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年金の受給......いくら受け取れる?

 日本における公的年金は、自営業者が加入する「国民年金(いわゆる基礎年金)」か、 会社員が入る「厚生年金」の二つで構成されています。     国民年金にしか加入していない場合、受け取れる年金は通常最大78万900円(2021年度 年額)しかもらえませんが、一方、 厚生年金は基礎年金である国民年金にプラスされて支払われるため、自営業者よりも多い年金が受け取れるようになっています。

 年金受給開始年齢が身近なものとなってくると気になるのが「自分は年金をいくら受け取れるか?」ということ。  実は厚生年金の場合、 受け取れる年金は個人ごとに大きく異なる仕組みになっています。   その理由はズバリ、自分が在職中に給与から天引きされていた年金保険料の掛金その給付月数によって 厚生年金の金額が決まる制度になっているからです。     したがって月々の厚生年金の保険料を多く・長期間払ってきた人ほど、受け取る年金額が増えるのです。

 令和3年度における厚生年金の標準的年金額は、夫が平均標準報酬(賞与含む月額換算収入・43.9万円)で40年間就業した場合、平均受給額は約14万4千8円となっています。      妻がその期間すべて専業主婦としたら国民年金の月々平均受給は約5万6千円(最高は約6万5千円)ですから、1世帯の年金給付水準は月額約20万円ほどとなります。

 国がモデルケースとして発表している厚生年金の受給額は、生涯平均年収500万円の人が40年間加入した場合で、 年額110万円の厚生年金が支給される、としています。  480ヶ月分年金の保険料を払い続け、やっとこの条件となるわけです。   この場合夫の受け取れる年金額は基礎年金部分である国民年金の最大額の78万900円と合わせ年額で188万900円となり、月額では15万7千円が受給できます。   これに妻の国民年金を満額受給できるとすれば、月額約6万5千円と合わせ老後の世帯あたり月額年金収入は約22万円となるわけです。

 このように、厚生年金の受給額はベースとなる生涯平均年収がいくらあったかで大きく違ってきます。  生涯平均年収500万円というのは、一流企業の社員や公務員でもない限り、 なかなかハードルの高い金額ですが、さらに注意点として、例えば新入社員時代から中年までは鳴かず飛ばずの給与だったが、定年間際で給与が上がり、結果生涯年収平均がやっと500万円を超えたというケースでは、 厚生年金の受給額はモデルケースと比較すると低額となる可能性が出てきます。

 というのも、厚生年金の掛金(払い込む年金保険料)は、給与から天引きされるようになっていますが、月々の年金掛金は本人の標準報酬月額(給与)により自動的に決まっています。   年金掛金は2021年(令和3年)現在、(月額給与)が8万8000円から最大65万円までの32等級に段階的に分けられており、(月額給与)に応じた年金掛金が給与から天引きされています。     つまり給与が低いと払い込む保険料も少ないわけで、その期間が長い分将来受け取る年金は低くなる、という仕組みになっているのです。(2015.1.14)


  

年金受給額は現役時代の給与額で決まる

 このように月々の年金掛金は給与の額で決まりますが、現状月額給与65万円で年金掛金は最高額となり、それ以上では例え1億円の給与であろうと、 年金の掛金は上がらない仕組みになっています。   ですからいくら高給取りでも将来受け取れる年金額が青天井になるということはありません。      給与が高いからといってたくさん保険料を払い込み将来ガッポリ年金を貰おう、などということはできない制度になっているわけです。

 年収が高かい人ほど月々の年金保険料を多く支払う制度ですから、例えば生涯平均年収700万円の人なら、受け取る厚生年金部分は135万円となり基礎年金(国民年金)と合わせた合計で 213万900円。  1000万円の人は219万円の厚生年金支給で合計297万900円が受け取れる、というような仕組みになっているわけです。    これは夫の分だけですから、妻がその期間すべて専業主婦としたら妻の国民年金分が世帯収入に加算されるわけです。

 ちなみに、計算上厚生年金の最高受給額はおよそ年額380万円程度であり、基礎年金部分である国民年金と合わせると合計453万円程度、月額で38万ほどとなります。    この年金額を貰うためには、新入社員のときから1200万円以上の年収を40年間継続する、というハードルを超えやっと厚生年金の最高額をもらえるわけです。

 はたして、そんな高給取りは日本人の中に何人いるでしょうか。   普通の会社員が将来年金を多く受け取る秘訣はただひとつ、40年間という長い期間、 「出来るだけ多くの年金保険料を、長い期間セッセと払い込む」、ということです。     一時世間を騒がせた小室某氏は、 弁護士資格を取れば初年度から2千万円以上の報酬を受け取れると騒がれましたが、そんな時代が日本にも来るのでしょうか。

 そのほか、厚生年金にプラスされるものに、「加給年金」という制度がありますし、 会社によっては「企業年金」という公的年金とは別な年金制度を採用し、退職後は公的年金にプラスして受け取れるところもあります。  ちなみに、年金制度は「申請主義」ですから、 自分から年金受け取りを言い出さない限り貰えません。  くれぐれも申請モレなど無いようにご注意を。(2015.1.14)


  

実際の年金受給額はいくらぐらい?

 ちなみに、国税庁「民間給与実態統計調査」によると、2020年の給与所得者の平均給与は433万円(男532万円、女293万円)で、20年前の2000年の平均461万円(男567万円、女280万円)から下がっています。     さらに、平均433万円といっても、中央値は男性約300万円、女性約240万円なのですから、国が年金受給額のモデルケースとしている生涯平均年収500万円という数字は、 実態とズイブンかけ離れているわけです。

 もしモデルケースの年収500万円ではなく、実態に近い年収400万円だとすると、年収を12カ月で割った際の標準報酬月額は34万円(24等級)となります。   23歳から60歳までこのサラリーマン生活を続けるたとすれば、 標準報酬月額表により毎月の年金保険料は標準報酬月額の18.3%、約6万2000円ほどとなり、労使折半なので半額の3万1000円ほどが給与から“天引き”されることになります。  これを37年分・444カ月間、保険料を払い続けるわけです。

 その結果、「年収400万円」の人が65歳からもらえる厚生年金は、年額約87万円(月7.2万円)となります。    これに約78万円(月6.5万円)の老齢基礎年金(国民年金部分)が加わり、 トータルでは年165万円(月13.7万円)が年金としてもらえることになるわけです。   最近の国のモデルケースである平均額175万円(月14.6万円)と比べると、 約1万円ほど減ってしまう水準です。

 さらに「年収200万円」のサラリーマンを同じく計算式に当てはめてみると、厚生年金は年額43.5万円(月3.6万円)、基礎年金とのトータルでは年122万円(月10.1万円)となり、 都会で1人で生活するにはチョット厳しい数字です。      もし全く同条件の異性と結婚すれば、夫婦で20万円ほどになりますが、奥さんが専業主婦だとすると奥さんの分の国民年金を満額(月6.5万円)受け取れたとしても、 年200万円(月16.6万円)が夫婦二人の生活費となるわけです。(2022.2.12 日刊ゲンダイ 引用)


  

年金受給しながら働くと年金が減額される?

