因数分解たすき掛けを使わない 応用

たすき掛けした積

二次方程式の因数分解で、暗算が得意な人は、たすき掛けを使いません。

因数分解後の(2X+a)(X+b)の候補a,bについて、次の3つの場合に分けて解説します。

  1. 候補が1種類の場合。ただし、(2X+a)(X+b)と、逆の(2X+b)(X+a)の2通りを考えます。
  2. 候補が1種類で、引き算になる場合
  3. 候補が2種類ある場合
  1. 因数分解の問題。候補が1種類の場合

    例題:2X+7X5…候補が1種類の場合(基礎)

    1. 2Xがでるためには、答えは(2X+a)(X+b)という形になるから、とりあえず、(2X− )(X− )と書きます。

      次に空欄の所はかけて「5」になる数ですから、候補は「1、5」か、「5、1」です。(符号はまだ考えない)とりあえず「1、5」から、頭の中で考えます。

    2. (2X−)(X−)。( )を外す事を考えると、10Xと1Xが出てきますが、(符号はまだ考えない)

      これは足しても引いても7Xにならないから、失格。そこで、

    3. (2X−)(X−)と書きます。( )を外す事を考えると、2Xと5Xが出てきますが、足せば7Xになりますから候補です。

      足して「7」になるように、縦線を入れ、2つの−を+にして、因数分解の結果は(2X5)(X1)となります。

  2. 因数分解の問題。候補が1種類で、引き算になる場合

    例題:2X+3X5…候補が1種類で、引き算になる場合

    1. 2Xがでるために、とりあえず、(2X− )(X− )と書きます。

      空欄の所はかけて「5」になる数ですから、候補は「1、5」か、「5、1」です。(符号はまだ考えない)とりあえず「1、5」から、頭の中で考えます。

    2. (2X−)(X−)。( )を外す事を考えると、10Xと1Xが出てきますが、(符号はまだ考えない)

      これは足しても引いても3Xにならないから、失格。そこで、

    3. (2X−)(X−)と書きます。( )を外す事を考えると、「2X」と「5X」が出てきますが、引けば「3X」になりますから候補です。

      「3X」=「5X」−「2X」ですから、「+3X」になるように、縦線を入れ、1つの−を+にして、因数分解の結果は(2X5)(X−1)となります。

  3. 因数分解の問題。候補が2種類ある場合

    例題:2X15X−8…候補が2種類ある場合。ちょっと難しいかな。

    1. 2Xがでるために、とりあえず、(2X− )(X− )と書きます。

      空欄の所はかけて「8」になる数ですから、候補は「1、8」か 「8、1」か 「2、4」か 「4、2」です。(符号はまだ考えない)とりあえず「1、8」から、頭の中で考えます。

    2. (2X−)(X−)。( )を外す事を考えると、「16X」と「1X」が出てきますが、(符号はまだ考えない)

      これは引けば「15X」になりますから、候補です。

      「15X」=「16X」−「1X」ですから、「+16X」になるように、縦線を入れ、1つの−を+にして、因数分解の結果は(2X−1)(X8)となります。

      念の為、残りを調べると。

    3. (2X−)(X−)の場合。
      ( )を外す事を考えると、8Xと2Xが出てきますが、足しても引いても15Xにならないので、失格。
    4. (2X−)(X−)の場合。
      ( )を外す事を考えると、2Xと8Xが出てきますが、足しても引いても15Xにならないので、失格。
    5. (2X−)(X−)の場合。
      ( )を外す事を考えると、4Xと4Xが出てきますが、足しても引いても15Xにならないので、失格。

たすき掛けを使う方法

2X2+3X-5を例に説明します。

たすき掛けを使う場合、以下の4通りを調べないといけませんが、暗算で解くと、消しゴムもノートも節約できます。

  1. (2X−5)(1X+1)
  2. (2X+1)(1X−5)
  3. (2X−1)(1X+5)
  4. (2X+5)(1X−1)

たすき掛けした積の和を計算します。積の和がXの係数+3になれば、正解です。

たすき掛けは面倒
  1. 積の和=2×(+1)+(−5)×1=−3(だめ)
  2. 積の和=2×(−5)+(+1)×1=−9(だめ)
  3. 積の和=2×(+5)+(−1)×1=+9(だめ)
  4. 積の和=2×(−1)+(+5)×1=+3(正解)

たすき掛けを使わない方法

  1. 2X2+3X-5。X2の係数がなので、とりあえず(2X− )(X− )と書く。確定している所だけを書きます。+はまだ不確定。
  2. 空欄は、A「1 5」かB「5 1」。(符号はまだ考えない)
    • (2X−1)(X−5)。( )を外すと10Xと1Xが出る。10Xと1Xは、足しても引いても+3Xにならないので、終了。
    • (2X−5)(X−1)。( )を外すと2Xと5Xがでる。2Xと5Xは、引けば+3Xになるので可能性あり。
  3. 5の前の符号をにすれば、(2X5)(X−1)となり、消しゴムを使わずに暗算で、できました。

因数分解で、たすきがけは使わない(準備)も見てください。

因数分解で、「たすきがけを使わない」を主張するサイト(外部リンク)

  • 問題: 2X 2 + 3X5

    1. 2X 2 + 3X5
      = 1 2 ( 2×2X 2 + 2×3X2×5 )

      X 2 の係数2を式全体に掛け,さらに、逆数の 1 2 を掛けた。

    2. = 1 2 { (2X) 2 + 3×2X 10 }
      = 1 2 { A 2 + 3×A 10 }

       (2X)=Aとした。

    3. = 1 2 ( A + 5) ( A - 2)

       A 2 の係数が1なので、たすきがけを使わずに因数分解。

    4. = 1 2 ( 2X + 5) ( 2X - 2)

       A=2Xに戻した。

    5. = ( 2X + 5) ( X - 1)

        1 2 を後半の( )にかけて、( )を外した。

    詳しくはシグマ先生の【たすきがけ不要】たすきがけを使わない因数分解【2通りの方法をご紹介】へ(外部リンク)

    i=1 11 lawyeri

  • 因数分解でたすき掛けを使うと思いますが、自分はたすき掛けの方法を覚えていません。なぜなら、使う必要がないからです。使わなければ覚える必要もなく、覚えなければ忘れることもないのです。

    詳しくは【たすき掛け不要論】二次式の因数分解を暗算でするへ(外部リンク)

最後まで読んでいただいて、ありがとうございました。