトバなのでご容赦を。   「匹夫之勇 婦人之仁(ひっぷのゆう ふじんのじん)」などいう使われ方をします。  匹夫之勇は「思慮浅く、血気にはやってただがむしゃらに、 腕力を振るうだけのつまらない勇気」の意。

 結局、「項羽」は報酬を女々しくケチッたため、それがやがて身を亡ぼす運命となったわけです。  相手の功に対しては浜チャンのように 惜しみなく報奨を与えることが肝心だったわけです。   それにしても、「女性を玩具のように扱い」、「金払いの悪い」火遊びを、よく長年も表面化することなく続けてこれたものです。   あまりにも危機管理が足りなかったようで、とうとう年貢の納め時となったわけです。(2024.1.9)


 

社会的強者による性暴力は根絶できるか

 日本社会にはいまだに一部に「男尊女卑」思考に染まったままで、女性を自分より下に見てモノのように粗暴に扱ってもなんら罪悪感を抱かない性悪男はいます。 ただ、普通の人間であれば職場や近所づきあいでこんな正体を曝せば即つまはじきにされるため、 せいぜい家庭の中での出来事で終わるのが関の山でしょう。

 問題なのが、権力を持った上位者が下位のものを力づくで搾取、抑圧する構造の芸能界において、大物芸人にこのようなタイプがいるケースです。  これは最悪のパターンで、 昔から芸能界では女優の生殺与奪(せいさつよだつ・与えることも奪うことも自分の思うままになること)を握る監督やプロデューサーが、その立場を利用し手籠(てごめ:力ずくで自由を奪う)にしたなどという話は 枚挙にいとまがありません。

 故ジャニー喜多川性加害事件の被害対象は少年たちでしたが、これも芸能界を牛耳る人物が自分の性癖 を満足させるため、好き勝手やっていたわけです。  芸能界ではこのような事件は無数にあるはずですが、なかなか表ざたにはならず、 被害を受けたまま泣き寝入りするケースはそれこそ山のようにあると思われます。(2023.12.31)

 今回の騒動では《松本を性接待する“女衒(ぜげん)芸人”たちによる「SEX上納システム」(週刊文春)》の実態があからさまになったわけです。  しかも、 福岡で松本氏への貢ぎ物にされたC子さんによれば、コトが終わって渡されたのが5000円だというのですから、大物芸人の火遊び代としてはズイブンとみみっちい話です。

 芸能界に憧れる若い女性たちは、こんな変態野郎たちの絶好の餌食となる可能性は高いわけで、性被害を受けやすい立場に置かれていることは自覚しておくべきです。   有名芸能人とそれを取り巻くファンの関係ではこの手の話は山ほどあるのでしょうが、某有名人曰く、《...この手のパーティは大勢の若いタレントの卵たちが集まる相当エゲツない催しものも多く、 絶対そんな場所には知ってる若い女性は行かせない》といいます。

 《2023年12月20日に放送されたラジオ番組『アッパレやってまーす!』(MBSラジオ)では、小沢と同じ事務所に移籍した女性タレントに対し、ケンドーコバヤシが「小沢もすげーいい人で、人と壁作らへんしピュアなやつやけど、 誕生日会だけは行かんほうがいいよ。 芸能界の闇みたいな感じやから」、「売れてないモデルとかアイドルとか200人くらい参加する」》と忠告していたといいます。

 《2010年には、『ロンドンハーツ』(テレビ朝日系)の 「女子アナが選ぶ好きな芸人GP」で、当時のテレ朝アナウンサーが小沢を1位に選んだ。 だが、これに有吉弘行が「小沢だけは選んじゃダメ」、「テレビで言えないくらいダメ」、「全てを失うぞ」 などと笑いを交えながらも忠告していた》過去もあります。( SmartFLASH )(2024.1.18)


 

被害者が怖がってしまい名乗り出れない日本

 2017年、ハリウッドの超大物映画プロデューサー、ハーヴェイ・ワインスタインによる性加害は、ハリウッド女優や一般女性も含めた80人以上の女性が、数十年間における性被害を訴えた事件でしたが、 ワインスタインは「同意はあった」と主張しました。 しかし、第3級の(暴力をともなわない)レイプと第1級性的犯罪行為で有罪になっています。    この事件はその後世界的な#MeToo(私も)運動へと拡大していきました。

 #MeToo運動とは、今まで公表できなかったセクハラやパワハラ、性的被害などを「#MeToo」というハッシュタグとともにSNSに投稿することで、被害を公表する運動で、その起源は、 2006年に米国でタラナ・バーク氏が黒人女性の性暴力サバイバーをサポートするために始めたMeTooのキャンペーンが始まりとされますが、米国の女優アリッサ・ミラノ氏が2017年10月にインターネットで 「セクハラや性被害に遭ったことがあるのなら、"Me Too” と声をあげて」と呼びかけ世界中に広がったとされます。

 当時のハリウッドでは、被害にあっても口に出せなかったり、黙殺されたりというケースもあったそうですが、#MeToo運動に端を発し次々とセクハラ問題が明らかになっていきます。   映画界でもケヴィン・スペイシー、ベン・アフレックやダスティン・ホフマンに加え、ジョージ・H・W・ブッシュ元米大統領もセクハラ被害を訴えられています。

 韓国の映画界もご多分に漏れず、《性接待によって番組出演等の機会が与えられる暗黙のルールがある》世界とされますが、「#MeToo」運動がスタートする直前の2017年8月、 映画監督のキム・ギドクが、女優に対する暴行及びベッドシーンの強要をしたとして刑事告訴されています。

 日本の映画界においても性的暴行の話題は多く、2016年にはビジネスホテルの女性従業員に対する性的暴行で話題になった俳優の高畑裕太や、2017年にも未成年者との飲酒や不適切な関係で話題になった 小出恵介などの不祥事事件は起きています。 映画へのキャスティングを持ち掛け女優に性的関係を強要した榊英雄監督の事例もあります。

 男女平等の度合い順位「ジェンダーギャップ指数」(2017年)では144カ国中114位という日本は、「性犯罪や人権に関する法律の整備がされておらず、我慢を強いられる文化」であり、 #MeTooで声を上げる人はまだ少なく、それどころかTwitterなどで「証拠を出せ」などの心ない誹謗中傷により逆に被害者が バッシングを受けてしまうことがまだまだ多いとされ、なかなか声をあげられない社会のままです。

 被害者が名前を出して訴えたくても、その被害者が攻撃にさらされる社会では、誰もが口をつぐみ、告発に二の足を踏んでしまうのは当然で、現に今回の松本氏の問題でも、被害を訴えるA子さんに、 擁護芸人たちから「今頃週刊誌に告発するなら当初に警察に訴えれば」、「あのヒトがそんなことするかな」などという心無い批判を受けています。

