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日本の国力

 21世紀もすでに20年近く過ぎましたが、最近、もう日本は豊かな国ではない、少子高齢化が進む日本はいずれ衰退する一方だ、などという悲観論が増えてきています。  たしかに戦後の復興期とか、 世界市場を席巻した高度成長期のような勢いはもう見られませんが、ドッコイ、日本はズルズル衰退していくようなヤワな国ではありません。     日本の経済成長は1950年代中ごろから始まり、1968年には国民総生産が米国に次ぐ2位になるまでの高度成長期を遂げました。

 それ以後、1973年の石油危機(オイルショック)により日本経済の高度成長は終わりを告げ、以後安定成長期路線へと向かい今に至ります。  対外投資も積極的に進めており、 日本は「世界最大の対外純資産国」となり2020年末には357兆円と、30年連続で世界一です。

 21世紀においても、日本の伝統工芸、伝統芸能等にみられる、日本人が古来から自然と一体になり育み醸成してきた、「匠の精神」は旺盛であり、 各分野にこの精神が生きています。    日本は伝統工芸品も優れていますが、科学技術分野でも世界最先端を走っているという、 まさに「モノづくり大国」です。

 たしかに家庭電化製品など人々の目に触れる汎用製品のようなものはいまや他国メーカーが優勢ですが、いまの日本はそういう下流のモノづくりではなく、上流の基幹パーツや素材難易度の高い製品の生産が主流で、 いわば「縁の下の力持ち」となっており、世界の産業は日本製のものがないとモノが作れない、という流れになっています。

 いろいろな分野で世界一の製品を生み出す日本人は、「模倣しかできないサル」などとと揶揄されたりしますが、 ノーベル賞受賞者の数は非欧米国としては最多を誇り、 アジアの国で唯一世界トップ10に入っており、日本は突出しています。(2020.2.2)

 慶應義塾大学大学院教授の小幡績氏は、『 ....日本の有識者や世間の議論の悪いところは、世界でいちばんのものを持ってきて「それに日本が劣る」と騒ぎたて、 「日本はダメだ、悪い国だ」と自虐して、批判したことで満足してしまうことだ。  社会保障はスウェーデンと比較し、イノベーションはアメリカと比較し、 市場規模は中国と比較する。  そりゃあ、さすがに勝ちようがない』と看破します。   まさに同感です。(2023.9.3)


  

日本は世界で唯一「給与が上がらない国?」

 日本を批判するとき真っ先に口にするのが「日本は唯一給与が上がらない国」というものです。  しかし、上がればいいというものではないでしょう。 それと同調し必然的に物価も上がるのですから。     日本以外は給与が上がっていると言っても、英国では一家計あたりの年間エネルギー関連の支出だけで100万円超の見込みとなりそうだといいますから、ちょっとやそっとの賃金アップでは追いつけません。

 賃金上昇が著しい米国にしても、2020年頃はガソリン価格は1リッター/77円だったのが、いまや約177円。 マックセットは10.50ドル(1,417円)、 外食もちょっとした朝食やランチに3,000円くらいかかる計算だといいます。   政府がそれこそ賃金上昇を死に物狂いで抑え込もうとしていますが、 米国の普通のサラリーマンはもうまともなランチは食べられないのです。  だから、1000円足らずで美味しいサラダやパン、飲み物を買ってもお釣りがくる日本のコンビニを知ると、もう国に帰りたくないと思うのです。

 たしかに日本も食材価格は数十円単位で上がっていますが、まだまだ庶民が買えない金額にはなっていません。  世界で唯一と断言できるほどインフレが起きておらず、 消費者物価も英国の年率10%、アメリカの8%とは次元が違う2%程度となっています。   賃金引き上げを社会全体が抑制しているかに見える日本社会ですが、その背景には企業側が企業間取引価格を引き上げても、消費者が貧乏性(不相応に高いものに手を出さない)のため、 小売価格を簡単に引き上げられない社会構造があり、結果として無軌道な消費者物価高騰は抑制されているわけです。   このようにショックアブソーバーが完備された「安定した経済、 消費財市場」の日本社会は、バブル期のような経済過熱は抑えられているわけです。

 一方、今の世の中はすばらしい技術革新により消費者に「欲しい」と思わせることで、次々に新しい「必要でないもの」が生み出されています。     中には人類にとって有意義なものもありますが、嗜好を刺激する(中毒性がある)ゲーム、スマホ、SNSというものは「飽食により生活習慣病になるのと同じく、いずれ食傷気味になる」もので、 これに人類のマンパワーが集中し過ぎるというのも考えものです。  この良い教訓として、新型コロナウイルス騒動があります。

 この騒動ではマスクという生活必需品が品不足となり、さらに日本で製造していないという驚愕の事実が明らかになりました。  日本社会は肝心の日用品は作るのさえ止めてしまっていたのです。   その後何社かは日本国内でのマスク製造を慌てて開始しましたが、コロナ騒動によって必需品の供給不足に陥り、目に見えて高騰してからようやく、 「必需品をつくることに手を抜いてきた社会」になっていたことに気づきました。   「麻薬」にお金を使う社会の脆さを少しは実感したわけです。

 小幡氏は『いま大成功しているのは現代の「麻薬」を生み出す企業』、と言い切りますが、優秀な大学を出て金を稼ごうとする人々はこぞってこのような企業に就職しようとしており、 そのひとつが『いらないものを欲しいと思わせる』広告産業であるとします。   たしかに、不要な贅沢品を次々に生み出しているイノベーション企業が、 人類の生活を維持する必需品を汗水たらして生み出している企業の何十倍・何百倍もの利益を稼ぎ出す現状にはどこか歪さを感じます。