 年金の支給開始年齢がどんどん引き上げられている日本ですが、今後は年金をもらいながらパートやアルバイトをする、というケースはますます増えていくことでしょう。     そこで気になるのが、賃金がいくらまでなら年金カットされないのか? という点です。

 まず、働くと必ず年金が減額されてしまうということはありません。   減額されるのは、「厚生年金に加入して働いている」場合です。      したがって勤め先の厚生年金に加入しないで働けば、いくら働いても年金がカットされることはありません。

 ただし、厚生年金加入はあくまで勤め先の条件で決まることであり、自分では決められません。  厚生年金に加入しなくてもよいケースは、個人事業の事業所で従業員5人未満の事業所に勤務しているか、 「月の労働日数または1週間の労働時間が、正社員の4分の3未満」である働き方、つまり、月15日未満=週3日程度(1分でも働けば、労働した日とカウント)、週30時間未満であれば、厚生年金に加入する必要はありません。

 ただ、大きなスーパーなど従業員数(厚生年金加入者数)501人以上の事業所は、法律により嘱託、パート、アルバイトなどの雇用形態にかかわらず、原則として厚生年金に加入させられますから、 大きな会社でアルバイトをする場合は要注意です。   ただし、こういう勤め先で厚生年金に加入しなくて済む条件として、「週の労働時間が20時間まで」、「月の給与が8万8000円以下」、「1年以上勤めない」、 「学生」、のいずれかであれば厚生年金に加入しなくて済みます。

 以下、年金を受け取りながら、フルタイムあるいは比較的それに近い勤務形態で、厚生年金に加入して賃金を得ている場合、年金はどうなるかを見ていきます。  働きながらもらう年金のことを 「在職老齢年金」と言いますが、働いて得た収入と年金の合計額によっては、 受給している年金が調整される可能性があり、年金の一部または全部が停止されることがあります。

 停止される額のことを「支給停止額」と言います。     「停止」というからには、あと回しで停止期間中に減額された分をもらえる、と考えてしまいますがそういういうわけではありません。  「支給停止額」の計算方法は、 65歳未満と65歳以上では異なります。

 65歳未満では、{年金月額+月額給与総支給額+(過去1年間のボーナス合計÷12)}が28万円を超える場合、その超える金額の半分が支給停止(月額)となります。     例として、年金月額が16万円、給料と賞与を合わせた月額が22万円であれば、「支給停止額 = (16万円 + 22万円 - 28万円) x 0.5 = 5万円」となり、月額 5万円が年金から減額されるわけです。     ただし年金の月額と給与月額の合計が28万円以下なら、年金を減額されることはありません。

 満65歳以上の場合、上記の計算式は同じですが、28万円のボーダーラインが47万円となり、 年金額と給与の額(標準報酬月額)の合計が47万円以下なら減額はありません。     よほどの高給取りでなければ47万円を超えることはないでしょうから、65歳以上であればほとんどの人は年金をもらいながら働いたら働いた分だけ収入が増えます。

 ただ注意点として、計算に入れるボーナスは「過去1年間のもの」であり、過去1年以内にボーナスをもらっていれば、そのボーナスが計算に反映されます。    ですから、以前に高額なボーナスをもらっていた場合、会社を辞めてアルバイトをしていても、当初1年は年金が減額されゼロというケースもあります。    アルバイトでボーナスが出ないと油断していると痛い目に合うかも。   ただし、あくまで厚生年金に加入している場合の話です。

 いずれにせよ、厚生年金に加入して働けば厚生年金保険料は徴収されますが、将来受け取れる年金額は確実に増えます。   ただ、 70歳以上の人が働く場合、70歳に達した時点で厚生年金保険の被保険者の資格を失いますから、 そのまま働き続けても将来受け取れる年金額が増えることはありません。   ただし、働いていれば在職老齢年金制度の年金調整の対象となりますから、 給与月額が高いと65歳以上と同じ条件で年金が減額されることとなります。(2021.11.10 msnマネー 引用)


  

70歳まで働くと厚生年金受給額がどれぐらい増える?

 60歳までは、厚生年金に加入すれば、自動的に国民年金に加入する事になっていますが、60歳以降の定年を迎えた後も、継続雇用などで働き続けると、 国民年金に加入できるのは20歳以上60歳未満のため、60歳以降は国民年金に加入できません。

 したがって、60歳になった時点で20歳から40年間(480ヶ月)ずっと年金保険料を納付し続けてきた人は、国民年金の加入月数は480ヶ月で打ち止めとなり、それ以降増えることはありません。    一方、勤務を続けながら厚生年金保険制度の被保険者(加入者)として厚生年金の保険料を掛け続けると、その保険料は将来もらえる年金額に反映されます。

 60歳以降から65歳まで働いた場合の年金増加額は、早見表でみると、年収200万円(月額給与約17万円)では、年額にすると5万5千円、月額4600円ほど厚生年金の受給額が増加することになります。

 65歳から平均標準報酬額20万円(賞与なし)で、70歳になるまでの5年間(60カ月)、給与が15万円で働くと仮定すると以下の計算式となります。

15万円×5.769/1000×60カ月=5万1921円(年額)となり、月額で約4300円が増額された年金を毎年受け取れることがわかります。(2021.12.21 msnマネー 引用)