 ワインスタインは事実を否定し金の力で被害者たちを黙らせ性加害を続けたのですが、そこを調査報道で暴いていったのが、NYタイムズなどニューヨークのジャーナリストたちでした。   ここが日本と決定的に違うところで、日本の大手メディアはエンタメ部門を優先するため、大手芸能事務所の不祥事は見て見ぬふりするのがお決まりで、 彼らが芸能人のスキャンダルを暴くことなどアリエマセン。  調査報道の役目を担っているのが《文春》なのです。(2024.1.28)


注目される芸能人の「松本氏擁護姿勢」

 その世界を牛耳るボスが悪事を仕出かした際、取り巻き連中たちはどういう態度を取るべきか悩み、結局はボスの肩を持つのが一般的です。 2004年に島田紳助氏が女性マネジャーに暴行事件を起こした時も、 芸人仲間や仕事仲間からは『女性マネジャーに非がある』と紳助を擁護する声が多く出ていました。 今回も松本氏に近い関係にある直属の後輩芸人たちは、皆明確な発言は控え口をつぐむか、 遠回しに松本氏を擁護しています。

 こんなケースで擁護派から必ず出るフレーズのひとつが、《参加した女性にも責任がある》、《週刊誌が裁判で負けても賠償金額は大したことないから、事実じゃない記事でも売れた方が勝ち》、 《文春が儲かる構図はおかしい》などと「敵」を潰そうとする口撃です。  ただ、「(松本氏の女遊びは)やり方がまずかった」のも事実であり、彼らすべてが松本氏の報じられている行動を、本気で「信じられない」、 と思っているのかは疑問ですが。

 気になるのが、「松本氏は『文春に告白した女性』を相手取って訴訟すべき」と主張をする輩の存在です。  これはサッカーの伊藤選手が取った戦略に乗っかったのでしょうが、これ以上被害者を委縮させてどうすんだ、 という話です。  これでは性被害者はますます告訴を躊躇うでしょう。 まあ、これが狙いなのでしょうけど。  日本文化史研究家のパオロ・マッツァリーノさんは、 「予断をもって犯罪告発の声を封じてはならない」とします。 いくら《事実無根なら》と前置きしようが《加害者は被害者を告発せよ》と煽る発言はあまりに被害者の心情を踏みにじるものであり、 テレビにはこの手の発言を平気でヤラカスおかしなのが多すぎます。

 《...松本氏の普段の姿からは、今回のような女性への接し方はあり得ない》と言い切る芸人もいますし、《当事者でもない限りどっち寄りにコメントするのも間違ってる》、《大人同士なのだから、外野が口を挟むな》、 などと距離を置く人間もいます。  たしかに、まだ裁判でシロクロが付いたわけでもない時点で、世話になった、そしてこれからも世話になるかもしれないボスに、 悪く言いたくない気持ちは誰であれあるでしょう。

 しかし、表と裏の顔が違う人間は多いわけで、あのカルロス・ゴーンの「表の顔」は、メディアの取材に積極的に応じ、 親しみやすさを日本人にアピールしていましたが、重要案件をゴーンに直接報告することも多かった元幹部によれば、《....昼休みにゴーンの部屋に説明に行ったら、靴を履いたまま机に足を挙げ、ふんぞり返って報告を聞くんだ。   『役員が食べている食堂のランチは豚のエサか』とまで言ったのをよく覚えている。  この人はマスコミの前ではニコニコしているが、本性はわからないと感じた。  外面がいいから社外の人にはわからない。  それを隠す演技力が凄かったんだ》、としています。

 仲間内に気遣い、気配りのできるボスだからといって、女性に対し理不尽な接し方をしないとは限りません。 そもそも、その人物かどんな人間であるかなど、 四六時中一緒にいるわけではない取り巻き連中が知る術はないのです。

 日本社会には昔ほどではないにせよ、男性にとって都合の良い風潮はまだ残っており、令和の時代においても男の不倫を”遊び”と表現したりと、まだまだ女性に対する 「セクハラ・モラハラ」はどうあるべきか勘違いしている男どもが散見されます。  どうやら松本氏とその取り巻きの後輩芸人たちもそんな旧態依然の価値観のままだったようで、今はそんな時代ではないにもかかわらず、 「泣き寝入りしてくれそうな」女性をモノのように扱い、松本氏の歓心を買うため女性を献上するという「稚拙な女遊び」を繰り返していたわけです。

 いずれにせよ、「既婚男性の“女性との遊び”は倫理に反する行為であり、民法では「不法行為」と定められ、被害者は加害者に慰謝料を請求することができる」今の時代、 世の男どもとしては既婚者の「女遊び」は高くつくことを自覚するとともに、金も名誉もある人間は、お相手とはきっちり同意を得ておき、遊んだら浜田氏のように十分な対価をキチンと払う、 という「オトナの女遊び」を心がける時代と言うわけです。

 この「時代の空気」を読めず裸の王様だった松本氏の女遊び騒動のトバッチリで、流れ弾を受けてしまった芸人もいるようで、FBS福岡放送は、バラエティ番組 「今田耕司のすっぴんツアー」の放送を当面の間、見合わせると発表しました。 今田耕司氏は先月29日放送の『ワイドナショー』で「週刊文春」の記事に対し《記者の思いも入ってる》というきわどい発言をしており、 “松本擁護派”と見られています。

 いまのところ、取り巻き連中としては松本氏を直接擁護すると、自分たちに火の粉が飛んでくる情勢では、当たり障りのないコメントをするしかないわけですが、今後裁判の結果が出たら、 どんな態度に変わるか見ものではあります。(2024.2.14)


  

海外でも報道された松本氏の性加害

 シンガポール最大規模の新聞『The Straits Times』は、12月28日付で女性の証言によるホテルでの出来事などを詳細に報じますが、同時に週刊文春についても 1999年にジャニーズ問題をいち早く取り上げた雑誌として紹介しており、 フランス語やアイスランド語などにも翻訳され、世界中に配信されているといいます。   海外から見れば、松本氏の性加害報道の位置づけはジャニーズ問題と酷似した構図、 ということのようです。

 フランスの通信社『AFP』は12月28日付けで、「日本で最も人気のあるコメディアンの一人」と松本さんを紹介。  この件について、所属する吉本興業の広報担当者に取材を申し込み、 「性的暴行容疑について否定」し「法定措置を検討している」というコメントを得たが、吉本興業は「それ以上のコメントは控えた」とレポートしています。

 そのうえで、『AFP』は「世界的な #MeToo 運動は日本では盛り上がりに欠けて、多くの被害者が怖がってしまい名乗り出ないと言われてきた。 とはいえ最近では、 非常に注目を集めるいくつかの事件で、厳しい制裁を受けている」と、日本の傾向を客観的に伝えています。