 ただ小幡氏は日本の将来に決して悲観はしていません。  『....日本経済の特徴は、流動性に欠け、変化やダイナミズムは少ないが、その一方で、抜群の安定性がある。 オイルショックでも物価高騰を抑え込み、リーマンショックでもコロナでも、 欧米に比べれば、失業率の上昇は無視できるほどだ」としています。  まさに、 『いったい、このような世界でもっとも恵まれた状況の日本経済に何の不満があるのか』なのです。

 さらに小幡氏は、『そもそも第2次世界大戦後、世界はずっとバブル(膨張経済の時代)だったが、金融バブル、コロナバブルを経て着実に萎み始めており、そして、萎んだ後は、 長期停滞、膨張しない経済、膨張しない時代が始まる。  この「膨張しない時代」においては、日本経済と日本社会の安定性、効率性という強みが発揮されることになるのである』、 としています。   いつまでも資産の価格が上昇し続け、経済が高い成長を維持する社会などあり得ません。   むやみな賃金アップや過剰な物価高騰に振り回されていない今の日本は、 まさに「理想の社会」と言えるのではないでしょうか。(2023.9.3 MSN japanニュース 引用)

 

 

日本人の強さ.....ノーベル賞受賞者の数

 中国では、「1人だけで行動すれば龍ともなる中国人は3人集まると虫けらになるが、1人では虫けらのような日本人は3人集まると龍になる」、 という言葉があるそうです。

 "龍"だ"虫けら"だという点はさておき、日本人の強さは「組織や集団」で行動してこそ発揮されるというわけです。  そういう気質が中国人からすると日本を驚異に感じる部分なのかも。

 中国からは「1人では虫けら」とされる日本人ですが、ノーベル賞受賞者は歴代26人(2018年時点)に達しています。   2000年以降だけで17人も受賞。   しかもすべてが化学賞や物理学賞、生理学・医学賞で、日本がいかに科学技術分野に強いかが伺われます。  これは非欧米国としては最多であり、アジアの国で唯一世界トップ10に入っており、日本は突出しています。   3人集まらなくても日本人はスゴイんです。

 ちなみに、アジアにおける他国の受賞者は、中国3人(平和賞1人、文学賞1人、生理学・医学賞1人)。  韓国1人(平和賞)。 インド5人(平和賞2人、文学賞1人、経済学賞2人、物理学賞1人)で、 科学系のノーベル賞受賞者はほとんどいません。(2018.7)

 2018年9月、今度は本庶佑氏が今年のノーベル生理学・医学賞を獲得しました。 なぜ日本人が数多くのノーベル受賞者を輩出しているかについては、Searchinaニュースによると、 政府が技術振興を重視する一方で研究者に対して比較的高い自由度を与えていると指摘。

 「日本では大学の教員は一定期間内に研究の成果を出さなくても職を失うことはないほか、研究過程においても政府や社会による考査や評価といった干渉を受けることが少なく、 長期的に研究に専念することができるのだ」、と分析しています。(2018.10.3)

 
 

日本が「無敵」な8つの分野

 中国メディアの今日頭条は、「日本の科学技術はいったいどれだけすごいのか」と題し、日本が「無敵」な8つの分野を紹介する記事を掲載しました。

 まずは輸出管理強化で知られるようになった「半導体材料」で、日本は半導体材料の世界最大の生産国であるとします。   半導体製造に必須の材料が19種類ほどあり、その1つ欠けても製造できないとされます。 しかも、その多くを日本企業が独占しているため、 「日本が絶対的に有利だ」と紹介しています。

 2つ目は「工業ロボット用の精密減速機」。  この分野でも市場のほとんどのシェアを日本企業が占め、設計レベル、精度、信用性、 寿命などのどれをとっても「この業界でトップクラス」と称賛しています。

 その他、いずれも高い技術が必要な「建設機械用油圧機器」、「工作機械」、「スマートデバイス部品」、「ディスプレイ向け材料」、「半導体生産設備」、「炭素繊維」、 などでも日本企業が多くのシェアを獲得しており、日本企業の影響力は世界的に大きいと強調しています。

 「日本との歴史問題は、国民の不満をそらすうえで完璧な代用品」という韓国の政治事情はなんとしても正さなければなりません。     執拗な日本叩きを繰り返してくる韓国を大人しくさせる対抗手段として、 日本には強力な武器が揃っているわけです。(2019.8.7)


日本が誇る7つの基幹技術

 まず一つ目は、「半導体製造装置」。  半導体製品については、日本企業はシェアを失いましたが、ドッコイ、半導体を製造する装置や材料の分野では、日本企業が今なお圧倒的な強さを誇ります。   半導体がなければスマホもパソコンも電気自動車も製造できないので、中国・韓国は日本をボイコットできるはずがないのです。

 例えば、チップを切断するダイシングソーに至っては、「ほぼシェア100%に近い」水準だといいます。  そのほかにも、製造に必要なシリコンウエハーは約6割のシェア。  フォトレジストは約8割を占め、 感光剤の塗布と現像を行う装置であるコータ・デベロッパは約9割、半導体洗浄装置は約7割、CMP(平坦化)装置は約4割、というようにいずれも高いシェアを占めています。