年金の満額の金額

 国民年金から支給される老齢基礎年金(国民年金部分)については「上限はあります」。  その額は(平成30年度)で年額77万9300円となっています。

 ただし、誰でもこの金額をもらえるわけではありません。 この金額を受け取るには、日本国内に住所があり、20歳から60歳まで保険料を支払い、かつその間に一度も滞納や免除期間がない、 という条件があります。  そういう人であれば全員がこの満額を受け取ることになります。  満額というより「定額」といったほうが正しいかもしれません。

 この金額は前年の物価や賃金の変動をもとに決まるため、毎年変動します。 過去の最高額は平成11年の80万4200円で、平成16年以降は78万900円を基準として、 これに毎年度の物価や賃金の変動を加味した改定率を乗じて計算されています。

 会社員であればこれにが加入する厚生年金(老齢厚生年金)分が加算されますが、厚生年金にも満額は存在します。  基本的に老齢厚生年金は、加入期間と加入期間中の平均給料によって決まり、 加入期間が長ければ長いほど、平均給料が高ければ高いほど年金額が多くなる仕組みで、「満額」という概念はありません。

 ただし、月額給料が62万円、1回の賞与が150万円という上限が設けられ、それ以上の給与であっても掛け金は増えませんから、年金額も増えません。    会社員であった期間(加入期間)については70歳までという上限がありますから、それ以上働いても年金に加算されません。

 というわけで厚生年金の満額は個人の給与などで異なりますが、例えば中学を卒業して70歳まで働き、その間ずっと給料と賞与が上限、というケースであれば「満額」といえる年金額になるかもしれません。   これだと現在の計算方法では年間300万円ぐらいになると思われます。  もしそんな人がいればの話しですが。(2019.1.23)


年金と生活保護は両方もらえる?

 国民年金の満額は夫婦2人で13万円ほどですが、生活保護の金額は、地域や世帯の人数、構成員の年齢などによって計算される最低生活費によって決まります。   たとえば東京都区部に住む65〜69歳の夫婦2人世帯の場合、生活扶助基準額:11万9920円(A)プラス、住宅扶助基準額:地代、家賃の実費「最高で6万4000円」(B)となり、最高で18万3920円ほどとなります。(令和2年10月時点)

 このほかに、医療扶助、介護扶助、教育扶助等が支給される場合もあり、また、障害者や母子家庭などの場合は加算があります。  このように計算した最低生活費に現在の収入が足りない分だけ、 生活保護として支給される制度になっており、無収入の場合は最低生活費がまるまる出ることになります。

 最低生活費に収入が足りない分だけ生活保護が支給されるという制度ですから、年金が少ない場合、年金を受給していながら生活保護を受ける、ということも当然可能です。  その場合、老齢年金だけでなく、障害年金、 遺族年金も同じように収入として見られますから、他に収入がなかったとすると、生活保護支給額は、「最低生活費−年金収入=生活保護支給額」となります。

 というわけで、国民年金を受給するより生活保護の金額が多いのも事実で、なるほど「逆転現象」と言われるのもうなずけます。  そのため年金は払っても無駄だという意見がありますが、 ただ、生活保護を受けるのには資産の保有が原則認められないなど、生活にいろいろと制約が出てきます。(2022.1.20 msnマネー 引用)


相次ぐ解散が予想される厚生年金基金

 厚生年金は国が運営する「公的年金」であるのに対し、厚生年金基金は企業もしくは同業種共同が運営する「企業年金」であり、厚生年金とはカテゴリーが違う「別物」です。

 自分が勤めている会社が厚生年金基金に加入していれば、厚生年金に加入している従業員は自動的(強制的)に「企業年金(厚生年金基金)」にも加入することになります。    基金は企業ごとに設立しているため、転職歴のある人は複数の基金に加入していることもあり得ます。

 「企業年金」は、企業が従業員の老後の生活保障をより手厚くするために作られた制度です。  「企業年金」に加入していた会社員が将来受け取る年金は、 厚生年金に「企業年金」がプラスされて支給されます。

 そのため厚生年金だけの会社員より、年金をより多く受け取れることになります。 いざ年金支給開始の時期になれば請求先は基本的には勤務していた会社基金、 もしくは「企業年金連合会」にすることになります。

 年金の受取申請は自己申告制ですから、厚生年金基金への請求を忘れると、厚生年金本体の年金のかなりの部分を厚生年金基金が占めているため金額が大幅に少なく受け取ることになってしまいます。     自分の厚生年金基金の加入歴をよく確認する必要があります。

 しかし厚生年金基金は現在深刻な積立金不足に陥っているといわれ、平成26年4月に施行された「改正厚生年金保険法」では、財政状態の悪い基金に対し、解散を促すことになります。    そのため今後厚生年金基金の解散が相次ぐと予想されています。

 万が一厚生年金基金が解散された場合、「代行部分」については国が支給しますが、上乗せ部分については支給されなくなってしまいます。    上乗せ部分は厚生労働省の試算だと月7000円〜1万6000円程度とされますが、それでなくても減らされる一方の年金ですからかなり痛い減額です。(2019.5.7)


年金収入範囲内の生活を心がける

 老後の生活が破綻しやすい理由のひとつに、「収入よりも支出が多いこと」、が挙げられます。  習慣のイキモノである人間は現役時代より収入が少なくなっても浪費(不急な消費)は急には止められません。

 ましてや老後は病気や事故、慶弔などで突然の出費が生じやすい時期でもあります。  習慣化した浪費癖を放置したままでは、いざトラブルが発生した時に備えがなくてウロタエることになってしまいます。

 毎月の支出を見直し、浪費グセやクレジットカード払いによる使いすぎを小まめにチェックすることが大切になってきます。  香典一つとっても、ついつい現役時代の感覚で包んでしまい、 いつのまにか生活費を圧迫している事例もあるといいます。  リタイヤしたのですからもう余計な見得は捨て、「なんとなく惰性で支払っているもの」、「記憶のない支払」などには厳しいチェックが必要になります。

 若い頃は気力と体力で何とかなっても、老後を生きていく上では誰かに頼わざるを得なくなる機会は増えていきます。  普段から人と人とのつながりを大切にし、 特に夫婦は互いに強力しあう関係を築くのも大切になっていきます。  これから先の人生を共に生き抜いていく大切なパートナー「戦友」なのですから。