 ここまでは吉本興業や大手マスコミ、後輩芸人らの“鉄壁の守り”で、スキャンダルが表に出てこなかったわけですが、 今回海外からも報道されたことで今後どのような影響が及ぶのか注目されます。  またしても、グローバルに展開している企業によるスポンサー離れで事が公になり、 大手マスコミがシブシブ報道をやりだすというお粗末振りが繰り返されるのでしょうか。

 いずれにせよ、松本氏はシロウト相手の「一夜限りの性行為」を、過去何度も繰り返していたというのですから、関わる人間も増えていったわけで、 結局遊ぶ相手を間違えてしまった結果、とうとう長年のお楽しみのツケとして高い代償を払う潮時を迎えたわけです。  それにしても、よくいままでこんなキケンな女遊びがバレ無かったものです。   不倫はヘタしたら仕事や家族をすべて失う罰付き大冒険でもあるわけで、そのリスクとスリルに興奮するのも火遊びのお楽しみだったのでしょう。(2024.1.3)


各報道機関の対応

 週刊誌報道から数日経ちますがいまのところ地上波テレビでは関連報道はさほど広がらず、どうやらこの騒動は「尻切れとんぼ(物事が中途で切れて、あとが続かないこと)」 で終わる様相を呈してきたようです。  これでは、日本社会の悪しき文化とされる、「触らぬ神に祟りなし」で無用なトラブルは避け、「権力者の横暴は見て見ぬふり」し「強い者にひれ伏す」、 という大手メディアの態勢は改善されるハズもありません。

 最悪なのが松本氏の「とうとう出たね」とのコメントを、「松本さん側に新しい動きがありました」と報じる無神経さ、というより忖度ぶりです。 これは本来であれば専門家が「セカンドレイプ」と指摘するように、 A子さんの人権にかかわる問題発言です。 にもかかわらず面白おかしく騒ぐ単なる芸能ニュースのように扱うこの非常識さが、報道機関を自称するメディアの人権レベルの低さであり、当事者意識の欠落ぶりなのです。

 ワイドショーは松本氏の取り巻きを出演させ、「あのヒトがそんなことするかな」、「証拠はないんでしょう」などと提灯記事ならぬ提灯証言で松本氏を擁護させ、 弁護士と称する人物の差しさわりのない解説でお茶を濁そうとしています。  誰も本気で事実の解明をしようなどと考えもしないわけです。

 その行きつく先は、被害者が訴えたくても怖がってしまい名乗り出せない社会がこれからも続くということであり、このような大物が絡むスキャンダル事件は日本社会から無くなりません。   古舘伊知郎氏が指摘するように《事実が分かってからコメントをするというのは逃げ》であり、メディアやコメンテーターが逃げの姿勢のままでは、 社会的強者の性加害事件は放置されたままです。

 そんな中、NHKは2日、昨年12月「週刊文春」で性的スキャンダルを報じられていたお笑いコンビ「スピードワゴン」の小沢一敬さんが司会を務める3日放送予定の Eテレのバラエティー「言葉にできない、そんな夜。」のスペシャル番組の放送を見合わせると発表します。

 番組の公式サイトは、「編成上の都合により、放送を見合わせることにいたします。 今後の放送予定については、未定です」としています。  NHKは「出演者の選定を含め番組の内容については自主的な編集判断の下、 その都度、総合的に判断している。 今回は総合的な判断の下、放送を見合わせることにした」としていますが、 どうやら小沢氏をクロ判断としたようです。

 この処置は業界にちょっとした衝撃を与えたようで、ある芸能プロ社長は《...性加害疑惑について、吉本興業は疑惑を全面否定し、法的措置をちらつかせ、小沢の所属事務所『ホリプロコム』はノーコメントとしています。     言ってみれば、現在は疑惑がクロなのかシロなのかわからない。  そんな段階で小沢を降ろしたのだから、驚きますよ》、としています。

 公共放送であるNHKはジャニーズ問題において忖度メディアの代表格と見なされ世間からバッシングされましたが、 その反省もあってか、今回はサッサとトカゲのしっぽ切りで逃げを打ったようです。   もしくは、松本氏と小沢氏が会見を求められても応じていない現状で、 アウトと判断する材料を掴んだのかも知れません。   いずれにせよ、1月10日発売の週刊文春が、 松本氏サイドの主張を覆すような続報を用意していることはほぼ確実と見られ、はたしてこの先、この騒動がどんな広がりを見せていくか注目されます。(2024.1.4)

 TBS系朝のテレビ番組「THE TIME」は10日、この日発売の「週刊文春」が、活動休止を発表した松本氏に関する新たな性的行為疑惑を報じたことを伝えていますが、「ジャニーズ性加害問題を報道しなかったことを反省していた」はずのテレビ各局は、 今回もこの問題を独自で調査し報道する姿勢は全く窺えず、文春記事の中身をただコメンテーターが解説するだけ、 という「報じる側としての責任は完全に放棄した姿勢」に終始しています。

 今回の松本氏の疑惑騒動は、ジャニー喜多川による連続性加害事件において「見て見ぬふり」の「マスメディアの沈黙」が厳しく批判されたその体質が、どう生まれ変わり、どう向き合うかの試金石 でもあったわけです。  結果は文春記事の後追いをするだけという、相も変らぬ「忖度」ぶりを見せつけ、「権力にひれ伏す」 からきし意気地のない報道ぶりを晒しています。   「報道機関としての役割を十分に果たせなかったことを深く反省している」と言っていたのはやっぱりウソだったわけで、 「報道もやるエンタメ企業」の限界が露呈したのです。

 そこに果敢に切り込んでいるのがワレラガ「文春砲」と言うわけです。  この大砲は強力で、昔から日本政治史最強の性欲の権化「山崎拓」や芸能界を 「猛獣に与えるエサ場」として利用していた「ジャニー喜多川」といった 悍ましい性癖ぶりを発揮する数々の変態野郎どもを社会的に葬ってきました。(2024.1.10)


元締めが堂々とテレビ各局に出まくっている不思議さ

 どうにも不可解なのが、松本氏の手先とされるお笑いコンビ「スピードワゴン」小沢一敬氏(50)は、7日、レギュラーを務める中京テレビ「前略、大とくさん」に出演せず、この日はVTRを放送するのみで、 スタジオからの生放送はありませんでした。 しかも、小沢氏はVTRの出演もカットされNHKに続いての出演カットとなっています。 その一方、活動自粛しているはず松本氏は、 収録済みの番組がテレビでいまだに連日放送されています。

 アテンド役はアッというまにテレビから締め出されたのに、 その元締めは堂々と出まくっているわけで、これに違和感を抱く視聴者もいるはずなのに、テレビ局は「疑わしきは商売優先」という自己都合で放映を続けているわけです。 それどころか、スポーツニッポン新聞社の取材によると、 多くの番組は継続する方向で動いているとされます。