 2つ目は「建設機械」で、世界3大企業にコマツと日立が入っています。  3つ目は「産業用ロボット」。 優れた工業用ロボットを製造するには質の高い材料、精密な加工技術、精度の高い制御ソフトウェア、 電子部品など複数の分野の歯車がしっかり噛み合うことが必要であり、それを実現しているのがファナック、安川電機、川崎重工といった日本企業です。  ロボットの柱となる減速機、サーボモーター、コントローラーの3大部品技術は、 いずれも日本企業が掌中に収めており、世界で使用されている工業用ロボットは日本メーカー製の部品を欠かすことができないといわれます。

 工作機械についても、日系とドイツ系が非常に強い分野で、特にヤマザキマザック、牧野フライス、DMG森精機、芝浦機械といった日本の大手メーカーがそれぞれに得意分野を持ち、精度、信頼性、 生産効率の高さと維持コストの低さによって他国メーカーの追随を許さない状況にあるとされます。

 4つ目は「精密機器」でトップレベルの機器は日米独が独占しており、カメラ市場は日系ブランドがトップに立ち続けており、日系以外では韓国やドイツのカメラも有名ですが、非日系のブランドであってもカメラの核をなす感光部品は、 ほとんどすべて日本メーカーからの供給に依存しているとされます。  その強みは一般のカメラにとどまらず、医療用画像撮影機器やスマートフォンにおいても発揮されており、日本企業がほぼ独占状態にあるとしています。

 5つ目は「ベアリング製造」。  中国でも設計製造できるものの「日本を模倣」している状態です。 6つ目は「太陽光発電用インバータ」で、日本製は変換率が高いと称賛されています。

 最後は「炭素繊維」。  日本が世界市場の7割を占めており「中国との差は20年から30年の開きがある」とされます。(2021.9.23 Searchina 引用)


 

他国の追随を許さない日本の科学技術力

 近年は韓国や中国の技術進歩がとやかく言われますが、その基幹技術は日本製が大部分を占めており、 スマホなどは「日本製部品を排除したら生産できない」とまで言われるほどで、これはスマホに限らず他分野の工業製品全般にいえる現象です。

 現状では、まだまだ、半導体を作ることはできても高純度の半導体材料は作れず、エンジンを設計できても耐用性のあるシリンダーブロックは作れず、 超精密工作機械の設計はできても強度の高い切削工具が作れない、というのが中国産業界の実情なのです。

 中国メディアの騰訊記事によると、一部中国メーカーのスマホを分解してみたところ、貿易問題の影響を受けたためか、米国製の部品はほとんどなく、中国国内で作られた部品も数%にとどまっており、 日本メーカーの部品が全体の50%以上も使われていたと紹介しています。  現状では「日本の部品なしではスマホを作れない」ほど、日本は大きな影響力を持っていることは間違いないわけです。

 日用品では「中国製ばかり」で日本製を見ることがあまりなくなりましたが、 日本は従来の労働集約的「組み立て・製造業」のローエンド製品の生産からはすでに手を引き、ハイエンド製品の素材供給というハイレベル産業構造へシフトチェンジしています。

 例えば「ハイエンドの半導体材料」でも日本は「絶対的な地位」を築く「『超』製造強国」であり、半導体チップにどうしても必要な材料は19あるとされますが、 そのうち14の材料でシェア過半数持っているのが日本という国なのです。 すでに「高品質ハイテク部品の供給サプライヤー」 という立ち位置にシフトしているわけです。

 また、産業用ロボット用の精密減速機のシェアのほとんどを日本企業が占めており、中国においては20トン以上のショベルカーに使う油圧部品は日本企業とドイツ企業に頼っているとされます。    半導体素子製造装置の一つ、ステッパーを作れる国はアジアで日本しかありません。

 その昔、時計が発明されたとき中国人はそのまま受け入れて使ったそうですが、日本人は手を変え品を変え様々な機能を持つ時計を作ったといいます。 我々日本人は目の前のモノをもっと便利に、 もっと高機能にしたい、という「飽くなき追求心」が旺盛な、創意工夫によるモノ作りが大好きな民族なのでしょう。

 中国は科学技術が飛躍的に向上したなどといっても、いまだに銀行のATMにも、ビルのエレベーターにも日本製が多く使われているのが実状なのです。(2020.2.5)


 

久し振りに首位を奪回.....スパコン性能

 近年はスパコンの性能をめぐって米国と中国の争いが続いていましたが、2020年には理化学研究所と富士通が共同開発したスーパーコンピューター「富岳」が、 計算速度や省エネ性能などで世界一を達成。  2019年の首位は米国のスパコンだったが今回は富岳が米国産を大きく引き離して圧勝だったそうです。

 日本のスパコンが計算速度で世界一になったのは2011年以来9年ぶりの快挙で、この分野でもまだまだ競争力があることを世界に見せ付けました。    中国は2013―2017年の5年間は首位を維持していましたが、それ以降は1位の座を米国に譲っています。

 2011年に首位を取った理研の前世代機「京」は使いやすさに難点があり商用化が進まなかったとされますが、その弱点を研究し改善。 基本的な計算速度を競う部門では、 富岳は1秒間に41.5京回(京は1兆の1万倍)計算する性能を記録。  2位の米オークリッジ国立研究所のスパコン「サミット」に、2.8倍の差をつけています。

 今回富岳は、「1秒間の計算速度」、「実際に分析に使うソフトに近い計算の速度」、 「ビッグデータの処理速度」、「人工知能(AI)にデータを学習させる速度」の4部門で世界一になり4冠を獲得しました。(2020.7.5)

 ランキングは年2回発表されますが、理化学研究所は2020年11月17日、前回(2020年6月)に続き、2期連続で4冠を果たしたと発表します。 「富岳」は432台の計算機で構成され、 前回は整備中だったため全体の約58〜96%の計算機の使用にとどまったが、今回のランキングには全ての計算機を使った結果を申請したといいます。