    「結婚生活を長続きさせたかったら、妻は目を、夫は耳をふさぐこと」......ドイツのことわざ。


年金を増やす三つの年金術

 老後の生活を維持するための大切な年金ですが、賢く増やす「年金術」があります。
それは(1)・繰り下げ受給、(2)・70歳まで働く、(3)・年金を増やす仕組みの活用、の三つです。

 20歳から60歳まで国民年金の保険料を納めた場合、通常は65歳からの受給開始となり、年額は77万9300円(月額・約6万5千円)が国から支給されます。     ただし、この額はあくまで国民年金分だけで、厚生年金等は含まれていません。(2018年時点)

 これを70歳からの繰り下げ受給にすると、年110万6606円(月額・約9万2千円)となり、42%も得をすることになります。  逆に60歳からの繰り上げ受給にしてしまうと、 年54万510円で30%も損をしてしまいます。

 国民年金には「付加年金」という制度があります。  毎月の保険料に400円をプラスして収めれば、将来受け取る年金が、納めた月数×200円分が年間の年金額として増える、というものです。    例えば60歳から加入し5年間払い続ければ、負担額は400円×60ヶ月で2万4000円ですが、65歳から受け取る年金は60ヶ月×200円で年間1万2000円増えますから、 2年で元は取れてしまいます。

 付加年金の受給金額は、200円 × 付加保険料納付月数(年額)ですから、例えば、国民年金保険料・付加保険料を40年間支払った人は、 令和元年度の老齢基礎年金の受給額78万100円 + 付加保険料9万6,000円 = 87万6,100円 の満額が給付されます。(2018.11.21)


厚生年金の受給年金額の目安

 将来受給できる厚生年金のベースとなるのが、年金加入期間内の平均給与(標準報酬額)がいくらかだったかです。  平成15年3月までは、平均給与×7.5/1000×加入期間で年金受給額が算出できました。

 新入社員として入社したときは給与は当然低かったでしょうし、 年齢が上がるにつれ給与も増えていきます。  サラリーマンの平均月収は、38歳時の給与が近いといわれています。

 平成15年3月まではボーナスを除いた月給だけで平均給与を算出していましたが、平成15年4月に行われた「総報酬制の導入」で4月以降は、 ボーナスを含めた年収÷12で算出することになりました。

 例えば、月給30万円、ボーナス60万円(2回)という人がいるとすると、平成15年3月までの求め方では月給のみ対象なので30万円の平均給与(標準報酬額)。   ところが、平成15年4月以降では、30万円×12+60万円×2=480万円(年収)÷12=40万円、を平均給与の算出に使うことになりました。

 平均給与が多くなれば、たとえ年金掛金はアップしたとしても、将来もらえる年金が増える、と誰もが考えます。   しかし、残念ながらそうはならない制度を役人は作りました。       平均給与が上がった分、乗率を7.5から5.769に下げ乗率を減らしてウマク帳尻を合わせたのです。

 この総報酬制導入により年金受給額の計算式も変わり、平成15年4月以降は、年収÷12×5.769/1000×加入期間、となっています。
   

加入期間 厚生年金加入期間の標準報酬額(平均月収)
10万 20万 30万 40万 50万
1年 約0.6万円 約1.3万円 約1.9万円 約2.6万円 約3.2万円
5年 約3.2万円 約6.5万円 約9.8万円 約13.1万円 約16.4万円
10年 約6.5万円 約13.1万円 約19.7万円 約26.3万円 約32.8万円
15年 約9.8万円 約19.7万円 約29.5万円 約39.4万円 約49.3万円
20年 約13.1万円 約26.3万円 約39.4万円 約52.6万円 約65.7万円
25年 約16.4万円 約32.8万円 約49.3万円 約65.7万円 約82.2万円
30年 約19.7万円 約39.4万円 約59.1万円 約78.9万円 約98.6万円
35年 約23.0万円 約46.0万円 約69.0万円 約92.0万円 約115.1万円
40年 約26.3万円 約52.6万円 約78.9万円 約105.2万円 約131.5万円

 この表はあくまで2018年時点での受け取れる厚生年金のおおよその目安。 加入期間40年で加入期間の標準報酬額(平均月収)が40万としたら、年に105万円、月額では8.7万円の厚生年金が受け取れる。   年金は2ヶ月に一度、偶数月に振り込まれる。

 サラリーマンの場合、これに国民年金分が加入期間に応じた分(40年だと月額約6.5万円)加算され、年金受給月額は約15.2万円となる。

  さらに、厚生年金に20年以上加入し、かつ自分より年下の専業主婦の奥さんがいれば、配偶者加給年金と特別加算額が、奥さんが65歳になるまで月額約3.2万円(昭和18年以降生まれた受給権者の場合)加算されるので、 約18.4万円の月額年金となる  但し奥さんが65歳になったらこの部分は受け取れなくなる。

 

年金に税金はかかる?

 年金からも税金を取るのかヨ、とつい恨み言のひとつも出ますが、ザンネンながら一定額以上の老齢年金を受給すると、 2ヶ月に一度振り込まれるササヤカな年金から、所得税及び復興特別所得税介護保険料住民税を源泉徴収、つまり年金からこれらを天引きして差っぴいた金額を振り込んできます。

 この年金からの天引き以外にも、自治体からは毎月「国民健康保険料」も請求されますから、年金生活者といえどカナリの額の税金や社会保障費を支払う必要があるわけです。

 天引きされていますから当然振り込まれる年金は「ねんきん定期便」で伝えられた年金額よりグッと少ないわけで、ここで激しくウロタエ、公務員の給与上げるより年金を上げろヨ....などとツブヤクことになるわけです。

 ただ、お上も鬼ではアリマセンから、取られるかどうかはズバリ、「支給される年金の額」、によります。   具体的には、その年の年金受給額が65歳未満で108万円以下、65歳以上で158万円以下であれば、所得税は0円となります。

 年金は、あらかじめ税金が差し引かれる「確定申告不要制度」が設けられていますから、一般的に確定申告の必要はありません。    ただし、以下のように年金収入が一定額以上あったり、株の配当金やアフィリエイト収入、家賃収入などの「雑所得」があれば確定申告の義務があります。