 各テレビ局は、ジャニーズ問題では「大手芸能事務所の威光にひれ伏し」、「権力による威嚇」 に屈してきた姿勢が暴かれ、その反省に立って「社会悪と戦う報道」を目指していたハズです。  それなのに、新たな性加害騒動が勃発したというのに張本人を堂々と出演を続けさせている のですから、やはり『利益優先』体質は変わらないようです。

 やはり「報道もやるエンタメ企業」では社会の悪を暴く真の報道など到底無理な話であって、 そもそもテレビ局に正義を求めること自体がナンセンスなのです。  世間はやっぱりかと失望感を感じていますが、これが本来の「ビジネス優先企業」の姿なのですから仕方ありません。

 ただ、さすがに世界を相手にするスポンサーの動きは素早く、出演番組の提供欄に企業名が一切表示されない事態となっていますし、 アサヒビールは昨年12月29日の松本氏が出演するテレビ番組で、スポンサー企業としての社名表示(提供クレジット)を取りやめます。  アサヒビールは今回の対応について、 「報道を受けて総合的に判断した」(広報)と説明しています。

 ジャニーズ「性加害事件」騒動では、企業によるスポンサー離れでテレビ局が窮地に追い込まれ、事態は混迷して騒ぎの輪が広がり、結果、テレビ局も仕方なくシブシブ報道をやりだす というお粗末振りが露呈しました。  今回もスポンサー離れが進んでいった結果、テレビも仕方なく追随した結果、やっと世間も事情を知る、というお決まりのパターンが待ち構えているようです。(2024.1.9)

 日本サッカー協会は性加害疑惑が報じられた伊東純也選手を、すぐさまカタールでアジア・カップに参戦中の日本代表から外しています。 伊東選手が務めるコマーシャル画像も全て消去されています。 世界と渡り合う競技においては コンプライアンス(法令遵守)も重要視されるため、たとえ「真偽は不明の段階」でも疑わしきは排除、という処置もやむを得ないのでしょう。

 それに比べ、松本氏の性加害騒動は連日報道されているにも係わらず、テレビは堂々と放映しているのですから、日本のテレビ局には「企業の社会的責任」などという観念はないのです。    ジャニーズ問題のときに発揮した善悪より儲けを優先させる利益至上主義は相変わらずで、これで「真実を追求する報道番組」 もやってます、というのですから呆れます。(2024.2.2)

 小沢氏の所属事務所もまだ白旗をあげるつもりはないようで、「ホリプロコム」は9日、公式サイトで、《....皆様におかれましてはご心配をお掛けし、大変申し訳ございません》と謝罪。   続けて《スピードワゴン小沢一敬はこれまで通り活動を続けてまいります》、《なぜならば、小沢の行動には何ら恥じる点がないからであります》とし

《一部週刊誌の報道にあるような、特に性行為を目的として飲み会をセッティングした事実は一切ありません。  今後ともよろしくお願い申し上げます》と記しています。   文春報道を完全に否定したわけで、これはこれで着地点がどうなるか見ものです。

 と思っていたら13日、「ホリプロコム」が公式サイトに「ご報告」として《...小沢本人より...芸能活動を自粛したい旨の申し出があり...芸能活動を自粛することと致しました》と説明します。   4日間で事務所の判断は急転したわけで、かなりの悪材料が表面化してこれ以上持ちこたえられないと判断したのでしょう。(2024.1.9)


今回も発揮されるか?大手メディアの忖度・隠蔽体質

 松本氏の「性加害疑惑」は12月26日配信のニュースサイト「文春オンライン」で報道され、ネット上は騒然となりましたが、衝撃的なニュースにもかかわらず、 その時点ではほとんどのスポーツ紙やワイドショーは、故ジャニー喜多川氏の性加害報道がBBCで報道された時と同様、腫れ物に触るような消極的姿勢で、 様子見を決め込み、他メディアによる後追い報道はほぼ皆無でした。

 これについてワイドショー関係者は、《....「理由は単純ですよ。  故ジャニー喜多川氏の性加害報道をBBCや週刊文春が当初報じた時も、スポーツ紙やワイドショーは 旧ジャニーズ事務所に忖度してダンマリを決め込んでいました。    今回も同じような構図で、約900人の社員、約6000人のタレントを抱え、芸能界に絶大なる影響力を持つ吉本興業に遠慮して意図的にスルーしているのでしょう。   テレビ局は吉本興業のタレントに出演してもらわないと番組が成り立たなくなるし、スポーツ紙も取材ができなくなったら大変だからです。  その辺りが、 ジャニーズの性加害問題がなかなかクローズアップされなかった時と非常によく似ています」》とズバリ指摘しています。

 例によって今度の騒動に対しても、日本の大手テレビ局の大物芸人スキャンダルに対する反応は鈍いわけですが、仏高級紙の「ル・モンド」は、《...暴行疑惑がメディアに取り上げられたとき、 (各局の)態度は遠慮がちなものだった。 番組の出演者も松本を擁護する向きがあった》として性的スキャンダルには「長い間沈黙を保つ」、日本の放送局の態度に疑問を呈しています。

 ネット上では他メディアの“後追い報道”がほぼ出ていないことについて疑問の声が上がりますが、今回は珍しく「テレ朝」が12月27日時点で 「週刊文春」の記事を一報として簡単に報じます。 ダウンタウンはテレ朝に“出禁状態”にあるという話もあるようです。   大物タレントのスキャンダルを またもや全メディアが完全スルーするかと思いきや、やっと日本のメディアも、大手芸能事務所に忖度せず、報道責任を果たそうと考える大手メディア がポツポツ現れる兆しが見えてきたのでしょうか。

 今回の松元氏の性加害騒動はまだ真意がはっきりしておらず、これから実態が明らかにされていくでしょうが、準強制わいせつの控訴時効の7年を過ぎており、この話は警察に持ち込んでも事件化はされないとみられます。     この状況は旧ジャニーズ性加害問題の初期と似たシチュエーション(局面)です。

 ジャニーズ事件では、「週刊文春」が大手芸能事務所のタブーに果敢に切り込んでいきましたが、すべての大手メディアはガン無視を決め込み、後追い報道する大手メディアは皆無でした。    その事件は何十年も隠蔽されてきましたが、BBC報道が引き金となり、やっと日の目を見て性加害の真相が暴かれたわけです。

 報道機関を任じるのなら自己都合の「報道の自由」姿勢を振りかざすのはやめて、大手芸能事務所の威光を恐れず、大物芸能人・松本人志氏のスキャンダルに対してもキチンと後追い調査・報道を行うべきで、 いまや「見て見ぬふりの隠蔽体質」を発揮し様子見を決め込むことは許されません。   もし、このままメディアが後追いもせず事件が闇に葬られる ようでは、メディアはあの騒動から何も学ばなかったということであり、 情けない日本のジャーナリズム文化がこれからも続くということです。(2023.12.27)