 実際のアプリケーション上での性能を競う「HPCG」▽ビッグデータを扱う性能を争う「グラフ500」▽人工知能(AI)を扱う「HPL―AI」――の3部門でも、前回から約19〜45%スコアを伸ばし、 2位以下の米国や中国のスパコンを突き放したとされます。

 松岡聡センター長は、「突出して世界最高性能であることを、前回からさらに向上させる形で再び示すことができた。 今後、多くの困難な社会問題を解決し、 我が国のイノベーションを先導するだろう」とコメントしています。(2020.11.17 msnニュース 引用)


国産初の量子コンピューター稼働

 2023年3月、理化学研究所などが開発した国産初の「量子コンピューター」が稼働しました。   「量子コンピューター」はスーパーコンピューターでも困難な問題を解けると期待され、 科学や産業に革新をもたらす可能性を秘めた夢の計算機とされています。

 「量子コンピューター」の開発競争は、これまで米国と中国が先行してきましたが、実用的な量子コンピューターの実現はまだ先とみられていました。  今回の国産機の登場で、 日本が世界と伍(ご)していく態勢が整った格好となり、この分野において日本にも勝機は十分にあることが期待されます。

 日本政府は量子技術について、経済安全保障上、極めて重要として関連技術の自国保有や人材育成を推し進める戦略を策定。   この中で2022年(令和4年度)内の国産機整備が掲げられ、理研のほか、 大阪大や富士通などの研究チームが協力して開発を進めてきました。

 今回稼働したのは、理研が埼玉県和光市に設置した試作機で、インターネット経由で大学や企業なども利用でき、幅広い人材に使ってもらい、関連技術の研究開発を促進し、 世界で激化する量子コンピューターの開発競争で巻き返しを図る予定です。(2023.3.27 THE SANKEI NEWS より)


  

模倣からオリジナルを超えるものを作る国

 いまでは世界から高い評価を得て高品質の代名詞ともいえる日本製品も、かつては「メード・イン・ジャパン=粗悪な模倣品の代名詞」とされていた時代がありました。   お隣中国も日本と同様、模倣からスタートしたという点は同じですが、日本は単なる模倣にとどまらず、質を向上させてオリジナルを超える製品を作ってきました。

 日本人が模倣に長けているのは「製造業」だけの話ではありません。  他国の優れた制度や文化、文明のようなものまで模倣し、取り入れ、自分のものにして成長する、 という事例は古くから続いてきたわけです。

 しかし、中国では「知的財産権」の侵害を指摘する人がまだまだ少なく、「模倣品は企業にとっても短期間で利益を上げることのできる戦略の1つ」と捉えられており、 中国にはパッケージがよく似た類似品が販売されたり、ありとあらゆる模倣品や海賊品が溢れています。  知的財産権の侵害が極めて深刻な状況で、 まだまだ「パクリ大国」の範疇から脱することは難しそうです。

 知的財産権という考えがまだまだ希薄な中国には、飲食店でも有名店に類似させた看板を堂々と掲げるのはごく普通のこととされています。 こうした状況について、ある中国人ユーザーからは 「模倣品や海賊品の存在は質や価格という点での競争につながり、消費者にとってメリットがある」という意見が寄せられ、 この辺りの感覚が日本と中国では大きく異なる部分と言えそうです。(2020.6.22)


  

独自開発もたくさんある日本

 かつては日本製品も「模倣」という段階を経てきてモノマネが得意とされていましたが、日本が独自に開発したものもいろいろあります。  例えば高速鉄道(新幹線)は1964年に東海道新幹線が開業しています。    中国は今頃になって独自に高速鉄道を開発したと主張していますが、相変わらずのウソッパチなのです。

 電化製品にも「カラオケ」、「家庭用ゲーム機」、「ポータブルオーディオプレーヤー」、「ビデオデッキ」、「電気炊飯器」など日本で発明されたものが数多く存在します。    「カーナビ」や「3Dプリンター」なども日本発の製品です。(2020.6.22)


  

中国が「掌握できていない技術」

 中国メディアの騰訊は、中国が掌握できていない「半導体チップ」などの技術を列挙する記事の中に、上記の幹技術以外に、日本企業があまり知られていない分野でも世界トップクラスの技術を持っていると紹介しています。

 あまり知られていない分野ではまず「発電用蒸気タービン」を挙げ、世界最高効率のタービンは日本メーカー製としています。  また「ごみ焼却発電設備」も日本メーカーが世界トップで世界中に輸出しており、 中国も日本から数多く導入していると紹介します。  さらに、「工業用ポンプ」でも、日本には世界最大級の出力のポンプを製造できる技術があり、黄河の水を山西省へ運ぶのにもこの日本メーカーのポンプを使用したといいます。

 ほかにも、「酸化亜鉛形避雷器」、「太陽光発電用インバータ」、「水素化反応器」、「特殊鋼」、「電波暗室」、「ソフトウェア定義ネットワーク」、「ベクトル型スーパーコンピューター」、 「輪転印刷機」など合計49の分野を挙げており、これらの分野の多くで日本企業が世界トップクラスの技術を持っていると紹介しています。(2022.1.26 Searchina 引用)


まだまだ大きい工業レベルの差

 たしかに近年は中国経済の成長ぶりがアピールされ、生産額は世界一とされるものが多くなっています。  そうはいっても、その中身には様々なレベルがあり、一概に比較できない部分があります。