  確定申告の義務がある人



 

年金にかかる税金......所得税

 年金から引かれる税金は、所得税法の規定により、受給する年金額(民間の個人年金保険含む)から「公的年金等控除」を行い、残りの額(雑所得)に5%の税率を掛けた額となっています。(2018.2時点)

 年金額が増えるほど雑所得は多くなりますが、多くの自治体では「所得額」に応じて国民健康保険と介護保険の保険料が決められています。    年金額が増えるほどこの2つの社会保険料も高くなる仕組みになっています。

 ★....控除を受けるには、65歳以上で年金が158万円を超える場合、日本年金機構から「公的年金等の受給者の扶養親族等の申告書」という書類が送付されてきますからこの書類を提出する必要があります。     提出を怠った場合は所得税率が割増しされてしまいます。    

65歳以上の人の年金から控除される金額と所得税
(A)公的年金額(年額) (B)基礎控除 (C)公的年金等控除額 所得税・(D)=((A)-(B)-(C))×0.05
120万円以下 0 全額
120万〜330万円 38万円 120万円
330万〜410万円 38万円 年金額×25%+37.5万円
410万〜770万円 38万円 年金額×15%+78.5万円
770万円以上 38万円 年金額×5%+155.5万円

 所得税の対象となる金額は、(A)公的年金額から(B)基礎控除と(C)公的年金等控除額を差し引いた金額となり、この金額に5%の税率を掛けた額が所得税となります。

 例えば65歳以上で年金収入が150万円の場合、控除額が120万円に基礎控除の38万円が加算され158万円が控除されますから、課税対象金額は0円となり課税されません。

(A)公的年金額が350万円の場合は以下の計算で求められます。

(基礎控除・38万円)+(350万円×25%)+37万5000円 = 163万円が所得税課税の対象となる金額です。   この金額に5%をかけた8万1500円が所得税となります。

所得は翌年度6月に変更される国民健康保険料算定基礎額となります。 (※地域により算定率などが変わります。)


年金生活者から引かれるもの

年金生活者といえど、お上は年貢(税金)をキビシク取り立てます。   年金生活者から引かれる年貢は、自分で支払うものと、年金から差っぴかれるもの、に大きく分かれます。

自分が支払うもの

年金から引かれるもの

があります。


介護保険料

 65歳以上の第1号保険者で国民健康保険の方は国民健康保険料と介護保険料は別々になります。  国民健康保険と介護保険は年間保険料の通知が別々で介護保険は年金から天引きです。

40歳以上の人は介護保険料を納める義務がありますが、65歳以上の人は65歳の誕生日の前日より第1号被保険者となり、その誕生日の前日月から第1号被保険者としての徴収が行われ、 介護保険料の支払いについては年齢制限がないため、亡くなるまで支払うことになります。

健康保険に加入中の場合、65歳以降も健康保険料は引き続き徴収されます。    徴収方法には特別徴収と普通徴収があり65歳以上になると、年金からの天引きになります。これを特別徴収といいます。

 国民健康保険に加入している人はその家の世帯主から世帯全員の分を国民健康保険料と一緒に徴収されます。 65歳以上の人の介護保険料は各市区町村で決められた基準月額と、その人の所得等により決定されます。

特別徴収にならないケース


退職金を年金の形式にするデメリット

 会社員や公務員は仕事をリタイヤすると退職金をもらえますが、勤務先によってはその退職金をまとめて一括で受け取る「一時金受取り」か、 年金の形式にして毎年分割して受け取る「年金受取り」方式かを選択できる会社があります。

 「年金受取り」方式は、勤務先がそのお金を運用し続けてくれるので、増える利息の分、退職金のトータルとしての金額は多くなります。     しかし、実際に手にする「手取り収入」で見ると、必ずしも有利といえなくなります。    その理由は、「年金受取り」だと年間の収入が多くなり、それだけ税金と社会保険料の負担額が多くなるから。

 退職金2000万円を運用率2%とし、10年分割受け取りとすれば、 条件にもよりますが長年支払うその負担金額が積もり積もって、「手取り収入」が130万円も「一時金受取り」より少なくなる、という試算があります。

 「一時金受取り」と「年金受取り」のどちらが有利になるかは、条件によって違ってきます。 例えば東京23区在住のケースだと、国民健康保険と介護保険の保険料負担は全国的に見ると少ないですし、 年金運用率が3%以上と高かったり、受取り期間20年などと長く設定すると、1年あたりの収入が減り、税金と社会保険料の負担が少なくなり「年金受取り」のほうが有利となるケースもあります。  でもこの条件になるのはなかなか難しそうです。

   いまは「年金受取り」が有利になりそうなケースでも、期間中に年金の運用率が引き下げられたり、国民健康保険料と介護保険料がアップしたりすると、「手取り収入」は今より少なくなります。     そういう理由で基本的に「一時金受取り」がおすすめです。


働くと厚生年金がゼロになる?......在職老齢年金

 60歳になったら厚生年金を受け取れる、という制度の恩恵を受け、年金生活でありながらでも継続雇用されて働いている場合、現行では「給料と年金月額の合計額が28万円を超えている場合」、 厚生年金が全部又は一部がカットされる制度になっているので油断できません。

 これは、在職老齢年金制度という、60歳以降も働きながら年金を受け取るケースで起りえるものです。    60歳代以降も働こうと考えている方は、本来ならもらえる厚生年金が給与の額によってはゼロになる可能性があるので注意が必要です。

 注意点として、たとえ給料が高くて「年金が全額停止」になる場合でも、必ず年金請求書だけは提出しておきましょう。 こうしておけばもし給料が下がった場合には厚生年金を受け取れるようになります。

 年金は「自分で手続きをしないと受け取ることができない」制度になっており、もし請求していないと年金の時効は5年なのでさかのぼって請求できるのも5年分です。    それを過ぎると、権利は消滅してしまいます。    

年代 給料収入と年金の合計額
〜65歳 28万円を超えると厚生年金が減額対象
65歳〜 46万円(平成26年度)を超えると厚生年金が減額対象

■......ここで言う給与収入とは、月々の給料以外にそれ以前1年の賞与も勘案した"月額総報酬相当額"。■

■■......厚生年金は65歳支給となりましたが、経過措置で61〜62歳から受け取れる世代の人もいます。■■

"月額総報酬相当額"というのは、例として平成27年1月では、「1月の標準報酬月額」と「前年平成26年2月から平成27年1月(直近1年間)に受けた賞与額の合計の12分の1」の合計となります。

