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医療費高騰の元凶、高齢者への投薬過多

 毎年鰻登りに増加している日本の医療費。 その要因のひとつとされるのが処方薬の多さです。  特に高齢者に処方される薬の多さには、身近に老人を抱えていれば誰しも気付かされるところです。

 アメリカの研修医向けの書籍に「4種類以上の薬をのんでいる患者は危険」という記述があるほど、「多剤服用」 の危険性は世界中で知られているのに、日本ではそれがまかり通っています。

 2019年6月、厚生労働省は《在宅療養患者では、平均処方薬剤種類数は6.5種類であり、60%が6種類以上であった》、 という報告書を発表します。 そもそも高齢者は複数の病気をもっていることが多く、さらに国の方針で病院よりもクリニックにかかることが推奨されています。

 一方でクリニックの医師は患者が他院でどんな薬を処方されているのか共有しづらいため、あちこちのクリニックからいろいろな薬が処方される事態となっています。   たとえば脳神経科で頭痛の治療を受けている人が、腰痛で整形外科にかかるという場合、鎮痛剤や胃薬が両方から出ることもよくあるといいます。

 この報告書では、2014年に大手チェーンの585薬局で調剤を受けた65才以上の患者約18万人(平均76.1才)を対象とした調査結果を掲載。    5種類以上の薬を処方されている人の割合は65〜74才で27.2%、75〜84才で36%、85才以上になると、 なんと47.3%と半数近くにも及ぶことが報告されています。

 人は年を取るごとに複数の病気を抱えるようになり、薬が増えていくのはある程度仕方ないことではあります。 しかし、多種類の薬を使えば新たな副作用を招いてしまうこともあります。   さらに病院や医師によっては売り上げを増やすためか投薬に熱心なところも多くあります。 自分も皮膚炎で通院している大学病院で、 つき指してチョッと痛む、という話をしたら、即座に"鎮痛剤を処方しましょう"、と熱心に勧められたことがあります。 モチロン断りましたが。

 厚生労働省の発表はこうした「多剤服用」に警鐘を鳴らすとともに、高齢者の療養環境ごとに薬剤治療を見直す手段を、より具体的に記載したものとなっており、 「高齢者の服用には注意が必要な薬剤」のリストもバージョンアップされています。

 多剤服用が増加している背後には、健診で使われる『ここからは病気』とされる基準値が徐々に厳しくなっている現状も関係しているとされます。   検査結果が同じでも、これまで健康とされていた人が“病人”と判定されるようになり、どんどん薬が出るようになっているというのですから驚きます。

 国家予算の2018年度の医療費は11.8兆円で、毎年数兆円単位で増加しています。  このままではいずれ医療費が国家経済を圧迫するのは目に見えています。 今のうちから抜本的な対策を打たないと将来大変な事態となるでしょう。(2019.7.7)


岐路に立つ年金制度

 2019年6月、金融庁が「老後資金は2千万円不足する」などとする報告書案を発表。 これが数字の独り歩きを招き、国民を不安に陥れます。    不足額を「赤字」と表現したことについて政府は「誤解を招いて不適切だった」と釈明しますが、金融庁は報告書の事実上の撤回に追い込ます。

 この報告書案は大学教授をはじめ、個人マネーに携わる専門家たちから構成された「市場ワーキンググループ」という審議会の委員が何度も議論を重ね、 それをまとめた報告書であり、官僚が主導した考えではありません。  マア、お上の息は掛かっているでしょうが。

 1961年に国民皆年金体制が誕生しましたが、そもそも年金制度を設計した当時と今とでは、寿命は大幅に延びた一方で出生率は低下しています。 少子高齢化が進む日本において、 現役世代が高齢世代を扶助するという今の年金制度の仕組みを放置したままでは、 いずれ立ち行かなくなるのは誰でもわかるリクツです。

 報告書案を批判する声の大部分は、「年金だけで暮らせないのは政策ミスなのに、なぜ国民が2000万円ものお金を自助で貯めなくてはいけないのか」といったもののようです。    その反面、「あなたは将来の自分の生活において、どの程度お金が必要か計算したことがありますか...」という調査では、約3分の2の人が「考えたことがない、 計算の仕方がわかない」と答えたそうです。

 現在の年金制度では、寿命が長くなって高齢化が進む日本社会において、現在の70代、80代以上の親世代と同じような年金生活を、将来においても維持するのは難しい、 というのは厳然たる事実です。  この現状を直視せず、成り行きにまかせたまま放置しておいて、イザそのときが来ると大騒ぎする....いかにもニホンジンらしいところではあります。

 だから、昔旧民主党のような現実無視のデタラメ政党が選挙公約で実現不可能な公約をブチ上げたのを頭から信じ込み、 政権をまかせ、結局日本を未曾有の大混乱に陥れるような事態が起こるのです。

 この現状から窺えるのは、自分の老後の将来設計など何も考えておらず、年金制度を無能な政治家・役人まかせにし、老後資金は全部お国に頼りきり、 したがって老後資金の備えもしていない人たちがいかに多いかということです。   マア、この無能な政治家を選んだのは自分たち なわけで自業自得でもあるわけですが......ですからある意味この報告書案は実にタイムリーなものだったわけです。

 月の年金収入が約21万円に対し、支出が約26万円。 毎月5万円の赤字は1年間で60万円、したがって65歳から95歳の30年間では2000万円近くに上る、という報告書に、 東京新聞は「報告書は2017年の家計調査に基づいて示した高齢夫婦無職世帯の1ヵ月の平均収支を示しているが、その中身は実に衝撃的だ」と書いています。