 例えば、「工作機械」は「マザーマシン」と呼ばれるように、製造業にとってなくてはならない機械であり、「その国の製造業の実力を示す存在」といわれます。  その「工作機械」にも、 高価格製品である宇宙・航空機・医療機器を作る高級機や、自動車など中価格製品を作る中級機、さらに低価格製品の一般部品を作る低級機に分類されますが、日本はこのうち「高級機に強い」とされています。

 高級機には、「一般の工作機械より1000倍高い精度が求められる」とされます。  「工作機械生産額」世界一といわれる中国ですが、中国はまだまだ高級機を作る技術は未熟であり、 「先進国の1950年代の水準」に留まっており「高級機は9割が輸入に頼っている」のが現状とされています。  中身は中級機・低級機が中心なのです。

 例えば、高価格製品の代表格ともいえる米国製の航空機でさえ、機体や翼の部分の多くは日本企業が作っているとされます。  さらに、世界最強といわれる静音性を誇る、海上自衛隊のそうりゅう型潜水艦も、 日本の高性能の工作機械があればこそなのです。

 日本人は匠の精神があるなどといわれますが、質の高さを追求することは、日本人の得意とする分野であり、「工作機械」においても「極限にまで精度の高さを求める」という気質が生きています。     この分野においても日本企業の技術は、まだまだ他国の追随を許さない強さを持っているのです。

 「工作機械」も米国やドイツと比べると後発ですが、海外の専門家を招聘するなど、先進的な技術を意欲的に学び自分のものにする、という飽くなき日本人の追求心が存分に発揮された結果、 いまの「モノ作り大国・日本」へと繋がっているわけです。(2020.2.5)

 米アップルのスマホ「iPhone(アイフォーン」が登場するたびに注目が集まることの1つに、「どのメーカーの部品が使われているのか」という点が挙げられます。     中国メディアの騰訊は、2021年に販売されたiPhone13を分解したところ、「重要な部品に中国メーカーの製品は1つもなかった」と伝えています。

 記事によれば中国では100以上の企業が部品を供給しているとされますが、実際にはガラスや筐体など「高い技術が求められない」ものばかりで基幹部品ではないといいます。   その一方、 日米韓のメーカーが供給する部品は、数こそ少ないものの基幹部品を供給しており、iPhone13の原価の7割以上を占めていたと紹介しています。

 アップルは中国国内のサプライチェーンに依存し、中国企業から多くの部品を調達しているとされますが、その原価は全体の3割ほどしかないわけで、 「実際にはアップルの中国企業への依存度は中国人が想像しているほど高くないのが現実だ」と論じています。(2021.10.7 Searchina 引用)

   
  

日本のお家芸・リチウム電池

 リチウム電池は近年では中国や韓国メーカーの台頭が著しいですが、しかし、リチウム電池の「材料」の分野では、今も日本の強さが目立っているとされます。      中国メディアの百家号は2021年10月、「日本が絶対的な強みを持つリチウム電池用材料」を紹介する記事を掲載しています。

 まず1つ目の材料は、リチウムイオン電池の主要原料「六フッ化リン酸リチウム」で、これまで日本3社が世界シェアの75%を占めていたこともあるほど独占状態で、 中国は国内生産に力を入れているものの、品質ではまだ日本のレベルに届かないと伝えています。

 2つ目は「アルミラミネートフィルム」。  やはりこれも日本企業2社が世界市場のほとんどのシェアを占めているとされます。  中国企業はまだ研究中で、 韓国製でも替えが効くが日本製ほど品質が高くなく、そのため日本から輸入するほかないとしています。

 3つ目は「電池保護IC」、4つ目には「タブフィルム」を紹介しており、これらに関しても「日本メーカーが大きな存在感を持つ分野だ」と紹介しています。   2021年4月には、日本の電池材料メーカーを含む28社が、国際競争力を図るため「電池サプライチェーン協議会」を設立しており、記事は日本のリチウム電池に使われる材料の強さを伝えていますが、 中国と韓国も技術力が向上しているのは確かです。(2021.11.2 Searchina 引用)


 

第2次世界大戦期の日本のGDP

 第2次世界大戦期の日本のGDPは、米国、ソ連、英国、ドイツ、フランスに次ぐ世界6位だったといわれます。  もちろんアジアの中ではナンバーワンでした。

 中国のポータルサイト・網易によれば、第2次世界大戦が始まる1939年時点における主要国の工業力は、米国が世界の工業生産の38.7%を占め、以下ソ連の17.6%、 ドイツの13.2%、英国の9.2%、フランスの4.5%と続き、日本が3.8%で第6位に入っていたとしています。  一方で、当時の中国はわずか0.3%だったと伝えています。

 白人列強国が力づくで有色人国家を植民地化するため覇権を競っていた当時、 日本も多くの資金や資源を軍事や重工業の分野に優先的に投入したわけですが、世界最強とされる戦艦大和や武蔵をはじめ、 航空母艦の数も一時は英米を上回るほどの強力な海軍力を保有していたのです。(2020.11.13 Searchina 引用)


 

海外にもう1つの経済を持つ日本

 また、日本政府や企業、個人が海外に持つ資産(対外資産)は、2017年末の時点ですでに100兆円を超えており、日本の対外純資産残高は2019年まで28年連続で世界一となっています。    日本のGDPに反映されない海外資産については、「海外にもう1つの日本経済を持っている」と言われるほどなのです。

 2019年における日本の対外資産残高は約1098兆円にのぼり、日本の国内総生産(GDP)の約2倍とされます。 2020年5月に財務省が公表したところによると、 対外負債を差し引いた対外純資産残高は、前年比23兆円増の364兆5250億円で、これは2位のドイツの1.2倍、3位の中国の1.5倍に当たる数字であり、 29年連続で世界最大の対外債権国となっています。

