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とうとう香港民主化を力づくで抑え込んだ中国

 2020年6月30日、元学生活動家らが結成した香港の民主派政党「香港衆志(デモシスト、Demosisto)」は、時代錯誤の超侵略国家中国で、 香港国家安全法が可決されたことを受け、 「内部で熟考した結果、現状を踏まえ、解散して団体としてのあらゆる活動を中止することを決めた」と、ツイッター(Twitter)で明らかにし解散を表明します。

 同党は香港の独立を訴えているわけではないにもかかわらず、中国国営メディアは黄氏をはじめとする民主活動家らを「分離主義者」と位置付け、日常的に批判を繰り広げていました。    中国政府は、「国家安全保障を危険にさらす少数派にとっては、この法律が頭上の剣になる」と恫喝しており、 民主活動家の黄之鋒(ジョシュア・ウォン、Joshua Wong)氏が、「世界がこれまで知っていた香港の終わりを意味するもの。 権限の拡大と不明瞭な法により、 香港は秘密警察国家へと変わる」と非難する社会へと変貌することが確実となりました。

 香港国家安全法が可決されたことで投獄される危機が迫る今、民主活動家らが表立った行動をとることは命取りとなるわけで、活動中止はやはり仕方のない選択なのでしょう。    日本のほか英国、フランス、ドイツなどを含む27か国は、この国家安全維持法は香港の自由を「害する」として中国に対し再検討を求める共同声明を発表しますが、 効果は期待できません。

 声明は「.....新疆ウイグル自治区で100万人以上のウイグル族を拘束するなど、 少数民族の恣意(しい)的な拘束、広範囲にわたる監視や制限をめぐり、懸念を表明する書簡を昨年提出した」 とも指摘しています。  いずれにせよ、21世紀の文明社会にあっても、独裁支配者が民衆の自由を奪い、力づくで国家権力に従わせるという、 人間の自由と尊厳を奪っていた暗黒時代の歴史がいまだに目の前で起きているわけですから、なんとも恐ろしい話です。

 こんな国が世界の覇者を目指さんと世界中の貧困国をカネで支配し、武力を使った恫喝でアジア周辺を我領土にせんと、虎視眈々と日本周辺にも迫っているのです。    手がつけられなくなる前に、自由世界は中国の暴走に手を打たないと、いずれアジア周辺国が中国の顔色を伺わないとなにも出来なかった、 中華王朝時代に逆戻りするという悲劇の時代が再び訪れるかもしれません。

 日本は当時のその中国を武力で打ち負かし、 アジアの覇者の地位から引き摺り下ろした国でもあったのですが、はたして日本が中国の拡張政策に終止符を打つという歴史が再び繰り返されるときがくるのでしょうか。(2020.7.1)


とうとう暴君国家の正体を曝した中国

 2019年に発生した新型コロナウイルスの「発生地」とされ、世界中をパニックに陥れた中国ですが、2020年に起きた香港をめぐる情勢の緊迫もあって、 いまや世界中の対中認識が急激に悪化し、各国の「中国を見る目」が大きく様変わりしてきました。

 中国は1840年のアヘン戦争の大敗以降、世界の大国に圧迫される歴史を重ねてきましたが、習近平政権は「中国の夢」という政治スローガンを掲げ、 経済力を背景に軍事力を大幅に強化。    世界を大きく主導する超大国の座に「復帰する」という明確な覇権志向のビジョンを持っています。

 しかし、2020年7月「一国二制度」で守られていた香港の自由を力づくで奪うという暴挙に出たことで、米英仏独をはじめ、印、豪、ASEANなど超大国や多くの経済大国・地域において、 “不実な大国”中国への警戒意識がかつてない高まりを見せ、大きな曲がり角を迎えようとしています。  そのひとつが強固な「中国包囲網」の構築です。

 特に「香港に自由と民主主義を根付かせた」という自負があるイギリスにとって、それが世界注視の中で真正面から破られたのですから国としてもメンツ丸つぶれで、 イギリスの中国に対する姿勢は激変。  それまで「アメリカの言いなりになるな」として中国ファーウェイ製の5G用製品を35%まで受け入れるという方針を示していたのが、 ここにきて一気に中国批判の声が高まってきました。