 各メディアの報道姿勢は、それまでポツポツ程度だったものが、松本氏退場という筋書きが見えた1月13日あたりから、我先に報道をやり出します。 Yahooニュースなどは 「あなたにおすすめ」欄の2/3以上が松本氏関連記事で埋まるほどで、それまで様子見だったときと一転し、「みんなで渡れば怖くない」的報道で溢れかえっていったのです。(2024.1.14)


  

運命を左右する「スポンサーの動向」

 これから見守るべきは、このまま「文春記事」を後追いする大手メディアが現れないまま自然消滅していくか、はたまた、ジャニーズ性加害報道で隠蔽体質を糾弾された 『報道機関』が、名誉挽回に真実追及に動くか、という部分であり要注目です。

 ただ、たとえメディアが「知らぬふりを決め込み」動かなくても、昨今は スポンサーの動向が運命を左右する傾向が強まっており、ジャニーズ事件でもBBCが報道したことで まずスポンサーが動き仕方なく大手メディアもシブシブ報道に動く というお粗末な展開をみせつけました。 いまやスポンサーは文春が報じた疑惑が騒動になった時点即アウトと判断する風潮になっています。

 文春が暴いた旧ジャニーズの性加害問題が契機となり、人権問題に厳しい目を向けるスポンサー企業などのステークホルダー(影響を受ける利害関係者)は、 特に性加害事件には拒絶反応を示すようになったわけです。  今回も早速アサヒビールが昨年12月29日の松本氏が出演するテレビ番組で、 スポンサー企業としての社名表示(提供クレジット)を取りやめていたことが9日の朝日新聞の取材で判明しています。  アサヒビールは今回の対応について、 「報道を受けて総合的に判断した」(広報)と説明しています。

 さっそくスポンサー離れが始まったようですが、すでに2023年12月29日放送の松本氏がMCを務める『人志松本の酒のツマミになる話 2時間スペシャルin福岡』(フジテレビ系)では、ふだん10社以上のスポンサーが、 前後半合わせてもたったの6社だったとされます。  今の「企業の人権感覚」が問われる時代はスポンサーの決断スピードも早くなってきたようです。

 主なところだけでも、アサヒビール、サントリー、消費者金融のアコムが先陣を切った形となっており、2024年1月4日に放送された『ダウンタウンDX』(読売テレビ)でも、 提供欄に企業名が一切表示されない事態となりました。  松本氏からのスポンサー離れが急速に進んでいる ことがうかがえます。  スポンサーはわざわざテレビでCMを流さなくてもYouTubeに持って行けばいいということで強気に出るようになったわけです。 昨年のジャニーズ問題で、いまや 芸能人の生殺与奪権を握るのはスポンサー企業となったわけです。

 スポンサーの立場からすれば、問題視される芸人の番組に下手に名前を出せば、世間から猛反発を食らい売り上げはダウンします。  一方、人気芸人を使ってナンボのテレビ局も所詮は「スポンサー様のご威光」が絶対です。   したがって視聴者から問題視される芸人は、どんなに人気があろうが退場となる、というサイクルとなっているわけで、仮に裁判に全面勝訴したところで、すんなりテレビの世界に戻って来られるかどうかは分かりません。   ある意味「世論にシビアなスポンサーの存在」がテレビ放送の健全化に一役買っているとも言えます。

 松本氏は大阪万博のアンバサダーにも就任し、世界的にも注目が集まっていましたが、大阪府の吉村洋文知事は9日、「...事実関係が明らかになった時点での判断になる」 として「休止になる」と説明。  他のスポンサーも追随すると思われます。   日本国際博覧会協会の会長を務める十倉雅和経団連会長はアンバサダーの活動について「対応を検討する」と述べるにとどめています。(2024.1.10)

  

唐突に芸能活動休止を宣言した松本氏

 「四面楚歌状態」に追い込まれた形となっていた松本氏ですが、所属する吉本興業は8日、松本氏が当面芸能活動を休止すると発表します。    吉本興業は発表文の中で「松本から、まずは様々な記事と対峙して、裁判に注力したい旨の申入れがございました」とコメント。  裁判との同時並行ではこれまでのように お笑いに全力を傾けることができなくなってしまう、と説明しています。

 民事裁判で争うとしても、本人が出廷するのは裁判が進んだ段階の尋問のときぐらいとされ、普通は代理人の弁護士さん任せで本人が出ずっぱりになる必要はないとされます。  しかも最高裁判決まで何年かかるかわからないのに、 芸能活動を中止してまで裁判に注力する、というのはスゴイ根性ではあります。

 この唐突の撤退劇の背景は、やはりスポンサー離れが急速に進んでいる現状では、これ以上気勢を上げても、到底立ちいかないと判断せざるを得ず、「形勢は不利と観念したか」 という見方が広がります。  収録済みの番組などもあり、直ちに全ての放送を停止するわけではないようです。

 お笑い界を牽引し続けた大御所も、自身の女遊びの度が過ぎたようで、とうとう年貢の納め時となったようですが、松本氏は現在、個人で4本、コンビで3本の冠番組に加え、キングオブコントやM-1グランプリの審査員など、 特番のレギュラーも多数抱えており、日本のお笑い界の中枢を担っている人物でもありますから、この騒動によって多数の広告キャンセルが発生するとみられ影響は甚大です。

 ただ、今のところ松本氏はこのまま黙って退場する気はなさそうで、吉本興業の発表直後、X(エックス)に「事実無根なので闘いまーす。 それも含めワイドナショー出まーす」 と裁判闘争へ持ち込むことを報告しています。  かつて自身がコメンテーターを務めていた14日放送のフジテレビ系「ワイドナショー」で理由と決意を語るつもりのようです。    松本氏は出演について《ご挨拶のため、顔見せ程度ですよ》と投稿しています。

 これには、《....いやいや、松ちゃん、ワイドナショーじゃなくて記者会見やろ  ワイドナなんてイエスマンしかいないんだから、自分の言いたいことだけ言う感じで演説みたいになってヌルっと終わるやん》 と言う厳しい声もあります。  たしかに記者会見ではないので厳しい質問など出ないでしょうし、自己都合の一方的な内容を流せば、放送法に抵触する との指摘もあります。

 一方、フジテレビの番組担当者や編成幹部などには事前の根回しが済んでいなかったとされ、「活動休止宣言のことも含めて何も聞いていなかった」と動揺していたといいます。    最終的には、14日の放送に松本氏を出演させる方向で決着したようで、関係者は「慎重に世論の声も聴きながら、松本さん側と綿密に打ち合わせを重ねて当日を迎えることになるだろう」と話しています。     ここにも自己弁護の場として出演テレビさえ操れる社会的強者の驕り(わがままな振る舞い)が見られるのは確かです。(2024.1.10)


  