 日本経済はバブル崩壊を機に、貿易立国から投資立国へと転換し、企業には積極的な海外投資を奨励してきたとされます。  主な投資先は中国、東南アジア、米国、欧州など様々で、 中国メディアの今日頭条によれば、日本は「資産を世界各国に分散させようとしている」と指摘。   「日本経済の実力と豊かさが先進国の中で上位なのかがよく分かる」としています。(2020.10.15 Searchina引用)


 

日本の底力

 日本のGDPは2010年頃から中国に追い抜かれ、1997年から2017年にかけての経済成長率は平均1%未満とほぼ横ばいですが、欧州にある先進国でさえいまだに日本を超えられず、 現在でも世界第3位の位置をキープしています。    一国の経済発展のカギは国民の教育レベルに大きく左右されるとされます。  日本経済の基礎は、戦後ではなく戦前、それもかなり前の江戸時代には確立しており、 当時の首都・江戸は世界的に見ても人口が非常に多い巨大な大都市で、しかも一般庶民でさえ寺子屋などで教育が普及していました。

 この高い教育レベルはその後さらに上昇し、早くから義務教育制度を導入して、戦前の時点で極めて高い就学率を達成していたわけです。  その後敗戦で焼け野原となり、 極めて大きなダメージを被った日本でしたが、それからわずか20年後には新幹線を開業させ、東京五輪を開催するなど、 一気に先進国へと急速に成長をとげた日本の躍進は、まさに驚異的でした。

 日本は明治時代初期(旧9月8日・1868年10月23日〜)の大々的な一連の維新から近代化への道を突き進み、その後1894年(明治27年)には、 日清戦争において西欧諸国が眠れる獅子と警戒していた「清」を破り、 さらに1905年(明治38年)には世界最強の陸軍国家と恐れられていたロシアを打ち負かし、世界の一等国入りした歴史を持つ日本は、 たしかに世界でも類を見ない底知れない実力を持つ国といえるかもしれません。

 近年、中国の若者が外国に留学するケースが増えていますが、中国人は決して歓迎される存在ではないため、「中国人留学生たちは差別を恐れ、日本人を装っている」といいます。      実際、買い物の際に中国語で話しかけられても日本語で返事をすると、急に店主は態度を変え、値引きまでしてくれるケースもあるのだとか。(2020.8.23)


  

日本に「経済報復」できない韓国

 2019年7月4日、度重なる理不尽な振る舞いを仕掛けてくる韓国に対し、業を煮やした日本政府は貿易管理の優遇措置を受けられる、いわゆる「ホワイト国」から韓国を除外する 対韓輸出の管理強化に踏み切りました。

 この処置は日韓関係の悪化を背景とした「経済制裁」の色合いが強かったわけですが、韓国で製造出来ず代替が利かない素材を狙い撃ちした日本側の措置に、 韓国は報復措置を取れず日本製品の排斥ぐらいしか反撃できませんでした。   これは産業の基礎の部分で日本に依存していることの証しであり、韓国側は打つ手がない実情を露呈させることとなりました。

 いずれにせよ、国家の栄枯盛衰(えいこせいすい)は科学技術力にかかっており、これを高める努力を継続しなければ、他国との対立で国家が大きく揺さぶられることになるわけで、 相手に左右される産業基盤しか持たない国は国際的な立場はますます低下する一方となります。

 似たような歴史は過去にもありました。  江戸時代、長崎には中国を統一した清の船が貿易で多数訪れており、急速に増大した取引額のため、 支払う邦貨である貴金属が足らなくなる事態となります。 そこで1715年(正徳5年)、新井白石は貿易制限令を出し、それまで年間80隻来航していた船の数を30隻に制限します。

 この制限対象から漏れた清の商人たちは、清朝に「日本に臣従した商人がいる」と直訴。 自分たちは優れた文明を持つ世界の中心(中華)であるという華夷秩序に凝り固まる清朝は、 日本の「信牌(貿易許可証)」を手に入れていた商人から、これを没収するという暴挙に出ます。

 しかし、この後困ったのが清のほうです。  当時清の貨幣制度は銀銭と銅銭の二本立てでしたが、銅銭が基軸通貨であり、その原料の6〜8割は日本の輸入銅を用いていました。    実際、貿易が中断した途端、銅不足で貨幣が製造できなくなったわけで、これには清の第4代皇帝・康熙帝(こうきてい)も、 取り上げた信牌をシブシブ商人たちに返却するしかありませんでした。

 ここでも「持つ側の強さ・優位性」が存分に発揮されたわけです。(2020.8.25)


  

ベトナムで淘汰された中韓のバイク

 巨大なバイク市場といわれるベトナムでは、バイクのことを「ホンダ」と呼ぶというのは有名な話だそうです。 2019年の販売台数ではホンダだけでシェア79%を占め、 スズキやヤマハも参入していますからベトナムのバイク市場は日本メーカーが圧倒的なシェアを占めているようです。

 以前は中国や韓国メーカーもベトナムのバイク市場で争ったのですが、結果は日本メーカーが圧勝したわけです。  その理由について中国メディアの網易が分析しています。

 それによれば韓国メーカーは日本メーカーのバイクに品質は遠く及ばず、さらに中途半端な安さだったと主張。   価格だけでいえば中国の方がさらに安かったため韓国メーカーは淘汰されたと指摘します。