 これにつられ歴史的にイギリスと縁の深い、アメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドの「アングロスフィア」と呼ばれる国々の中核である、 英語圏5カ国(「ファイブ・アイズ」と称される)の政府が、香港の国家安全法に反対する共同声明を出すなど中国に強く抗議します。  欧州議会も6月19日、 中国による香港の国家安全法の導入に対し非難決議を行い、国際司法裁判所に提訴し、あわせて中国への制裁措置に踏み切るよう求めました。

 これにより、いままで「一帯一路」構想によって、中央アジアを超えてヨーロッパに活路を求めてきた中国にとって「中国の孤立」という立場に追いやられる危険性もでてきたわけです。    従来中国排除の急先鋒だった米国の独り相撲という感もあった「中国封じ込め路線」ですが、これにより具体性が出てきました。

 さらに、ヨーロッパ以外のインド、オーストラリアも歴史的ともいうべき軍事協力関係を結び対中国のタッグを組むこととなり、 太平洋ラインも日米豪印による中国包囲網が構築されつつあります。

 結局、中国は香港という“金の卵を産むニワトリ”を力づくで絞め殺した結果、21世紀の今においても時代錯誤の暴君国家という正体が暴かれ、自由主義国家の猛反発を食らったわけで、 世界から孤立した中国が今後どのような動きを見せるのか、気になるところです。(2020.7.5 文春オンライン 引用)


  

香港恐怖統治の始まり

 人類は長い間、権力者の圧政に抵抗する民主化の戦いを続け、やっと自由と平等を享受できる民主主義を手にしてきた歴史があります。  その長い厳しい闘いの歴史は、映画やドラマでも度々流され、いかに多くの犠牲の上で手にしたものであるか、 我々は知っています。

 ところが、21世紀の現代において、何世紀もかけ人類が苦労の末にやっと手にしたはずの自由を奪い去り、恐怖統治で人民を支配しようとする強権国家が存在します。 それが世界のゴキブリと呼ばれる社会主義国家・中国なのです。

 2020年11月、香港の抗議デモをめぐる裁判で、とうとう民主活動家の周庭(アグネス・チョウ)氏(24)らに有罪判決が下り、即日に収監されました。   香港当局は2020年7月に行われた民主派・予備選に投票した61万人の声は完全に無視し、周氏や黎智英(ジミー・ライ)氏ら香港民主活動家を、次から次へと逮捕しています。

 封建時代(主人と家来の関係)の社会で行われていた、ごく限られた権力者が、横暴な圧政により民衆から自由と権利を奪い恐怖で支配する、というまるで映画のようなシーンが、21世紀の今、我々の眼前で繰り広げられているのです。  それに対し国際社会は手をこまねき、見て見ぬ振り をしているのです。

 2021年初めには、香港の警察当局が香港国家安全維持法(国安法)を武器に、民主派の本格的な摘発に乗り出しました。  中国は国安法施行下の“恐怖統治”によって香港の抗議活動を押さえ込み、 もうデモ再燃の可能性はないと判断した結果、一斉逮捕に踏み切ったとみられます。  少しでも弱みを見せたら最後、ユクザは勢いに乗り一気に攻め込んでくるのです。   尖閣諸島においても同様の結末が危惧されているのです。

 一斉弾圧と同時に中国は民主派の立法会議員らの資格も剥奪。  これにより香港の民主派勢力は弱体化し、中国の武力鎮圧の前に手も足も出せない状況となりました。   香港社会は萎縮し自主規制が進み、いまや香港政界も親中派陣営による中国政府へのアピール競争が始まっています。    もうこれで香港民主化の道は完全に閉ざされてしまうのでしょうか。(2021.1.7)


  

香港・民主化運動の行方

 2019年6月13日、米国議会の超党派議員たちが「香港人権・民主主義法案」を提出します。    この法案は、「米国政府に香港の一国二制度を前提とした高度の自治が守られているかどうかを毎年検証することを求め、 高度の自治が失われたと判断された場合は、従来の香港政策で決められていた関税やビザの優遇措置を取り消す」、 といった制裁措置をとることなどが内容に含まれています。

 米国が香港との貿易にかける関税は大陸中国とは別格になっていますが、米国がこうした切り札を使えば、香港も中国と同様の扱いにされ現在25%の関税がそのまま適用されてしまいます。    これにより企業の香港離れは進み、投資も減少するので、香港の国際貿易、金融のハブとしての優位性は完全に失われます。   さらには中国経済も大きな損失を被りますから、中国も大いに慌てたのは確実でしょう。