例えば、年齢61歳で給料24万円、年金月額10万円のケースのカット額は、
(24万+10万−28万)×1/2 = 3万円となり、このケースでは年金が月額3万円分カットされ、月額年金10万円から3万円減額され月額7万円が支給されることになります。

ここでいう"給料"とは直近1年間の賞与額も含まれ計算されるため、定年直前に賞与を沢山もらっていた人は、場合によっては年金全額カットという事態も予想されます。
直近1年間の賞与が240万円で、1月の標準報酬月額が20万円としたら、月額の20万円+賞与の12分の1(240万円/12=20万円)で、"総報酬月額相当額"が40万円となります。

これで計算してみると、
(40万円+10万円−28万円)×1/2 = 11万円となってしまい、受け取れる年金月額10万円より多くなるため、支給額がゼロとなり年金が一円ももらえない 「全額支給停止」になってしまうのです。
定年後1年間は、定年前の賞与の影響を受ける、という部分に注意が必要です。


企業年金のもらい忘れに注意

 一定期間、厚生年金基金に加入したことがある人には、通常であれば厚生年金基金の資産が企業年金連合会に引き継がれたときでも、 企業年金連合会から本人に引き継ぎのお知らせが送付されます。

自分の年金資産が企業年金連合会に引き継がれていることを知らない人や、退職時に受け取った一時金で精算済みと勘違いしている人も多いようです。
厚生年金基金に加入した人の年金の請求漏れケースが多いそうですが、自身で請求しないと受給できませんから住所変更等の手続きは忘れずに行いましょう。

日本年金機構のHPなどを利用して年金の加入記録を調べると、厚生年金の加入記録の中で厚生年金基金の加入の有無を確認することができます。


脱サラの人は要注意

 昨今は脱サラも珍しい話では無くなりましたが、サラリーマン時代は会社がやってくれていた年金納付処理は、 自営業やフリーター・アルバイトだと自分で国民年金保険料を納付しなければなりません。

脱サラした人が注意しなければいけないのは、例えば会社員として9年間働き、その後脱サラしたがずっと国民年金に加入せず、 65歳になってから、加入期間が足らず年金が1円も受け取れないことに気づいた........というケースです。

 国民年金を受給する権利は、「10年以上加入していること」という条件なので、1年でも足りないと年金は受け取れません。........ ★2017年(平成29年)7月31日までは、保険料納付済期間が300ヶ月(25年)以上必要でした。   これに1ヶ月でも足らないと年金を1円も受給できない無年金生活となるのですから、厳しい条件だったわけです。

 もし加入期間が「厚生年金で9年間」+「任意加入0年」で10年に満たない場合、「任意加入」制度を使って資格を得るという制度もありますが、最長70歳までしか延長出来ませんから、 自分の年齢を考えて「10年以上の加入期間」というハードルはクリアするよう注意が必要です。

 ただ10年程度の加入期間では将来受け取れる年金はスズメの涙です。  頑張ってできるだけ加入期間を延ばすようにすることが大切です。

無職の時期が長かったり、国民年金だけ加入している自営業やフリーター・アルバイトの人は、国民年金の保険料納付状況によっては加入期間が足らず将来年金が支給されない、 というケースも考えられますから、よく自分の国民年金の加入状況を確認しておきましょう。


年金の繰上げ受給

 国民年金を受け取れる年齢は65歳からですが、場合によっては年金をもらえる年齢を早めることも可能です。 それが「繰上げ受給」と呼ばれるものです。

ただし、これをやると月の受取年金額が低くなります。 一旦繰上げ受給してしまうと後で変更はできません。
ちなみに、1カ月単位で繰上げ受給することができ、年金受給を1年繰り上げる(例えば65歳を64歳からの受け取りにする)と、 年6%、1カ月だと0.5%、年金額が減ります。

今は国民年金の受給開始年齢は65歳ですが、もし繰上げして60歳からにすると、5年間×6%=30%、も受け取る年金が下がることになります。 40年掛けて月6.7万円もらえる国民年金が、「5年間分繰上げ受給」すると月額4.7万円ほどに減額されてしまうわけです。(63歳で12%、62歳で18%、61歳で24%減額)。

誰しも、「もらえるものは少しでも早く欲しい」と思いますが、長い眼で見ると受け取る年金総額に差が出ることになるので早まらないで下さい。
長生きする予定(?)の方は、「繰上げ受給は損」ということを肝に銘じておきましょう。

厚生年金を受給している人も、65歳以降にもらえる予定分の年金を繰り上げしてもらうことができます。 ただし、「加給年金」は、繰り上げできません。

職場の規模によらず65歳定年が義務付けられましたが、60歳以降収入が下がるケースも多いでしょうから、今後、年金を繰り上げる人も増えてくるかもしれません。

ただし、男性で昭和36年4月1日以前、女性で昭和41年4月1日以前生まれの、1年以上の厚生年金加入者は、「移行措置」によって、1部年金をもらえることになっているので、 「年金繰り上げ」にはあたりません。   現在は、年金をもらえる年齢の3か月ほど前に、「年金裁定請求書」が届くのですが、いったん60歳で専門家に年金相談をしておいた方がいいでしょう。