 中国メーカーは、その価格の安さから一時的にシェアを獲得したものの、中国メーカー同士の価格競争となり品質がどんどん落ちたと分析。 そのためシェアを落としていったが、 一方の日本メーカーは値段が高いものの、なかなか壊れない品質の高さから、多くのベトナム人の支持を得たのだと論じています。

 さらに、ベトナムではバイクがステータスとなっており、日本メーカーのバイクはメンツを保つことができるという理由もあると説明しています。(2020.11.11 Searchina 引用)


 

日本の国力の元にある「日本民族の特質」

 数千年前から現代までの世界地図をみると、 ほとんどの国の領土は大きくなったり小さくなったり名前が変わったりしている中で、 「現存する世界最古の国家」といわれる、 世界でも稀な歴史がある日本だけが変わらずにその場所にあり続け、 独特の文化を築いてきました。

 米報道博物館「ニュージアム」が全米のジャーナリストに20世紀最大のニュースは何だったかアンケートをとったら、 「月面着陸」でも「ソ連崩壊」でも「ナチスドイツ降伏」でもなく、 断トツで「原爆で日本を降伏させた」ことだったそうです。

 「人類の歴史は戦争の歴史」といわれます。 列強が他国の領土を武力で奪い合い、 世界の8割強が白人国家により植民地化されてきたという人類の歴史の中、 日本は生き残るための戦いにおいて、 白人支配を脅かした唯一の有色人種国家でした。   ジャーナリストたちの回答には、 日本を潰し白人世界の復権を果たしたいう想いが籠められていた、と思うのは考えすぎでしょうか。

 日本と言うのは実に不思議な、というより偉大な「独立自尊(自己の力だけで尊厳を保つ)」の国といえます。  大昔、 中国の周辺諸国がこぞって冊封体制に置かれていた時代、聖徳太子は中国に対し、「日本はオタクと対等に付き合うぞ」、 と堂々と宣言しました。  さらに、ユーラシア大陸全土を支配し、だれも逆らえなかった巨大帝国・モンゴル帝国の脅し にも屈せず、2度の上陸作戦を水際で食い止め追い払った世界で唯一の国です。

 豊臣秀吉も当時の世界の覇者スペインに家来になれと命じ、 スペインによる東アジアの支配に対抗して中国を支配し日本の支配化に置くことを目論みました。    近代になれば当時アジア最大の軍事大国で世界一の国内総生産(GDP)を誇っていた清を、 「日清戦争」でアッサリ打ち破り、 清に支配されていた朝鮮(現韓国)を独立させています。

 さらに当時世界最強の陸軍国といわれ、日本の何倍も国力のあった強国ロシアを相手に戦った 「日露戦争」でも勝利し世界を驚かせました。  特に日本海海戦 では歴史に残る一方的大勝利を収めました。

 日露戦争前の世界の列強は、「アメリカ」、「イギリス」、「フランス」、「オランダ」、「ドイツ」、「ロシア」、「イタリア」という白人国家のみでしたが、 この勝利で日本は有色人種の中でただ一国、世界の一等国(列強)の仲間入りを果たします。    第一次世界大戦では、連合軍の一員として参加し、 地中海に派遣された大日本帝国海軍第二特務艦隊の活躍は連合軍の勝利に大きく貢献しています。

 また、建国以来一度も他国の侵略を許さなかったアメリカでさえ、大東亜戦争では、 ハワイ、北部太平洋アリューシャン列島 が日本軍により攻撃、占拠されています。    日本は結局破れたわけですが、戦争緒戦においては圧倒的強さを誇る日本軍相手に米軍は苦戦し、 1942年にはフィリピンから追い払われています。    戦後になり日本軍のあまりの強さを恐れた米国は、 彼らが制定した「新日本国憲法」に、武力の保持も使用も禁止する条項を盛り込んだほどです。

 日本のこのような働きは、当時白人列強に植民地支配されていた各国に勇気を与えました。 インドネシアのブン・トモ情報・宣伝相は、 「...我々は何度となく独立戦争を試みたが失敗した.....ところが日本軍がアメリカ、イギリス、オランダ、 フランスをわれわれの面前で徹底的に打ちのめしてくれた.... われわれは白人の弱体と醜態ぶりを見て、アジア人全部が自信をもち、独立は近いと思った」、 と日本に謝意を述べています。   日本は白人列強国家による弱小国の植民地支配という人類の悪癖を打ち壊し、人種差別に終止符を打った、 有色人種民族のヒーローだったのです。(2020.2.3)


 

民度の高い国民性が育んだ「正邪善悪の心」

 日本人は善を勧め、悪を懲こらす「勧善懲悪」ものが大好きです。  「正邪善悪」とは、「なにかを定めるときの拠り所・ 方向性など自分がとるべき判断基準になるもの」、という感覚とでも言えるのでしょうか。

 権力者が有無を言わせず民衆を搾取したとされる封建時代の江戸幕府においても、中央集権国家というほど江戸幕府の力は強くなく、日本各地に力を持った大名がいて、 それぞれの地域で経済や社会が独自に発展していた時代でもありました。    暴君もいたかもしれませんが、正義・道徳をわきまえる、 名君と言われた指導者も全国各地に存在しており、必然的に民族の自主性・公平性ともいうべき民度も非常に高かったわけです。

 室町時代の末、日本を訪れたフランシスコ・ザビエルは「これほど理性の声に従順な国民はない」と感嘆したといいます。  ドイツの考古学者ハインリッヒ・シュリーマンは、 『シュリーマン旅行記 清国・日本』の中で日本について、「....この国には平和、行き渡った満足感、豊かさ、完璧な秩序がある....」、 と絶賛し、日本民族の公平性についても賞賛しています。