 香港議会の中国系議員の多くは香港経済界の幹部とされます。 彼らにすれば米国の制裁が実現すれば大打撃となり死活問題です。   この米国の姿勢が親中派の香港ビジネス界、議会を動揺させ、「逃亡犯条例」改正の無期限延期という香港政府の大幅な譲歩を引き出したのは間違いないでしょう。   結局、最後は「金が物を言う 」わけです。

 もし香港の民主化運動が「普通選挙」要求デモへと拡大し、これを中国が武力行使で阻止するような動きを見せれば、おそらく米国の香港人権・民主主義法案が可決され、発動されるでしょう。   それはすなわち習近平政権に致命傷を負わせることに繋がりますから、 中国も対応に苦慮することになります。

 中国政府が硬軟織り交ぜた妥協案を持ち出し、民主化運動を懐柔してソフトランディングさせる戦法をとれば、それは中国の「植民地主義」が崩壊していく端緒となるかもしれません。   今後の香港情勢が、将来の中国の国家体制を占う試金石となるかもしれません。(2019.6.20 msnニュース 引用)

 恐れていた通り、現在香港は中国の介入により香港警察が民主運動家達を次々に逮捕するという強権国家と化し、中国に反発する勢力は根こそぎ排除され、 民主国家とは程遠い国へと変貌しつつあります。  我々は21世紀の現代に起きている、この前近代的な力づくの支配という悪夢を、まざまざと見せ付けられているのです。(2020.11.6)


混迷する香港の選挙制度

 1997年、香港の主権が英国から中国に返還された際、香港は「特別行政区」と位置づけられ、 「50年間は香港で社会主義政策を実施しない」という約束(一国二制度)」がなされます。    これによって2047年までの50年間は、とりあえず外交と国防を除く「高度な自治」と、資本主義制度の維持が認められ、「つかの間の自由」を享受できる、というものでした。

 そもそも「一国二制度」というのは、従来の武力解放から平和統一への政策転換が行われる過程で生まれたものとされ、 1つの国の下に共産主義と2つの制度が併存していくというものです。    これは1979年、中国共産党の実権を握ったケ小平が"対台湾政策"の中で生み出した政策といわれます。

 もともと香港の人口は終戦直後には60万人程度だったとされます。 それが1949年に中国共産党が大陸を制圧して以降、1977年に終結宣言がなされた文化大革命に至るまで、 共産主義が引き起こした飢えや恐怖政治の混乱を避け大陸から逃げてきた人たちを受け入れた結果人口は爆発的に増え、現在では約800万人前後となっています。

 雨傘運動デモに参加する若者たちはいわばそういう亡命者の子孫であり、生まれた時から香港に住む二世や三世の世代です。 彼らは中国大陸の中国人とは全く異なる、 独自のアイデンティティーを持っているとされます。  そういうルーツを持つ香港人にとって、 中国の共産主義体勢に組み込まれてしまうということは恐怖以外のなにものでもありません。

 現在の香港の選挙制度は民意が反映されにくい間接選挙もどきの制度といわれます。  政府トップの行政長官を選ぶ際も、まず選挙委員を選び、 委員らによる選挙で行政長官を決めるという二段構えになっています。 行政長官の選出が主な役割の選挙委員の任命は中国が影響力を持っており、 結果的に親中派(中国寄りの人々)の委員が多数選出される構造になっており、定員1200人に対して委員の8割が親中派とされ、民主派の委員は約200人しか選出されないといいます。

 香港議会の議員は香港住民の直接・普通選挙によって選出された直接選挙枠(35議席と)、それに各種職能団体を通じた間接・制限選挙による間接選挙枠(35議席)で選ばれています。   定数70人の議員のうち、事実上中国共産党が指名する議員が半数以上を占めるとされます。

 2014年6月の「一国二制度白書」でも、行政長官は「愛国者」に限ると強調されており、中央政府の意に沿わない人物の立候補を事実上排除する方針が打ち出されます。    これが現実化となれば指名委員会の多数は親中派で占められ、民主派が事実上排除される内容でした。 同年8月には、それまで「直接普通選挙化の実行は、 行政長官の普通選挙化の後実行することとする」、としていたルールを中国が突然変更します。