悪手だった唐突の「ワイドナショー出演」宣言

 1月10日、松本氏が自身のXで投稿していた『ワイドナショー』(フジテレビ系)出演話は、結局出演しないことが明らかになります。   かなりのドタバタぶりですが、ここ数日の松本氏、吉本興業、テレビ局それぞれの動きには混乱ぶりがうかがえます。 この急転直下の舞台裏について芸能関係者は、

《....フジテレビが公式に発表するよりも先に松本さんがXで出演を予告したため、フジテレビ側にとっては“寝耳に水”のことでした。 松本さんは23年3月に『ワイドナショー』を卒業しているだけに、 今回の行動には“番組を私物化しているのでは”と怒りを覚えるフジテレビ関係者もいました。

松本さんに関する今回の報道はあくまで疑惑の段階です。 しかし、フジテレビとしてはかつてレギュラー出演していた『ワイドナショー』だとしても、被害を訴える人がいる以上は 松本さんの主張だけを放送するわけにはいかないという放送局としての報道姿勢を示し、松本さんの出演を見送る判断に至ったようです》としています。

 そもそも、この期に及んでの『ワイドナショー』出演宣言は周囲から懐疑的な声もあり、放送作家の長谷川良品氏はXで、《...会見の代替えとして同番組出演を考えられているのなら 「公共財である電波を使って古巣の番組で釈明」という意味においてかなり悪手》と苦言を呈しています。  朝日新聞も9日、「松本さんが自分の主張だけを述べて番組が終われば、 公共の電波を使って片方の主張をPRしているだけになる」としています。

 フジテレビ広報部に取材した「女性自身」誌によると、《...吉本興業と協議の上、総合的に判断しました》という回答があったといいます。  まあ、それぞれ言い分はあるでしょうが、 ナンダかんだ言っても出演取り止めとなった最大の要因はやはり世間の否定的反応だったとされます。  結局、このドタバタ劇は、当初松本氏が一方的に「出まーす」と宣言し、 その後「顔見せ程度」にとトーンダウンしたと思ったら、最終的には取りやめとなったわけで、二転三転する事態にネット上でも困惑する声が寄せられています。

 実際、ここまで形勢が不利な状況では「出演したとして、何をしゃべるの?」という話であり、出演宣言からしてそもそもムチャぶりだったわけで、 サスガの松本氏もやや迷走気味になっていたのかもしれません。(2024.1.11)


  

吉本興業を沈黙させた「文春砲第二弾」

 10日発売の文春続報は、松本氏サイドの新たな手口の悪辣さを伝えています。 A子さんが松本氏から迫られている時、小沢氏から『いまどんな感じですかー? 大丈夫?』、『無理すんなよ』 というアリバイメッセージが、松本氏サイドに没収されていたA子さんの携帯に送られていたというのです。

 しかも、松本氏サイドが無罪の証拠として「週刊女性PRIME」に暴露したA子さんのLINE画像は、 そのアリバイメッセージ部分は丸々カットしていたシロモノだったというのですから、この連中はA子さんのLINEを利用して アリバイ工作と証拠改竄までやっていたわけで、やり口はかなり計画的です。

 これにはA子さんも怒り心頭らしく、《...今後、裁判になったとしたら証言台で自分の身に起きたことをきちんと説明したいと考えています》と断言しています。

 こんな用意周到で計画的、かつで悪辣(あくらつ:たちが悪い)な手口を使う連中なら、後々悪事が外部に漏れないよう事前に女性たちの携帯を回収し予めLINEの文面を入力しておき、 被害者を脅してこの偽装LINEを後で送信させる工作でさえやりかねません。

 さらに、文春が入手したA子さんの別LINEには、《...ここだけの話だけど昨日の会はマジ◯◯ちゃん(友人の名前)は来なくて良かったよ!危なかったよ》、《強制的にそういう流れになって私はやんわり対応して 最後のところはギリギリ守れたけど、断れなくて最後までって人もいたから》と記されているといいます。

 この松本氏を中心に据えた“性接待”は、大阪の「ザ・リッツ・カールトン」、福岡の「グランドハイアット」のスイートルームでも行なわれていたことは、 2015年から2019年にかけて参加した3人の女性が事実関係を認めており、その体験を明かしているともされますから、もうこれ以上言い逃れは出来そうもないでしょう。

 文春によれば、《...吉本興業に対し、後輩芸人が、松本に女性を斡旋していたことなどを尋ねると、概ね次のように回答した。   「貴誌前号に対して名誉棄損による訴訟提起を予定しております。  本質問状にあるような事実を記載して、新たに名誉を棄損する記事を発売されるのであれば当然に法的措置を講じるのでその旨予告します」.....》、という対応ぶりだったようですが、

 ところが、その後何があったのか、《この回答送付から約4時間後、吉本興業は松本の活動休止を発表した》、という流れになったわけです。(2024.1.9 週刊文春 2024年1月18日号)

 吉本興業も「文春砲第二弾」の直撃を受け、これ以上庇いきれないとみたか、匙を投げた(さじをなげた:見込みがなくて手を引く)ようです。

 もともと現、吉本経営陣の岡本昭彦社長と藤原寛副社長は元ダウンタウンマネージャーであり、力関係では完全に松本氏が上とされ、進言や忠告ができる人間は皆無だったといいます。   2023年には後輩芸人の声をうけてか、松本氏が吉本の幹部に『中堅芸人のギャラを上げてくれ』と要求したそうですが、これを幹部は渋ったため、経営陣と松本氏の溝が深まっていたという話もあります。(日テレ関係者)   必死で庇う関係でもなかったようです。(2024.1.12)

 その後、吉本興業の擁護姿勢は《当該事実は一切なく》から《性的行為を強要したことはない》、そして《回答を差し控える》と微妙にトーンダウンしていきます。(2024.1.19)


「人気芸人による性加害事件」の行方はどうなる

  この突然の活動休止宣言の背景には、疑惑の決定打となるような証拠や告発、続報がまだまだあると知って、逃げ切れないと観念して白旗をあげた、という事情があったのかもしれません。    これで松本氏はテレビから消えていくかもしれませんが、このまま「人気芸人による性加害事件」は幕引きとなるのでしょうか。

 この手の問題は松本氏だけがやらかしているわけでもないでしょうし、松本氏の取り巻き連中もいたわけで、そういう輩が何の罪にも問われないというのでは、釈然としません。   ジャニーズ事件では日本の警察は全く動いていないようですが、似た事件が起きたイギリスは事件発覚後ロンドン警視庁が捜査に着手し、独立した組織を立ち上げ 徹底的に捜査したといいます。  日本ももう少し警察なりが動き、 日本社会からこのような卑劣な犯罪が無くなるよう本気で取り組むべきですが、いまのところその対策は、「文春が悪事を暴き、スポンサーが息の根を止める」というところが精一杯のようです。