 島国日本はこれまで太平洋戦争敗戦による米軍の一時的な占領時期を除き、 外来民族に占領、侵略されたことはなく、日本独特の文化を築いてこれました。    もともと日本は自らを「大和」と名乗っていたように 『和を持って尊し』とする民族であり、 『和の精神で秩序正しく』おだやかに生きてきたわけです。

 その一方で、大人しいといわれる日本民族ですが、それはあくまで相手がマトモであれば「大人のふるまい」で対応しているだけであり、 もし道理や正義が通じないような相手であれば、 どんな強敵であれ危急存亡(ききゅうそんぼう・危険が切迫し生き残れるか死ぬかの瀬戸際)と看做せば毅然と立ち向かう民族でもあります。

 さらに、勤勉な国民性があります。  その昔、中世ヨーロッパでもアジアでも、権力者は自らの権威を守るため庶民に文字が読めないよう 「愚民化政策」を行っていました。    しかし、日本人は江戸時代から「識字率」が高かったとされます。  一般庶民の教育は「寺子屋」を中心に行われ、武士は「藩校」や「郷校」がありました。   私塾も沢山ありました。

 幕末期に日本を訪れたある外国人は、「子供達は男女を問わず、貧富を問わず、学校で読み書きを学んでいる。  もっとも賤しい農夫でも学んでいる。    彼等が我々より進歩していることは明らかと思われる」、という印象を持ったそうです。(2020.2.3)


 

世界で4台の装置の一つは日本.....ニュートリノ検出器

 ニュートリノは星の中心核が崩壊して陽子と電子が融合するときに膨大に生み出される粒子とされます。  ニュートリノは驚くほど逃げ足が速く、極めて稀にしかほかの物質と相互作用しないため、 検出器にはきわめてかかりにくい粒子で、地球にぶつかってもそのほとんどはまったく変化を受けず、まっすぐに反対側に突き抜けそのまま旅を続けるのだとか。       そのため観測するためには宇宙空間より地球内部深くでないと検出は難しいそうです。

 ニュートリノが数十億に一つの確率で原子核と相互作用する、という稀な出来事を記録する特殊な装置は、少なくとも地下800メートル以上は穴を掘り進めなければならないといいます。     ニュートリノほど透過性の大きくない粒子は、それほど地下深くまでやってこれないため、似たような反応を起こして検出器を混乱させる心配がないという理由で、 地下深くに検出装置を設置するそうです。

 1987年時点において、世界でニュートリノ検出装置を保有していたのは、米国オハイオ日本は岐阜県飛騨市神岡の神岡鉱山の地下ソ連のコーカサス山中、 フランスとイタリアを結ぶモンブランのトンネルの中で、それぞれ稼動していました。  ここでも日本が世界4つのなかに入っています。

 ただし、4つの検出器はそもそもどれもニュートリノを検出するため設計・製造されたというわけではなく、理論的に予言された陽子崩壊を検出するための装置だったのだとか。    たまたまうまくその役目を果たした、というわけです。

 日本と米国の装置は数百トンを超える水がもちいられていますが、ほかの2つはもっと陽子崩壊に敏感な希元素が混ぜてあり、わずか数トンで同じくらいの感度を得るとされます。    しかし、1987年の観測ではモブランの装置からははっきりとしたデータは出なかったそうです。

 日本の検出器・カミオカンデは、神岡ニュートリノ検出実験(Kamioka neutrino detection experiment)の略称ですが、1983年に完成、 もともと素粒子物理研究のため神岡鉱山の地下 1000mに設置されています。     円筒形のタンクに満たした 3000tの純水中を、高速の電荷をもった素粒子が通過するときに発する光(チェレンコフ光)を、タンクの壁に取り付けた直径約 50cmの光電子増倍管で捕え、 そのデータから素粒子の軌道やエネルギーを決定します。

 この装置で1987年2月、大マゼラン雲で起こった超新星爆発(超新星1987A)で発生したニュートリノを、11個検出することに成功、 この業績で小柴昌俊氏が2002年のノーベル物理学賞を受賞しています。 ただし、大マゼラン雲は太陽系からおよそ16万光年離れていますから、 爆発した時の光が、1987年にようやく地球に届いたというわけです。     1996年4月には規模を5万tに拡大した、次世代装置スーパーカミオカンデによる観測と実験を開始し、ニュートリノの質量について画期的な発見を行なっています。(2020.2.1)

 

唯一地球周回軌道上で稼働した日本製X線天文衛星

 ちなみに、超新星1987Aはそれまで地上からしか天文観測の手段がなかった人類が、はじめて人工衛星を打ち上げ大気の上に出て観測できた超新星爆発でした。  この観測では超新星からやってくる紫外領域の電磁放射観測を米国の「IUE衛星」で、ガンマ線観測は同じく米国の「SMM衛星」で、 ソ連は宇宙ステーション「ミール」でX線監視を行いました。

 そして日本もX線監視を1987年2月5日に打ち上げた「ぎんが」で、というようにそれぞれ重要な観測結果をもたらしてくれました。    「ぎんが」は1989年12月にソビエト連邦の天文衛星グラナートが打ち上げられるまで、地球周回軌道上で稼働した唯一のX線天文衛星です。

 実はこの衛星たちは超新星観測が目的ではありませんでした。  そもそも超新星は過去3世紀に渡って、我々の目の前には現れなかったのですから。    いずれにせよ、日本は先進国でさえなかなか参画できない宇宙分野においても、1980年代から世界の2大巨頭国と肩を並べこのような実績を残しているのですから、スゴイことです。(2020.2.1)




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