例として、65歳からのいわゆる通常支給で年間100万円受給できるケースをモデルに、一歳ずつ繰上げ受給していった場合の年代別の累計受取金額を 見ていきます。    

年齢 通常支給 繰上げ月数(1カ月繰上げるごとに0.5%減額)
1年(6.0%)
0.5×12
2年(12.0%)
0.5×24
3年(18.0%)
0.5×36
4年(24.0%)
0.5×48
5年(30.0%)
0.5×60
60歳 70万円
61歳 76万円 70万円
62歳 82万円 76万円 70万円
63歳 88万円 82万円 76万円 70万円
64歳 94万円 88万円 82万円 76万円 70万円
65歳 100万円 94万円 88万円 82万円 76万円 70万円
累計 100万円 188万円 246万円 328万円 380万円 420万円
66歳 100万円 94万円 88万円 82万円 76万円 70万円
67歳 100万円 94万円 88万円 82万円 76万円 70万円
68歳 100万円 94万円 88万円 82万円 76万円 70万円
69歳 100万円 94万円 88万円 82万円 76万円 70万円
70歳 100万円 94万円 88万円 82万円 76万円 70万円
累計 600万円 658万円 686万円 738万円 760万円 770万円
71歳 100万円 94万円 88万円 82万円 76万円 70万円
72歳 100万円 94万円 88万円 82万円 76万円 70万円
73歳 100万円 94万円 88万円 82万円 76万円 70万円
74歳 100万円 94万円 88万円 82万円 76万円 70万円
75歳 100万円 94万円 88万円 82万円 76万円 70万円
累計 1100万円 1128万円 1126万円 1148万円 1140万円 1120万円
76歳 100万円 94万円 88万円 82万円 76万円 70万円
77歳 100万円 94万円 88万円 82万円 76万円 70万円
78歳 100万円 94万円 88万円 82万円 76万円 70万円
79歳 100万円 94万円 88万円 82万円 76万円 70万円
80歳 100万円 94万円 88万円 82万円 76万円 70万円
累計 1600万円 1598万円 1566万円 1558万円 1520万円 1470万円
81歳 100万円 94万円 88万円 82万円 76万円 70万円
82歳 100万円 94万円 88万円 82万円 76万円 70万円
83歳 100万円 94万円 88万円 82万円 76万円 70万円
84歳 100万円 94万円 88万円 82万円 76万円 70万円
85歳 100万円 94万円 88万円 82万円 76万円 70万円
累計 2100万円 2068万円 2006万円 1968万円 1900万円 1820万円
86歳 100万円 94万円 88万円 82万円 76万円 70万円
87歳 100万円 94万円 88万円 82万円 76万円 70万円
88歳 100万円 94万円 88万円 82万円 76万円 70万円
89歳 100万円 94万円 88万円 82万円 76万円 70万円
90歳 100万円 94万円 88万円 82万円 76万円 70万円
累計 2600万円 2538万円 2446万円 2378万円 2280万円 2170万円


 このモデルでは、60歳から繰上げ受給しても、通常より5年も早く受給することになるので、75歳+12ヶ月の段階ではまだ繰上げ受給者のほうが累計の受取年金額は多い、 ということになります。

通常の65歳から受給開始した人は、75歳過ぎた辺りからようやく繰上げ受給者より累計受取額が多くなり、 80歳+12ヶ月では、60歳から繰上げ受給した人に比べ累計受取年金が130万円多く、85歳+12ヶ月で280万円多い累計受取額となります。

逆に言えば、75歳以下でお互い亡くなると(?)、受給総額は「繰上げ受給」した人が有利なわけです。

ただ60歳から繰上げ受給してしまうと、この例では月々の年金額が通常受給より3割も少なくなり、年間100万円受給できるのが、30万円も少ない70万円の受給額となってしまいます。  これでは老後の年金生活はケッコウ大変になるかも...........

年金の繰下げ受給

 逆に年金の繰下げ受給、いわゆる年金の受給年齢を65歳ではなく66歳〜にすると、1カ月繰下げるごとに0.7%増額され、一年で8.4%ずつ年金が増額されていきます。
(繰り上げの場合1カ月0.5%、年金額が減額されています)

厚生年金、基礎年金のどちらかだけ繰下げて、どちらかは65歳から受け取るということもできるようになっています。

ただし今のところ繰下げ受給の最大期間は70歳までで、過ぎてしまうと増額率は最大42%のまま打ち止めされます。(いずれ75歳まで繰下げ可能となるかもしれません.......)

65歳を過ぎてから受給するようにすれば、年齢が上がるにつれ年金の累計受取額がドンドン増えていくことになりますが、ある年齢までは通常支給の方が有利です。

例として、65歳からのいわゆる通常支給で年間100万円受給できるケースをモデルに、一歳ずつ繰下げ受給していった場合、 メリットが何歳から出てくるか、見ていきます。    

年齢 通常支給 繰下げ月数(1カ月繰下げるごとに0.7%増額)
1年(8.4%)
0.7×12
2年(16.8%)
0.7×24
3年(25.2%)
0.7×36
4年(33.6%)
0.7×48
5年(42.0%)
0.7×60
65歳 100万円
66歳 100万円 108.4万円
67歳 100万円 108.4万円 116.8万円
68歳 100万円 108.4万円 116.8万円 125.2万円
69歳 100万円 108.4万円 116.8万円 125.2万円 133.6万円
70歳 100万円 108.4万円 116.8万円 125.2万円 133.6万円 142万円
累計 600万円 542万円 467万円 376万円 266万円 142万円
71歳 100万円 108.4万円 116.8万円 125.2万円 133.6万円 142万円
72歳 100万円 108.4万円 116.8万円 125.2万円 133.6万円 142万円
73歳 100万円 108.4万円 116.8万円 125.2万円 133.6万円 142万円
74歳 100万円 108.4万円 116.8万円 125.2万円 133.6万円 142万円
75歳 100万円 108.4万円 116.8万円 125.2万円 133.6万円 142万円
累計 1100万円 1084万円 1051万円 1001万円 935万円 852万円
76歳 100万円 108.4万円 116.8万円 125.2万円 133.6万円 142万円
77歳 100万円 108.4万円 116.8万円 125.2万円 133.6万円 142万円
78歳 100万円 108.4万円 116.8万円 125.2万円 133.6万円 142万円
79歳 100万円 108.4万円 116.8万円 125.2万円 133.6万円 142万円
80歳 100万円 108.4万円 116.8万円 125.2万円 133.6万円 142万円
累計 1600万円 1626万円 1635万円 1628万円 1603万円 1562万円
81歳 100万円 108.4万円 116.8万円 125.2万円 133.6万円 142万円
82歳 100万円 108.4万円 116.8万円 125.2万円 133.6万円 142万円
83歳 100万円 108.4万円 116.8万円 125.2万円 133.6万円 142万円
84歳 100万円 108.4万円 116.8万円 125.2万円 133.6万円 142万円
85歳 100万円 108.4万円 116.8万円 125.2万円 133.6万円 142万円
累計 2100万円 2168万円 2219万円 2254万円 2271万円 2272万円

 繰下げ受給した場合、どの年齢からスタートしても、累計受取額を比較してみると、70歳、75歳時点では 通常支給のほうがまだ金額が多いので繰下げ受給のメリットは出ません。

80歳になってやっと繰下げ受給のメリットが出てきますが、それでも70歳から受給開始した場合では、80歳時点でもまだ通常の支給額に届きません。

そして85歳手前でやっと通常の支給額を上回る金額になるわけですが、せっかく70歳までガマンして繰下げ受給したにもかかわらず、85歳時点での累計受取額は通常支給額と比べて172万円しか違わない、 というのはどうなのでしょう...........