 松本氏がたとえ裁判に持ち込んでも、文春記事は被害者証言を載せているだけですし、キチンと松本氏にも取材しており、はたして名誉毀損を争えるのか微妙です。 最高裁まで争えば、少なくとも1年半から2年はかかり、 また、和解に持ち込み解決したとしても、芸能界復帰はスポンサーが拒否するでしょうから、テレビ界からはこのまま引退という流れも十分にあります。

 松本氏はさらなる深手を負うかもしれない法廷闘争へとやる気満々のようですが、名誉毀損の裁判を起こしたとしても、文春の取材力と裁判対応能力は侮れず 松本氏が完全にシロと認定され勝訴まで持ち込むことはかなり難しい情勢と見られています。  それどころか、これまで性交だけが取り締まり対象だった「強制わいせつ罪」は、 2023年から「不同意性交等罪」、もしくは「不同意わいせつ罪」へ代わりパワハラ・セクハラも無理強いと見なされ、成立要件のハードルが下がっていますから、松本氏の対応如何では、 ヘタすると被害者側が「刑事事件に訴える」可能性もでてきます。

 性的被害を受けたと明らかにしているのは「A子さん」、「B子さん」に留まらないと見られていますし、文春もまだまだ隠し弾は持っているとされますから、松本氏の勝ち目は薄そうで、 この騒動が本当に法廷へ舞台を移して争われるか、もしくはブラフ(虚勢・ハッタリ)なのか、もうしばらく様子を見る必要がありそうです。

 いずれにせよ、2023年のジャニーズ「性加害事件」騒動といい、今回の松本氏の性加害報道といい、やっと日本も「性加害は社会的強者であろうが社会が許さない」 という風潮が拡大しつつあるようで、正月早々、まことに「メデタイ」スタートとなったようです。   「文春砲恐るべし」を再認識させられた騒動でした。(2024.1.9)

 しかし、翌日朝の各テレビ局のワイドショー番組で、この「松本氏芸能活動休止」を大きく深堀報道する局はほぼありませんでした。  大手メディアにはまだまだ「忖度」が蔓延っているようです。(2024.1.10)


  

松本氏は本気で裁判へ突き進むのか

 お笑い界を牽引し続けた大御所の松本氏ですが、周囲からも旗色が悪いと見限られたか、ここ数日のうちにますます逆風が止まらない様相を呈してきた結果、 真偽が明らかになる前にもかかわらず、松本氏離れが加速し「芸能活動中止」を決心せざるを得ないところまで追い込まれました。

 いまのところ松本氏は裁判に傾注するハラのようですが、一方の「週刊文春」も《...一連の報道には十分に自信を持っており、現在も小誌には情報提供が多数寄せられています。  今後も報じるべき事柄があれば、慎重に取材を尽くしたうえで報じてまいります》として、一歩も引く気配は見えません。  A子さんも《...今後、裁判になったとしたら証言台で自分の身に起きたことをきちんと 説明したいと考えています》と断言しています。

 これまで、「強制性交等罪」と呼ばれていた性犯罪は、2023年から「不同意性交等罪」という呼び方に変更になりました。  「不同意性交等罪」とは 「同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態」、つまり「相手を抵抗できなくする、または抵抗できないことに乗じて性交等をすること」の場合に成立する犯罪で、 『社会的経済的な地位を利用して性行為を迫る』ことも不同意性交罪に入るというのですから暴行・脅迫がない場合であっても犯罪となる範囲が広くなっています。

 「松本さんは相手から事後に“お礼”のLINEがあったと一部で報じられているように、性行為の同意があったと主張する方針かもしれません。  ですが、 その時はそう返信せざるを得なかったと女性側が主張したら不同意性交にあたる可能性がある。  昨年、 強制性交等罪から不同意性交等罪に改正されたこともあり、性犯罪の罰則は厳しくなっています」(法曹関係者)

 さらに「その事態に直面して恐怖し、若しくは驚愕していること」も性犯罪の原因事由になるといいます。 被害者の証言によれば「意図せずに二人きりの部屋に誘われ」、 「抵抗し難い立場に置かれ」、「同意していないにもかかわらず」、「強引に性的行為を強いられた」状況のようですから罪に問われる可能性は高そうですし、たとえ性行為まで至らなくても「不同意わいせつ罪」もあります。

 いままでの性犯罪事犯では、被害者側が性関係に同意していなかった証拠は、被害者が提示しなければならず、立証が不可能・困難なケースも多く、これが被害者を苦しめていました。    これからは、加害者側が同意の存在・内容を証明する必要が生じてくるのではないかともいわれます。 つまり、松本氏が「同意があった」と主張しても、 女性の証言の方が重視される法律に変わっているわけです。

 野村修也弁護士は早期和解の可能性について《...和解することで事実を認めたように見える可能性もある。 松本さん自身の信用を回復することが大きな目的だとするならば、 裁判を続けていく可能性の方が大きい》と推察します。

 過去の名誉毀損判例では、週刊誌側が摘示された事実を真実だと信じることに相当の理由があれば、不法行為は成立しないとされ、本村健太郎弁護士は「週刊誌側はまず、記事の内容が真実だと立証し、 それで証明できれば終わり。 証明できなくても、女性から十分に聞き取って『間違いない』と確信できる事情があれば、週刊誌側が勝訴する」と指摘します。

 文春側が真実だと信じるに足りうるとした「傍証」の一つに、文春によればA子さんは、「港区にある法律事務所で、弁護士同席のもと、取材に応じた」といいます。

 いずれにせよ、被害者の数は一人や二人ではなさそうですし、被害者たちの「LINE」という物的証拠も残っており、「真実相当性」という線は固そうです。  さらに文春の取材力は侮れず、松本氏が完全にシロと認定されるのは難しい 情勢と見られています。   はたして松本氏はこういう状況の中、本当に裁判闘争へ突き進むのか、注目されます。(2024.1.11)


  

松本氏、文春を提訴

 22日、松本氏は昨年末に発売された文春や文春デジタルの記事に対して、損害賠償請求と訂正記事による名誉回復を、株式会社文藝春秋と文春編集長に求め、民事提訴に踏み切ります。    いまのところ訴えは昨年12月27日発売号だけのようです。  代理人弁護士は「記事に記載されているような性的行為やそれらを強要した事実はなく、およそ『性加害』に該当するような事実 はないということを明確に主張し立証してまいりたい」とコメントしています。

 当初松本氏は事実無根だから戦うと宣言していましたが、コメントではその主張を述べていないところを見ると、いくつか性行為があったことは認めるが、合意の上だから問題ない、 とする戦法に切り替えたようです。 しかし、力関係を利用した合意もあり得るわけで、重要なのは合意の中身とそこに至った状況です。 携帯まで取り上げておきながら合意と主張するのは、やはり相当ムリがあります。

