二次不等式の解が「全ての実数」「解なし」になる

二次不等式の解が「全ての実数」「解なし」になる場合。これを難しい二次不等式、と思う高校生がいますが、これも、オープンとクローズで、簡単にできます。不等号の左が開いていたらオープンです。

オープンとクローズについては二次不等式の解の安直な覚え方を見てください。

(X-3)2=0の判別式D=0です。

  • 二次不等式(X-3)2>0の解は、3を除く全ての実数
  • 二次不等式(X-3)2≧0の解は、全ての実数
  • 二次不等式(X-3)2<0の解は、解なし
  • 二次不等式(X-3)2≦0の解は、X=3

図で表せば、下のようになります。判別式=0の場合の二次不等式

「全ての実数」「解なし」になる場合は4通り

二次不等式の左辺を因数分解した時、( )の二乗になる事があります。(X−3)0と(X−3)0を例にして説明します。

不等号の向きと=の有無で、次の4つの場合に分類できます。

  1. (X−3)0。左が開いているオープン。=が無いから「3」の所は白○ 二次不等式の解がオープン白丸 解は、「Xは3をのぞく、全ての実数」です。(白○の3をのぞく)
  2. (X−3)0。左が開いているオープン。=が有るから「3」の所は黒● 二次不等式の解がオープン黒丸 解は、「Xは、全ての実数」です。(黒●の3を含める)
  3. (X−3)0。左が閉まっているクローズ。=が無いから「3」の所は白○ 二次不等式の解がクローズ白丸 解は、「解なし」です。(白○の3をのぞくから)
  4. (X−3)0。左が閉まっているクローズ。=が有るから「3」の所は黒● 二次不等式の解がクローズ黒丸 解は、「X=3」です。(黒●の3だけを含めるから)

二次不等式のほとんどは、オープンとクローズ(OC)の解法で、できる。

二次不等式の中で、判別式D<0となる場合

判別式D<0となる二次不等式の場合は、オープンとクローズで解けない。

二次不等式の問題:X+aX+b>0をX+aX+b=0という二次方程式にかえた時、判別式D<0となる場合です。

二次不等式の例題:X−6X+11>0。この時、判別式D=36−44=−8、負なので、左辺は因数分解できません。

この二次不等式の左辺は、(X−3)+2>0と平方完成します。平方完成の公式を丸暗記してはダメへ

(X−3)は、どんなXでも、正または0ですから、(X−3)+2は常に正です。

よって、この二次不等式は、どんなXでも成り立ちますから、解は「全ての実数」となります。

判別式の正負と解の関係

二次不等式の左辺=0とした時の判別式Dの正負0と解が「全ての実数」、「解なし」等になるのは、以下の通りです。

判別式が負の場合

例:二次不等式の左辺が(X−3)+2の場合、(X−3)+2=X−6X+11=0とした時の判別式D=62−4×11=−8で、負となります。

  1. (X−3)+20。解は、「全ての実数
  2. (X−3)+20。解は、「全ての実数
  3. (X−3)+20。解は、「解なし
  4. (X−3)+20。解は、「解なし

判別式が0の場合

例:二次不等式の左辺が(X−2)(X−2)の場合、(X−2)(X−2)=X−4X+4=0とした時の判別式D=(−4)2−4×4=0で、0となります。

  1. (X−2)(X−2)0。解は、「X=2以外の全ての実数
  2. (X−2)(X−2)0。解は、「全ての実数
  3. (X−2)(X−2)0。解は、「解なし
  4. (X−2)(X−2)0。解は、「X=2

判別式が正の場合

例:二次不等式の左辺が(X−2)(X−3)の場合、(X−2)(X−3)=X−5X+6=0とした時の判別式D=(−5)2−4×6=+1で、正となります。

  1. (X−2)(X−3)0。解は、「X<2、3<X
    オープン。
    =がないのでX=2,X=3は含まれない。
  2. (X−2)(X−3)0。解は、「X≦2、3≦X
    オープン。
    =があるのでX=2,X=3も含まれる。
  3. (X−2)(X−3)0。解は、「2<X<3
    クローズ。
    =がないのでX=2,X=3は含まれない。
  4. (X−2)(X−3)0。解は、「2≦X≦3
    クローズ。
    =があるのでX=2,X=3も含まれる。

最後まで読んでいただいて、ありがとうございました。