三次方程式が因数分解できない時は(X-解の候補)で割る

  • 三次方程式X+8=0は因数分解の公式を使って、(X+2)(X-2X+4)と因数分解できます。
  • しかし、f(X)=X+X+2X-4 は公式が使えないので、因数分解できません。このf(X)を因数分解する手順は以下のとおり。
    1. 定数項(-4)の約数をヒントに、f(X)=0の解の候補を見つけます。解の候補は、X=1です。
    2. f(X)を(X-解の候補)で割ります。具体的には(X-1)で割ります。組立除法は使いません。
  1. f(X)=X+X+2X-4を(X-解の候補)で割る

    小学校の時に習った割り算の筆算と同じようにします。

    ⅰ解の候補X=1の見つけ方は後述。

    三次式を一次式で割る筆算で因数分解する X+X+2X-4=(X-1)(X+2X+4)と、因数分解できます。

    多項式の除法 筆算でのやり方

    多項式(X+X+2X-4)を(X-1)で割ります。 組立除法は使いません。小学校の時に習った割り算の筆算と同じようにします。

    1. +X+2X-4先頭X-1先頭Xだけを見てを立てます。X-1をかけて、-X。引き算して2X、そして、+2Xを下ろします。
    2. 2X+2Xの先頭2XX-1の先頭Xだけを見て+2Xを立てます。 +2XX-1をかけて、2X―2X。引き算して4X、そして、-4を下ろします。
    3. 4X-4の先頭4XとX-1の先頭Xだけを見てを立てます。X-1をかけて、4X-4。引き算して0。
      f(X)=X+X+2X-4=(X-1)(X+2X+4) と、因数分解できました。

    ややこしい感じがしますが、先頭だけを見るという事に注意すれば、小学校の割り算と同じです。組立除法より簡単な理由がここにあります。

    小学校の整数の割り算 筆算でのやり方

    741÷3の筆算これは、小学生のレベルですから、以下の説明を見る必要はないでしょう。前の多項式の除法との関係で書きました。

    1. 7とを見て、を立てます。をかけて、。引き算し、4を下ろします。
    2. 14とを見て、を立てます。をかけて、12。引き算し、1を下ろします。
    3. 21とを見て、を立てます。をかけて21。引き算し0。
  2. 解の候補の見つけ方 定数項の約数

    三次方程式f(X)= X+……+定数項=0 の整数解(有理数解)が1個あるとして、それがX=aだとすると

    f(X)= (X-a)(X+BX+C)と、因数分解されます。

    f(X)= (X-a)(X+BX+C)を展開すると、X3+……-aCです。よって、

    f(X)= X3+…+定数項=X3+…-aCとなります。つまり、定数項-a×Cですから、解の候補aは定数項の約数になります。

    解の候補と定数項の約数の関係

    • Xの係数が1の時

      f(X)= X+BX+CX+定数項D=0の場合、解の候補は定数項Dの約数です。

      例 f(X)=X+X+X-4=0の場合、解の候補は定数項-4の約数、(±1、±2、±4)です。

       f(1)=1+1+2-4=0 となるので、解の候補はX=1で、因数定理より、f(X)は(X-1)で割り切れます。

      X+X+2X-4=(X-1)(X+2X+4)と、因数分解できます。(多項式の除法 筆算でのやり方による)

三次方程式が因数分解できない時の解法まとめ

X3の係数が1の時。f(X)=X3+BX2+CX+定数項D=0 を因数分解するには。

  1. 三次方程式の定数項Dの約数(d1,d2,…とする)を全て上げる。
  2. f(X)が因数分解できるならば、(d1,d2,…)の中に最低1個はf(X)に代入した時にf(X)=0となるものがある。それをdnとする。
  3. 因数定理より、f(X)は(X―dn)を因数に持つ。
  4. 多項式の除法で、f(X)を因数(X―dn)で割る。
  5. f(X)は、上記の計算の商と(X―dn)の積として因数分解できる。

X3の係数が1でない時。f(X)=AX3+BX2+CX+定数項D=0 を因数分解するには。

  1. 三次方程式の定数項Dの約数とそれらをX3の係数Aで割ったもの(d1,d2,d3,d4…とする)を全て上げる。
  2. 以下、X3の係数が1の時と同じ。
  3. f(X)は、上記の計算の商と(X―dn)の積として因数分解できる。

最後まで読んでいただいて、ありがとうございました。