 高額請求の割に松本氏の代理人を務める弁護士はたった一人のようで、その田代政弘弁護士は、東京地検特捜部時代に、小沢一郎衆院議員の資金管理団体を巡る「陸山会事件」を担当。   事実と異なる捜査報告書を作成したと刑事告発されますが嫌疑不十分で不起訴に。  減給6カ月の懲戒処分となり、辞職した経緯がある所謂「ヤメ検」弁護士のようです。  これについてX(旧ツイッター)上には、 「検事のときにチョンボやって、懲戒処分受けてるんだ。 大丈夫か?」、「もっと高名な弁護士を雇えなかったのか?」などのコメントが挙がります。

 松本氏側は《『性加害』はしていない》としているわけですが、文春は《性加害があった》と断定しておらず《被害者の声》を掲載しているだけ、 と主張すれば『性加害』があったかどうかは争点にならないだろうという声が多いようで、今後の裁判の見通しについては、メディアで見かける弁護士のほとんどは「松本氏不利」としているようです。

 過去文春との裁判を経験した医師の木下博勝氏は、文春側が《真実だと記者が信じる理由があった(真実性の証明)》と主張すれば、たとえ嘘で松本さんが全く事実無根であったとしても 《取材がいい加減であったと松本さん側が証明するのは、ほぼ不可能》であり、裁判において女性が証言することを拒んだり信憑性に疑念が持たれない限り、裁判で文春が負ける事は無いとしています。

 ただ、「真実性の証明」の「立証責任」は文春側にあり、裁判では記事を裏付けるだけの信用性のある証言や物証を得ていたのか否かがポイントとなるので、 証拠を提出し、一つ一つ立証しなければならないとされます。

 以前にあった文春と霜降り明星・せいや氏の裁判では、文春は「記事には十分に自信を持っています」とのコメントを出していましたが、東京地裁はプライバシーの侵害に当たるとし330万円の支払いを命じ 文春が敗訴しています。  このときはセクハラ被害を訴えていた女性は出廷せず、陳述書すら提出されなかったそうですが、今回も同様の事態は十分考えられます。

 約5億5000万円の損害賠償請求についても、《...松本さんが...相当なレギュラー数を持っていて、それで休業ということになっていることからすれば、驚くような金額ではない》という声がある一方、 休業は自発的な活動中止の結果と見なされ、「法律上の因果関係は認められない」かも知れず、したがって得られたであろう利益まで請求するのは難しい、 と見る向きもあるようです。

 今後の裁判の審理では松本氏との飲み会に参加した芸人が証言を求められる可能性もあり、これに応じて証言するか敬遠するかで「松本派」か「非松本派」かの「踏み絵」を迫られるわけですが、すでに一連の報道において、 擁護を思わせる立場を取った芸人たちはSNS上で批判される事態が起きています。  これでは「松本派」でいきたくても、もし松本氏が敗訴すれば同じ穴の狢と見なされかねず、 大きなダメージを受けますから悩むところでしょう。(2024.1.23 YAHOO!ニュース引用)


 

今後の裁判の行方

 そもそも、この事件は芸能界の権力者が不同意の性交渉を要求する目的で、手下を使って一般女性をホテルに誘い込み、有無を言わさないようセットしてコトに及んでいた、という悪質な行為であり、 本来であれば名誉棄損などというレベルで争う話ではないでしょう。  ヘタしたら刑事事件になる問題です。

 しかも、所属する吉本興業は、発覚当初、不同意性交の温床となった会合自体があったことを全面否定するようなコメントを出していますが、この手口は昔から何度も行われており被害者は一人二人ではないようです。   手先となって動いた芸人も一人ではなさそうで、こうなると株主の多くは民放テレビ各局である吉本興業のコンプライアンスも問題視されるでしょう。

 今回の松本氏の問題は、性加害の適用範囲を拡大させるため、2023年7月、従来の強制性交等罪、準強制性交等罪を、不同意性交等罪に改正した直後に発覚した事件です。    これまでは、《ノコノコついていく被害者も悪い》、などという意見が当たり前に出ていましたが、今度の法改正では性加害があったかどうかではなく、事態が予測不可能な状態においては、 信頼関係がない相手との性行為を行ってはならないとされました。

 裁判所が文春報道をどう判断するか、松本氏側の振る舞いを事実と認定するか、まさに「不同意性加害事件」を裁判所が新ルールに則りどういう判断基準で裁くのか、 今後の同様裁判のモデルケースとなるわけで、それを踏まえれば裁判官の心証としても加害者側に厳しい態度で臨むことが予想されます。

 今後の裁判の行方ですが、元週刊文春・月刊文芸春秋編集長 木俣正剛氏は 《...現在の裁判所は経費節減に熱心な裁判官ほど優秀とされ、上司に評価されるため、長引く裁判を嫌う裁判官が多く、 すぐに和解交渉にもっていくケースが常態化していることです。 ドラマのように、何人も証人が出る裁判は少なく、訴状と答弁書、さらには証人の陳述書をもとに、裁判官が早期に和解案を提示することが、極めて多い》ので、 《...一審そのものは、それほど時間がかからない》と予想します。

 そして、≪...松本氏にとって相当厳しい裁判闘争になることは確実≫であり《...もし報道が真実だとしたら、松本氏は全被害者に対して謝罪あるいは賠償を行う、 もしくは島田紳助氏のように引退する、といった選択をするほうが、家族やファンを悲しませずに済む》としています。

 ≪...松本氏が性交渉を強要していないと証言しても、セクハラなどで「権力がある側の証言に信憑性はない」と判断するのが、法曹界の常識です。  ましてや、 今回は何人もの被害者が名乗り出ています。》

 ≪...この手の裁判では現在の裁判では、証言台に衝立を立てたり、ビデオで証言したりとレイプ被害者などの保護が重視されており、さらに被害者がレイプしたとされる人間と直接視線を合わせて恐怖を感じないように 配慮されているのが通常だといいます。 つまり、被害者が恐怖心から証言を翻意する、証言台で緊張して真実を語れない、といった可能性は低いと考えられます。》

 一方で、「フライデー」元編集長・元木昌彦氏のように、《...この国の名誉毀損裁判では、訴えられたメディア側、つまり文春側が、「記事は真実であり、これを報じることには公共性、公益性があった」 と立証しなければならないという“不当な縛り”がかけられている》、《欧米では、名誉毀損で訴えた側、つまり今回なら松本人志側に立証責任があるが、この国の司法には「メディア、 特に週刊誌は嘘を書く」という“偏見”がいまだに根強くある》、と文春側に厳しいものになるという声もあります。

 マスコミは「松本人志が動いた」などと大袈裟に言います。 お笑い界の大御所・松本氏とすれば、人気絶大の自分にひれ伏さない人間はいないわけで、ホテルでの出来事も当然合意の上だった、という認識があるのかもしれません。  奥さんと子供もいることですし、このまま「性加害者の汚名」を着せられたまま生き恥をさらすわけにはいかないという思いもあるのでしょうが、 松本氏にとって厳しい闘いになることは確実です。(2024.1.28)




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