 2011年にも、香港政府は義務教育に中国中央政府に対する愛国心を育成するカリキュラム(愛国教育)を加えようとしますが、 学生からは「それは洗脳教育だ」と強い反発があったため、カリキュラムを撤回しています。(2019.6.22)


「一国二制度の矛盾」....雨傘革命

 中国は近年、香港への政治的圧力を強めつつあります。 中国が「一国二制度」を維持するためには、越えてはならない「民主化要求・独立運動」という一線があります。   「高度な自治」を要求して大規模デモを繰り返す香港を、中国が黙ってこのまま放置するはずはありません。

 2014年に発表した香港白書では、「中央政府は香港の全面的な管理統治権を持つ」と強調。 さらに2018年に施行された「国家安全法」では、 香港住民にも国家主権と統一、領土を守る義務を負わせています。 頻発する民主化デモを押さえ込むため、中国は50年どころかまだ20年にもならないタイミングで 香港を自国に取り込もうとキバをむき出しにしてきたわけです。

 近年香港は強引に中国化を推し進め、規制強化を図ろうとする行政側と、それに抵抗する民主化勢力のせめぎ合いにさらされるようになってきました。   このような対立の流れが香港市民の不満を招き、2014年の反政府デモのきっかけとなります。

 2014年9月26日に起きた中国の政策に反対するデモでは、香港の「学民思潮」などの民主化団体は学生を動員。  香港の高校生と大学生を中心とした授業のボイコット、 及び「真の普通選挙」を求めるデモが開始されます。  デモは12月まで断続的に続き、参加者は、傘・ゴーグル・マスク・ポンチョなどを持参することで、 警察が使用する催涙ガス類から身を守っていたことから「雨傘革命(雨傘運動)」と呼ばれます。

 香港は英国統治下でも度々デモが行われました。  1989年5月には中国の民主化運動を支援するため150万人規模のデモも開かれていますが、今回の騒動は、 1989年の「天安門事件」以降では最大級の民主化要求デモであり、まだ「高度な自治」が許される香港での出来事とはいえ、 中国政府の管理下にある中国人の中で、100万人超の人々が『われわれは民主主義がほしい』、と声を上げたことは中国政府にとって由々しき事態といえます。

 2014年の雨傘運動の後、香港独立を意味する「港独」の言葉が、香港の立法会(議会)などでも飛び交うようになったといいます。  ただ、このときは香港市民も国際社会も 習近平政権の恐ろしさをまだ認識しておらず、習近平も一切の妥協を見せず、この雨傘革命はひとまず終息しました。

 いずれこの動きが中国の民主化プロセスにも大きな影響を与えるか、それとも香港市民は厳しい弾圧を受け民主化の道は断たれ共産主義に組み込まれていくのか、 今後も要注目です。(2018.6.29 産経ニュース 引用)


香港で相次ぐ雨傘運動

 2019年6月、香港でまたしても大規模なデモが勃発します。 今度の要因は香港で身柄を拘束した容疑者の、中国本土への移送を可能にする 「逃亡犯条例」改正に反対するものでした。

 これには伏線がありました。 2018年、香港の男が台湾で女性を殺害し香港に逃げ帰った事件が起こります。 香港は米英などとは犯人引渡し条約を結んでいますが、 台湾や中国とは取り決めはありません。   そこで香港行政長官・林鄭月娥(キャリー・ラム  りんてい・げつが)は条約改正に着手したといわれます。  そもそもは中国政府の指示ではなかったのです。

 ちなみに、当初犯人引渡しを要求していた台湾は、5月に引渡しを求めない方針へ転換しています。 その理由として、条約が中国共産党に悪用されることを防ぐためと見られています。    さらに香港住民の声に耳を傾けたこともあるといいます。

 主催者によれば、この大規模デモには約200万人が参加したといいますが、この数は2014年の「雨傘革命(雨傘運動)」の100万人デモを大幅に上回っており、 香港の人口は約800万人前後といいますから4人に1人が参加した計算になります。 香港民族主義ともいうべき反中国思想はますます強まっていたわけです。

 このデモに臨む市民の気迫に恐れたか、林鄭月娥は、「政府として足りないところがあった。 香港社会に矛盾と紛争をもたらし、 多くの市民を失望させ、悲しませたことをここに謝罪します」、と全面降伏に等しい謝罪コメントを発表、改正の無期限延期を決めます。    しかし参加者たちはあくまで「完全撤回」を主張、デモ隊の一部は立法会(議会)周辺の道路を一時占拠しました。