 しかし、衝撃的どころかこんな内容は少しでも年金に関心があるならとっくに知っている数字です。   新聞記者が驚くことのほうがよっぽど衝撃的です。  新聞からしてこんな調子なのですから、破綻するハズの年金制度について誰も問題視せず、 長い間放置されてきたのも"むべなるかな"、というところです。

 そもそも国が発表する、将来受け取れる年金、という数字も曖昧すぎます。 月の年金収入が約21万円といっても、 これはあくまで生涯の平均年収が500万円だったサラリーマン・公務員の年金額で、 しかも奥さんの国民年金を合わせた金額です。  この年金額は決して、誰でも受け取れる年金額ではないのです。   この額を受け取れる人は大企業に勤めたサラリーマンや公務員ならともかく、そう多くはありません。     国が公表するモデル額を鵜呑みにしてはいけないのです。

 たとえ厚生年金受給者であっても、公的年金額は生涯賃金に左右され個人毎に異なる、という仕組みさえ把握しておらず、 会社員(厚生年金)と自営業(国民年金)では年金額に倍以上の差があることを知らず、自分もアノぐらい受給できるんだ、と思い込んでいる人たちが多すぎます。

 特にサラリーマンの年金は年金の月額掛金が一定の国民年金と違い、勤め先が地方の零細企業か首都圏の大企業か、公務員だったのかなど、 "生涯賃金の過多"によって将来受給できる年金額に大きな差が出ます。

 今は現役世代へも「年金定期便」が送られ、自分が将来受給できる年金がいくらぐらいか誰でも確認できます。  この報告書案は年金だけでは賄えない現状を公表し、不足すると考えられる分について国民に喚起し、自助努力を促すことが目的であり、 老後に必要とされる資金額をシュミレーションした数字を発表したに過ぎません。

 モチロン、この報告書案は金融関係者が老人世帯のタンス預金を投資に回させるための誘い水として発表したという裏の事情もあるかとは思いますが、 国民が年金について本気になって考える"キッカケの始まり"にはなったかもしれません。

 これからは現役世代にどこまで負担を求め、年金受給者に対する給付をどう抑えれば国民の理解を得られるのか。  この難しい選択をどう受け止めていくかが国民に問われます。(2019.6.12)


蔓延する住宅ローンの不正融資

 2019年5月、朝日新聞がフラット35を巡る不正融資を報じます。  これは金融機関と不動産業者、借り手がグルとなり、 自分が住むと偽って投資用物件の価格を水増ししてフラット35からの融資を引き出し、 物件取得にかかる費用との差額を客にキックバックするというやり方です。

 フラット35は、金融機関が融資を実行した後、その債権を住宅金融支援機構に譲渡する仕組みで、金融機関は融資実行の際に手数料を得たうえ、 貸し倒れリスクを負わずに済むもので、業界に10年以上前から存在しているポピュラーなものだといいます。

 借り手の客はその差額でそれまで抱えていた消費者金融など高金利の借金を返し、 取得した投資用不動産から家賃収入を得ながら、年利1%程度の住宅ローンを返済していくわけです。

 このスキームにおいては、年収300万円以下で、かつ借金を抱えている層がターゲットになっているとされますが、借り手がウソの申告をしていても、 金融機関が目をつぶる動機は十分にあるわけです。  現役の不動産営業マンによれば「ある銀行員が『こっそりやってくださいよ』と言っているのを聞いたことがありますからね」、 という実態のようです。

 国民のマイホーム取得を後押しするという理念で販売されているローン商品を悪用し、借金にあえぐ低所得者に投資用不動産を売りつけていた実態が暴露されたのです。

 この背景には、2018年、不動産投資用物件のローンに積極的だった、スルガ銀行 による借り手の年収や物件価格を水増しする偽装工作が発覚し、スルガバブルが崩壊したことも影響しているとされます。

 それまでスルガのゆるい審査のおかげで『一棟モノ』と呼ばれる一棟マンション・一棟アパートで稼ぎ、さんざん“オイシイ思い”をしてきました多くの不動産業者が、 区分投資マンションを扱う業者に鞍替えし、一気に融資を引き締めたスルガの代わりとして、フラット35を活用して派手に押し込んでいったというわけです。

 この実態に業を煮やした住宅金融支援機構は、過去の融資実態について本格調査する方針を固めたといいますから、 「不正な融資が確認されたら、見せしめで一括返済を求めてくるはず。  物件を売った代金で相殺できない場合は悲惨ですよ」、という懸念も出ています。

 もしそうなれば、借り手は物件を手放したうえ、また借金を返すだけの生活が始まるわけで、甘い言葉に踊らされた結果、泣きを見るのはこれからなのかもしれません。(2019.6.11 msnマネー 引用)













 (2019.1.28)




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忖度(そんたく).......他人の心中をおしはかること。

斟酌(しんしゃく)......相手の心情を考慮して程よくひかえめにする。

(*3)........新渡戸稲造(にとべいなぞう)

1862年9月1日-1933年(昭和8年)10月15日。 日本の教育者・思想家。農業経済学・農学の研究も行っていた。 国際連盟事務次長も務め、著書 Bushido: The Soul of Japan(『武士道』)は、流麗な英文で書かれ、長年読み続けられている。 五千円券の肖像としても知られる。(Wikipedia)

(*4)........規範意識(きはんいしき)

道徳、倫理、法律等の社会のルールを守ろうとする意識のこと。遵法精神とも。

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