繰下げ受給するなら、絶対に85歳以上長生き(?)する必要があります。  ガンバッテ100歳超えを目指しましょう。


遺族年金

 夫の死亡後、妻が受け取れる公的年金(遺族年金)は、加入していた年金の種類、加入期間、子供の有無、などの支給要件が細かく定められており、受け取れる遺族年金は大きな差が出ます。

 妻自身の年金部分は雑所得として課税対象になるが、遺族年金として支給される金額は非課税となります。 妻の遺族年金の受け取り方は3パターンあり、厚生年金に加入していた期間のある妻は、 最も金額が高いものが支給されます。    

パターン 上乗せ部分・いずれのパターンも妻は自分の老齢基礎年金は受け取れる
第1のパターン 自分の老齢厚生年金のみを受け取る。
第2のパターン 夫の老齢厚生年金(報酬比例部分)の4分の3に相当する額をもらう。
第3のパターン 妻の老齢厚生年金の2分の1、夫の老齢厚生年金の2分の1を合計した相当額を上乗せする。


基本的には、保険料納付済期間(保険料免除期間を含む)が加入期間全体の3分の2以上、など期間が重要になりますから、 国民年金保険料はきちんと納付しておくようにしましょう。

支給要件が非常に厳しく決められていて、例えば、国民年金からの遺族基礎年金は、子供が18歳まで一定の期間だけ支給される、というように様々なパターンがあります。 大まかですが遺族年金には以下の種類があります。

※概要なので、詳細については年金ホームページを参照願います。    

種類 支給条件 年金額
遺族基礎年金 子供がいないと対象外。18歳未満の子供がいれば19歳になるまで受け取れる。 ただし、全加入期間の3分の2以上加入していること。 子供が1人いた場合、年額99万5200円(平成26年度)
遺族厚生年金
(厚生年金に加入)
夫が国民年金加入期間の3分の2以上保険料納付し、夫によって生計が維持されていた。再婚しない限り一生涯受け取り。 報酬比例の年金額×3/4+加算(※加算は妻が65歳未満なら条件により65歳まで589,900円)
寡婦年金 夫の国民年金加入が25年以上で婚姻期間10年以上。 死亡した夫が老齢基礎年金の支給を受けていなかったこと。 妻が60歳から65歳までの間支給。 夫の老齢基礎年金の4分の3
中高年寡婦加算
(厚生年金に加入)
遺族厚生年金を受け取っていることが必要。 夫が亡くなったとき、妻が40歳以上65歳未満で、妻が65歳まで受給。20・30代の妻は子供がいないと対象外。 年額57万9700円(平成26年度)



【夫の死亡時、子供(〜18歳)がいない妻の公的年金】    

年金の種類 妻〜60歳 妻60〜65歳 妻65歳〜
夫が国民年金に加入 この期間は支給なし 寡婦年金 妻本人の老齢基礎年金
夫が厚生年金に加入 遺族厚生年金
中高齢寡婦加算 妻本人の老齢基礎年金

寡婦年金は、妻が繰り上げ支給の老齢基礎年金を受けている場合は支給されません。
厚生年金加入者は要件を満たせば、遺族厚生年金+中高齢寡婦加算+65歳になれば自分の老齢基礎年金が受給できます。

【夫の死亡時、子供(〜18歳)いる妻の公的年金】    

年金の種類 子が〜18歳 妻60〜65歳 妻65歳〜
夫が国民年金に加入 遺族基礎年金 寡婦年金 妻本人の老齢基礎年金
夫が厚生年金に加入 遺族厚生年金
遺族基礎年金 中高年寡婦加算 妻本人の老齢基礎年金



老後の生活費は公的年金だけでは足りない?

 平成22年に生命保険文化センターが行った「生活保障に関する調査」では、老後の生活に最低限必要な生活費の平均額は「22.3万円」とされ、 生涯の平均年収が500万円だった会社員で、奥さんがいる人の公的年金収入にピッタリ合わせた(?)金額におさめています。

ただ、このケースは生涯平均年収500万円、というかなり高給取りモデルなので、大企業で働いた人や公務員たちは当てはまるかも知れませんが、 大部分の人達はこんな金額の年金は受け取れません。

これに、人によっては企業年金や加給年金も加算されますから多少の上乗せも期待出来ますが、よほど恵まれた報酬を受け取っていた人たち以外は、 夫婦2人合わせても公的年金が最低限必要な生活費に満たない、というケースの方が多いと思います。

住む地域や生活環境でも左右されるでしょうが、都会で賃貸暮らしだとすると公的年金だけで生活するのは、なかなか厳しいかも知れません。

どんな根拠か知りませんが金融関係者たちは、ゆとりある老後に必要な生活費の平均額は「36.6万円」、 などと自分たちの商売にプラスになるよう一般庶民を洗脳しています。
この金額は働いていても"手取り年収が450万"ほどになるわけで、税金を含めたら700〜800万の年収です。
こんな金額を働かずに月々使える家庭は、大金持ち以外日本全国にそれほどいないのでは..........

もしこの額を受け取りたかったら、個人年金保険や公的年金の基金などの上乗せでは間に合いません。
なんとかして将来の配当金を稼ぐ必要がありますが、昨今はそんな気持ちに付け込んだ、年寄り相手のサギ事件が多発し、大切な老後資金を取られるケースが増えています。

欲を出さず、お金に縛られないノンビリした老後を過ごせればいいと、最低限必要な生活費に満たない年金生活者の自分などは思うわけですが..........




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