 この「雨傘運動」の背後には、中国との貿易戦争や5G戦争で対立している米国が、人権カードを使って中国包囲網を固めようと動いた、と勘ぐる見方もありますが、 他国の煽動だけで200万人もの市民デモを組織できるはずはないとみられます。  行政長官もデモが市民の総意だと認識したから謝罪せざるをえなくなったわけです。

 習近平(しゅう きんぺい)にとっては今回の「逃亡犯条例改正」騒動は"もらい事故"ともいうべきものだったわけですが、 これが"中国による規制強化策の押し付け"と看做(みな)され、 "それに抵抗する香港市民による大規模デモの勃発"という構図がまたしても再現されたわけです。  まだ「天安門事件」のような惨劇は起きていません。   しかし、習近平体制下の共産党一党独裁政権による完全な監視社会になった中国は、民主化運動や宗教・少数民族に対する弾圧は苛烈さを増しています。

 香港で相次ぐ民主化要求デモに対し、中国が手を拱(こまぬ)いているはずはありません。 最近では中国の体勢を批判する書籍を置いていた書店が突然封鎖される出来事がありました。    水面下では中国当局による香港市民への厳しい弾圧がすでに行われているわけです。  いずれ過酷な取締りが他の支配地域同様、 普通におこなわれる時がくることが予想されます。(2019.6.18)


「雨傘運動」の今後の行方

 当事者である香港市民も一枚岩ではないとされます。 現在の香港の政治勢力は、香港の既得権益層からつくられる親中の"親政府派"と、 香港の自由自治を目指す"民主派"の2つに分けることができるといいます。

 その民主派にしても雨傘デモ以来分裂しつつある状況とされ、民主派の中に「本土派」というグループが誕生しているといわれます。 彼らは強硬ともいえる香港の政治的独立性を主張しています。    「本土派」と呼ぶのは中国が本土ではなく香港が自分たちの本土(故郷)であるという意味とされます。

 香港の抗議運動はますます先鋭化しており、このまま本土派最右翼の香港民族党香港独立党の若者たちが、香港人が一つの民族であると主張して、民族自決を求めより一層過激化していけば、 いずれ"中国共産党の虎の尾"を踏んでしまう事態は当然起こりえます。

 懸念されるのが、香港においてこのまま平和裏に民主化運動が進むか、という点です。 香港の民主化運動の今後は予断を許しませんが、雨傘運動の後、 議会へ進出した本土派のある議員は、議場で行うべき中国政府への忠誠を誓う儀礼を無視したり、 わざと茶化して宣誓文を読み上げたりする態度をとった挙句、激怒した中国共産党により資格を抹消されたといいます。

 当然ながら一党独裁の中国政府がこのまま香港の独立運動を放置したまま手を打たないわけはありません。     飲み水と電力を丸ごと大陸に依存する香港が、この先「自主独立」を求め中国と対立していくこと自体が現実的ではありません。

 香港の経済環境も以前とは様変わりしているといいます。 2014年の「雨傘運動」が失敗に終わったのは、大陸の観光客を大口とする香港ビジネス界の人々が、 民主化運動の「抵抗勢力」となったからともいわれます。    しかし、2019年のデモでそういう親中国の目立った動きがなかった理由のひとつとして、いまや香港経済は大陸側の勢力に支配されつつあることも関係しているとされます。

 対中ビジネスの拠点として栄えた香港も、世界が直接大陸との取引を活発にしていくにつれ、その役割を失いつつあります。 さらに金融センターとしての地位も上海などに奪われるなど、 いまや香港の価値の低下が言われています。

 香港経済は大陸からの観光客への依存をますます強めています。 近年はチャイナ・マネーが値を釣り上げたことで、 香港の人が手の届くマンションが郊外へと追いやられる状況となったといいます。 その反動からか、中国人観光客であふれる繁華街などで中国人排斥運動もどきのことを行ってみたり、 中国人蔑視と受け取られかねない発言などに多々見られるといいます。

 今後香港の民主化運動がどんな展開を見せるかは未知数ですが、ただ我々日本人は香港人を反中国勢力と捉え、シンパシーを抱き彼らが反中親日であると勘違いするのは早計のようです。   いずれ彼らが親日的な振る舞いをするだろうと期待し、親日的な見返りを期待して香港の民主化を支援するのは避けたほうが賢明でしょう。

 彼らは民族国家としての中国そのものに背を向けているわけではないといいます。  彼らはあくまで"民主化が染み付いた中国人"なのですから。(2019.6.23)


 

中国、香港の「一国二制度」を実質破棄

 香港区会議員選挙で惨敗した親中派でしたが、習近平は香港民主化運動の拡大を阻止せんと、中国傀儡の香港政庁に命じて自由民主の活動家、指導者らを次々に逮捕することをやめません。    デモが本格化した2019年6月以降の逮捕者は約7700人、このうち中高生だけで約1200人に上るとされます。 これに対し支援者たちは保釈金をクラウドファンディングで呼びかけますが、 HSBC(香港上海銀行)はその口座を凍結、怒った若者らは銀行本部も襲撃し、親中系と言われた銀行のATMはほとんどが破壊されるという騒ぎになります。

 香港は2003年にも逃亡犯条例改正案を発端としたデモで政府への不信が高まったところにSARS(重症急性呼吸器症候群)が発生。 マスク不足の深刻化などで不満はさらに募って、 国家分裂行為などを禁じる「国家安全条例」案に反対する50万人規模のデモが発生し、最終的に香港政府は白紙撤回に追い込まれています。

 2019年から2020年にかけ世界中に拡散した新型コロナ騒動でも、中国らしい卑劣さで欧米の人権批判が弱まった隙を狙って弾圧を強化し、 香港の自由民主活動家たちをごっそりと逮捕していますが、今後香港で肺炎対応をめぐり政府の責任を問う声が高まれば大規模デモが再燃する可能性はあります。

 さらに、中国では当局が情報を統制したことが新型コロナ感染拡大につながったとして、会員制交流サイト(SNS)で言論の自由を求める声が上がっているとされますから、 香港のデモが拡大一方となれば、民主化に無関心だった中国の人々が自由を求める香港の闘いに共感しても不思議ではなく、いずれ中国本土に波及する可能性もあります。    いよいよ習近平体制の「終わりの始まりの時」が近づくのでしょうか。(2020.5.14)

 2020年4月18日、香港政府は現職の梁耀忠立法会議員や「民主の父」と呼ばれる81歳の李柱銘(マーティン・リー)元議員ら15人を逮捕。  その中に民主化運動を支持しているメディア界の大物で、 蘋果日報(アップル・デーリー)を創業した黎智英(ジミー・ライ)氏も含まれています。

 5月22日に開幕した中国の全人代では、一国二制度を無視し香港の社会統制をより強める香港国家安全法の制定が発表され、 香港立法会の手続きを経ないで施行するという異例の手法がとられました。  習主席もいよいよ本気になったようです。(2020.6.5)



   

 

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(*1).....チベット侵略

戦後、戦勝国となった中国が領土拡張のため1948年からチベットへ侵攻、全域を武力で制圧し中華人民共和国の支配下に入れた。 犠牲者の数は120万人以上とも。   現在でも中国に不満を持つチベット人の一部は反抗している。



(*2).....文化大革命

大躍進政策の大失敗により2000万以上の餓死者を出し、国家主席を辞任せざるを得なかった毛沢東が、 権力回復の為に起こした政治闘争で1965年から約10年間続いた。
この間、中国は内戦状態の様相を呈し多くの人間が反動分子として処刑された。 犠牲者は大躍進政策での失敗による犠牲者も含むと総計8000万人に達するという説もある。



(*3)......PC(political correctness)

政治的・社会的に公正・公平・中立的で差別・偏見が含まれていない言葉や用語のこと。 この運動を「政治的に正しいおとぎ話」と皮肉る向きもある。



(*4)......9段線

 中国南部・海南島の付近から南に下り、北東に向かってU字のカーブを描いて台湾に至る9つの破線で形成されている。南シナ海のほぼ全域を覆い、その形状から「牛の舌」とも呼ばれる。 



(*5)......甲申政変(こうしんせいへん)

1884年(明治17)の甲申の年朝鮮ソウルで起こったクーデター。   開化派(独立党)の金玉均・朴泳孝らが朝鮮の独立と政治改革をめざし日本の援助で王宮を占領したが 二日後に清の武力干渉によって失敗した。



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